「あずにゃ~ん、
あずにゃん分補給させてよ~」
「そ、そんな事言ってもダメです!唯先輩が悪いんですからね?まったく、あんな約束するから・・・」
唯先輩は今、私へ抱きつく事ができません。しかも5日間もです。
正直、私も不本意なんだけど、元はと言えば唯先輩が言いだした事なのです・・・。
1週間程前の出来事です――――――――――
私と唯先輩は
帰り道、最近流行りの話題を話していました。
「あずにゃん、今ってWCが盛り上がってるんだって♪クラスの皆が見てるって言ってたよ」
「WC・・・ト、トイレですか?」
「違うよ~。ワールドカップだよ、あずにゃん。4年に1度やってる、サッカーのお祭りなんだって」
「そうなんですか。すみません、私スポーツには疎くて・・・」
「昨日もね、日本が勝ったんだよ!えーっとね・・・カメ・・・カメルンって国が相手だったのかなぁ」
「ずいぶん可愛い名前の国があるんですね・・・」
後から調べてわかったのですが、正しくはカメルーンという国みたいです。
そういうところをしっかり覚えていない唯先輩・・・。まぁ、唯先輩らしいって言えばそうなんだけど・・・。
「今度の土曜日、夜の8時半からまた日本の試合があるんだよ!今度の相手はね、オランダだって!」
「オランダって強いんですか?」
「・・・さぁ?」
「唯先輩もあんまり詳しくないんですね・・・」
「でもでも、歴史の授業でよく名前の出てくる国だし、日本とも仲良いんじゃないかなぁ。だから、きっと勝たせてくれるよ~」
「いや、スポーツは真剣勝負しなきゃダメですよ・・・」
話していると、唯先輩もサッカーに関してはあまり詳しくはないようです。
私のクラスでも『○○選手、格好良かった!』という話はたまに聞くし、聞き慣れない言葉もよく聞きます。
PKとか、オフサイドとか、ロスタイムとか・・・これって、サッカー用語なんだよね、きっと。
「あ、そうだ!今度の試合は土曜日だから、あずにゃん、一緒に家で試合見ようよ!」
ポンと手を叩いて、嬉しそうに唯先輩が提案してきました。
「良いんですか?夜にお邪魔しちゃって・・・」
「勿論だよ~!あずにゃんと一緒に日本応援して、あずにゃん分補給して、一緒にお風呂に入って、一緒に寝て・・・♪」
「試合観戦だけが目的じゃないんですね///」
「だって、あずにゃん大好きなんだもん♪」
そう言うと、ドサクサに紛れて唯先輩が抱きついてきました。
「もう・・・ここ、道のど真ん中ですよ///」
『やめてください』と言っても、唯先輩はやめない人なので、せめてもの抵抗で・・・道の端に誘導しようとしましたが、やっぱり聞いていませんでした。
まぁ、唯先輩から抱きつかれるのは嬉しいし、人の目も気にならなくなってきたので、良いんですけどね・・・。
もう、ドンと来いです!
試合当日、街中では日本のユニフォームと思われる、青い服を着ている人が沢山いました。
雰囲気だけでも味わおうかな・・・という事で、私も青いTシャツを着てテレビ観戦する事にしました。
「あずにゃん、今日は日本勝つよ!」
まだ試合開始まで30分以上あるのに、唯先輩は既に興奮気味でした。
「凄い気合いですね・・・唯先輩の応援があれば、日本は勝てますね!」
「私の応援には、あずにゃんの愛の力も含まれてるもん!あずにゃん分補給~♪」
「ちょ、まだ早いですよ~///」
あずにゃん分をしっかり補給した唯先輩はとても満足そうな顔をしています。
唯先輩も満足したところで、いよいよ試合開始です!
「何か、凄い音がする楽器があるね~」
「はい・・・ブブゼラっていう名前の楽器みたいですね。テレビの実況の人が、凄くうるさいって言ってますね・・・」
「でも、軽音部の5人で吹いてみたいよねぇ」
「もはや、軽音の域を超えてますね・・・」
「ブブゼラちゃん・・・♪」
「ギー太はどうするんですか!?」
「はっ・・・浮気する所だったよ~・・・ゴメンよぉ、ギー太ぁ」
「ふふっ、唯先輩らしいですね」
「勿論、あずにゃんの事も大切に思ってるよ~・・・だから、またあずにゃん分補給させて~♪」
「もう・・・しょうがないですね///」
そうこうするうちに、前半が終了していました。どちらも点は入らず、スコアは0-0のようです。
まぁ、前半45分あったようですが、サッカーの試合を見ていたのは、そのうち25分くらいでした。
残りの20分は、ずっとあずにゃん分を補給されていました・・・。唯先輩はどれだけ抱き締めれば気が済むのでしょうか・・・///
「・・・!? 私、この試合の結果が見えたよ!」
私の隣で急に立ち上がると、唯先輩が自信満々に言いだします。
手にグッと力を入れ・・・相当の自信があるようです。
「まだ半分残ってますよ?」
「3対0で日本が勝つよ、あずにゃん!」
「でも、テレビの解説の人、オランダは凄く強いみたいな事言ってますよ?後半に3点も取れるんでしょうか・・・」
「大丈夫だよ!試合は何が起きるかわからないからね!何なら、賭けてみようか?」
「随分強気ですねぇ・・・」
「まぁ、スコアまでは当たらないと思うけど・・・」
「さっきまでの強気はどこに行ったんですか、唯先輩・・・」
「えへへ・・・あ、そういえばあずにゃん、オランダって同性同士で結婚ができる国って知ってる?」
「い、いきなりどうしたんですか?・・・まぁ、そういう話は初めて聞きましたけど・・・」
相手がオランダだからでしょうか・・・。急に突拍子のない話をしてきました。
まぁ・・・私も唯先輩と恋人になって、結婚までできれば良いなぁとは思いますけど・・・///
「よし、あずにゃん!日本が勝ったら、オランダに引っ越して、一緒に結婚しよう!」
「な、いきなり何言い出すんですかぁ///」
「あずにゃん、好きだよ!愛してるよ!」
「そ、そんな・・・急に言われても・・・///」
嬉しすぎる言葉・・・なんだけど、急すぎてどう答えれば良いのかわかりませんでした。
だって、心の準備がまだ・・・///
「照れてるあずにゃん、可愛い・・・」
「は、恥ずかしいですよぉ/// そ、それに、オランダって・・・言葉は何語になるんですか?」
「日本語じゃなくても、あずにゃんと言葉が通じれば良いよ!愛があれば乗り越えられるよ!」
「うぅ・・・わかりました・・・///」
唯先輩に口説かれて・・・何だか私、落とされてしまいました・・・。
まだ恋人にもなってなかったのに・・・だけど、私達、結婚する事になりました・・・オランダで。
- って、あれ?私達、サッカーを見ていただけなのに・・・何でこんな事になったんだろう!?
我に返った私は、落ち着いた口調で唯先輩に話しかけました。
「でも、もし日本が負けちゃったらどうするんですか?」
「そうしたら、次の試合まで、あずにゃん分補給はお預けにして良いよ♪」
「えぇっと・・・良いんですか?・・・私は補給してもらえると・・・嬉しいかなぁって・・・」
「大丈夫、日本勝てるから♪」
どこまでも自信たっぷりな唯先輩・・・。この自信はどこから来るんでしょうか。
でも、いつも自信満々で話す唯先輩は、なんだか格好良いです。
「じゃあ、引き分けだったらどうしますか?」
「うーん・・・じゃあ、間をとってチューするとか?」
「もう全然、間じゃないですけど・・・」
こうして、日本の勝敗の結果によって、私達の運命は大きく変わろうとしていました。
そして試合は進み、試合が終了しました。
テレビでは、対戦前の予想とは違い、日本は強かったと言っています。
私達が固唾を呑んで見ていた結果は・・・。
「・・・唯先輩・・・?」
「・・・あれぇ?どうしてこうなったのかなぁ?」
日本 vs オランダ
0 - 1
日本、惜敗でした。
こうして・・・
「あずにゃ~ん」
「そ、そんな泣きついてこられても・・・唯先輩が約束したんじゃないですかぁ~」
「あずにゃん分補給したい~、お風呂に入りたい~、一緒に寝たい~」
「どれも暫く禁止です!っていうか、オランダで結婚とかあずにゃん分補給禁止とか、何だか極端すぎませんか?」
「そ、そうかなぁ・・・」
結婚しようって言ってくれたのは嬉しかったけど・・・。あの時の唯先輩の表情も真面目だったし・・・。
でも、まだそういう話は早いんじゃないでしょうか・・・///
「もう少し、簡単な事にしましょうよ。たとえば、予想が外れた方が、当たった方の言う事を1日聞くとか・・・」
「おぉ、それが良いかもね!」
「それじゃあ、予想しましょう!唯先輩は次の試合、どっちが勝つと思いますか?」
「勿論、日本だよ~。次こそは勝ってくれるよ!」
「唯先輩はいつも自信満々ですね・・・。私は引き分けになると思います!」
「もし、負けちゃったらどうしようかぁ?」
「その時は、お互いの言う事を聞くっていうのはどうでしょうか?」
「おぉ、それにしよう!」
果たして、次の試合はどうなるのでしょうか!? 私達もドキドキしながら結果を待ちたいと思います!
「・・・ところで、あずにゃん、次の試合ってどことやるの?」
「聞いてなかったんですかぁ・・・。すみません、私もわからないです・・」
(お姉ちゃんと梓ちゃんの邪魔をしないようにしてたけど・・・次の試合の相手はデンマークだよ~・・・)
続く・・・?
- そして結果は「あずにゃんが唯の言うことを聞く」になったわけだが -- (名無しさん) 2010-06-25 10:02:42
- 期待して待ってます。 -- (名無しさん) 2010-06-25 13:20:08
- 何をお願いするのか・・・ -- (名無しさん) 2010-06-27 20:54:09
- 唯先輩はあずにゃんに結婚してとお願いするのかな?あとなんか試合観戦中になんかプロポーズがあったな、次はデンマークか…。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 00:12:09
最終更新:2010年06月23日 22:53