むかし、むかし、あるところに、ちいちゃいかわいい女の子がありました。
それはたれだって、ちょいとみただけで、かわいくなるこの子でしたが、でも、たれよりもかれよりも、この子のおばあさんほど、
この子をかわいがっているものはなく、この子をみると、なにもかもやりたくてやりたくて、いったいなにをやっていいのかわからなくなるくらいでした。
 ある日、ムギちゃんは、この子をよんでいいました。
「さあ、ちょいといらっしゃい、梓ちゃん、ここにお菓子がひとつと、紅茶がひとびんあります。
これを梓ちゃん、おばあty...ゲフンゲフン、さわ子先生のところへもっていらっしゃい。
さわ子先生は、飲み過ぎでよわっているけど、これをあげると、きっと元気になるでしょう。それでは、あつくならないうちにおでかけなさい。
それから、そとへでたら気をつけて、おぎょうぎよくしてね、やたらに、しらない横道へかけだしていったりなんかしないのですよ。
そんなことをして、ころびでもしたら、せっかくの紅茶のびんはこわれるし、さわ子先生にあげるものがなくなるからね。
それから、さわ子先生のおへやにはいったら、まず、おはようございます、をいうのをわすれずにね。
酔ってるとなにをするか分からないから。
はいると、いきなり、おへやの中をきょろきょろみまわしたりなんかしないでね。」
「そんなこと分かってますよ。やってやるです!」と、梓ちゃんは、ムギちゃんにそう言いました。
 ところで、さわ子先生のおうちは、村から半道はなれた森の中にありました。
梓ちゃんが森にはいりかけますと、お姉ちゃ...唯ちゃんがひょっこりでてきました。でも、梓ちゃんは、唯ちゃんって、どんな暖かい人だかしりませんでしたから、べつだん、素敵ともおもいませんでした。
あずにゃん、こんちは。」と、唯ちゃんはいいました。
「こんにちは、唯先輩。」
「こんな早くから、何処行くの。」
「おばあちゃんのところへいくんです。」
「前かけの下にもってるものは、なあに。」
「お菓子に、ぶどう酒。さわ子先生、飲み過ぎでよわっているでしょうから。それでおみまいにもってってあげようとおもって、きのう、家でで焼いたんです。
これでさわ子先生、しっかりすると思います。」
「さわ子先生のおうちはどこだっけ、あずにゃん。」
これからまた、八、九町ちょうもあるいてですね、森のおくのおくで、大きなかしの木が、三ぼん立っている下の家です。
家のまわりに、くるみの生垣いけがきがあるから、すぐわかると思います。」
 梓ちゃんは、こうおしえました。

 唯ちゃんは、心の中でかんがえていました。
「あずにゃん可愛いなあ,,,きっとあじが良いよね~。」
 そこで、唯ちゃんは、しばらくのあいだ、あずにゃんとならんであるきながら、道みちこう話しました。
「あずにゃん、そこらじゅうきれいに咲いている花が綺麗だよ~。周りを見なくちゃもったいないよ!
ほら、小鳥が、あんなにいい声で歌をうたっているのに、あずにゃんはなんだか上の空だよ。
学校へいくときのように、むやみと、せっせこ、せっせこと、あるいててるね。そとは、森の中がこんなにあかるくてたのしいのに。」
 そういわれて、梓ちゃんは、あおむいてみました。すると、お日さまの光が、木と木の茂った中からもれて、これが、そこでもここでも、たのしそうにダンスしていて、
どの木にもどの木にも、きれいな花がいっぱい咲いているのが、目にはいりました。そこで、
「あたし、さわ子先生に、げんきでいきおいのいいお花をさがして、花たばをこしらえて、もってってあげようかと思います。
さわ子先生、きっと大喜びしますよ。まだ朝はやいから、だいじょうぶ、時間までに行けますよ。」
と、こうおもって、ついと横道から、その中へかけだしてはいって、森の中のいろいろの花をさがしました。
そうして、ひとつ花をつむと、その先に、もっときれいなのがあるんじゃないか、という気がして、そのほうへかけて行きました。そうして、だんだん森のおくへおくへと、さそわれて行きました。
 ところが、このあいだに、すきをねらって、唯ちゃんは、すたこらすたこら、さわ子先生のおうちへかけていきました。そして、とんとん、戸をたたきました。
「う~、だ~れ~。」
「梓です。お菓子とぶどう酒を、おみまいにもって来ました。あけて下さい。」
「勝手に入ってちょうだい。私は二日酔いでよわっていて、おきられなわ...。」
 唯ちゃんは、とっ手をおしました。戸は、ぼんとあきました。唯ちゃんはすぐはいっていって、なんにもいわずに、いきなりさわ子先生のねているところへ行って、さわ子先生をクローゼットの中に放りこみました。
それから、さわ子先生の着物を着て、さわ子先生のステージ用カツラをかぶって、さわ子先生のベッドににごろりと寝て、カーテンを引いておきました。

 梓ちゃんは、でも、お花をあつめるのにむちゅうで、森じゅうかけまわっていました。
そうして、もうあつめるだけあつめて、このうえ持ちきれないほどになったとき、さわ子先生のことをおもいだして、またいつもの道にもどりました。
さわ子先生のうちへ来てみると、戸があいたままになっているので、へんだとおもいながら、中へはいりました。すると、なにかが、いつもとかわってみえたので、
「へんですね...どうしたんですか。きょうはなんだか胸騒ぎがします...、きみのわるいですね。さわ子先生のところへくれば、いつだって憂鬱なのに。」と、おもいながら、大きな声で、
「おはようございます。」
と、よんでみました。でも、返事はありませんでした。
 そこで、ベッドとこのところへいって、カーテンをあけてみました。
すると、そこにさわ子先生は、横になっていましたが、ずきんをすっぽり目までさげて、なんだかいつもとようすがかわっていました。
「あれ、さわ子先生、なんてプニプ二なほっぺ。」
「梓ちゃんにほおずりできるようによ。」
「あれ、さわ子先生、なんて冷たい手なんですか。」
「私の心が温かいからよ。」
「あれ、さわ子先生、なんて癖っけ。」
「梓ちゃんに梳かしてもらいためよ。」
「でも、さわ子先生、大きなお口ですね。」
「あずにゃんをたべちゃえる様にだよ~。」
 こういうがはやいか、唯ちゃんは、いきなり寝床からとびだして、梓ちゃんを、一糸まとわぬ姿してしまいました...お姉ちゃんくぁwせdrftgyふじこlp。
キャーユイセンパイ...アズニャーンチュッチュ

そこへ猟師がやってきて騒々しい家の中をのぞきました。
「あー...ずいぶんとお楽しみのようで...」

 やがて、クローゼットの中のさわ子先生も、まだ生きていて、はいだしてきました。もう、よわって虫の息になっていました。さわ子先生は、梓ちゃんのもってきたお菓子をたべて、紅茶をのみました。
それで、すっかりげんきをとりかえしました。でも、梓ちゃんは、(まさか唯先輩とちゅっちゅできるなんて...まさかムギ先輩の差し金!)と、かんがえました。そこで天井を見上げるとものすごい笑顔のムギちゃんが鼻血をだして横たわっていましたとさ。
めでたしめでたし。




澪「私の出番...」


  • ムギ先輩怖わ!? -- (あずにゃんラブ) 2013-01-17 23:21:46
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最終更新:2010年07月29日 20:35