アットウィキロゴ

SS-44

AE01 フタリイレバイイノニ

◆iVKD6saJGBPT


AE01 フタリイレバイイノニ 0/5

奏咲ものです。
時間軸はEP07の終盤からアナザールートに入ったという感じです(AEはアナザーエピソードの略です)。
リレーでも可と言うことなので、気に入った方はバトンを引き継いでいただければ幸いです。

AE01 フタリイレバイイノニ eye:奏 1/5

 気づいたら、好きになっていた。もしかしたら、ユキちゃんよりも──。

「……はい?」

 二人きりの美術室前の廊下。目の前の娘は、まだ事実が受け入れられないみたいだ。

「あー、えと……だから、咲ちゃんのこと、その、好きになっちゃった…みたい……。LOVEって意味で」

 こっぱずかしいのを押し切ってもう一度告る。咲ちゃん──あしらってもスマキにしても、仔犬のようになついて全開の愛情をぶつけてくるこの娘が、今、とてもいとおしくてたまらない。
 咲ちゃんの反応を待っている間、私って、押しに弱いタイプだったんだなあ……などと、頭の片隅で思わず自己分析してしまう。

「ふ、ふぇぇぇぇ……っ」

 私を見上げる咲ちゃんの目から、突然大粒の涙をこぼれ始めた。

「え、ウソ、マジ泣き!? 私なんかまずいこと言った!?」

 予想外の咲ちゃんの反応に、思わず動揺してしまう。すると、咲ちゃんは首をふるふる振って言った。

「先輩、嬉し涙ってホントにあるんですね……」

 ああ、この娘は本当に私のことが好きなんだ。

「咲ちゃん、ちょっと目をつぶって」

 咲ちゃんは一瞬きょとんとしたが、すぐに言う通りにした。素直な子だ。
 今までスマキにしたり、スマキにしたり、スマキにしたりちょっと可哀想なことばかりしてたから、いきなり大サービスだ。
 私は、キスで咲ちゃんの涙をそっとぬぐった。ちょっとキザかな……?

AE01 フタリイレバイイノニ eye:咲 2/5

「先輩、ちょっとキザです……」

 夢のようっていうのは、こういう気持ちを言うんだろうな。嬉しさと恥ずかしさのあまり、私の顔はきっと真っ赤。
 目をつぶってといわれたときは、口に……と期待したけど、これはこれでやっぱり嬉しい。

「あはは……やっぱそう思う?」

 誕生日に、私の両親に「ありがとう」って言ったときから、私の中でとても存在が大きくなった人。あのときから、奏先輩のことを考えなかった日は一度もない。
 私はなんというか、一度決めるととことん突っ走ってしまうタイプで、正直ちょっと暴走してたかな、と思う。でも、それだけ奏先輩が好きで好きで好きで好きでしかたがなかった。本当に、自分でもどうしようもないぐらいに。
 クールなキャラの奥に、とても大きな愛を持っている人。それが奏先輩。

「でも、嬉しいです!」

 私は自分の気持ちを素直にぶつける。ついでに、先輩の胸元でぐりぐりして涙をぬぐう。こういうところ、やっぱり私は私だ。

「ちょ、咲ちゃん、こーらー!」

 先輩に軽くぺしっと頭を叩かれる。でも、まんざらでもないって感じが、力の弱さから伝わってくる。
 嬉しい、嬉しい嬉しい嬉しい。ああ、人生ランク現在ベストのこの瞬間。

 でも、ちょっと気がかりなのは──。

AE01 フタリイレバイイノニ eye:雪 3/5

(足、冷たいな…)

 いつも隣で寝ているカナちゃんが今日はいない。咲ちゃんの部屋にお泊り。当たり前だった状態が、当たり前じゃなくなるってこんなにつらかったんだ。私たちが 東京に出て行ったときの、しーちゃんの気持ちが少し分かった気がする。
 咲ちゃんいい子だし、カナちゃんが好きで好きでしょうがないのは私と同じ。どっちかが、こういう思いをしなければいけないのだ。今までは咲ちゃんで、今度は私の番。

「カナちゃんが二人いればいいのに……」

 とりあえず、旧寮でカナちゃんが使っていた枕をカナちゃんだと思って抱いて、眠りに落ちた。

AE01 フタリイレバイイノニ eye:咲 4/5

「先輩ってあったかい~」

 今、奏先輩と二人でベッドの中。雪乃先輩は、毎日こんなにぬくぬくだったんだ。ちょっとずるい。雪乃先輩も好きだけど、やっぱり嫉妬してしまう。私って嫌な女の子かな。奏先輩が二人いればいいのに……。

「ちょ、咲ちゃん密着しすぎ。ていうか、胸に顔うずめないの」

 奏先輩は口ではそういうけど、優しく頭を撫でてくれる。うんとうんと甘えよう、今までの分を取り返す勢いで。でも、私の決意もきちんと話しておかなきゃ。

「奏先輩、あのですね──」

AE01 フタリイレバイイノニ eye:奏 5/5

 いつもユキちゃんと一緒に寝てるから、ついナチュラルに抵抗なく咲ちゃんと同じベッドに入ってしまった。咲ちゃんの部屋はベッドがひとつしかないとはいえ、よく考えたらいきなり大胆どころじゃないな、私。習慣ってちょっと怖い。
 でも、ものすごく幸せそうな咲ちゃんの顔を見てると、なんか細かいことはどうでもよくなってくる。ああもう、かわいいなあ。小動物系はずるいぞ。

「奏先輩、あのですね。私、働いて先輩のラボのお金稼ごうと思うんです」

 はい? 突然の宣言に、思わず硬直してしまった。

「いや、咲ちゃん。お金はその、ユキちゃんが工面してくれるから……」

「だからなんです。私、奏先輩の本当のパートナーになりたいんです。親に言えば出してくれるかもしれないけど、奏先輩そういうお金じゃ嫌でしょうし、だから働くんです」

 服をぎゅっと握り締めてくる。決意が伝わってくる。同時に不安も。不自由なく暮らしてきた咲ちゃんが、私のために未知の世界へ飛び込もうとしている。

「私の目標は雪乃先輩です。私、きちんと奏先輩の中で雪乃先輩を超えたいんです」

 見つめてくる咲ちゃんの目は真剣だ。こんなことをされたら、こうするしかない。

「ありがとう。でも、無理はしないでね?」

 私は、咲ちゃんを優しく、でも力強く抱きしめた。咲ちゃんも抱きしめ返してくる。
 ユキちゃんごめん。私、本当に咲ちゃん好きになっちゃったみたい。ああ、私が二人いればいいのに……。



上へ /  次に進む  /  一つ戻る



最終更新:2010年11月11日 20:38
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。