中尉!!このお話には暴力的な表現は余り含まれておりません!!
舞台設定は現代的なシステムキッチンでお願いします。
ガチャリ キィィ バタン
我が家に帰ってきた。
家の中は泥棒にでも荒らされたように散らかっている。
しかし、慌てることはない。30分前家を出たときとなんら変わりはないからだ。
部屋の掃除はまた後で考えることにして、
早速台所へと向かい、買ってきたインスタント食品のパックをあける。
メインのものは冷凍されているのでしばらく自然解凍させ、
付属の調味オイルなどを取り出し、袋の作り方の欄を参照する。
しかし、そこには必要な調理器具やねぎや山椒と言ったお好みで用意するものが書かれているのみで
肝心の作り方が書かれていない。
なんてこった、こんな欠陥商品は初めてだぜ!そう思いながら袋に書かれた製造元に電凸しようと携帯を取り出す。
ピッポッパ、通話ボタンを押そうとしたその時、まな板の上で声があがる。
「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」
早い、もう溶けたのか。
まな板の上においておいた容器から冷凍れいむ達が元気良くとびだしてくる。
容器に入っていたれいむは全部で10匹、その10匹が綺麗に整列して俺に声を書ける。
「「「「「「「「「おりょうりたいむはじまるよー!!!!!」」」」」」」
意味不明な文字列「おりょうたいむはじまるよ」これをある法則にのっとって変換すると
「お料理タイム始まるよ」つまり、これから料理の時間が始まるという事だったのだ!!!
「残念だったな。やり方が判らないからお料理タイムは始まらないんだよ」
するとれいむ達から意外な反応が返ってくる。
「だいじょうぶだよ!!れいむたちにまかせてね!!!!」
どういうことだ?こいつらが料理の方法を知っているのか?
いや、
ゆっくりがそんな事を覚えられるはずがない。
困惑する俺をよそに、れいむ達は話を進めた。
「まずはおなべをよういしてね!!ふつうのじゃないよちゅうかなべだよ!!!」
「ねぎをきってね!みじんぎりでいいよ!!」
「だめだよ!!ほうちょうをつかうときはてはこうするんだよ!!」
そういってれいむは唇をかみ締めるように口をキュッと結んだ。
おそらく猫の手の事を身振り手振りで伝えようとしているのだろう。
普段はめんどくさくてそんな事はしないが、ピーチクパーチクうるさいので素直に従っておく。
そうこうしているうちにコンロに掛けた鍋が温まってくる。
「おにーさん!なべがあったまったよ!!ゆっくりあぶらをいれてね!!!」
「「「「「「いれたらゆっくりなじませてね!!!」」」」」
「ゆゆっ!ぶたさんのおにくをいれてね!!ぱらぱらになるまでいためてね!!!」
言われたとおり豚のひき肉を入れる。
それをお玉でかき混ぜながら、色が変わるまで炒める。
「そろそろいいよ!つぎはちょうみおいるとおみずをごひゃくしーしーいれてね!!」
れいむ達と一緒に入っていたこ袋の中身をと水をいれ、軽くかき回す。
タレが完成すると生唾を誘ういいにおいがただよってくる。
「みんな!いよいよれいむたちのでばんだよ!!」
「ゆっくりみんなでいくよ!!」
「せーのでいくよ!!!」
「「「「「「せーーーーーーーの!!!!」」」」」」」
そういってれいむ達はゴーゴーを熱せられた鍋の中に飛び込んでいく。
さぞや大きな悲鳴を上げるだろうと思っていたが、れいむ達は鍋の中でゆっくりとタレに使っていた。
「ちょうどいいおんどだね!!」
「たれもおいしいよ!」
「これならおいしくできるね!!!」
ワイワイキャッキャッと鍋の中で遊んでいる。
コロコロと転がりながら全身にタレを絡ませたり、
くんずほぐれつ頬をすり合わせてタレをしみこませたり、
まるで水遊びをしているかの様な光景が広がっていた。
「べたべた♪ぴりから♪」
しばらくして、十分にタレと馴染んだのかれいむ達はこっちに声を掛けてくる。
「おにいさん!ゆっくりあじみしてね!!!」
れいむ達にそういわれたので、おれはスプーンを取り出しタレを少しすくって口に運ぶ。
その様子をれいむ達は固唾を呑んで見守っていた。
「ん~、ちょっと塩味が足りないかな…。」
「ゆゆゆ!ひどいよ!!!」
不満げな俺の表情にれいむ達は顔を暗くしてそう言った。
中にヒクヒクと泣き出すやつまで居たが、そんなにショックだったのだろうか。
「まあ、そういうなって。これで解決するだろう。」
そういって俺は塩をオオサジ1ぱい鍋に入れる。
「ゆー!!だめだよー!!!」
サラサラと落ちていく塩を1匹のれいむが受け止める。
「なにするんだ!食べるのは俺だぞ!俺好みに調節させろよ!!」
「だめだよ!おにいさんがいれたのはおさとうだよ!!おさとうをいれるとゆっくりできないよ!!!」
そういわれて確かめてみると、確かにうっかり砂糖と塩を間違えていた。
「おさとうをなめたこはたべれないから、ゆっくりすててあげてね!!」
砂糖を受け止めたれいむが一歩まえに出る。
俺はお玉を近づけると、そいつは自ら飛び乗った。
「れいむたちはなまごみだよ!びんやかんとはいっしょにしないでね!!」
おたまの上のれいむを流しの三角コーナーに捨てる。
すると捨てられたれいむは糸の切れた操り人形のように動かなくなった。
その表情は笑顔で遠くを見つめていたが、どこか無表情なきがした。
意識を鍋のほうに戻すと、れいむ達は声を揃えて言った。
「「「「さん!にぃ!いち!できたよー!!!!!」」」」」
「ゆっくりできたよ!!」
「おいしくできたね!!!」
「これできっとおかさんもよろこぶね!!!」
れいむ達は口々に言葉を交わし、完成の喜びを分かち合っていた。
完成したと言うことでれいむ達を鍋に盛り付け食事の準備をする。
椅子に座りスプーンをもって手を合わせたところでれいむ達はこう言った。
「「「「「「ゆっくりたべていってね!!!!」」」」」」
今日買ってきたのは「冷凍ゆっくり麻婆の元」
⑨でも出来る3分クッキングというキャッチフレーズが特徴的だ。
最終更新:2008年09月14日 09:30