「う~♪う~♪」
目が覚めたら肉まんじゅうことれみりゃが目の前で踊っていた。
ちょっと待て、なんでこんな事になっている?
周りを見回すと部屋は荒らされ放題、
テーブルの上の料理も台所の鍋も滅茶苦茶。
「う~♪」
えーと、たしか昨日は給料日で酒を多めに買ってきて
「ぷっでぃ~ん♪」
調子に乗って呑みすぎ
「う~♪う~♪」
ていたらそのまま居間で眠ってしまっ
「はやくぷっで~ん持って来るんだどぅ~♪」
「うるせぇ!」
「ぶぎゅるうっ!?」
拳をれみりゃの脳天に叩き込む。
強烈すぎたのかれみりゃの頭が体にすっぽりとめり込んでしまった。
拳を引き抜くとべっとりと肉汁がまとわりついて気持ち悪い。
「うわ・・・そうか、あそこから入ってきたのか」
上を見上げると、天窓が開きっ放しだった。
「それにしてもこいつはどうするかなぁ」
「(ビクンビクン)」
ジャミラのようなシルエットになったれみりゃは床に倒れたまま痙攣している。
「こんなになってもまだ生きてるのかコイツは」
すぐにでも処分したい所だが、さきほどの肉汁まみれの腕が気持ち悪いので
とりあえずこいつは放置して風呂場で洗う事にしよう。
「ふう・・・さっぱりした」
洗い終えて居間に戻ると、顔がめり込んだままのれみりゃが部屋を徘徊していた
「うわっ!キモッ!?」
「・・・!・・・!!」
顔が胴体の中に埋まっているせいか何を喋っているのかはわからない。
そしてそんな状態の為かれみりゃも前が見えずに歩いては壁や家具にぶつかり
その度に地面に転がりもがいていた。
滑稽だがキモい。とてつもなくキモい。
しかしそれを眺めているうちにちょっとした悪戯心が芽生えてきた。
どうせ殺すわけではないのだし、こいつで遊んでみることにする。
まずは餓死しないように首がめり込んでいる部分にオレンジジュースと適当な食料を詰め込む。
「・・・♪・・・♪」
食べ物に反応して喜んでいるようだが無視。
次に頭が元に戻らないよう、首がめり込んでいる部分に木の板をあてて
それを適当な紐で固定する。
「・・・!!・・・!!」
何か抗議しているようだが無視。
そして納屋に放り込んで夜まで放置。
この状況でれみりゃ種の再生能力がどのように働くのかが見てみたいのだ。
夜、さっそく納屋に行き、木の板を外してみる。
「ぎゃお~♪たーべちゃうぞ~♪」
「うわっ!キモッ!?」
頭のめり込んでいた部分が口に変化して、
人間でいうところの肩の部分に目ができている。
SAN値チェックが必要なくらいのキモさだ。
「う~♪う~♪」
体が自由になったのが嬉しいのか納屋の中を歩き回るが
目が肩にあって上方向しか見えない為に昨日と同じように
何度も壁にぶつかっている
「う~?まえにすすめないどぅ~?」
あまりのキモさに呆然としてると
やがてそいつは納屋の入り口を探り当て、夜の闇へと消えていった。
俺はれみりゃを追わなかった。
おそらくあんな姿では長く生きる事はできないだろう
自分であんな姿にしておいてなんだが、
俺はあのれみりゃが少しでも長生きすることを祈った
最終更新:2008年09月14日 09:41