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憂「お姉ちゃん、何か欲しいものある?」

805  名無しさん@お腹いっぱい。  [sage]  2009/11/27(金) 23:37:53 ID:m0pc2BfR

憂「お姉ちゃん、何か欲しいものある?」
唯「えー?特にないけど…なんで?」
憂「あ、うん、なんとなくね…そっか、欲しいものないんだ…」
唯「?」

といったようなやり取りがあったのは1週間前。私はそれ以来、頭を悩ませていた。
お姉ちゃんの誕生日プレゼント…何にしようかな。あれこれと思いつきはするんだけど、これだ!というものがなかなかないんだよなぁ。

憂「手袋はクリスマスの時にあげたし…服は…お姉ちゃんいっぱい持ってるしなぁ」
梓「なに真剣な顔してるの?憂」
憂「うん、実は…」

お姉ちゃんの誕生日プレゼントについて話すと、梓ちゃんはやれやれ、と言わんばかりの表情で私を見た。
ちょっと悩みすぎとか思われてるのかな…

憂「ねぇ梓ちゃん、なにかいい考えないかなぁ」
梓「うーん…プレゼント、別に物じゃなくてもいいんじゃない?」
憂「たとえば?」
梓「いいの思い付かないけど…憂にできること、なにかあるんじゃないかな」
憂「そっか…ちょっと考えてみるよ!ありがと、梓ちゃん!」
梓「う、うん。がんばってね」

私にできることか…なんだろう?
…結局私は誕生日前日まで悩み続けるのだった。



806  名無しさん@お腹いっぱい。  [sage]  2009/11/27(金) 23:42:23 ID:m0pc2BfR

唯「……」

11月27日の朝、お姉ちゃんは不満そうな顔で私を見ていた。
実は律先輩の提案で、放課後お姉ちゃんの誕生会を開くことになったのだけど…

唯「ちぇー、憂も出てくれるって思ってたのになぁ」
憂「ごめんね?夜はごちそう用意して待ってるから」
唯「ホント!?わーい♪」

料理の用意も大変なことは大変なんだけど…
お姉ちゃんへのプレゼントの準備をしなければならない。。
昨日の夜、布団の中でようやく思い付いたそのプレゼントは、準備に少し手間がかかりそうなものなのだ。

唯「憂、学校行こー」
憂「今日はギターいらないんじゃない?
 プレゼントもらったら、持って帰ってくるの大変だよ?」
唯「あ、そうだね!じゃあ置いてこーっと」
憂「あ、私が部屋に置いてきてあげるから、お姉ちゃんは先に学校行ってて?」
唯「え、いいの?悪いねー」

お姉ちゃんが家を出ていくのを確認して、私は受け取ったギターケースを開いた。
ギター、もといギー太があるのは当然として、もう一つ必要なものがある。
それがないとまずいんだけど…よかった、あった。私は再びケースを閉じると、それをぎゅっと抱きしめた。
今日はがんばらなきゃ…お姉ちゃんのために!



807  名無しさん@お腹いっぱい。  [sage]  2009/11/27(金) 23:44:45 ID:m0pc2BfR

唯「たっだいま~♪いやー楽しかった♪」
憂「おかえりお姉ちゃん、ご機嫌だね!」

その日の夕方、帰ってきたお姉ちゃんはとても上機嫌な様子だった。
どうやら誕生会は大いに盛り上がったようだ。

唯「わー♪お料理おいしそう!」
憂「うがいと手洗いしたら食べようね♪」
唯「うん!」

洗面所に向かったお姉ちゃんを見つめる私は、少し不安な気分だった。
結局、時間があまりなくてプレゼントの準備はよくできなかった…それでも、もう後戻りはできない。

…がんばろう。今年のお姉ちゃんの誕生日は、もう数時間しかないんだから。

1時間後

唯「…でね、さわちゃんたら途中で泣き出しちゃってさー」
憂「お、お姉ちゃん!」
唯「なに?」
憂「わ、私…お姉ちゃんにプレゼント用意したの!」
唯「ホント!?うれしー♪」
憂「…これなんだ」
唯「へ?これ…」

私が取り出したのは、お姉ちゃんのギー太だった。
お姉ちゃんはきょとんとした様子で私の目を見つめた。

唯「それ、ギー太だよね?どういう…」
憂「勝手に触ってごめんね。でも、これしか思い付かなかったから」
唯「もしかして、プレゼントって…」
憂「…じゃあ、いきます!U&I!」



808  名無しさん@お腹いっぱい。  [sage]  2009/11/27(金) 23:46:07 ID:m0pc2BfR

私が思い付いたプレゼント。それはギターの演奏、そして歌だった。
練習はほとんどできなかったし、演奏とも呼べないものかもしれないけど…それでも、私はお姉ちゃんにこの歌を届けたい。
あの日、お姉ちゃんが学祭のライブで私に届けてくれたように…

ジャーン…
憂「…ふぅ」
唯「……」

演奏を終えると、しばらく沈黙が部屋を包む。
お姉ちゃんは下を向いていて、その表情を窺い知ることはできない。
やっぱり、怒っちゃったかな…演奏下手くそだったし、お姉ちゃんのギター勝手に使っちゃったし…

唯「憂…」
憂「ご、ごめんお姉ちゃん!私……」
唯「…ごい」
憂「五位?」
唯「すごい…すごいよ憂!すごいよー♪」
憂「お、お姉ちゃん…きゃあっ」

お姉ちゃんは私の両手を握ると、上下に強く振った。

憂「お、お姉ちゃん…大げさだよ」
唯「大げさなんかじゃないよ!この曲、結構難しいのに!練習、いつからしてたの?あずにゃんに教えてもらったとか?」
憂「練習は…今日の2、3時間やっただけかな」
唯「たったそれだけで!?ますますすご…あ」
憂「それはお姉ちゃんの楽譜がすごく分かりやすかったから…」
唯「……」
「お姉ちゃん?」



809  名無しさん@お腹いっぱい。  [sage]  2009/11/27(金) 23:47:36 ID:m0pc2BfR

お姉ちゃんは何も言わずに、私の手を握った。その指の皮は、剥けかかっていた。
こんな短時間で剥けるなんて思いもしなかったんだけど。

唯「指…痛くない?」
憂「あ…あはは、ちょっとだけ。」
唯「…一生懸命練習したんだね」
憂「ううん、そんなことないよ。お姉ちゃんは毎日ギター弾いてるんだから」
唯「…憂」

お姉ちゃんは私を強く抱きしめた。その肩は、小刻みに震えているようだった。

唯「……ありがとね、憂」
憂「ううん…もっとちゃんとした演奏できればよかったんだけど」
唯「十分だよ。それに、プレゼントならいつももらってるんだから」
憂「え?」
唯「憂が作ってくれるご飯とか、買ってきてくれるアイスとか…毎日もらってるよ」
憂「お姉ちゃん…」

お姉ちゃんの言葉に、私はとても温かい気持ちになる。
プレゼントをしたのは私なのに、逆に何かをもらったような、そんな気持ちだ。



810  名無しさん@お腹いっぱい。  [sage]  2009/11/27(金) 23:51:12 ID:m0pc2BfR

唯「まぁ、憂の演奏はまだまだだけどね!憂、ギー太貸して!」
憂「うん?」
唯「今夜は私がバースデーライブをやってあげる!フィーバーだぜ!」
憂「わぁ♪」

――その日お姉ちゃんが夜中まで私に見せてくれた演奏は、とても素敵で、とてもかっこよかった。
ありがとう、お姉ちゃん、そしてお誕生日、おめでとう。


終わり

終わりです
今日は唯ちゃんの誕生日ってことで唯ムギスレや唯あずスレでもSS投下しちゃいました

最終更新:2010年02月23日 00:03
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