駄文注意。
私的妄想注意。
妹江男言葉注意。
かぐもこ推進派の過激団体?注意。
月夜の竹林。
月の狂気に照らされながら、藤原妹紅と蓬莱山輝夜は殺し合っていた。
妹紅の体は輝夜の放つ流弾に引き裂かれ、妹紅の放った符が輝夜の身を灼熱の業火で包む。
お互いに数多の致命傷を与え合う。
数刻の後、彼女らの「殺し合い」に決着が着いた。
妹紅の体に折り重なる様に倒れる輝夜。妹紅も輝夜も、もう既に動く気力はないようだ。
「今日の所は引き分けの様ね…」炎に焼かれて爛れた全身の痛みに顔を歪ませながら輝夜は言った。比較的無事な左腕を妹紅の胸の上に起き、うぅ、と唸る。
「ん…、いいから、退けよ…、重い…」血溜まりに倒れる妹紅は答えた。器官が破けているのか、口元には血の泡がついている。
「もこたん苦しそうw」
「わら、げほっ…、笑ってんじゃねえよ……っうぇ…」口に溜まった血を地面に吐き出す妹江。「お前なんか焼死体だ。…治るの、時間掛かりそうだな…」
「あれ?心配してくれるの?も・こ・たん♪」焼死体が悪戯っぽく笑みを返した。
「ばか…」意気消沈し、妹紅は輝夜から顔を背けた。
妹紅が顔を背けた先の、暗がりの竹の下で、なにかが動いた。
「ゆ!?みんな!!なにか落ちてるよ!!!」
ゆっくりである。
いつからこの幻想卿に現れたのか、気がつけばその数は爆発的に増えていた。中身は全て餡子という、何とも奇妙奇天烈な生物(なまもの)である。
中身が餡子なので人々の間では安価で手に入る甘味として広く親しまれているが、農作物などを荒らす害虫としてもまた、広く知られている。
「もこたん、なにあれ?」
「知らないのか?ゆっくりっていう変な生き物だよ、っていうかもこたんってやめろ」すっかり定着しそうになった愛称につっこむ妹紅。何だかんだ仲良しである。
「ゆ?これすっごいしゃべるよ!!」
「これにんげんだよ!!!れいむしってるよ!!!」
「「「ゆっくりしてるね!!!」」」
「おねえさんたちうごけないの?ばかなの?」
「「「ゆっくりさせてね!!!」」」
「ゆー!!!みっともないね!!!」
「うぜぇ…」長きに渡る因縁の下に「殺し合い」をしてきた妹江と輝夜、その二人の気持ちが通じ合った瞬間である。
傷つき動けない妹紅達の周りに集まり、好き勝手に喋り続けるゆっくり達。そんなゆっくり達を睨む妹紅達。
「おねえさんたち!!!いっしょにゆっくりしようね!!!」
一匹のゆっくりれいむの一言により、ゆっくり達は動けない二人に一斉に飛び掛った。
「ちょ!!?やめ…おいっ、・・・ッツ!!」
「ちょっと何よこいつら?…っい!!?上に乗るなぁぁ!!焼けてんだって、見りゃわかるだろぉぉぉ!!?」
二人の傷に容赦なく触れるゆっくり達。
「ゆっ!!?ここさわるとすっごいさけぶよ!!!」
「ああああっ・・・!!っっがああああっあああ…!!!」裂けた脇腹に思いっきり顔を突っ込まれる妹紅。その表情は様々な感情によって歪められている。
「いった・・・痛いっての!!殺・・・っんっっひぎぃぃいい!!!」爛れた背中を擦られ、苦悶の声を上げる輝夜。
「ゆ!!!すっごくおもしろいね!!!」
「「「ね!!!」」」
月が落ち、太陽が昇ってきた頃、ゆっくりによる戯れは佳境に入っていた。
妹紅は体の中を荒らされ、白目を剥き、口内に血の泡を溜めて痙攣している。輝夜は爛れた皮を少しずつ剥がされる痛みに耐えかね、「えーりん…助けてえーりん」と呟きながら放心している。
「ゆぅぅ、みんなたのしかったね!!!もういっぱいあそんだからかえろうね!!!」
「からだがヌメヌメだからかわでゆっくりしたいよ!!!」
「まりさもボロボロしたかすがついててきもちわるいぜ!!!そのいけん、さんせいなんだぜ!!!」
「「「おねえさんたち!!!」」」ゆっくり達は蹂躙され尽くした二人から少し距離を取った。
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
「あら、珍しいですね姫。妹紅と一緒なんて」永遠亭の玄関口にて、えーりんこと八意永淋は言った。実際この二人が「殺し合い」の後に二人で永遠亭に来るなんてこの長い殺し合いの歴史の中でも類をみない異変である。
ましてや妹紅が輝夜に肩を貸している。その輝夜もすっかり妹紅に身を委ねている。体に傷はないが、お互い裸同然の様に服がボロボロである。
その様子に勘のいいえーりんは何かを感じ取った様だ。
「えーりん…竹林の兎達を全羽集めて…」
「了解です、姫様」
二の次で了承し、えーりんはうどんげ達を呼びに、奥に消えた。
「妹紅…」
「ああ…復讐…なんかじゃ、ないぞ…」
まだ疼くのか、空いた左腕で腹部をさする妹紅。
「ええ、これは復讐なんかじゃないわ」
二人は憎悪の念により繋がれていた。二人の関係の始まりも怨みであった。
しかし、死力を尽くし殺しあう仲だが、二人はそれぞれにそれ以外の感情を抱いたこともあった。
永遠を逝き、須臾をも操る蓬莱山輝夜。時間などその身には意味を成さず、ただただ、目の前を通り過ぎてゆくだけ。その色のない世界に、濁った色にせよ、彩りをもたらした一人の少女。藤原妹紅。
輝夜への復讐のため、自らも蓬莱の薬を口にした妹紅。輝夜を探す旅のなかで気付いた孤独。誰も自分の横を歩けるものはいない。
そして念願の輝夜を見つけた時に感じたのは、復讐を成し遂げられる歓びではなかった。過ぎ去る過去に埋もれた微かな記憶。一目見たとき感じたのは懐古の情。あの時あのままの輝夜がいる…。私と同じ時を歩む、輝夜が在る!
二人はそんなお互いの気持ちに、気付いていたのかもしれない。
だからこそ、同じ目的を持った二人の結びは固かった。
ただの家畜に怨みなぞ持たない。
これから行うのは永遠を行く二人のただの戯れである。
「「虐殺だ!!!」」
ゆっくり虐殺という行為を建前に、二人に機会が与えられた。
それは、これから続く永遠を今より少しだけ有意義に出来るかもしれない、可能性だ。
「続」
最終更新:2008年09月14日 09:32