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  • 真 避難用「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@ ウィキ
  • 第10話「手負いの獣達」Bパート

真 避難用「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@ ウィキ

第10話「手負いの獣達」Bパート

最終更新:2022年03月29日 20:27

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<ガルナハンを巡る現状> ユウナ=ロマ=ライセン

――ガルナハンを含めたコーカサス地方は、もともと温泉地として有名であったことからもわかるように、豊富な地熱資源がある。地熱発電の開発は二つの大戦以前からのものであったが、最初の大戦にてニュートロンジャマーが使われたことにより急速発展。西暦のころの化石燃料を中心とした経済から、地熱と火力を利用した 電力供給拠点としての経済へと変化していった。 その開発の余禄として、数々のレアメタル鉱床も発見され、コーカサス地方は経済上の重要な拠点としての地位を持つことになる。
ところが、このエネルギー資源がガルナハンの独立問題を複雑にしている。
現在、電力供給の火力・地熱プラントももちろんだが、変電所などの施設も重要拠点として、東ユーラシア治安局の警備が入っている。ブレイク・ザ・ワールドや歴史的な飢餓を経て国力の著しく衰退している東ユーラシアにとっては、コーカサス地方の地熱資源は決して手放せない貴重な財産だ。しかし、コーカサス地方は、西暦時代からその地下資源が原因で大国に蹂躙され続け、自治独立の芽を摘まれ続けた歴史を持つ。せっかくの地元資源の恩恵にあずかれず、常に収奪され続ける歴史にいい加減終止符を打ちたい気持ちは募るばかりなのだ。
そういったコーカサス地方の自治独立運動に対して、東ユーラシア連邦は弾圧をもって対処している。一地域のエゴで東ユーラシア連邦全体が貧困に転落するのを看過するわけにはいかないのだ……というのは、真実の一部ではあるが全体ではない。
実際には、コーカサス地方の地熱プラントは老朽化が著しい。本来ならば、適切な維持管理が必要なところなのだが、東ユーラシア連邦はそれにふりわける予算すら、統一連合からの自治権維持の交渉材料に使っている現状なのだ。
そして、政府自体の腐敗もある。コーカサス地方の地熱資源の総量は、他地域に分配した後でも地元にある程度の恩恵を与えるには十分すぎるほどのはずなのだが、なぜかそれはごくわずかにとどまっている。 そう、中途でエネルギー資源の横流しが半ば公然とおこなわれているのだ。東ユーラシア政府はこういった惨状について、看過するばかりでなんら改善の手を打っていない。
かような現状のために、コーカサス地方では我々リヴァイヴのようなレジスタンス活動が活発化している。
では、統一連邦はこの事態にどう対処しているのだろうか?
……何もしていない、のである。
CE75年に統一連合が西ユーラシア連邦を武力にて制圧、自治権を剥奪したことはまだ記憶に新しい。 その後、統一連合に対する抵抗運動は収まるどころかさらに激化している。統一連合の強引な手法が反感を買ったことは明らかである。そのため、東ユーラシア連邦に対してはあえて強攻策は取らず、統一連合へ地熱エネルギー資源を優先的に配分してもらうのみにとどめているのである。 しかし、いずれは東ユーラシアの自治権を返上させ、統一連合へ併合する心積もりであることは変わりない。それには、レジスタンスの活動により政府が弱体化してくれる方が都合よいし、東ユーラシア政府に統治能力がないことの有力な証拠となりえるとの計算があるのだろう。 もちろん、ラクスやカガリたちは、そういったよこしまな考えは持っていないに違いない。東ユーラシア政府の腐敗の現状を知れば、心を痛め、その力をもって腐敗した為政者を排除することだろう。
しかし、それが抜本的な解決につながるだろうか?
彼らは確かに一時は腐敗を一掃するだろう。しかし、人間が政治をつかさどる限り、腐敗は決してなくならぬものである。それは必然だ。大事なのは、腐敗が生まれにくく、発見されやすく、排除しやすい環境を作り出すことのはずである。
彼らの行動には、そういった観点が完全に欠落している。よくおとぎ話に、王子様が国を食い物にする悪い代官を退治して、めでたしめでたしというものがある。彼らのメンタリティはまさしくその王子様だ。悪代官を追い払った後に、疲弊したその地域をどう建て直し、どう統治していくかという考えがまったくないのである。
こういったコーカサス地方の現状を、端的に表現すると以下のようになる。
1)コーカサス地方(ガルナハン)の民
生活が苦しいから何とかしたい。しかしこの生活苦は全世界的に見ればまともな方。
とはいえ、苦しいことには代わりがないので、東ユーラシアから独立までは行かないまでも自治権の拡大を行うことによって火力プラントなどの利権をより地域に還元できると考えている
2)東ユーラシア政府
東ユーラシアにCE77に発生した飢饉により全体的に食糧危機から立ち直っていない。
そのために、ガルナハンの電力は各国との貿易(特に西ユーラシア直轄領は統一連合の富がある) を有効活用し、食料の確保に躍起になっている。
そのためガルナハンの自治権拡大は東ユーラシアの他地域を切捨てることにつながると考えており、徹底的に反対している(武力行使をすることもある)。
ただし政府が腐敗の温床となっているために、その言葉と行動にはまったく説得力が欠けている。
3)統一地球圏連合
東ユーラシア全体としてもさることながら、CE77の北半球の飢饉は大規模であり、プラントの食料プラントなど使えるものは何でも使うスタンスで対応するも、間に合っていないという認識。 その時点で自治権など認められるはずもない。
現在はコーカサス地方の地熱資源が貴重であるため、東ユーラシアに譲歩している形になっているが、隙あらばその自治権を奪い取ろうと機会をうかがっている。
ラクスやカガリなどは東ユーラシア連邦の現状を正確に把握していない。そして、たとえ把握したとしてもその場しのぎの対処にとどまり、抜本的な解決策に至ることはない。
4)レジスタンス
コーカサス地方の富(=地熱資源)の再分配そのものは現状では必要と考えるが、ガルナハンそのものの活力低下を懸念している。
特に火力プラントは使用限界が近づいており、そのメンテナンスにかかる費用すらも他の地方に回されざるを得ない状況に懸念を持ち、地元住民と協力している。
目的は東ユーラシア連邦を交渉のテーブルにつかせ、ガルナハンを含めたコーカサス地方の自治権を拡大すること。
しかし我々リヴァイヴは、最終的に統一連合政府の正常化までいかなければ、根本的な問題解決に至らないと考えている。


 「……この様な現状であるからして……ええと……。何か格好良い結びの文句は無いかな……?」
 ユウナの自室は、質素なものである。それこそソラの部屋の方がまだ華美であるかもしれない――敢えて対比するのなら。その部屋にユウナは引き籠もって、上記の様な書き物をしていた。わざわざ愛用の羽ペンを引っ張り出して――こういう『後世に残りそうな書き物』をする時の礼儀(?)だとユウナは理解している――年末の忙しい時期、『ユウナ=ロマ=ライセン』こと今やコーカサス地方を代表するレジスタンスに格上げとなったリヴァイヴのリーダーは、しかし何時もと変わらずにのほほんと過ごしていた。
 「うーん……やはり国民選挙を行う事で国民政府を樹立……うーん……。」
 ぶつぶつとユウナ。仮面を付けっぱなしの彼は基本的に怪しい人間なのだが、こうやってる姿は『仮面を付けて居ようが居まいが怪しい人間』である。とはいえ、リヴァイヴの面々にはこの様にぶつぶつ所構わず呟くリーダーの姿には慣れっこだった。……良く理解されているリーダーとは言えるだろう。色んな意味で。
 不意に、ドアがノックされた。
 「どうぞ。」
 「失礼します。……あらリーダー、また書き物ですか?」
 入ってきたセンセイはどうやら昼食を持ってきてくれた様だった。……そんなに時間が経っていたのかと今更ながらユウナは悟る。
 「……みんな食事は?」
 「とうの昔に頂きました。後はリーダーだけですよ。」
 にっこり笑いながらセンセイ。取りあえずユウナが書き物をしていたデスクの片隅に料理の乗ったトレイを置く。慌ててメモ書きの山としか思えない書き物をデスクの隅にやるユウナ。
「申し訳無い。……随分熱中しちゃったみたいだね。」
 さすがにバツが悪いのか、ぽりぽりと仮面と髪の辺りを掻く。そんなユウナをくすくすとセンセイは笑いながら、ユウナの書き物の中からタイトルらしいものを見つける。
 「……<ガルナハンを巡る現状>ですか。自伝でも書かれるんですか?」
 「ははは……まあそんなもんだよ。」
 ますますバツが悪そうなユウナ。実際の所、こうした書き物をユウナは半ば遺言の様に書きためていた。何時死ぬか判らない世界。そしてそんな世界に取り残される恐怖――その思いは今ユウナが感じている事だ。だからこそ自分が死んだ時に、後に続く者達へ少しでも道標を残しておきたい――そうユウナは思うのだ。
 それはセンセイも半ば理解しているのだろう。だが、敢えて自分からその事を言って周囲を暗くさせる訳にはいかない。そうユウナは思うのだ。
 「……それはそれとして、今夜のクリスマスパーティの予定は決まったのかい?」
 強引に話題を変えるユウナ。センセイはちょっと呆れ顔になる。
 「また今年もやるんですか? 物資だって続くとは限りませんのに……。」
 「別に派手にやる訳じゃないし、年に一度位、羽目を外してもバチは当たらないよ。それに――」
 「それに?」
 ユウナは急に悪戯っ子の様に笑って、言った。
 「――スポンサーからのお達しだ。今年の年末は東ユーラシア政府軍の動きは無い。今年の寒さは思った以上になるそうだ。……暫くの休暇になりそうだよ。」
 「本当ですか?」
 半信半疑なセンセイ。とはいえ、それが本当なら嬉しい事に変わりはない。ここのところの連戦で、誰もが疲れ切って居るのは明らかだった。
 「我らが女王様は、そういう事は抜かりは無い――らしいよ。どのみちこの雪じゃ、兵士達だって嫌がるだろう。とても兵站が持ちはしないよ。」
 「そうですね……。なら、安心してパーティも開けますね。」
 センセイは嬉しそうな顔をした――だが直ぐにまた憂いのある顔に戻る。
 「ところでリーダー、ソラちゃんの事なんですが……。」
 「――聞いてる。大分参っているみたいだね。もうすぐスポンサーからの迎えの“野次馬”が来るそうだから、そっちはそっちに任せるとしても……。」
 ふと、センセイがユウナのベッドに腰を下ろす。……センセイも疲れているのだ。
 「情けないですね、私。一人の女の子も救えもしない……。」
 センセイが泣き言を言うのは、多い事ではない。
 ――誰もが疲弊している。その事は明らかなのだ。
 (何とかしなければ……。)
 ユウナは悩む。全員の志気を上げ、ソラという女の子を慰める。一石二鳥の策、そんなものがあるのかどうか……あった。
 「確かここにっ!」
 ばさばさと書類束を引っかき回し、引っ張り出してきた書類――それはソラの身の上を調査した時の書類。そこに書いてある記述に、満面の笑みを浮かべるユウナ。
 「よぉし、これだっ!!」
 その書類を持って、喜々とするユウナ。対照的に、呆れかえるセンセイ。そんなセンセイを尻目に、ユウナの脳裏では“物事がみんな上手くいく”都合の良い作戦が展開されつつあった。
 「センセイ、一緒に食堂に来てくれ! 良い作戦が思いついたんだ!」
 「…………はぁ。」
 返事も待たずにすっ飛んでいくユウナ。センセイは一陣の風が駆け抜けた場所を見て、ぽつりと溜息を漏らした。
 “空気の読めない男”ユウナ。……彼の魅力はそんな所にあるのかもしれない。


 マルコ=ブルームは世間一般で見れば“要領が悪い”タイプの人間と云える。ハイスクールの頃から顔が女性的だったという事で――男子校という事もあって――ひたすら虐められた経歴の持ち主だ。そんな自分に渇を入れるために軍人を志願したまでは良かったが、結局そこでも虐められる日々。それでも何時か、報われる日が来ると頑張ってきた。そしてとうとう、上司が「おめでとう、栄転だよ。」と持ってきた出世話。マルコは飛び上がって喜んだ。配属されるその日まで――そう、新しい部署の上司ドーベルマンと初めて会う日まで。
 「これも虐めの一環なのかな……。」
 そう思いたくなるのも解る位の左遷人事。いや、地位や給料という点で見れば破格の大出世には違いない。問題は、その部署を誰もやりたがらなかった、という事だ。
 本日も本日とて、サムクァイエット基地在住治安警察執務室付きの秘書たるマルコの一日は――怒鳴り声から始まる。
 「……どういう事だ、この報告は!」
 朝一番で持ってきた軍部からの報告書を見せた瞬間、ドーベルマンとマルコしか居ない執務室は怒号で満たされた。
 「いえ……あの、その報告通りでは……?」
 マルコの美点は、嘘をつかない事だ。そして悪い点は……余計な事を言う事だ。
 「そんな事は解っている! 何故軍部が出撃許可を出さないのか、と聞いているんだ!」
 マルコのお陰でますますここ数日沸点が低くなっているドーベルマンは、顔を真っ赤にして拳でデスクを叩く。
 「はぁ……おそらくは『寒いから』じゃないでしょうか……?」
 余計な事を言うな――そう言われて何十年経っても、この男はそれを止めようとはしない。
 「『寒いから出撃しません』――そんな軍隊が一体何処の世界にあるかっ!!」
 「大昔には“パスタの茹で方が気に入らなかったから出撃しなかった軍隊”もありますが……。」
 「誰が貴様の博学を披露しろと言った!」
 ……ここまで来ると漫才である。次の瞬間、マルコは書類束を顔に叩き付けられ、「軍部に書類を叩き付けてこい!」と言われて退出させられた。この後、マルコは軍部でも似た様な騒ぎを起こすのだが……虐められる側には、大抵それなりの理由もあるものである。


 「フゥ……。」
 マルコを追い出した後。彼らしくなくドーベルマンは溜息を漏らす。伸びっぱなしの無精髭は手入れをする気にもならない。デスクの上の灰皿はぎっしりと煙草で一杯だった。
 今や、ドーベルマンに頼るべき者は誰も居なかった。ライヒ長官はメイリン=ザラを中心とした“対シン=アスカ用部隊”を結成したそうだ。本来はドーベルマンにオブザーバーとして参加して欲しかったそうだが――ドーベルマンは辞退した。
 (確かにカテゴリーSは恐ろしい存在だ……だが、所詮人間一人。敵わない訳が無い……!)
 そう思えるのは、確かにドーベルマンが部隊を率い、歴戦を勝ち抜いた人間だからだ。そこには、一人で英雄的に戦える兵士など、何人も居ただろう。そして、それらもドーベルマンは打ち破ってきたのだ。経験に勝る知識は無い――それはドーベルマンの持論だ。だからこそ、それを信じなかったライヒにも腹を立てる。同時に、信頼を得られなかった自身にも。
 ならば――
 (倒してしまえばいい。俺の手で、“シン=アスカ”を――!)
 見返してやる。俺を信じない者達を。そして、俺自身を。そう思い、最近はリヴァイヴの噂を聞きつければ何処へでも行った。先日のガルナハンで起きた騒ぎにも出かけた。だが――物事は遅々として進まなかった。
 (軍部はサポタージュされていると見て間違いない。……おそらく、オーブと東ユーラシアの間で何か動きがあったのだ。だからこそライヒは手駒を収拾した……。)
 クックと、ドーベルマンは笑う。自嘲気味に。
(間の抜けた話だ、ライヒ長官。『奴等は利用できるような存在では無い――。』そう言ったのは、確かアンタだったよな?)
 そのライヒが、“シン=アスカ”を利用しようとしている――それは可笑しい事だ。
 ドーベルマンは、考えをまとめると立ち上がり、電話を取る。
 「“黒の猟犬”は飼い犬じゃない。“猟師”と“猟犬”は対等のパートナーだ。……見ていろ、それを解らせてやる……。」
 ドーベルマンは、国際電話に繋ぐと、こう言った。
 「――治安警察、地上軍第三特務隊ヒルダ=ハーケンを呼び出してくれ。古馴染みのドーベルマンからだ、と伝えろ……。」
 煙草に火を点けながら、ドーベルマン。くっくと哄笑する様は、凄絶なものがあった。


 「……どうも、みんなの様子がおかしいと思うの。どう思う?」
 『どう、と言われても……俺はただのダストの支援AIなんだが……。』
 こういう歯切れの悪い言い回しをしている時――それはこのAIもグルの時なのである。それをソラはここでの生活の中で熟知していた。やむなくソラはそれ以上の追求を諦め、自分のベッドに横になる。
 「『今日は夕食を作らなくて良い。部屋でゆっくりと休んでくれ。』だなんて……。」
 リヴァイヴの皆は、出来る限りソラに優しく接してくれている。しかし、こうも露骨なのは余り無い事なのだ。軍事関係ならば、ソラが追い出されるのも解る。だが――皆の様子はとてもそうとは見えない。どちらかというとお祭り騒ぎを目前に控えたかの様な……。
 「ふぅん……。」
 (今日はシゲト君からパーティだと聞かされてたから、久しぶりに腕を振るおうと思ってたのに……。)
 考えてみれば今日はクリスマスイブだ。そして、今日はソラにとって――。
 「あの子達、どうしてるのかな……。」
 ぽつりと呟くだけで、押し寄せてくる思い出の数々。ソラは、自身の幼かった頃を思いだしていた……。


 幼い頃、皆で生活した空間――孤児院。いつもどたばたしていたが、同時に満たされるものも多かった。政府の支援で運営されていた孤児院は決して裕福ではなかったが、クリスマスイブの日だけは盛大なパーティが催された。そして、それにはもう一つの側面があった。
 孤児の中には、自分の誕生日が解らない子供も大勢居た――ソラもその一人だった。ソラは、それが何処か劣等感めいた感情を沸き出させていた事を良く覚えている。
 そんな事を考えていた子供時代のクリスマスイブ。飾り付けのツリーに、自分の名前が書かれたプラカードを見つけ、ソラは驚いた。
 (――先生、あたしの名前……どうして?)
 先生はにっこりと笑っていった――今日からこの日がソラの誕生日なんだよ、と。
 ……それは今になってみれば、先生の詭弁だったのだと良く解る。けれど、先生は子供の頃のソラが欲しかったものを良く知っていた。“皆が祝ってくれる、心地良さ”を。
 それは、ソラだけではない――誕生日を持たない子供達の合同誕生日。それでも、ソラは嬉しかった。人の好意を、素直に受け取れる日だったから。


 何時しか、ソラは微睡んでいた。心地良い寝息――ソラにとっても久々の安眠だった。


 ――とはいえ、そんな微睡みも長くは続かなかった。
 「……起きて。起きてって、ソラ!」
 聞き覚えのある声――コニールだ。
 「……コニールさん?」
 未だ寝ぼけ眼のソラは、ぼんやりとコニールを見ると……目を丸くした。
 「どうしたんです? その手……。」
 コニールの手は何をしでかしたのか、絆創膏だらけだった。
 「あ、ああコレ? これは別に関係無い無い! それよりソラ、一緒に食堂に来て!」
 「……あ、そっか。夕食が出来たんですね?」
 リヴァイヴでは、出来る限り食事は一緒に取る事になっている。釜の飯の仲と云うが、そうした効果を狙っての事だろうか。発案者がユウナなだけに何処まで本当だか疑わしいが。
 「あー、そうそう。夕食よ夕食! ほらほら早く!」
 捲し立てるコニール。聞いているAIレイが『今にもボロが出そうだな……。』と誰にも聞こえない様にぼそっと呟く。
 「あー、もう面倒くさい!」
 コニールはソラの手を引いて、さっさと歩いていく。
 「ちょ、ちょっと……。」
 慌てて付いて行くソラ。
 『こういうのをボロが出る、と言うのだろうな。』
 もしも出来るのならば、溜息を付いたであろう――AIレイがそう言った。


 食堂まで続く道。そこの途中で、コニールは歩を止めた。
 「……こっからはソラ、アンタ一人で食堂へ行って。」
 「なんなんですか、もう……。」
 さすがのソラも膨れっ面だ。それはそうだろう、寝起きで引っ張り回されれば。
 『まあここまで来たら行ってみろ、ソラ。……安心しろ、後悔はさせん。』
 相も変わらず偉そうな姿勢でAIレイ。しかし実際問題、信頼がおけるので支障も無いのが凄い所である。
 「わかった。……とにかく食堂へ行けばいいのね。」
 ソラは、何となくだが期待があった。この皆の動きや反応、それはどこかで見たものだったからだ。(まさかね……)と思う反面、(そうなって欲しい……)という二律背反がソラの中で相対する。
 鼓動が早くなる。悩みのためではない――期待に震えて。


 そして、ソラが食堂に入った瞬間――ソラの悩みは消し飛んだ。
 ソラに向けて、皆がクラッカーを発射する――紙束を発射するパーティグッズだ。
 「誕生日おめでとう、ソラ!」
 「おめでとー、ソラ!」
 異口同音に、皆が微笑みながらソラを祝福する。部屋の片隅で「ケッ……」とやってる人達もいるが、それは少数派だ。何せリーダー以下首脳メンバーが祝いに奔ってるのだから。
 「毎年毎年、いい女になっていくんだ。それが大事なんだぜ、ソラ!」
 「貴方はもう少しまともな祝い方が出来ないんですか。……おめでとう、ソラ君。」
 「誕生日ってな祝うもんだったのか。三十も過ぎると嫌味だぜ、これは。」
 相変わらずの大尉達の漫才。
 「ソラさん、おめでとうッス! 俺も一緒に今日の料理手伝ったんだぜ!」
 「アンタはジャガイモの皮むきで死闘を演じてただけじゃないか。今日はアタシとコイツで腕を振るったんだ。……残したらタダじゃ置かないよ。」
 シゲト君と、いつの間にか来てたコニールの掛け合い。凄んでみても、笑っていては迫力など欠片も無い。
 「今日のイベントは、リーダー渾身の策だそうよ。後で何か言ってあげて。……もう、出来上がってるみたいだけど……。」
 ふと見ると、仮面以外の顔を真っ赤にしてリーダーが騒いでいる。『普通、こういう席はリーダーが仕切るべきものだろう……。』とはどこかの偉い人の弁。
 そして――
 黒髪の、朴念仁の男の人はソラにラッピングされた小箱をくれた。
 「……これは?」
 「開けてみな。俺とサイで作ってたんだ。」
 「……殆ど俺が作った様なもんだが、まあいいや。」
 開けてみると――腕時計。ごつい男物の、今ソラがしているものと全く同じ物。
 「本当は女物で作ってあげたかったんだけど……どうしてもパーツの関係でこのサイズになっちゃうんでね。」
 『ふむ、また俺の端末か。……つくづく、俺はダストの支援AIのはずなんだが……。』
 「色々仕事しろって事だろ。良いじゃないか、ダストは殆ど俺一人で操縦してるんだし。」
 『生意気盛りの弟はどうしてこうも独立したがるのか。危なっかしくて見てられん。その点、ソラは慎重だぞ。包丁の切り方一つとっても……。』
 「包丁の切り方とMSの操縦は同列に扱って良いのか……?」
 『気にするな、俺は気にしない。』
 色んな人が好き勝手に話すから、誰が誰だかソラは解らなくなる。ただ、共通しているのは明らかだった。――ソラの意志が、喉元まで出かかる。
 「あ……」
 ふと、シンの目がソラを向く。それに釣られて、周りの人々も。喉元まで出かかった意志が、いきなり首を引っ込め始める。何故だか、強烈なプレッシャーを感じる。
 ――しかし、ソラはそれをはねのけた。いつかの日の様に。
 「……あの……ありがとうございます。」
 顔を真っ赤にして、一生懸命――しかしそれでもか細い声。それでも、人々には十分だった。
 「おめでとう。」
 異口同音の、祝福の声。ソラは泣き出した――心から嬉しくて。
 直後、「よーし、今夜は飲むぞぉ!」という怒声が響き渡り、人々は思い思いに祝いの酒を飲む。ある者は今年一年生き延びた事を、またある者は本当にソラの誕生日を祝い、またある者は――。
 ソラは、不思議な思いだった。連れ去られてきたはずの場所が、あの懐かしい孤児院と被る――そんな日が来るなんて。
 「……どうか皆様に、幸せな日々が訪れます様に……。」
 ソラはぽつりと呟いた。それは、孤児院での挨拶の言葉。優しい人々へ贈る言葉――。


 「――久しぶりだな、ヒルダ。三人とも元気か?」
 『アンタに心配される程落ちぶれちゃ居ないさ、“飼い犬”無しの“猟犬”さん。』
 ドーベルマンはクッと苦笑する。
 「さすがに早耳だな。その通り、俺は今や身一つだ。……だが、お前達となら取引は出来るぞ。」
 しばしの間があった後、ヒルダは言う。
 『アンタには“ジェットストリームアタック”に変わる新戦法、“トライ・シフト”<試しの戦陣>を教わった貸しがある。――言ってみなよ。』
 ドーベルマンはニヤリと笑う。獲物が餌に掛かったかの様に。
 「お前達を倒した“カナード=パルス”よりも強い男が居る――そいつを倒してみないか?」


 ……どうか皆様に、幸せな日々が訪れます様に……。
「第10話「手負いの獣達」Bパート」をウィキ内検索
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