私、平沢唯は今とっても機嫌がよくありません。
何故なら愛しのあずにゃんが澪ちゃんに取られてしまったからです。
といっても、あずにゃんが澪ちゃんに宿題で分からない所を教えてもらっているだけなんだけどね?
本当は私が教えられればいいんだけど…
あずにゃんもあずにゃんで、私のことはスルーして
「澪先輩、数学の宿題で分からない所があるんですけど教えてくれませんか?」
なんて言うんだよ。ちょっと妬いちゃうよね。
りっちゃんも澪ちゃんを取られちゃって寂しいみたい。
二人にちょっかいを出してたけど澪ちゃんに殴られて、今はムギちゃんに介抱されてます。
残った私はただ黙って二人の事を見ているだけ。
本当は今すぐにもあずにゃんにギューって抱きつきたいけど、我慢、我慢。
あずにゃんを怒らせて嫌われちゃうのはやだもん。
でも、スラスラとシャーペンを走らせるあずにゃんは私のことをちっとも見てくれないので、やっぱり寂しい。
あーあ、早くこの時間が終わればいいのに。
そうしたら、すぐに足りないあずにゃん分を補給するんだ。
きっと、あずにゃんは恥ずかしがって私から離れようとするんだけど、でもダメだよ?
私は寂しい思いをいっぱいしたんだから、あずにゃんが何を言っても離れてあげないから。
「じゃあ、これで終りにするか」
「澪先輩、ありがとうございました」
私の願いが通じたのか、宿題を終えたあずにゃんが教科書やノートを鞄にしまっていく。
やったー!あずにゃ~ん!
今まさに抱きつこうとしたその時だった。
「痛っ……」
そう小さく呟くあずにゃん。
あれ?私まだ抱きついてないよ?
不思議に思って覗き込むとあずにゃんの人指し指から血が流れている。
どうやらノートをしまう時に切っちゃったみたい。
「ち、血が……」
あ、澪ちゃんが倒れた。
「しっかりしろ、澪!」
「待ってて。確か鞄の中に絆創膏があったはずだから」
りっちゃんは倒れた澪ちゃんの介抱。
ムギちゃんは慌てて鞄の中から絆創膏を探している。
「あずにゃん大丈夫?」
「ちょっと紙で切っただけですから平気ですよ」
「でも……」
あずにゃんはそう言うけど傷口は結構深そう…
血は止まる所か指を伝い下へとこぼれ落ちそうだ。
止血しなきゃ…
考えるよりも先に体が動いていた。
「唯せんぱ…な、何を!?」
指をくわえるのと同時にあずにゃんが声を上げる。
それを無視して傷口を吸い上げると血で汚れてしまった指を舌で綺麗にしていく。
「ムギちゃん、絆創膏見付かった~?」
一旦、指から口を離して後ろへ振り向く。
…あれ?りっちゃん、何で金魚みたいに口をパクパクさせてるの?
澪ちゃんは両手で顔を覆っているけど耳まで真っ赤に染まっている。
えっと、ムギちゃん。何でそんなに息が荒いの?
しかもお目当ての絆創膏はムギちゃんが強く握ったせいかグシャシャ。
「唯先輩……」
「なーに、あずにゃん?」
「唯先輩のバカー!」
結局、その日はあずにゃんを怒らせておあずけさせられちゃった。
でも、何であずにゃん怒ってたんだろう?


  • きっとあずにゃんはずかしかったからだよ! -- (あずにゃんラブ) 2013-12-31 02:36:36
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最終更新:2009年11月15日 00:08