紅魔館×ゆっくり系15 ゆっくり誕生秘話1

パチュリー×ゆっくり系 ゆっくり誕生秘話1

初SSですが、思い切って新たな設定を打ち出してみることにしました。
東方キャラが主演で、若干キャラ崩壊していますが、ご了承できる方は進んで下さい。
終盤になってようやく、ゆっくりの登場と軽い虐待が行われます。
黄昏フロンティアのゲーム、ぱちゅコン!を一部参考にしています。




「うーん、うーん・・・」

湖には血のように紅く美しい夕日が映し出されていた。
今日は珍しく霧も出ておらず、窓から差し込む反射光が眩しい。
紅魔館図書室の主、パチュリー・ノーレッジは頭を悩ませていた。
ここには過去の外の世界、更には幻想郷中の書物が集結しており、
彼女もまた魔法の研究に日夜励んでいた。

と、コンコン。ノックの音が響き渡る。

「どうぞー。」

「パチュリー様、そんなに悩み詰めてはお体に毒ですよ。
 たまには一息ついて、外の空気でも吸ってきてはいかがかしら?」

銀髪の瀟洒なメイド、十六夜咲夜は言った。
というのも、ここ数週間パチュリーが悩み続けている様子は
瀟洒でなくてもわかる程度のものであった。

「それもそうね。ちょっとお茶でもいただこうかしら。」

「只今お持ちしますね。」

あれは紅い霧の事件以来だ。
度重なる白黒の魔法使い、霧雨魔理沙の襲撃により、紅魔館の書物の
実に3割が失われようとしていた。
「あ、またあなたね!」
「ちょっと借りていくだけだぜー」
「昨日持ってった本も、3日前持ってった本も、いつ返してくれるのよ!?」
と言うのも、一度に一冊や二冊ではなく、泥棒顔負けに風呂敷包みに
びっしり詰めて持っていくのだ。
「私が死んだら返すよ。お前にとっては短い時間だろ?」
パチュリーはその言葉をアテにはしていなかった。
魔理沙も魔法使いの端くれ。修行を積めば永遠の生命を手に入れることなど
不可能ではないだろう。そうなったら・・・
今まで書物を集めた紅魔館の住人、そして過去の自分にも示しがつかない。
そして何よりも、魔理沙の住処はキノコが生い茂るような魔法の森の奥深く。
大切な書物にいつカビが生えるかわかったものではない。
「早く何か手を打たないと・・」
持ち去られた書物は仕方が無いにしても、
これ以上の被害はなんとか食い止めねば・・!

「お待たせしました。」

思考は一時中断。咲夜が再び図書室に現れる。
彼女が手にしているトレーには紅茶と・・・

「あら。その白くて丸い、見慣れないお菓子は何かしら?」
パチュリーは尋ねた。

「これは饅頭というものです。幻想郷では一般的なお菓子ですのよ。
中には小豆という豆から作った餡子、外は小麦粉から作った皮ですわよ。」
パチュリーが分からないのもムリはない。今まではケーキやカステラを嗜み、
紅い霧の事変以来ずっと悩み続けてお菓子を食べている余裕すら無かったのだから。

「ふーむ・・・」

饅頭を見ていると、不意にあの白黒の顔が浮かんできた。
こんな忌々しいもの早く胃袋送りにしてしまおう。そう思うや否や、彼女は
饅頭を一口かじってみた。

「こ、これは・・・」

クリームやチョコレートとは違い、派手ではないものの奥の深い甘みが
口いっぱいに広がった。糖分を多く求める脳にとっては、
久々に甘いものを口にした嬉しさもあるのだろう。

ここで何かパチュリーの中で妙案が浮かんだようだ。

「咲夜。餡子と小麦粉、まだ残ってない?できるだけ沢山。
 新しい魔法の実験に使ってみたいのよ。」

「は、はぁ・・・。レミリア様のお気に召したようなので、買いだめて
地下室に保存してありますが・・。」
餡子を使って何をなさるのだろう・・?
さすがの紅魔館のメイドと言えど目を点にしている。

「それと明日、博霊神社に行ってくるわ。気分転換がてらにね。」
そういうとパチュリーは不適な笑みを浮かべた。

「実験は明日の夜から始めるわ。フランが入っていた地下室、使っていいかしら?」
パチュリーの目は、野原を駆け回る少年のように輝いていた。
「ええ、どうぞ・・」
もちろん咲夜には何のことかわからない。
が、元気出してくれたようなのでよしとしよう。

「では失礼します。レミリア様が起床なさったら夕飯にしますので、
 後ほど呼びに参ります。」


「えーっと、確かここだったかしら・・。」
咲夜が出てっていったからというものの、パチュリーは目の色を変えて
本棚をかき回していた。
「まさか・・。白黒に持ってかれた・・?」
それから数刻後、お目当ての数冊の本を探し出したようだ。
『ゴーレム作成術 ○○○・マーガトロイド著』(かすれていて読めない)
『遺伝子工学の最先端 -あなたも生物設計士- 八意 永琳著』
『植物の進化学 -花達の逆襲- 風見 幽香著』
などと書かれている。
ちなみに作者のネーミングセンスは不夜城レッドに近いものがある。
なんと言ってよいやら・・。
「これからは魔法と科学の融合を図っていかなきゃならない時代よ!
 白黒、見てなさいっ。」
パチュリーは勝ち誇った笑い声を放つ。

「ぱ、パチュリー様・・。夕飯の支度できましたよ・・」
そんなところを銀髪の少女の視線が突き刺さる。

「は、はいっ。今すぐいきまーす!」
呆気にとられた表情で、本を抱えたまま食堂へ向かう。
ここで白黒に持ってかれたらたまったものではない。
肌身離さず持ってきた。

「ぱ、パチュリ・・・。今日は珍しく沢山食べるのね・・。」
紅魔館の主であり、永き友人であるレミリアまでもが、そのカリスマを
崩壊させ目を点にしていた。
しかし彼女も内心はパチュリーの落胆振りが気がかりだったので、
元気を出したことに関しては嬉しいようで、その後素敵な笑みを浮かべた。

久々にまともな腹ごしらえをしたところで、パチュリーは
明晩の実験の準備にとりかかる。
「咲夜、ここのテーブルと椅子2つ地下室に持っていっていいかしら?
 あ、あとさすがに一人では運べないからそっち側持ってくれない?」
「ええ、いいですけどテーブルなら私となんだっけ・・・・、

 そうそう、中国に運ばせておきますからパチュリー様は・・。」
「いえ!研究者は体力よ!ちょっと体が鈍ってるみたいだからいい運動よ。」
それに中国じゃない美鈴だっけか。朝早くから日が落ちるまで門番を務めている。
この時間ぐらい休ませてあげないとね。って門番がいるのになんで白黒は・・・
あ、そうか空飛べるんだったっけ。と、パチュリーは納得していたのだ。

何とかテーブルを運び終えた。もちろん力仕事なんて滅多に無いので
肩が悲鳴を上げる。
「一晩眠ればなんとかなるかな・・。」

最近悩んでばかりで夜は眠れず昼は集中できず、の日々が続いていたが、
体を動かしたのが丁度いい疲労だったことと、一つの解決策を思いついたことで
すんなりとパチュリーは眠りについた・・。




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最終更新:2008年09月14日 11:08
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