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渚の夢幻城リプレイ(Aルート導入)

渚の夢幻城リプレイ(Aルート導入)


導入A・御鈴、髪結、鼎の場合



―――週末の放課後。御鈴の携帯が鳴る。雪宗からのようだ。

「電話、誰からだろ……立花さん?まさか……」

先日連絡先を交換した立花 雪宗からの突然の連絡…恐らく、仕事の依頼に違いないと判断した御鈴は、すぐさま取り出した携帯電話の通話ボタンを押した。

「はい、こちら南条です」
「もしもし、立花だ。仕事の話なんだが…今大丈夫かい?」

"裏"の仕事の話である以上、誰かに聞かれる訳には行かない。御鈴は咄嗟に周囲を見渡した。…幸い、こちらに注目して居る者は居ないようだ。

「…はい、問題ありません……何かあったんですか?」
「ああ、S市の海岸沿いに妙なものが現れるようでね…ちょっと待ってくれ、今辰興に代わる。」
「もしもし、南条さんかい?結城だ。突然だけど、S市の海岸沿いに最近突然城ができたとかできないとか…そういう話を聞いたことは?」
「城ですか、そういえば友達が話してたような……風雲お化け城がどうとか。まさか本当だったんですか?」
「ああ、どうやらその様でね…興味本位で立ち入った人が行方不明になったりしているらしいんだが…どうにも結界のようなもので覆われているのか、調査が難航しているらしい。そこで実地調査に向かってもらいたいという訳だ。」
「此方もオオイズミ達を向かわせたりしてるんだけど、中々上手くいかなくてね。それに、俺や立花さんは直接戦闘はともかく調査には余り向いていないからね…」

「行方不明……了解しました。ただ、私は結界術なんて一応使える程度でしかありませんし、その辺りはあまり期待しないでくださいね?」
「ああ。結界の内容に関してはオオイズミ達がある程度調べをつけたらしいから、現地で聞いてみてくれるといい。
慣れたメンバーで行って貰って構わないけれど、一つ気になることがあってね・・・。」

僅かな沈黙。その一呼吸の後に辰興が話を続けた。

「携帯を買ったというから番号を聞いておいたんだけど、ガルシアさんとの連絡がつかないんだ。良かったら、直接訪ねてもらえるかな?」
「ガルシアさんが……分かりました、今から向かいますね」
「ああ、宜しく頼むよ。…え?もう一つ話が?あ、はい…もうちょっと待ってくれ。立花さんがもう一つ話があるそうでね。」
「……もしもし?立花だ。さっき辰興が伝えた事に加えてもう一つ…鼎ちゃんにもよろしく伝えておいてくれ。じゃ、頼んだぞ。」
「はい、それでは失礼します。」

通話を終え、二人から伝えられた用件を整理すると、御鈴は次の目的地を目指すことにした。

「さて、と。まずは神喰さんの方からかな……まだ教室に残ってればいいけど」

宇治上女子高等学校、一学年の教室


一先ず鼎と合流しようと1年の教室へと向かった御鈴。幸い、まだ鼎は教室に残って帰る支度をしているところだった。

「あ、神喰さん!今大丈夫?」
「あっ、御鈴先輩。どうしたんです? 大丈夫ですけど……」

先程と同じく周囲に注意を払い、御鈴が声のトーンを落とす。それに応える鼎もまた、それに倣って声を潜めた。

「さっき立花さんと結城さんから電話がかかってきて……S市の海岸沿いに城が出現したから調査に向かって欲しい、って」
「なるほどなるほど……つまり私の手も借りたいってことですね! もちろん協力致しますっ」
「ありがとう……ならとりあえず、お互い準備もあるだろうし明日の朝に駅前集合で大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよっ」
「良かった、じゃあ私はガルシアさんの所に寄ってから帰るね。なんでも連絡が付かないらしくて……」
「あ、はい。ではまた明日っ。…ガルシアさんって…?」

…そう。この時点で鼎とガルシアに面識はない。そのことをすっかり忘れてしまう辺り、ちょっぴり抜けている御鈴であった。

~ガルシア邸~


いつもながら人の気配はないが、庭にはまだちびランテが植えられている。幸い、巨大化はしなかったようだ。

「きゅいー!」
ちびランテは御鈴を認識すると大きく手、と呼んで良いものか判断しかねるが、とにかく手を振り始めた。更によく見ると何かを持っている。

「(大きくは……なってない、良かった……)ん?なんだろこれ……」

握られていたのはごく一般的なメモ用紙のようだ。メモにはメールアドレスと、その上に「↓空メール」とだけ書かれている。メールを送れということだろうか…。

「か、空メール……?」

疑問に思いつつも空メールを送ってみると、数秒後、自動返信と思われるメールが帰ってきた。動画ファイルが1つ添付されている。
恐る恐る動画を再生してみると…夜のガルシア邸、そして走りながら撮ったのか、少々ブレ気味のガルシアが映っていた

『この動画を見ているということは…南条か立花か…あるいは結城か。いずれでも構わん…私は…』
『私は今…』

――猫の忍者に追われている…ッ!

「…………?????」

訳が分からないと言う表情で動画を眺める御鈴。何を隠そう、この"私"も、何を思ってこのシーンを書いたのかとんと見当が付かないのだから困ったものだ。
…さて、再生を続けると、甲高く、どこかファンシーな声が聞こえだした。

『イタゾー!ガルシア殺すべしー!イニャーッ!』
『クッ…もう追ってきたか…ええい邪魔だ、爆裂!』

―忍者だ。紛れもなく忍者だ。いや、あからさまにニンジャと言ったほうが良いのだろうか。それでいて忍者であるのと同様、間違いなく猫だ。
つまるところ、猫の忍者が映っているのだ。それが丁度今しがた、ガルシアの"爆裂"の術式で掌大の爆発物と化した魔術弾で纏めて吹き飛ばされていた。

…混乱する御鈴を他所に、動画はなおも続いた。

『ギニャーッ!』
『お頭ー!1号から7号がやられたニャー!!』
『怯むニャー!赤信号、皆で渡れば怖くにゃい!そーれ一斉に囲んで棒で叩いてしまうのニャー!!』
『ええい、寄るな、来るな、私の傍に…近づくなァーッ!!』

本気で嫌がっていることがまざまざと伝わってくるガルシアの叫びと爆裂弾の閃光・・・映像はここで終わっている。
御鈴はしばし呆然としながら"再生終了"の文字だけが映し出されたスクリーンを見つめていた。

「わけがわからない……何?ニンジャ?あの本猫の間でもヒットしてたの……?」

考えても仕方がないので、御鈴はちびランテに庭の隅に置いてあった鉄屑を少々、餌として与えて帰る事にした。

「きゅいー」
(一応結城さん達にも報告しておくべきかな……説明なんて無理だけど……)

~報告後~

「・・・・・。」
「今回は俺じゃない。」

前回の事もあり、報告を受けた辰興が疑いの眼差しを雪宗に向けたが、どうやら今回は彼の仕業ではないようだ。
何者かが、ガルシアの同行を阻む為に猫族の忍者…と自称している傭兵の一団を差し向けたのだろう…というのが、結局のところ両者が出した結論だった。

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最終更新:2013年04月25日 11:05