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  • 真 避難用「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@ ウィキ
  • 第17話「導かれし大地」Bパート

真 避難用「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@ ウィキ

第17話「導かれし大地」Bパート

最終更新:2022年03月30日 02:15

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パリ市内中心部に立つ、そのまだ真新しい高層ビルの壁面は太陽の光を受けて、神々しく輝いていた。
そこへ遠方より一機の中型ヘリコプターがやってくる。
それは治安警察の要人移動用のヘリであった。
その目指す先にあるのは、かの高層ビル――治安警察省の支部である治安警察パリ支局。
数分後、鼓膜が破れんばかりにやかましいローター音をがなりたてて、ヘリはパリ治安警察庁屋上にあるヘリポートにゆっくりと着陸する。
十人ほどの制服警官達が整列し見守る中、着陸したヘリはローターを止め、ゆっくりと搭乗ハッチを開放した。
中から現れたのは四人の男女。

メイリン=ザラ。
オスカー=サザーランド。
エルスティン=ライヒ。
エイガー=グレゴリー。

いずれも治安警察本部では名の知れた幹部達だ。
その彼らを出迎える列の中から、脂ぎった肌をした中年の男がメイリンに近づいてきた。
よく見てみれば少し髪も薄い。

「ザラ参事官。ようこそ治安警察パリ支局へ。私が局長のハーバート=セラーズであります。当支局においで下されたこと、誠に歓喜の極みであります。我々といたしましても……」

いかにも官僚然としたその男は型通りの敬礼し、見え透いた世辞をとうとうと述べる。
お偉方がやって来た時は、いつも行う決まりきった”作法”だ。
しかしメイリンはそんな社交辞令には一向に意に介さず、彼に単刀直入に問いかける。

「挨拶はいいわ。セラーズ局長。その後、テロリスト達に目立った動きはあった?」
「い、いえ。現在のところ未だ確認できておりません」

少しばかり困惑したように上官たるメイリンに答える。
男からは交通事故と強盗と酔っ払い相手以外の事件は、見た事も聞いた事も無い――そんな場違いな暢気さすら感じられた。

「ところで参事官。……その……本当なのでしょうか?」
「何が?」
「自分には未だに信じられません。あのテロリスト組織ローゼンクロイツが、デストロイ級巨大モビルスーツ『オラクル』を盗み出したなんて……。何かの間違いではありませんか?」
「私達の情報が信用できない、とでもいいたいのかしら?」
「い、いえそんな事は……」

うろたえる男にメイリンはぴしゃりと言い放つ。

「局長、貴方はまだ事態の重大性が理解できていないようね。本件は国家の屋台骨を揺るがしかねない、極めて憂慮すべきものなのよ。彼らがもし事に及べば、西ユーラシアは再び焦土と化すかもしれない。だからこそ私達がこうしてここまで出てきたのよ」

そういうとメイリンは冷たい視線を局長に向けた。

「貴方はもっとその意味を深く考えるべきね」

氷の眼差しが男を射抜く。
その意味はただひとつ。
――無能は不要。

「も、申し訳ありません! ほ、本官の浅慮をお許し下さい!!」

窮地にある事を悟った局長は、脂ぎった肌にさらに冷や汗を滝の様に垂れ流して、慌ててメイリンに頭を下げた。
その顔はまるで悪魔に心臓を鷲掴みされたかの様に、蒼ざめている。

「よろしい。じゃ、準備の方はどうなってるのかしら?」
「ご、ご指示の通りすでに捜査チームの編成は完了しております! また各モビルスーツ部隊も24時間の警戒態勢に入っております!」
「ではさっそくだけど各チームの責任者に会わせてくれる? すぐにでも捜査に取り掛かりたいから」
「はっ!」

局長は敬礼すると、慌てて携帯電話で呼び出しをかける。
メイリンはふと遠くを眺めてみると、屋上からは美しいパリの街並みが一望できた。
芸術品のような建物が街の隅々まで所狭しと広がっている。
それこそ地平線の向こうまで。
屋上にいるにも関わらず、不思議と風も穏やかだ。
少し不気味なぐらい。
この平穏は永遠に続くものなのか、それとも嵐の前の前兆なのか。
今のメイリンには分かるはずもなかった。




さっそくメイリン達一行は各捜査チームの責任者を呼び集め、事態の経緯を説明した後、治安警察パリ支局に設けられた捜査本部で、これからについて打ち合わせをしていた。
机にうず高く積まれた捜査資料の山を前に、エイガー=グレゴリーは灰色の髭を弄りながら、憤懣やるかたなしにぼやく。

「式典襲撃に続いてこのザマとはな……! これでは軍も治安警察も無能のそしりを受けても否定しようが無いわい!!」
「全くね。悔しいけど」

メイリンもついそれに頷く。
気持ちは彼女も同じだ。
エイガーは先に起きたテロリスト達によって引き起こされた、統一地球圏連合樹立三周年記念式典襲撃事件の際、犯人の捕獲任務についていた。
だがそれは失敗に終わり、あろう事か多くの部下まで失った。
現場指揮官としてのその無念はいかばかりか。
一時は職を辞して責任を取ろうとした程だったから、相当根深いものがあったのだろう。
そんな彼だからこそ、今回の任務にかける執念は並々ならぬものがあった。
隣にいるメイリンにも、それが肌に伝わってくるのが判る。

「しかもよりによってデストロイMk-2、いやオラクルが丸々一機盗まれるとは、こんな馬鹿な話があってたまるか!」

腹の虫が収まらないのか、エイガーはさらに荒々しく吐き捨てた。

――デストロイ級巨大モビルスーツ『オラクル』が、テロリストの手に渡っている。
実はこの事件は実は全くの偶然から発覚したものだった。

事は2年程前に遡る。

第二次汎地球圏大戦、いわゆるロゴス戦役で大西洋連邦は巨大可変重モビルスーツ『デストロイ』を開発、投入した。
その威力は彼らを十二分に満足させ、そしてさらにその後続機種として、コードネーム『デストロイMk-2』、のちの『オラクル』を開発したのである。
しかし完成はしたものの、量産が本格化する前に大戦は終結してしまい、結局先行して生産された初期型機体全てが倉庫の奥に眠る結果になった。
ところが戦後、統一連合議会でこれが問題になる。
これら製造したオラクルを今後どうするのか、という事なのである。

デストロイ級巨大モビルスーツの威力、脅威は各国代表の誰もが理解しており、連合加盟各国の安全保障やパワーバランスを考えれば、そのまま放置しておけない問題であった。
調査の結果、判明したオラクルの数は、約30機。
さらにオラクルだけでなく、デストロイ自体も10数機残っていたのである。
これらの多くは製造途中のものであったが、中には残す作業は塗装だけという、ほぼ完成状態の機体も相当数あった。
40機を超える大規模殲滅戦用の巨大可変重モビルスーツを、今後一体どうするのか。

そこで統一連合議会は議論に議論を重ねた上、以下の結論を出す。
一部を拠点防衛として統一連合軍が接収し、重要拠点に配備。残りは全て解体とする、と。
そしてそれらは速やかに実行された――はずだったのだが、実はそうでは無かったのである。

統一連合議会によってオラクル、デストロイの解体が決定されると、その仕事は統一連合軍と取引のあるモルゲンレーテ社など各大手モビルスーツ製造企業やジャンク屋組合と、その系列業者に任された。
もっとも実際の解体作業は、彼らの傘下にある下請け・孫請けの中小零細業者がやっているのが実態である。

ところがつい最近、この仕事を請け負ったとある零細解体業者によって、今回の事件が発覚したのである。
この業者はいつもの様に、元請けから渡されたオラクルの部品を解体しようとしたところ、偶然にもその部品のナンバーが以前に解体した部品のナンバーと、重複している事に気づいたのだった。
こんな事はありえない話だった。

モビルスーツはそれ自体が機密の塊ともいえる。
前線に配備中の機体は特にそうなので、軍では機密の漏洩や部品の横流しを防ぐために、各部品にそれぞれ固有のナンバーを振って、厳密に管理していた。
その管理方法は基本的には統一連合軍はもちろん、旧ザフトでも旧連合でも変わらない。
したがってシステム上ナンバーの重複はありえないし、あってはならない事なのである。

最初は書類上の単純な表記ミスかと考えた業者だったが、オラクルは旧型機や一般量産機とは違うある種の特注機だという点に不審を感じ、そこでまず元請け企業に問い合わせを行った。
下請けからの質問を受けた元請け企業は、すぐに調査を開始。
その結果、オラクルの部品が紛失していたという事実が、過去にも複数件あった事が分かったのである。
さらに紛失した部品のいくつかは、すでに解体済みという報告までなされていたのだった。

――ナンバー偽造に伴う部品紛失事件。
元請け企業は、この事をすぐさま統一連合軍と治安警察に通報。
そして治安警察による捜査の結果、部品の紛失事件はモルゲンレーテやジャンク屋組合も含めた複数の企業と、その系列業者の中で発生していた事が発覚したのであった。
しかもさらに驚くべき事実も判明する。
実は紛失した部品を使えば、なんとオラクルをまるまる一体完成させられるという事が、明らかになったのである――。

事件のあらましが書かれた報告書にざっと目を通したメイリンは、事実は小説より奇なりね、と内心疲れたようにぼやいた。

「ですが幸運の女神はまだまだ私達に味方していますよ。今回の件、解体業者からの問い合わせが無ければ、我々は全く察知できなかったという訳ですからね」

不意にメイリンとエイガーに皮肉交じりの声がかかる。
慰めてるのか揶揄しているのか判らない微妙な言い回し。
治安警察省情報局諜報部所属、オスカー=サザーランドだ。

「ならば女神に振られない内に速やかに解決すべきでしょう。本当の無能になる前に、ね」

どことなく棘がある言葉が続く。
仕事は出来るものの、何に対しても斜に構え、何かと癇に障る性格。
部下にしてみればストレスの溜まる上司、No1に上げたいというところか。
それがオスカーという人物の評判だろう。
だから彼は周囲からあまり好かれないし、省内でも意外に敵も多い。
だがそれはここにいる誰もが知っている話。
今更、生真面目にそれに突っかかる人間はここにはいない。

「……確かに貴方のいう通りね。このチャンスを生かさなければ、それこそ私達治安警察が存在する意味は無いわ」

すると横から、少し小柄な金髪の少女がひどく冷めた声を差し挟んできた。
エルスティン=ライヒ。
治安警察省長官ゲルハルト=ライヒの姪で、省内でも数少ない実用レベルの空間認識能力保持者だ。
モビルスーツ操縦の腕もピースガーディアンに引けをとらない、とも言われている。

「確かに出遅れたのは事実ですが、逆にテロリストとその協力者達を一網打尽にするチャンスとも言えるでしょう」

彼女はめったにその感情が表に出さない。
その無表情さ故に、一見冷たい印象を与えてしまい、時にアイスマスクとも評される事もある。
しかし彼女の様な存在は、こういう場ではむしろありがたかった。
それが場に冷静さをもたらしてくれるから。
少し小柄な金髪の少女は、いつもの様に表情何一つ変えず、淡々と説明を続ける。

「オラクルは極めて強力なモビルスーツです。ですが同時にジンやダガー、バクゥ等の旧式とは違い、極めて特殊な機体でもあります。盗んだとはいえ、そう簡単扱えるものではありません。まして部品から組み立てるとなれば専用設備はもちろん、最新技術に通じたモビルスーツ技師も必要となります」
「……つまり稼動させるには非常に限定された条件が必要となるだけに、捜査の的も絞り易いというわけじゃな」

エイガーの言葉にエルスティンは無言で小さく頷いた。

「部品紛失、いや盗難はテロリストが各企業や業者に潜り込んで行ったのではなく、彼ら自身が協力していた可能性もあるでしょうねえ。全く統一連合の信用も地に落ちたものです。やれやれ」

オスカーがふうっと肩をすくめる。
しかし皮肉ばかり言っている彼ではない。
すかさず彼は捜査責任者のメイリンに自ら方針を示す。

「この際、オラクルならびにデストロイ級モビルスーツの開発から今日に至るまで、それに関わった全ての関係者をもう一度徹底的に洗い直すべきかと。取引や交友関係はもちろん新規採用者、退職者も含めて。彼らが今どこで何をしているのか、全員の追跡調査を行う事です」
「同感ね。多少時間はかかるかもしれないけど、それしかないわね」

関係者を洗えば、おのずと各企業とテロリストとの距離も見えてくるだろう。
オスカーの言うように知らずに潜り込まれたのか、それとも企業ぐるみでテロリストに協力しているのか、そしてテロリスト達の計画は今、どこまで進行しているのか。
ふとメイリンはオスカーに尋ねてみた。

「少し貴方の所見を聞かせてもらっていいかしら?」
「ええ、どうぞ」
「オラクルはまだ部品のままだと思う? それともすでに完成しているのかしら? そしてもうこの西ユーラシアに持ち込まれているのかしら?」

その問いにオスカーは僅かに考え込む。
しかしすぐに言葉を忌憚の無い返答をしてきた。

「すでに持ち込まれていると考えた方が妥当でしょうね。それも完成品で」
「その理由は?」
「もうじき東ユーラシアでテロリスト達が一大攻勢をかけるという情報があります。ですが軍もすでに出動しており、正面からぶつかればテロリスト達にはまず勝ち目はありません。が、しかし」
「しかし?」
「奪取したオラクルが、彼らの切り札であるならば話は変わります。あれが一機あれば戦況も五分五分に持っていけるでしょう。ならばすでに稼動状態にしておかないと、時間的に間に合わないというわけです」
「……なるほど」

確かに筋は通っている。
もし仮に自分がテロリストであれば、やはりそのタイミングを狙って計画とスケジュールを組むだろう。
あるいは九十日革命での投入が間に合わなかったので、今回の反攻作戦に投入するつもりなのかもしれない。
オスカーの見解にメイリンは静かに頷く。
一方、それを聞いたエイガーは大きく目を見開き、驚きの声を上げた。

「そ、それでは明日にでも見つけんと、手遅れになるかもしれんではないか!」
「ええ、ですから死に物狂いで捜査するしかありませんねえ」
「なんじゃその言い草は!? オスカー、貴様もっと深刻に考えんかい!!」
「そうは言われましても、ここで嘆いても事件が解決するわけではありませんし……」

どこか他人事の様に飄々と答えるオスカーに対して、エイガーはますます激高していく。
だがそんな二人の口論を他所に、メイリンは一人考えこんでいた。
調べれば調べるほど、ローゼンクロイツが作り上げたネットワークは、想像以上に深いものがある。
そしてまだ見ぬその先には、底知れぬ闇があるのだろう。
それ程までに二度の大戦が残した業は、深いという事なのか。
オーブが世界に平和をもたらした影で、未だに無数の怒りや怨念が蠢いているという事なのか。
統一連合の奥深くまで食い込んだ病根を前に、メイリンはふと軽い眩暈を覚えた。



ズールの街には中世の頃の面影が、市内のあちこちに残っている。
石畳の道や、石造りの館に囲まれた狭い路地など。
古き良きドイツ様式の無骨な、しかし暖かみのある建物はまるで中世の昔から抜け出た様にそのままだ。
そんな街角にある小さなカフェにジェスとソラはいた。

「ふあぁぁ……っ。長閑だねぇ……」

大きな欠伸をひとつして、ジェスはぐっと背伸びをした。

「でも遅いですね……、アスランさん」

ジェスと同じように待ちぼうけを食らっているソラがぽつりと呟く。
ここで二人はアスランを待っていた。
アスランは今、ズール市警察署に出かけている。
治安警察本部から依頼してもらった、シノ=タカヤ捜索に関する報告を受け取るためだ。

――まずは上から攻めてみるよ。なあに、すぐに終わる。こういう役所の連中はどこも肩書きってものに弱いものさ。

そう言ってアスランは警察署の中に入っていった。
ところが二時間経った今でも彼からの連絡は一向に無かった。

「……ふうっ」

ずっと前に空になったカップを前に、小さなため息をひとつソラはつく。
今頃、署長辺りが焦り顔で応対しているのだろうか?
それとも何か重大な問題でも起きたのだろうか?
何やらいろんな想像や妄想が頭の中に込みあがってくる。
時折、警察署の方の通りを見てみるが、まだアスランが帰って来る気配はなかった。

《遅イゾ、遅イゾ! 女性ヲ待タセルナンテ最低―! プンプン!》
《いや、近年仕入れた情報によると“焦らし”というのは戦術の一つらしい。即ち……》

そばでは、ソラにここまでくっついて来たハロと、ジェスの相棒ハチが何やら訳のわからない会話をはじめている。

「……お前等、何やってるんだ」

AI同士の馬鹿話に、ジェスはどうもハチはカイトに毒されているな、と少し呆れた。
最近は良く知り合いから「ハチはどんどんジェスに似てきてるわね」などと言われているので、なおさらに。
こんなつまらない事が気になるのは、たぶん時間の進み方が遅いせいだろうな、とジェスはぼんやりとそう思った。
いつもはあっという間に過ぎてしまう数分ですら、ひどく長く感じる。
待ち人を待つときは特にそうだ。
実にじれったい。
恐らくソラもそうなのだろう。
耐えられなくなったのか、ソラは時折立って大通りを覗いてみたりしている。

「焦らない焦らない。お役所仕事なんてどこも時間がかかるもんさ」
「でも……」

そわそわするソラを、ジェスはのんびりとなだめる。
落ち着かない様子を見せる彼女とは対照的に、彼は実に呑気なものだった。
人生ただ何もせず待つしかない時もある、そういわんばかりだ。

「じきに答えが出てくるのは分かってるんだから、それまでゆっくり待てばいい。あんまり退屈なら、車の中で昼寝でもしていればどうだい? 俺なんかさっきから眠たくて眠たくて……。ここのところ徹夜仕事の連続だったしなあ……」

そういうとジェスはまた大きな欠伸をした。

「なら、ジェスさんは一眠りしてきてください。私ここにいますから」
「そうはいかないよ。君の側にいるっていうのがアスランさんとの約束だからね」

それを聞いたソラの表情が一瞬曇る。
自分の行動がジェスの負担になっているのに気づいたからだ。
『奇跡の少女』などと持てはやされていても、現実にはソラには何の力も無い。
こうしてシノを探すにしてもジェスやアスランの助けが無いと何も出来ないのだ。

「あ……その、ごめんなさい」
「大丈夫、大丈夫。気にするなって。この程度じゃ俺はビクともしないよ。並のタフさじゃ、『野次馬』にはなれないのさ」

そう言ってジェスは、しゅんとなっているソラをなだめた。
空港での説教がまだ響いているのだろう。
ちょっと薬が効きすぎたかな?と彼はほんの少しだけ後悔する。
すると急にジェスはカフェの周囲をぐるっと見回した。
何か探しているのだろうか?
石の壁と石畳に囲まれた街の風景以外は、特に何もない。
ふとジェスが席を立つ。
そしてこう告げた。

「俺も退屈になってきたところだし、少し散歩してくるよ。君も一緒にどうだい?」
「……はいっ」

片目で軽くウィンクをする彼に、ソラは笑顔で答えた。



「ようやく到着かい。ずいぶん待たせるもんだね。それとも……女をじらすのはお手のものって訳なのかい?」

その部屋に入ってきた背広姿をした、背の低い中年の男を一瞥すると、女は鼻先でせせら笑う様に挑発する。
だが男は首を僅かに横に振ると、丁重に頭を下げる。

「予定時刻に遅れたことは深くお詫び致します。なにぶん治安警察の動きが活発になっておりますので、弊社といたしましてもより慎重に行動せざるを得ず、予想以上に時間がかかってしまいました。誠に申し訳ございません」
「……てっきり寝返ったのかと思ったよ。大方、治安警察辺りにたれ込んでね。何せモルゲンレーテにとっちゃ統一連合は一番のお得意様だからねえ」
「いえいえ、滅相もございません。弊社はお客様第一主義がモットーでございます。いかなるお客様に対しても、そのご期待を裏切るような真似はいたしません」

女の挑発を男は慣れた社交辞令でのらりくらりとかわす。
彼にとってはこれも取引のひとつだ。

「今後は時間厳守でな。でなければ我々もしかるべき取らせてもらうよ。モルゲンレーテ西ユーラシア支社第13技術開発部、ブレストン技術部長」
「承知いたしました。シーグリス=マリカ様」

シーグリスの言葉にブレストンはもう一度頭を下げる。
その様子を見ながらシーグリスは、統一連合もとんだ獅子身中の虫を飼ってるもんだ、とほそく笑んだ。
ローゼンクロツとモルゲンレーテ社。
本来であれば敵対関係にある両者は、ある共通の利害の一致から今回の取引に及んでいたのだった。

「で、約束の品はどれだい?」
「こちらに」

ブレストンが後ろに目配せをすると、作業服を着た部下の一人がアタッシュケースをひとつ持ってくる。
彼はそれを床に置くと、中を開けてシーグリスに見せる。
中にあったのはケースに厳重に保管された数枚のディスク。
それはモビルスーツ起動用のキーディスクであり、円形の銀盤には『オラクル』と刻印されていた。

「これが魔神の目を覚まさせる最後の鍵ってわけだね……」
「さようでございます」

ケースを見下ろしながら、シーグリスは満足げにうなづいた。
自らの野望が刻一刻と実現化しつつある。
そんな実感がその笑みににじんでいた。

「これで全ての商品がそちらに届いたわけでございます。ではシーグリス様。お代をお願い致しますか」

冷や水をかける様なブレストンの要求。
その口調は丁重ながらも、どこか重さを感じさせる。
彼の言葉の裏に潜んだ圧力を、シーグリスは直感で悟る。
もしここでブレストンを消してしまえば、大方ケースに仕掛けられたトラップが炸裂する、といったところだろう。
その上、全ての情報が治安警察に流れるというオマケ付きだ。
それぐらいの用心深さは目の前の男は持っている。

「……ああ、そうだったね。すっかり忘れていたよ」

だがシーグリスとて、ここまで来て危ない橋を渡る気は毛頭無い。
パチンと指を鳴らし、控えていた部下に合図する。
すると奥から屈強な男が数人、二箱の金属製の保存ボックスを持ってきた。
とちらもやや大型のもので、大の男が二人ががりでようやく持ち運びできるというサイズだ。
ボックスの表面には電子ロック装置が設置されている。
それはこれが、機密保存用ボックスである事を現していた。
男達は無言でブレストンの前にそれを置く。

「箱には傷ひとつ付いちゃいないよ。数も全部そろっている。そちらの要求通りだ」

シーグリスの言葉に無言でうなづくと、ブレストンは保存ボックスに近づき、電子ロックを外す。
装置のテンキーに暗証コードを入れると、ピーッという電子音と共に、ボックスは貝のように閉じられた轡をゆっくりと開いた。
ボックスの中から溢れ出たのは真っ白く染まった冷気、それも超低温の。
こぼれた冷気が地面を白く薄く包む。
寒い。
だがブレストンはそれに構わず、ボックスの中身をただ注視している。
そして冷気の霧が晴れると、中からあるものが現れた。

――それは窒素冷凍保存された試験管。
何かの細胞サンプルだ。
その数、8本。

「おお……」

ブレストンは目を大きく見開き、感嘆の声を上げる。
長年捜し求めていた宝を見つけたかのごとく、その顔は歓喜に満ちていた。
まるで子どもの様だ。
もうひとつのボックスも開いて中を確認する。
そちらにはデータディスクや資料などが入っていた。
確認するように一つづつ取り出しては、うむうむと頷く。
近くから眺めるシーグリスは、ふとその内のひとつに奇妙な記述があるのに気づいた。

「それと、この通り希望の人材も集めてきた。全て引き渡そう」

シーグリスがそう言うと、彼女の部下が数人の男達を連れてくる。
体格のいい彼女の部下とは違い、彼らは痩せていた。
くたびれた私服に無精ひげと、見る者が見ればひと目で彼らが何者であるか分かる。
――ズールの街の失業者なのだと。
そして彼らはシーグリスが集めた遺伝子工学などの元技術者なのだ。
元技術者達は皆、これから何をされるのか分からない、といった風に恐れ、怯えている。

「これはどうもシーグリス様。ではこちらに引き取らせていただきます」

ブレストンは部下達に命じると、保存ボックスを運び出すように命じる。
そして同時に、元技術者達も連れ出すように言った。
すぐさま彼の部下達は上司の命令通りに全てを運び去っていく。
元技術者達も含めて。
シーグリスも同様に部下にケースを運び出す様に命じる。
それぞれの部下が去ったあとに残ったのは、ブレストンとシーグリスの二人だけになった。

「これで全ての取引が無事完了した事になりますな」
「そういう事だね」

二人はニヤリと笑みを交わす。
互いの目的は達成された、という意思がそこにあった。

「では、私はこれで……」

ブレストンはシーグリスに一礼をすると、彼女に背を向け、静かに立ち去ろうとする。
すると。

「ひとつ聞いていいかな?ブレストン技術部長」

不意の問いかけ。
だがその声にブレストンは振り向きもせず、ただ歩みを止める。

「さっきお前が覗いていた保存ボックス……。その中にちょっと面白いものを見つけたよ。データディスクの表面に書いてあった文字なんだけどね」
「おやおや……。それはどんな事でしょうか?」

そしてシーグリスは無言で立ち止まった男の背に、続く問いをぶつけた。

「……『プロジェクトEP』 そりゃ一体何の意味だい……?」

その言葉に場の空気が止まる。
互いの息遣いと尖った気配が、二人の間に漂う。
するとブレストンは背を向けたまま、一言だけ告げた。

「”永遠の平和”……を作る計画ですよ」

――永遠の平和。
世迷いごとにしか聞こえない台詞。
だがこの男が関わっている以上、それは実際に動いているのだろう。
それが一体どういう計画であれ。
思わぬ収穫を得たためか、彼女の口の端が歓喜に歪む。

「ほほう、面白いねえ。誰にとっての平和なのか、ぜひ拝見したいものだ」

見え透いた挑発。
だがブレストンは特に動じる事も無い。
むしろそれすらも楽しむかの様な余裕がある。
彼は僅かに振り返ると、シーグリスに向かって、最後にこういい残して去っていった。

「……きっと、いずれ貴方にも永遠の平和が訪れますよ。では……」


このSSは原案SS第17話「導かれし大地」Bパート(原案)を加筆、修正したものです。
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