しー咲
リレーSS
293 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 10:26:05 ID:/ugTgpmd
雫「あんた、あたしが泣いていたのが気になってたんだ?」
咲「!!」
リレーSSやらねえ?
296 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/16(日) 16:35:05 ID:ykgMN2hk
咲「そ、そりゃあ、奏先輩の妹ですし、気になるって言えば……」
雫「ふーん」
297 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/16(日) 16:49:25 ID:YX70LB+S
雫「それだけ?」
咲「へっ!?」
雫「気になるだけなんだ」
咲「うぅ・・・照」
298 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/16(日) 21:56:33 ID:/9qQ8eQy
雫「それだけであたしを助けたの?そんな怪我までして」
咲「っ!!」
299 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 13:51:47 ID:9iUO+dbb
雫「あんたも相変わらずバカなんだから・・」
雫は不器用ながら微笑んで、咲夜の頬に手を添えた。
咲「…っん、妹ちゃん??」
300 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 20:09:28 ID:kkfa3CYT
雫「いつまでも、『妹ちゃん』なんだ……」
雫は強ばった微笑みを浮かべたまま、少しずつ近づいてくる思わず咲夜は目を瞑り、身構える
301 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/17(月) 23:44:27 ID:j8MQFpqI
不意に雫は咲夜の右腕を
そっと手に取った。
「っ!!」
目を閉じていた咲夜は
思わず痛みに耐えられず、目を開けた。
「そんなに痛いのなら病院行こうよ」
「嫌ですぅ~。注射されるかもしれないじゃないですか~~」
「ガキじゃないんだから。……仕方ないな……」
雫は仕方なく救急箱を出してきた。
「でも何であたしなんか助けたの?」
「だって、ほっとけないじゃないですか」
「ほっとけないからってバカみたいに突っ走るの?ホラ、腕出して」
「これはしみるから嫌ですぅ~~」
改めて咲夜の破れている服から見える白い肌を見た雫は、なぜかドキドキした。
302 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/19(水) 09:03:09 ID:kqHs5FfZ
雫は破れている服の袖をめくると、そこには、切り付けられた傷の後が赤く目立っていた。
「バカ……無茶ばかりして……」
303 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/19(水) 22:10:27 ID:ZvWjmuQj
雫はそれを見て胸が苦しくなった。そして咲夜を不意に抱き締めた。
「ばか・・・」
咲夜は涙目になりながら笑う。
「ぇへへ。すいません。妹ちゃん」
咲夜は雫の首もとに頭を埋めた。奏と同じシャンプーの香りがした。
304 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/20(木) 00:31:36 ID:MjasFRGD
(奏先輩と同じ……。でも目の前にいるのは……)
咲夜は奏が好きなはずなのに、どうしてだろう、泣いていた雫の方が気になった。
奏には雪乃がいる。
しかし雫には……。
すると、あれこれ考えているうちに咲夜の後ろから足音が聞こえて来た。
咲夜の顔から笑顔が消えた。
雫の腕をほどき、咲夜は雫を庇うように前に出た。
右腕からは止まっていたはずの血が、ポタポタと、滴り落ちている。
傷の痛みからなのか、緊張感からなのか分からないが、咲夜の表情は強張ったままだ。
咲夜の後に隠れている雫は震えていることくらいしかできず、何者かの足音の恐怖により、ごくりと喉を鳴らした。
相変わらず咲夜の緊張感はとかれないままだが、なぜか、その近づいてくる足音に雫は恐怖感と共に安心感を覚えた。
305 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/21(金) 18:43:24 ID:Dr2wmgnC
「姉ちゃん?」
雫が振り返ると、そこには奏がいた。
「何があったの?心配したよ」
「雪姉ちゃんは?」
「バイト。どうしても抜けられないって」
奏がそう言うと、雫は奏の胸に飛び込んだ。
「どうしよう姉ちゃん、あたしのせいだ。あたしのせいであの人が……」
「しーちゃん落ち着いて……」
奏は泣きじゃくる雫を制して咲夜に近付いた。
そこには傷口を押さえて膝をついている咲夜がいた。息も荒い。
「奏先輩……」
咲夜は奏を見上げた。
「仕方ないな……」
「えっ?ちょっ、奏先輩!?」
奏は、そう言うと咲夜を抱き上げたかと思うと、後に背負い、咲夜は奏の背中にしがみついた。
「だ、大丈夫ですって……」
奏におんぶされた咲夜は雫を見ると、思い詰めたような顔をしており、涙が乾いていないまま、その場を走り去ってしまった。
「い、妹ちゃん?!」
「ちょっ、咲ちゃん!?」
咲夜は奏の背中から降りると右腕を庇いながら雫を追い駆けた。
「待って!待って下さい!!」
「っ!!」
いきなり走り出した衝撃で咲夜の右腕に激痛が走った。
それでも咲夜は雫を追い駆けた。
308 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/23(日) 00:29:59 ID:PQIApJ2C
雫は、あてもなく走っていた。
涙を零しながら。
この、自分ではどうしようもない気持ちを抱えながら。
今まで感じた事のない感情が雫を苦しめる。
何もかも吐き出してしまいたい。
全部ぶちまけてしまえば、どんなに楽だろうか。
雫は思った。
ならば、こんな感情を持たなければよかったのだと。
何を期待していたのだろうか。
誰も自分を一番に見てくれない。
『ばか、無茶ばかりして……』
バカは自分だ。
奏を好きな咲夜を自分は知っているのに。
もういい。
こんな気持ち捨ててしまえばいい。
自分の中に閉じ込めてしまえばいい。
そんな雫の足どりは重く、とぼとぼと公園のベンチに座った。
しばらく一人で泣いていると、背後に誰かがいる気配が感じられた。
しかし雫は、あえて振り返らなかった。
雫の後ろにいるのが誰か、分かっていたからだ。
「お願いです。話しを、聞いて下さい。私が悪いのは分かってます。結果、あなたを泣かせてしまったのは、私なのです、から……」
咲夜の息が荒い。
たまのような汗が雫の肩に落ちた。
痛みのせいで冷や汗をかいてしまったのだろうか。
それでも雫は振り返らなかった。
「お願いです。“雫ちゃん”……」
もう、この後が思い付かない。このリレーどうしようか……。
309 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/23(日) 11:29:03 ID:6bUxf4f/
その時雫の心臓がドクンと高鳴った。
久々に『しずく』と呼ばれた気がした。
「・・・・。」
不思議な感覚に動揺しつつ俯いたまま無言の雫。
「まったく、その感じは考え事してる時の奏先輩にそっくりですね。」
咲夜は微笑みながら後ろから雫を抱きしめた。
そして上がった息を調えて真剣に言った。
「あたしの本当の気持ち、聞いてくれますか?」
310 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/23(日) 22:38:09 ID:PQIApJ2C
「で、でも、あんたが好きなのは、かな姉ちゃん、でしょ?」雫は俯きながら言った。
「確かにきっかけは、そうでしたが………」
咲夜は思い出すように言いかける。
しかし雫は俯き、涙は乾かない。
だが、背中から伝わってくる咲夜の温もりを感じた雫は、今の自分の中の感情がとけていくようで、それが怖いような安心するような不思議な感覚だった。
「始めて会った時、あなたは、いきなり雪をぶつけてくるんですもん」
咲夜は右腕を支えながら
笑って言った。
後ろから落ちてくる雫が気になった雫は、自分の肩を見た。
そこには咲夜の汗ではなく、右腕から滴り落ちる赤い血だった。
驚いた雫は、振り返り、咲夜と向き合った。
雫が見たものは、咲夜の右腕の袖の半分くらい、赤く染まっていた。
しかし、それでも咲夜は笑っていた。
「あんたバカじゃないの!?こんなになるまであたしを追い掛けて来たの!?何で?何で、そんなことする、の……?」
雫は立ったまま、また俯いて泣きじゃくった。
自分の許容範囲を越えた咲夜の行動に戸惑いながらも、どこか嬉しくて自分というダムが決壊しそうだった。
「好きだからですよ」
「……?」
「あなたのことが好きだからです」
咲夜の真剣な言葉に顔を上げた。
「ほんと?」
「本当です」
「ほんとに?」
312 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/24(月) 23:25:04 ID:BgN95SON
「ほんとですってば」
咲夜は笑いながら言う。
すると、今まで俯いていた雫が顔を上げて「ほんとねっ」と、笑って言った。
その笑顔は咲夜が驚く程、今まで見た事のない、雫の満開の笑顔だった。
咲夜はその笑顔から目をそらす事ができず、思わず雫を引き寄せた。
右腕が痛む。
まだ血が滴り落ちている。
両腕で抱きしめられないのがもどかしい。
咲夜は左腕で雫を引き寄せ、自分の胸に雫の顔を埋めさせた。
咲夜の体温が雫に伝わると同時に咲夜がドキドキしている心臓の音が聞こえる。
「好きですよ。雫ちゃん」
「かな姉ちゃんじゃなくて?」
「当たり前じゃないですか。好きじゃなかったら、こんなことしません」
雫は咲夜の胸の中で静かに泣いた。
そして、もう離したくないと思い、咲夜の服を、ぎゅっと握った。
313 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/24(月) 23:43:11 ID:eUCRvAaz
でも,その返事を雫が聞くことはなかった。
咲夜はにこりと微笑むと,そのままスッと雫にもたれかかり,力が抜けるようにそっと崩れ落ち,地面に倒れこんだ。
「―――――!」
一心に咲夜の名を呼ぶ雫の声は救急車の音と,
集まってきた野次馬の喧騒にかき消されていった。
◇◆◇
目覚めると,知らない天井が目に入った。
ぐるりと周囲に視線を伸ばすと,真剣な表情の雪乃と奏が映った。
「姉ちゃん‥‥‥たち‥‥。」
「もう,心配したんだから。」
厳しくも温かい奏の声が聞こえた。
涙ぐんで頷く雪乃がそっと手を握ってくれていた。
「あの‥‥‥ひと‥‥は?」
初めて会った時から,何かを感じた。
雫たち姉妹に割って入ってきた初めての少女。
それが何なのかわからなくて,抱えたわだかまりと一緒に雫は雪玉をぶつけた。
『好きだからですよ』
『あなたのことが好きだからです』
317 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/25(火) 12:37:20 ID:wx3HVRIb
「咲ちゃんなら大丈夫だよ。切られた傷はニ針縫ったけど命には別状はないって」
そう言って雪乃は、
雫の隣りで眠っている咲夜の方を指さした。
すると雫は慌ててベッドから降りて咲夜のベッドに近づいた。
「咲夜!咲夜!」
腕に包帯を巻いており、破れた服は入院患者用のパジャマに着替えさせられていた。
雫は涙を零しながら雪乃に言った。
「あたしのせいだ。この人が、こんなになったの。この人があたしのこと護ってくれたのに……。なのに、あたし、逃げちゃって……」
泣いている雫を雪乃が優しくなだめる。
しかし雫の涙は止まらなかった。
ひとしきり泣いたあと、何かを決意したように、引き締めた顔を上げて雪乃に言った。
「姉ちゃん、お願いがあるの」
「お願い、一晩、ここに、この人のそばにいさせて」
前に雪乃から聞いた話だと咲夜の両親は、いつも忙しくて家に帰ってくることが少ないそうだ。
それに今、時計を見ると深夜前を指しており、咲夜の家のお手伝いさんも、もう帰ってしまっている。
そこで自分達が帰ってしまったら、次の日、咲夜が目を覚ました時、一人になってしまう。
朝、目を覚ましたら、一人。
いつも。
二人の姉が上京してから、毎日。
「お願い、姉ちゃん」
320 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/27(木) 00:33:23 ID:3GVaD9Mp
「だ、だめだよ!そんなの!大事な妹を、女の子を一人、病院になんて残しておけないよ!」
奏は身を乗り出して言った。
しかし、それを雪乃が制した。
「かなちゃん、しーちゃんだって、もうそんな子供じゃないんだよ?」
「で、でも……」
心配する奏をよそに、雫は、まだ眠っている咲夜の手を、そっと握った。
「姉ちゃん、あたし……」
「あたし、この人のことが好きかもしれない」
やっと自覚した所まで来ましたよW
こっから先が……。
でも鬱エンドはヤだな。
322 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/28(金) 13:42:59 ID:C/KIlv1Q
雪乃に引っ張られて病室から出て行く奏
……
………
ぎゅっ!
手を強く握ってやった。
「ひゃわ!」と叫ぶ咲夜
「本当はずっと起きてたんでしょ」
「え、なんのことですか~」
「そんなんで、誤魔化されるのは姉ちゃん達だけだよ……」
咲夜はえへへと可愛く、でもちょっと乾いた感じで笑った。
「そばに居てくれて嬉しいですよ」
「仕方がないじゃない」
そう、他に仕方がなかったんだもの
「仕方がない、ですか」
「そう」
「私、仕方がない、って言葉好きですよ。諦めよりも、なにか対する決心って感じがしません?」
ああ、咲夜らしいな、と思ってちょっと笑った
「雫ちゃん……」
323 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/28(金) 16:26:48 ID:JSdC8XNY
「そういえば、あんた全然ご飯食べてないじゃない」
ベッドの横のテーブルに置いてある病人食は、一皿も空になってない。
「だって、おいしくないんですもん」
と、咲夜は、そっぽを向く。
「あんたほんっとにお嬢さまなんだねー」
雫は呆れながら言った。
「あなたが、あーん、してくれたら食べてあげますよ」
咲夜は少し、おどけて言った。
「……バカに付ける、薬はないよ」
いつもどおりの雫を見て、咲夜は薄く微笑んだ。
「……………」
しばらく見つめ合った後、雫はテーブルのスプーンを取り、そばにある肉じゃがをすくって咲夜の口元に差し出した。
「………あーん」
324 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 01:43:19 ID:1Qo5VOr7
咲夜は「あーん」と食べる様に見せかけて、そのまま雫の腕を自分の方へ引き寄せた。
「ぅわっ!?ちょっ危な・・・」
雫はバランスを崩し片手をベッドについた。
「引っ掛かりましたね!」
咲夜は少し意地悪に笑う。
「なにすんの・・ばか・・・っ!!!」
二人の顔は急接近した。
「・・・・。」
そして再び見つめ合った。
その時間は長くはなかった。
325 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 10:35:34 ID:fZHY42MS
咲夜は左手で、そっと雫の頬に触れた。
そのまま、静かに顔を近づける。
咲夜は驚いた。
雫が抵抗しない。
抵抗するどころか目を閉じた。
咲夜は緊張して、ごくりと喉を鳴らした。
覚悟を決めた咲夜は、静かにキスをした。
咲夜は触れるだけにした。そして、ベッドの上で少し離れたかと思うと、咲夜は左腕で雫を抱きしめた。
しかし右腕の方は、力が入りにくいのか、力無く肩からぶら下がったように見える。
「好きですよ。雫ちゃん」
咲夜は右腕を使って雫を、もっと強く抱きしめようとした。
「……っ!!」
咲夜の右腕に痛みが走った。
同時に、それを支えようと左腕も雫から離れた。
咲夜の息が荒い。
それを見た雫の顔は、曇ったまま、俯いてしまった。
326 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/29(土) 11:42:04 ID:fZHY42MS
「そんな、顔、しないで下さい……。勝手に私が、あなたを、助けたん、ですから……」
荒い息を吐きながら、それでも咲夜は笑って言った。
雫は、ますますいたたまれなくなり、涙が、じわじわと溢れてきた。
「えっ?そんなつもりで言ったんじゃないですよ!?な、泣かないで、泣かないで下さい~~」
雫の目の前で、あたふたする咲夜を見て雫は心の中で思った。
(困ってる困ってる)
327 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/30(日) 02:20:04 ID:qhZC7Ba8
「あたしの…せい」
困った咲夜の姿を見て、雫の涙は止まらなくなっていた。
「だ・・大好きな人を守るのに理由はいらない…ですから。」
息を荒くしながら微笑む咲夜。
「・・・。」
その時、もっと咲夜を独占したい。
もっと知りたい。
雫にそんな感情が芽生えた。
「あたしも…あんたが好き」
「雫ちゃ・・ん・・」
「・・・・。」
再び沈黙がやって来た
今度は雫から咲夜にキスをした。軽く触れるだけの。
緊張しているのか唇は震えていた
少し離れて見つめ合う二人。
そこには何か通じ合うものがあった。
「怖い…ですか?」
優しい瞳で咲夜は訪ねた。雫は少し伏せ目がちに期待と不安を抱きながら答える。
「わかんない…でも、あんたとなら…」
「咲夜と呼んでくれますか…?」
「さくや・・」
雫はゆっくりと咲夜の胸へ飛び込んだ。
328 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/30(日) 22:58:11 ID:eqGVrXCm
咲夜の胸の中の雫は、もっと咲夜が欲しいと思った。
雫は咲夜の傷に触れないように静かにベッドに押し倒した。
咲夜の寝巻のボタンに手をかける雫。
しかし、そこで思わず手が止まってしまい、俯いてしまった。
「大丈夫ですよ」
咲夜は笑って言った。
その言葉に雫は顔を上げる。
「いつもなの?」
「へっ?」
「どうして、あんたは、そう、いつもへらへら笑っていられるの?」
「へらへらって失礼な……。でも、俯いて沈んでいるよりは、笑っている方がいいじゃないですか」
雫は、それを聞いて薄く笑った。
それを見た咲夜も優しく笑った。
「いいの?」
「いいですよ」
「咲夜……」
雫は、ゆっくりと寝間着のボタンをはずしていく。
すると、下着だけの咲夜の姿が、あらわになった。
それを見た雫は、ドキドキしながら、もっと触れたい、欲しいという感情のまま、咲夜のフロントホックを外した。
欲しいという気持ちと同時に、奏にも雪乃にも、誰にも咲夜を渡したくないという感情が生まれた。
329 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/30(日) 23:22:11 ID:eqGVrXCm
「雪姉ちゃんから聞いてたけど、あんたの胸って大きいんだね」
「そんなにじっくり見られると……」
「見られるの平気なんじゃなかったっけ?」
「!!!」
「そ、それも雪乃先輩に?」
雫はドキドキしている咲夜をよそに、何故か二の腕や、腹筋をさわってみた。
「かな姉ちゃんみたいに、ふにふにしてないね。結構鍛えてるんだ、あんた」
雫はふれた後、咲夜に聞いた。
「そりゃあ、水泳も、やっていますし……」
「も?」
雫の質問に、思わずどもってしまったが、後々追求されるのも嫌なので咲夜は答えた。
「いわゆる私も“お嬢さま”ですから自分の身を守ることくらい心得ていますよ」
と、咲夜は得意げに言った。
330 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/31(月) 14:03:11 ID:NlvSLk0R
「ふーん・・・」
雫は無愛想に相づちをうちながら咲夜の二の腕に噛みついた。
「ひゃっ!?な、なんですかいきなりっ!痛いのは嫌ですぅ~」
雫は軽く痕を付けてそこを軽く舐めた。そして咲夜を見つめながら言った。
「・・今は護らなくていいの??」
「へ?なにをですか?」
「・・・ばか」
335 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/08/31(月) 20:06:32 ID:9eHKWQUg
「これであんた、あたしの“モノ”だね」
「!!」
ニヤリと笑う雫を見た後、咲夜は自分の腕を見ると、色は薄いが、赤いキスマーク(?)のようなものが付いていた。
そして雫は緊張と同時に焦りを感じた。
こんなふうに、しかも好きな相手にしてしまって、それでも咲夜は自分を好きでいてくれるのかと。
咲夜は雫を見ると少し体が少し震えている。
かなりの勇気があったに違いない。
「大丈夫ですよ。好きですよ、雫ちゃん」
咲夜は真剣な、そして強く優しい瞳で雫を見つめた。
雫はなぜか、その瞳から目を逸らすことができなかった。
雫は思った。
ああ、自分はこの瞳にとらわれたのだと。
自分を護ってくれて、強く優しい瞳で見てくれる咲夜に、恋をしたのだと。
今まで自分をこんなふうに見てくれる人はいなかった。
だからますます咲夜が欲しくなった。
自分を左腕で抱きしめている咲夜に、強く唇を押し当てた。
咲夜の豊満な胸が雫の胸にも当たり、今の温もり以上のモノが欲しくなった。
今度のキスはさっきまでの軽いキスではない。
自分の欲望のまま、咲夜の中に侵入した。
339 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/02(水) 06:25:26 ID:msnso/lv
「んぅ・・・っ」
突然の雫のキスに戸惑いつつ、咲夜は目を閉じた。
緊張しているのか、雫の舌はおどおどと何かを探るような・・そんなキス。
「んん・・・ふ」
咲夜は雫の鼓動が早くなってるのに気付いた。
重なる胸から響く小さな音。それはどんどん早くなる。そんな雫が愛しくてたまらなくなった。
咲夜も自分の舌を雫の舌にちょんっと触れさせた。
「ン・・・!?」
突然の事で驚いたのか雫の体がビクッとした。
一瞬離れて微笑みながら咲夜が言う。
「ふふ。・・可愛いですね」
雫は赤面した。
「あんただって・・」
そう言うと、今度は耳に舌を這わせた。
これも可愛らしくぎこちない。
「あぅ・・耳は弱いですぅ・・・」
341 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/02(水) 10:34:47 ID:k8nKkMvq
すると突然、雫は咲夜の耳を、ぱくっと口の中に含んだ。
「ひゃあっ!いっ、今、耳、耳を、た、食べ……」
目の前で表情をめまぐるしく変える咲夜を見て雫は淡々と言った。
「ふーん、いつもこんな“イイこと”してるんだ、姉ちゃん達……」
「い、いつもって、なんであなたが……」
「姉ちゃん達が 東京行ってから、上手くいったって聞いたから」
自分は皮肉っぽく言ったつもりだったが、思わず俯いてしまった。
咲夜は、俯いた雫の表情を見逃さなかった。
奏達の実家で、していた時と同じ表情だった。
自分は奏が好きだったはずなのに、その時から、どこか寂しそうな雫が気になって気になって仕方がなかったのだ。
咲夜は、そんな雫がたまらなく愛おしくなって両腕で雫を抱きしめた。
雫は思った。
自分が求めていたのは、この絶対的な安心感と温もりなのだと。
だけど、またどうせいなくなるのだ。
雫は少し怖くなったのか体が震えてしまった。
「大丈夫ですよ」
私はいなくなりません、と、いう咲夜の言葉に反応した雫は顔を上げた。
しかし、笑っている咲夜を見た雫は、ぎょっとした。
「あ、あんた腕痛いんでしょ!?何やせ我慢してんのよ!!」
342 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/02(水) 10:35:48 ID:k8nKkMvq
「だ、大丈夫ですよ。このくらい、大丈夫、大丈夫……」
「冷や汗だらだら流しながら何言ってんの!!バカじゃないの!?」
それでも咲夜は雫を抱きしめた。
しかし、雫はすぐに顔を上げ、何かを決意したような表情で咲夜を見つめた。
「雪姉ちゃんから聞いたけど、あんたさ、四月に試合があるんでしょ?」
「はい。二年生で始めての合同試合ですし雪乃先輩も引退しますから頑張らないと……」
「で、その体でも部活に出るんでしょ?」
「当たり前じゃないですか!」
と、笑って言う咲夜に呆れながらも雫は、ついに決心した。
「あたし決めたから」
「?」
「あんたが、これ以上無茶しないように春休み中は、あたしが見張るけど……」
「あんたの試合までには、その怪我は治るはずだから、新学期からは雪姉ちゃんに、あんたを見張っててもらう。あたしは 北海道に帰らないといけないから……」
「!!」
いきなりの発言に、しどろもどろな咲夜に、ニヤリと笑ってから、こう言った。
「ストーカーがストーカーされるのって、どう?」
346 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/02(水) 21:31:45 ID:msnso/lv
「いや、そ、そんな事言われても」
再び困惑する咲夜。汗は止まらない。焦りながらも今度は咲夜の反撃。
「そ、それよりも!あたしだけ肌を露出しているのは、なんというか・・・」
愛しい雫の事肌が見たいのだか、なにを言われるか分からないのでストレートに言えない。
「・・・。」
しばらく沈黙。
「…脱げばいいの?」
雫は素直に自分の服のボタンを外そうとした。
「あっ・、いや!それは私がですねっ!」
「いーよ…自分でやるから。」
「そ…そうですか」
抵抗しない雫に驚きつつ、少しずつ露わになる肌に見惚れていた。
咲夜は雫の鎖骨にキスをした。
私も痕、つけても良いですか?
347 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/03(木) 18:33:13 ID:uA1CdtHx
「あんたがもう、よそ見しないのなら……」
雫は俯きながら小声で言ったので咲夜は上手く聞きとれなかった。。
「へっ?何ですか?」
「ばか、言わなくてもわかってるでしょ?」
怖いのか震えている雫を優しく包みこむように抱きしめた。
そして、さっきキスをした同じ場所にもう一度、今度は強くキスをした。
すると雫が振り返った。
「付いた?」
「うーん、まだ薄いですぅ~」
「もうちょっと強く付けた方がいいんじゃない?」
「うーん……」
と、咲夜は一瞬考えた後、何かが閃いたように、勢いよく雫の鎖骨に噛み付いた。
「ちょっ!何すんのよ、いきなり!」
咲夜は少し意地悪っぽく笑って、「さっきのお返しですよ」と言った。
348 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/05(土) 08:28:23 ID:0lUf6uQC
そして咲夜は鎖骨に舌を這わせた。
「ちょっ…くすぐったい…」
「これであなたも私5も5です。」
「・・・もう。」
雫は顔を赤くして俯いた。すると咲夜は突然雫に覆い被さった。
「抵抗しないんですか?」
「…。」
349 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/05(土) 08:38:47 ID:vscmxtBg
雫は咲夜の右腕に巻いてある包帯を見て少し俯いた。
「お願い、もうこんな無茶しないで……」
「うーん、大好きな人を護るためだったら私は……」
ごにょごにょと口を濁す咲夜を見て、じわじわと涙が溢れてきた。
それを見た咲夜は、ぎょっとした。
もう、愛しい雫の涙を見るのは、ごめんである。
「わ、分かった!分かりましたから!泣かないで!泣かないで下さい~~!!」
357 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 00:26:52 ID:NDAQMhh0
(あ~、先輩達に、この事がバレたら『泣かせたら許さん!』なんて言われそうですね~~……)
「分かりました!分かりましたから!」
何を言っても泣き止まない雫が涙目のまま咲夜の方に顔を向けた。
途端、雫は、ぎょっとした。
なんと咲夜は巻いてある包帯をのけてしまったのだ。
「この傷も私の心も、体も、全部あなたのものです。もう私の心はどこにも行きませんから、例え離れていても私はあなたのことが好きです」
咲夜は、ぎゅっと雫を抱きしめた。
「メールアドレスは、あなたから教えて貰いましたから、今度は私から、あなたに電話番号を教えますね」
362 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/08(火) 14:09:39 ID:HrTQcq60
「…もっと、あんたの事知りたい」
「ええ、いいですよ」
「一緒に居てくれる?」
「もちろん」
すると雫は涙を流しながら咲夜を抱き返した。
そして、咲夜は雫の体にキスの雨を降らせた。
咲夜は雫に最大限の愛情を示した。
いつの間にか空は明るくなっていた。
364 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/11(金) 15:26:17 ID:PHkCuFR4
カーテン越しに暖かい日差しが背中に当たる。
どうやら、そのまま眠ってしまったようだ。
「おはようございます。今日もいい天気ですね」
咲夜の声を聞いた雫は、さっきまでぼんやりとしていた意識が一瞬で覚醒した。
すると、昨日のことが一気に雫の脳裏に蘇り、自分と咲夜のかっこうを見て、恥ずかしくなって顔が真っ赤になった。
「あ、あたし、あたし……」
雫が動揺していると、ドアの向こうからノックの音が聞こえた。
373 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/20(日) 19:15:37 ID:6OEzVSEL
ドアが開くと奏と雪乃が入ってきた
「咲ちゃーん!」
「咲ちゃーん♪具合はど~お??」
二人は急いでベッドに潜った。
雪乃が二人の様子を見て羨ましそうに言った。
「あーっ!仲良く一緒に寝たの??」
「えっと…あ、その」
咲夜はなんとかごまかそうとするが言葉が出てこない。
奏の表情は強ばっている。
「あんた達はー…」
「いいないいな~」
「いやいや!雪ちゃん、羨ましがる所じゃないっしょ!」
「かなちゃん、かなちゃん♪あたし達も一緒に~」
「毎日一緒に寝てるじゃん」
「やだやだー!一緒に寝るだけじゃヤーっ!」
「ちょっ…///いきなり何を言うかなこの子は・・」
「あ、あの~…」
「ねえちゃんたちのバカ」
唖然とする咲夜と雫。
二人のやりとりを見つつベッドの中でしっかりと手を繋いでいた。
375 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 00:37:17 ID:/fRBoFcS
「えーあー,ともかく。」
コホンと咳払いした奏がじっと二人を見つめる。
何か言おうとしている奏を押しのけ,雪乃は昨夜とかってに会話を進める。
「咲ちゃん怪我はどう?」
「はい。もう痛みも落ち着いていますし,それに‥‥。」
「それに?」
「雫ちゃんが介抱してくれたので,もう大丈夫です。」
「何が大丈夫なのさ。寝返るたびに痛がってたくせに。」
元気に返事した咲夜の横から,しれっと雫が口を挟んだ。
ぎゃいぎゃい騒ぐ三人に頭を痛めながら,奏が声を張り上げた。
「とにかく,アタシの話を聞けー!!!」
◇◆◇
二人に服を整えるように告げると,奏と雪乃は部屋を出て行った。
雪乃の様子とは全く異なり,奏はひどく動揺していた。
「ははっ,怒られちゃいましたね。」
「ねぇ‥‥。」
「どうかしたんですか?雫ちゃん。」
「あんた‥‥ほんとにあたしでいいの?」
服を着て,ぽてっとベッドから降りると雫は外の様子をうかがいながら咲夜に尋ねた。
「はい。」
376 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 00:51:45 ID:/fRBoFcS
にっこりと,とても優しい笑顔を向けて咲夜はそっと答えた。
雫はその答えに,胸が暖かくなるのを感じた。
雫はくるっと振り返って,不敵な笑みを浮かべて告げる。
「あんたのこと,これ以上無茶しないようにあたしが見張るから。」
「はい。」
「あたしは春休みが終わったら, 北海道に戻る。けど‥‥。」
「 北海道へは私が会いに行きます。」
続けるはずだった雫の言葉よりも先に,咲夜はそう告げた。
「怪我がきちんと治っているか,あなたに見てもらうために。それから,もうあなたにさみしい思いをさせないために。」
「‥‥‥。」
雫の胸に煌めいた輝きが,恋かどうかなんてまだわからない。
でもその想いは,姉への思慕を越えて雫の中で育ち始めている。
「ふっ,ふん。覚悟しなさいよ。あたしは姉ちゃんたちと違って,すっごく執念深いんだから。」
口から出る雑言は,ただの照れ隠し。
そんな和気あいあいとした口喧嘩はドア越しに部屋の外にもとどいていた。
奏と雪乃はドアの前で顔を見合せ,二人の妹達の門出を祝福していた。
(了)
最終更新:2010年11月11日 20:31