妹紅×ゆっくり系2 ゆっくりたちのトラウマの夜後編

前篇前篇からの続きです。


竹林をのんびりと歩きながら永遠亭へと向かう。普通の人は迷ってしまう迷いの竹林だが生憎と私は普通の人間ではなく、しかも何回も通った道であり全く迷うことなく目的地へと向かっていた。
と、永遠亭が見えてきたが何やらいつもと様子が違う。
いつもは周りではねている兎こそいるもののどこか落ち着いた雰囲気だが、今日はどことなく殺気立っているように感じた。
行くのをやめようかとも一瞬思ったが、別に死なない身だしそんなに危険なこともあるまいしとそのまま門を開ける。いつもだったらすぐに兎が来るのだが今日は珍しい人物が出てきた。
「あら、どうしたのかしら?」赤と青の服を着た薬師八意 永琳だった。私が不死になった原因を作った人物でもある。
「いや、輝夜に会いに来たんだがあんたが出てくるなんて珍しいな。雰囲気も違うしなにかあったのか?」
「姫様の盆栽をあのゆっくりだったかしら?饅頭たちが倒してしまってね。今イナバ達はゆっくりいじりに夢中なのよ。私は餡子の甘い匂いから逃げようと外に出てきたの。」
なるほど、こっちでもゆっくりは暴れまわっているらしい。
「で、輝夜は?あいつ盆栽大事にしていただろう。」
「姫は過ぎてしまったことは仕方ないと思う人ですから。まあ、でもさっきまで永遠の力を使ってゆっくりをずっと死なせていたみたいだけどね「終わりがないのが終わり」とか言ってたけどどこで覚えたのかしら」
と、ここで新しい声が割り込む。「あら?永琳あのマンガ読んでないのかしら?死にたくても死ねない生物の話もあったし私たちにぴったりかと思ったんだけど」
永遠亭の主蓬莱山 輝夜だ。と、ここで私に気づいたらしく話しかけてくる。(まあ八意に話しかけた時から気づいていたはずだが)
「あら、妹紅。殺し合いにでも来たのかしら?」相変わらずマイペースだ。
「いや、今日はそんなつもりは余りない。良質な餡子が手に入ったんでなそのまま食べるのももったいないし、なんか羊羹でも作ってもらおうかと持ってきたんだ。」
「餡子はこっちでも一杯手に入ったんだけどねえ。まあいいわイナバに命じてなんか作らせましょう。それに、夕飯も食べてくでしょう?」
「話が早くて助かる。ちょっと夕飯が作れない事情が出来ちゃったんでね」
餡子の話で大体この二人も理解したらしい。すでに夕飯はできているらしく私は客間に通された。
「師匠。夕飯をお持ちしました。」「ありがとううどんげ。他のイナバは?」「さすがにゆっくり虐めにも飽きたのか食堂で食べてますよ。」「そう、じゃあ私達も食べましょうか。」
「「「「頂きます」」」」4人で挨拶をして食べ始める。メンバーはさっきの3人に月の兎の鈴仙だったか?いろいろ呼ばれているのを耳にするせいでいまだに名前がはっきりしない。
夕飯を食べ終わり、さっき私の持ってきた餡子で作った羊羹でお茶にする。と、ここで輝夜が話を振ってきた。
「で、大体察しはついているけどどうしたのよ急に夕飯をたかりに来るなんて」
「まあ、その推測は当たっていると思うがゆっくりに家を荒らされてね。食料を全部食べられちゃったのよ。」
「あの饅頭意地汚いみたいですからねー。うちに来たのも姫様の盆栽だけでなく人参畑も荒らしていきましたから。」
「まあ私の実験室に入ってこられなくてよかったわ。それにしても、あれは何なのかしらね?単純な生物に見えないし、解剖してみたけど中には餡子しか詰まってないし」
「さあ?人里でも大量に発生して畑を荒らしてるらしいけどまだ誰もあれがどこから来たのかどんな生物なのかわかってないらしいしね。」
「それにしても妹紅の家も襲われるなんて、ここにまでゆっくりが進出してきたのね」
「兎達も最近竹林で見かけることが多くなったと言ってました。今日のこともあるし対策を立てなければいけませんね。」
「幸い知能は低いみたいだから簡単な仕掛けで大丈夫でしょう。折角実験材料が手に入ったのだから駆除剤も研究してみるわ」
みんな思い思いのことを話すが、とりあえず共通認識は「うざい、迷惑、邪魔」のようだ。
とここで、輝夜が何かを思いついたらしく急に顔を輝かせて
「妹紅今日このあと暇でしょう?」と訪ねてきた。この顔の時は何か勝負事を思いついたときである。
「ああ、暇だけど…、殺し合いはする気はないぞ?」
「そんなのよりもっといい事よ!いい…?」
輝夜が今日の勝負事について説明を始めた。いつもはほどほどにと諌める八意もこの計画には乗り気らしくさっそく鈴仙に命じて、自分の研究室へ何かを取りに行かせた。

永遠亭の門の前で、私と輝夜は合図を待っていた。
輝夜の提案はこうだ。「夜が明けるまでに何匹ゆっくりを狩ることができるか?」
ゆっくり駆除にもなりストレス解消にもなる最高の案だった。カウントのため八意の作った使い魔がついて来る。期限は11時から朝の5時までの6時間。判定は永遠亭の前で使い魔のカウントした数をもとに行う。
スタートの合図は八意である。
「では行きますよ 3、2、1 スタート!」
と同時に私と輝夜は反対の方向へ飛ぶ。今夜は長い夜になりそうだ。

さて、どうしたものだろうか。慧音に聞いたゆっくりの習性を思い出す。あの時は話の種にもならないなとおもったがこんなことに役立つとは分からないものだ。
ゆっくりは元は昼行性だったらしいが数が増えると活動時間をずらすのも出てくるらしく、いまは夜行性のも存在するらしい。
だが、今回のような狩る数を競うのだったらどこにいるかわからないゆっくりを探すよりある程度目星の付けることのできる巣を探したほうが良い。そう判断し私は魔法の森の方向へ飛んだ。
ゆっくりたちは基本的に同種の仲間たちで巣を作る。しかし、その体系故固い土を掘るという行為が出来ない為主に水辺の近くの柔らかい土や木の洞、洞窟などに巣を作っているらしい。
魔法の森は妖怪たちもあまり立ち入らず、野生動物もいないため胞子を気にしないゆっくりたちにとっては最高の環境と言えた。
魔法の森につくと早速外れの川の近くへ向かう。ここは森が死んだところらしく、枯れた木がたくさんあるためゆっくりたちの巣になるようなうろが多いのだ。
一つ一つの巣を探すのも面倒だし、ここの付近には民家もない。ということで、さっそく私はここら一帯を囲むように炎を展開した。
だがそのまま焼き殺すのもつまらないのですぐに見つけた巣のゆっくりを起こす。
「ゆ…?ゆっくり寝かせてね…ZZZ…」せっかく人が火事だということを教えてやろうというのに。やっぱりゆっくりは生意気な生き物である。
少しムカっときたので、軽く髪の毛を焦がす。
「ゆっ!!熱いよ!!」いくら、鈍感でも流石に起きたようだ。といっても、私が火をおこしたことも分からないらしくあたりをきょろきょろしている。
「お姉さんだれ?こんな時間にゆっくりしにきたの?」
「いや、このままだとあなたたちがゆっくりできないから起こしてあげたのよ。」
「ゆっ?どうして?ここはれいむたちのおうちだよ!!ゆっくりできるよ!!」
「ほら、あそこを見てごらん。燃えているでしょう?どうやら火事が起きたようなのよ。早く周りのみんなを起こしてあげないと」
さすがに火事の危険は知っているらしく、ゆっくりは「ゆっ!ゆっくりみんなにしらせるよ!」と、あまりゆっくりとは言えないスピードで自分の家族を起こすとそのまま周りの家族を起こし始めた。
起こされたほうもはじめは「ゆっくりさせてよー」とか「夜なんだからゆっくりしていってね!」と文句を言っていたがはじめにつたえたゆっくりが「ゆっくり火がきてるよ!!」と伝えるとあわてて周りを起こしに行った。
こうして、10分もたたないうちにあたりのゆっくり全部が集まってきた。
私の予想は当たったらしく、ここは霊夢種の大営巣地らしかった。適当に数えてみたがどうやら2~3百匹ぐらいいそうだ。
このゆっくりたちが集まって口々に
「ゆっくりどうしよう!!」「ゆっくり逃げよう!!」とか言っている。真ん中のほうのよくわかってない奴らはまだ「ゆっくりしようよ!!」とか「ゆっくりしていってね!!」と言っているが。
流石脳が餡子なだけあり、まったく話がまとまる気配がない。なのでここで助け船を出すことにした。
「はーいみんな聞いてねー」少し声を張り上げると一斉に視線が集まる。ああ気色悪い。
「ゆ?お姉さんどうしたの?」始めてみる人間に戸惑うゆっくりも多い。
「よーく聞きなさいね。このままだと確実にあなたたち真っ黒焦げに焼け死んじゃうわよ?」と少し脅すと途端に
「いやだあ”あ”あ”!!ゆ”っぐりじだい”い”!!」「ゆ”っぐりざぜでえ”え”ぇぇ!!」と一斉に喚きだす。煩いことこの上ない。
「だから私の話を聞きなさい。いい?炎の高さは低いわあなたたちのジャンプ力ならとび越えられるわ。それに火がついてもすぐにそこの川で消せばいいじゃない。」
途端に、ゆっくりたちの顔が明るくなる。「お姉さん頭いい!!」「ありがとう!!」この程度のことが考え付かないとは流石は餡子である。まあ今回は思いつかないほうが苦しまずに死ねたんだけどね。
「ゆっくり越えるよ!!」一番元気そうなゆっくりが早速飛び越えにかかる。初めの一匹はそのまま逃がしてやる。初めの一匹はね。
あっさり炎をこえたゆっくりは「ゆっくりできるよ!!みんなもはやくゆっくりしよう!!」と呼びかける。
それにつられて、10匹程度のゆっくりが一斉に火を飛び越えようとする。
ここで、火をコントロールしてゆっくりたちに少し燃え移るように高くする。「ゆっ!!熱いよ!!」「ゆっくりさせてね!!」もちろん軽く燃え移るぐらいでは致命傷にはならない。火を越えることができたという安心感もあり、今度は落ち着いてはいるようだ。
「ゆっくり川で消してね!!」先に越えた燃えてないゆっくりの合図で一斉に川に飛び込むゆっくり。だが、不死鳥の炎はそんなに甘いものじゃない。
「ゆっ!?おかしいよ!!」「ゆっくり火が消えないよ!!」「ゆっくり熱くなってきたよ!!」
私の不死鳥の炎は普通の炎と違う。私の思い通りに操ることが可能であり。私が望んだ時にしか消えない。これを無理やり消すには何らかの魔力が必要である。
当然の如くそんなことも知らないゆっくりはパニックに陥る。
「ゆっくり消えでよお”ぉ”ぉぉ!!」「ゆ”っぐりじだいよ”おぉぉぉ!!」川の中で暴れまわるゆっくり。だが、火に気を取られたあまり自分たちが何かであるかを忘れたらしい。
「ゆ”ぐっ!!れいむのあんこがあ”あ”ぁぁ!!」暴れまわった結果、水でふやけた皮を川底の岩で削り取ってしまったらしい。
その惨状がを見てパニックに輪がかかる。
「ゆ”っぐぐぐ!!おさないで!!ゆっくりでき…ゆぐっ!!」もう一匹がパニックに陥った仲間に押され皮が破けてしまったらしい。
もはや周りも見えずに混乱するゆっくり。火は消えない、でも消そうと川で暴れると皮が破ける。どうすればいいのかわからない。
その恐怖はまだ火の輪の中にいるゆっくりの群れにも伝わったらしく大混乱が始まる。
「ゆっぐりじだいよ!!」「黒こげになりたくないよ!!」
そのうち、外にでたゆっくりのも決着がつく。先に越えたゆっくりが水を口に含み仲間にかけていたがすでに火だるま状態のゆっくりにはほとんど効果がない。
川に目をやるとふやけて餡子が川に流されてしまったゆっくりのなれの果てがひーふーみー…4つほどあった。
燃えているゆっくりも既に動かない炭と化しているのが5つ、あ今最後の一匹が「ゆ”っぐり”じだがっだよ”お”ぉ”ぉ”!!」と最後に奇声をあげそのまま動かなくなった。
外に出た一匹は周りの仲間の惨状を見てガタガタと震えていた。目の前のゆっくりの群れも既にまともな思考ができる状態ではない。
と、ここで一匹のゆっくりが私の事を思い出したかのように近づいてくる。
「やさしいお姉さん!!ゆっくり助けて!!」必死に懇願してくる。確かにイライラする顔だが、涙を流して懇願されると少しは同情してやろうかなという気にはなった。さっき私の家を荒らした奴らと違って非はないんだし。それに、この恐慌状態を見るのも飽きたしそろそろ他の巣を探して殺さなければ輝夜に負けるかもしれない。
「わかったわ助けてあげるからみんな一か所に固まりなさい。」ばらばらになりかけていたゆっくりの群れを一ヶ所に固める。
「ゆっくり助けでね!!」「お姉さんありがとう!!」火事を知らせた私を信頼しており、他に頼る手もないゆっくりたちはすぐに集まった。
「いい?みんな集まったわね?火を越えたゆっくりたちみたいな目に合わないようにしてほしいのね?」
「ゆっくりそうだよ!!」「ゆっくりしたいよ!!」
「わかったわ、じゃ行くわよ…」
「ここから出たらお姉さんもゆっくりさせてあげるね!!」「いっしょにゆっくりしようね!!」
私を完全に信用しきっており、ここから出れるよ信用しきっているようである。私はさっきのような目に合わないようにしてあげるとしかいってないのに。
「っ!?」悲鳴すら上がらなかった。
最大火力で一瞬でゆっくりの群れは物言わぬ炭の山と化した。少しもったいない気もしたがまあ情けである。
「ゆっ?!みんなは?みんなをどうしたの?!」外で一匹だけ助かっていたゆっくりが跳ねている。火の輪を消すとこっちへ近づいてきた。
「お姉さん!みんなをどこにやったの!!」まだ、あの炭の山が家族だったとわかってないらしい。まあ無理もないだろう一瞬しか火は見えてないのだから。
そのゆっくりに、私は優しく教えてやった。
「あの子たちはね。先にあの世でゆっくりしていくってさ。あの黒い山があなたの家族たちのなれの果てよ。」
「ゆ”っぐ…?!お姉さんが燃やしたの…?」「そうよ、苦しまずに死なせてあげたの。」
その言葉を聞いたとたんゆっくりは一目散に逃げ出した。霊夢種は仲間意識が強いらしいが敵わないと判断したのだろう。だが、悲しいかなゆっくりのスピードでは私の能力からは逃げられない。
「ま、いいわ。あなたも可哀想だから一瞬で仲間のところへ送ってあげるわ。」

大営巣地をつぶした後は、あまり狩ることはできなかった。せいぜい夜行性のれみりゃを十数匹焦げ肉まんにしたぐらいである。
しかし、あれだけの数を殺したのである。勝利を確信した私は少し余裕をもって永遠亭へと向かった。
「あら、まだあと10分ぐらいあるわよ?」
「いいさ、これ以上探しても大して増えないだろうし。」
「そうなの。姫様もこっちへ向かってるし揃ったら集計しましょうか。」どうやらあの使い魔には位置を知らせる機能もあるらしい。
「とうちゃーく!ってもういたの?意外と早いわねぇ。」5分前になって輝夜が到着した。着物の裾に餡子が少し付着していた。
「じゃ、揃いましたね。では結果を発表します…」
まあ、300匹以上殺したし夜にしては上出来だろう。輝夜の能力はあまり大量に殺すには向いてないはずだ。
「姫2657匹妹紅312匹 よってこの勝負は姫の勝ちよ」
「ちょっと待て2657?冗談だろどこにそんなにいたんだ?」
2657もいたらそこら一帯枯れ果ててしまうだろう。八意が贔屓したのかもとも思ったがそれならここまで大げさにはやらないはずだ。
「うふふ。私の能力をちょっと使ってね。ゆっくりは繁殖力が高いから楽だったわー」
やられた。こいつの能力は永遠と須臾を操る程度の能力。大方夜を引き延ばすかしてゆっくりを繁殖させて殺したのだろう。
「ちょっとずるいわよ輝夜。それじゃ初めから私は勝てないじゃないか。」
「はじめにルールの設定の時に言わなかった妹紅が悪いのよ~。でも、これでしばらくはゆっくりに悩まされることはないんじゃないかしら?」
まあ、確かに今回の戦いは負けてもあまり悪い気分はしなかった。あまり殺生は好きではないが、生物かどうかも分からない饅頭相手では罪悪感のかけらもなかった。
「今度やるときはその方法は禁止にしてほしいわね。」
「もちろんよ。あまりこんな方法で勝ってもうれしくないもの。」といいながらも口元が笑っている。輝夜もゆっくり相手には情けのかけらもないようだった。
「じゃ夕飯ごちそうさまだ。人里へ行って食料の補給をしなくちゃいけないんでな。」
「またやりましょうね~。じゃ永琳布団の用意をして。流石に一晩中遊んでたら眠くなったわ。」
どうやらこの姫様はお休みになられるようだ。
私も買い出しが終わったら寝るとしよう。そう思いながら迷いの竹林をゆっくり歩いて行った。

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後篇です。
はじめは輝夜のサイドも書こうと思ったのですがとりあえずこれでおしまいです。
今度は世紀末ゆっくりかゆっくりハンター2を書こうかと思っていますが、問題はどっちもオリキャラが出てきてしまうんですよね・・・

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最終更新:2008年09月14日 11:09
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