最近、恋人であるあずにゃんの様子がおかしい。
いつもお菓子を食べる時は控えめにしているし、よく飲み物を買いに行くようになった。
さらに、部活が終わった後そそくさといなくなるので気になって後をつけていくと、なぜか鉄棒の練習をしている。
そして、何より一番気になるのは、この数週間私とのちゅーを避けるようになったこと。
恋人になってからあずにゃんのことは全部わかったような気がしてたけど、この行動は何だろう?
いつもの会話とかでも違和感はない。取るに足りないことだと思うんだけど、どうも気になる。
とりあえず澪ちゃんに相談してみよう。
「って感じなんだよ、澪ちゃん」
「そういえば最近、律も様子がおかしいんだ」
「りっちゃんも?」
「そうなんだ。梓と同じで、最近よく飲み物を買うし、休みの日なんか公園で鉄棒なんかしてるんだよ」
ちなみにりっちゃんと澪ちゃんは付き合ってるんだよ!
「もしかして、最近りっちゃんとちゅーしてないでしょ?」
「な、何でそんなこと……」
「どうなの?」
「……最近してない」
やっぱり、あの二人には何かあるんだ。
「一体何があるんだろう……」
「まさか、浮気……!?」
「み、澪ちゃん! そんな怖いこと言わないでよ!」
「だって、二人で同じようなことしているし……」
ど、どうしょう……! 私、あずにゃんに嫌われちゃったのかな……。
「どうしよう、唯……。私、律に……」
あ、私より重症な感じ。
「な、泣かないで、澪ちゃん!」
むしろ私が泣きたいよぉ……!
「りつぅ……」
「うぅ……、あずにゃぁん……」

二人でさめざめと泣いていると、向こうから人影が……。
「あれ? 澪と唯、どうしたんだ?」
「唯先輩と澪先輩、何泣いてるんですか?」
この状況に追い打ちをかけるようにあずにゃんとりっちゃんが仲良く二人で現れる。
「り、りつうううぅ!」
「あ、あずにゃああぁん!」
「な、何ですか二人とも!?」
「どうしたんだよ……?」
鬼のような形相の二人と、今にも泣きそうな二人。
「「この浮気者!」」
「「えええぇ~!?」」

数分後!
「え……? 違う?」
「そうだぞ。私たちは浮気なんて一切していないぞ?」
「先輩達、早とちりしすぎです!」
「「すみません……」」
私は澪ちゃんと正座して小さくなっていた。
「でも、二人とも最近様子がおかしかったから……」
「そうだよ! あずにゃんが私のこと嫌いになったのかと……」
「あぁ~! だから泣きそうにならないでください!」
「澪も少し落ち着け!」
「だってぇ……、だってええぇ……」
「うううぅ……」
「……仕方ないなぁ。梓」
「そうですね。律先輩」
涙でよく見えないけど、二人がお互い見つめってうなずいている。何か決心をしたようなのはわかった。
「わかった。今から話すから落ち着け。な?」
「ほら、涙を拭いてください」
さらに数分後!
「ようやく落ち着いたな」
「そうですね」
今、私はあずにゃんの腕の中だ。あまりにも不安そうな顔をしていたようで、見かねたあずにゃんにそっと抱きかかえられて背中を優しく叩かれていた。
ちなみに、澪ちゃんも同じ状況りっちゃんに抱かれて落ち着いていた。
「じゃあ、そろそろ話すか」
「実は、私たち背を伸ばそうとしてたんです」
「「背?」」
「私、澪と比べて小さいから何というか、立場の差みたいのを感じてさ?」
「私も唯先輩と比べて小さいし、後輩だし……。せめて背丈ぐらいはと……」
「丁度悩んでいたら梓が相談してきてさ……」
「二人で背を伸ばしましょう! となったわけです」
「じゃあ鉄棒の練習じゃなくて……」
「ぶら下がり方法ってやつだな」
「じゃあ飲み物をよく買っていたのは……」
「あれは牛乳です」
なんだぁ……。そうだったのかぁ……。

「あ。でも、なんでちゅーしてくれなくなったの?」
「そ、それは……、キスをする時に唯先輩を見上げると、何だか“自分の背が小さい”ってことを強調されているようで嫌だったんです」
「もしかして、律も?」
「うん……。ただでさえスタイルいい澪に釣り合うように今まで努力してたんだぞ?」
「ごめん……」
なんだか幸せだなぁ……。こんなに思われて。
「さ、澪。帰ろうか?」
「うん!」
「私たちも帰りましょうか?」
「そうだね」
一件落着したところで、私はあずにゃんと、澪ちゃんはりっちゃんと一緒に帰り始めた。
「あ、そうだ」
「何ですか?」
「あずにゃん、さっき言ってたけど、身長のことは気にしなくてもいいよ」
「そうですか……?」
「うん。そんなのお互いが思い合っていれば関係ないよ」
「唯先輩……」
「それに……」
「?」
私はあずにゃんの耳元に口を寄せてつぶやいた。
「ベッドの上ならそんなの関係ないよ……?」
「!!……///」
今日はいっぱいあずにゃんを愛してあげよう。身長なんか気にならないくらい……。
「だから……、ね?」
「……はい」
そして、私達は数週間ぶりにちゅーをした。
END


「まさか私が直々に収集することになるとは……。しかし、律澪と唯梓が同時展開となれば黙っていられまい!」
「待てぃ!」
「!!」
こ、この感じは……!
「人の愛を覗き、己が醜い欲望を満たさんとする者よ」
「その行いを恥と知れ! 人、それを“外道”と言う!」
「だ、誰だ!?」
「あなたに名乗る名前は無いわ!」
「おのれぇ、またもや邪魔を!」
「成敗!」
───
次の日、なぜかムギちゃんはお休みだった。
本当にEND


  • あれ?なんか似たようなオチを見たことあるぞ? -- (4ℓの噴水(赤)) 2010-11-04 21:54:30
  • まぁ、天空よりの使者”2”だから、1のほうとオチは同じだろうな -- (ROM) 2010-11-04 23:23:29
  • ま、まさか最後のはウリエル!? -- (あずにゃんラブ) 2013-01-12 07:35:31
  • 最後のってマシンロボ クロノスの大逆襲ネタ? -- (名無しさん) 2013-01-24 02:34:40
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最終更新:2010年11月04日 13:52