唯高校最後の帰り道、梓と一緒に帰るのもこれが最後……
言葉少なげに歩く二人、その足取りは徐々に遅くなっている
そして……二人それぞれの自宅へと繋がる分かれ道
何かを言わなければ……気ばかり焦ってどちらも上手く言葉を紡ぎ出せない
しかし時間は待ってくれない。太陽が西の地平線に口づけをしたかと思うと、あっという間に辺りは宵闇が支配し始めていた
「じゃぁ……あずにゃん、またね」
「はい……唯先輩、また……」
歩いていく唯の後ろ姿を見送る梓。『……もう、唯先輩と一緒に帰る事は無いんだ……』
それに気付いた瞬間、とめどなく涙が溢れてきた。
「……ック……ウゥッ……」
止まって!!お願いだから止まってよぉ!!!最後まで笑顔で唯先輩を見送るって決めたんだからぁ!!!!
しかし気持ちとは裏腹に、その流れは止まる事なく溢れつづけた。
「あーずにゃん!!!!」
不意に梓の耳に唯の声が届いた。慌てて顔を上げると先程よりも少し離れた場所でこちらを向き佇んでいる。
「あずにゃん!!私……待ってるから!!!あずにゃんが私達と同じ大学に入学して、また一緒にサークル活動出来る日を!ずっと!!ずぅーっと!!!待ってるから!!!!」
その声を聞いた梓は急いで涙を拭いた。こんな素敵な告白に、涙声で答えるなんて失礼過ぎる。
だから、梓は精一杯の笑顔を浮かべてこう答えた。
「待っていて下さい!!絶対!!絶対!!!ぜぇーったい!!!!同じ大学に行きますからね!!!!!」


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最終更新:2010年09月16日 14:05