にとり×ゆっくり系1 しなないゆっくり

「・・・よし、完成だ・・・・・!」
河城 にとりは興奮していた。


ここは河城にとりの研究室 ゆっくり加工場内支部、
不死の薬の雛形が誕生した瞬間だ。
これはにとりがれみりゃの異常な再生力に目を付け、永遠亭の蓬莱の薬に関する文献を参考にし、
ゆっくり加工場の資金協力を得てどうにか試作品完成の段階にまでこぎ付けた代物だ。
加工場側には「新種のゆっくりの開発がしたいので協力してくれ」と話を通してあるが、
それよりも研究者としての個人的な欲求を満たす為の物だった事は事実である。
しかし、その援助が無ければこうして薬が完成することは無かっただろう、
これの開発には物凄い手間とコストが掛かり、尋常ではない回数にのぼる試行錯誤の果てにようやく生み出された物であるからだ。
とはいえ、今目の前にある薬の量は梅干しの種大程度の量、
そして初物の薬ほど危険な物はそうそう無いという事をにとりはよく知っていた、
しかしここはゆっくり加工場だ、被験者は目の前に居る。

「・・・ゆっ?」
キョトンとした顔を向けるれいむ種のゆっくり、まさに適役である、
「ほら、食べてみな。」
にとりは黒光りしてドロッとした豆粒状の薬を差し出す、ペロリと舌を出すれいむ、
「にっがーい!!」
いやいやするれいむ、仕方ない、好物のいちご大福に埋め込んで少し時を置いて食べさせる。
「む-しゃ。むーしゃ。 しあわせー!!」
残さず飲み込んだようだ、とりあえずしばらくの間はゆっくりさせる事にする。

小一時間も経った頃か、
「・・・もういいかな」
にとりが呟くと、無邪気に跳ね回るれいむにつかつかと歩み寄り、両者向き合う形になる、
「ゆゆっ!?どうしたのおねーさん!」
そして頬の肉をおもむろに掴み、思い切り引きちぎる!
「ゆ゙ーーーーーっ゙っ!!」
れいむは目を白黒させながら叫んだ
「ひどい゙よおね゙え゙さん!!どゔじでこん゙なごどずる゙の゙!?」
      • にとりはれいむの叫びを聞き流す、
にとりはゆっくり自体は嫌いではなかった、ことにこのれいむ種は多少勝ち気だが割と素直な性格で市場でも人気が高かった。
「・・・・・加工所のゆっくりには二種類しかいない、増やすゆっくりと、食べられるゆっくりだッ・・・!」
誰に言うとも無く呟くにとり、そうこう言ってるうちにあらかた仕事は終わっていた、
そこには既に体内の8割以上の餡子を掻き出されたれいむが居た、言葉も発せずにただプルプルするのみのれいむ、
もう既に見飽きた饅頭の残骸、加工所の風物詩的な存在である、しかしその饅頭は他のそれとは違った、
傷口から覗いている中身の餡子が増えてきているのだ、それもミリミリという音が聞こえてきそうな程の早いスピードで、
そしてれいむの中が程なく餡子で満たされ、白濁食の薄皮が出現したと思ったらそれは赤みを帯びた肌色に染まっていた、
その復活劇は、理科の授業で見せられたセミの脱皮の早回し映像の如き速度で繰り広げられたのだ、
そしてそこにはその間じゅういつものポカーンとしたハテナ顔で受け入れていたれいむと、
目を見開き穴が開きそうな勢いでれいむを見守るにとりの姿。
「ゆ?? すごい!れいむいきかえってるー!!!」
れいむは興奮している、にとりはそれ以上に興奮している。
「・・・・・成功・・・した。」
そしてその日より、ゆっくり加工場にて不死身のゆっくりの研究が開始されたのであった。





~時は流れ一ヶ月後、しなないれいむの研究は続いていた。

そしてそれによりいろいろと分かった事があった、
再生能力は研究のベースとなったれみりゃの数倍、しかし日光に弱いという性質は引き継がれていない、
強いて言えば多少日に焼け易くなった程度だという事、
他に子ゆっくりは完全に普通のゆっくりと変わらないという事、
そしてどんなに致命的な傷を負っても、体の中の一箇所にコア(核)を残して、ゆっくり再生するという事、
コアはぬめっと黒光りする梅干し大の豆粒状の物質で、ちぎっても潰しても煮ても焼いても一瞬で元通りになるという事、
コアから無尽蔵に湧き出る餡子のお陰で、動けなくなる程空腹にはならないという事、
そしてコアから湧き出た不純物ゼロの餡子は驚くほど美味だったという事だ

実験は時に壮絶であった
たとえばゆっくりの苦手とする水責めの時は
「ゆっくりやめてね! ゆっごぼグびぶバリ゙ぇ゙」「ぶ゙バ゙が゙ば゙ガ゙ヷば゙が゙ぐ゙ゲ゙ダ゙が゙ば゙ぎ゙ャ゙あ゙ア゙ャ゙」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐヴ」「ぶ゙ガ゙ゲぎ゙ャ゙ア゙バ゙が゙ば゙あ゙ヷば゙が゙゙ダ゙が゙ぐば゙ャ゙」
「グぼバャてっね・・・・・・・・ゆ? すっきりー!!」
と、水没後かなりの時間を置いて、ぶにゃぶにゃの躯の中からずりゅっとつやつやしたゆっくりがもぞもぞ出てきたり、
炎の燃えさかる部屋に投げ入れた時は
「はやくたすけてね! あづい゙よ゙お゙ぼぉ゙」「ぐギャ゙あヴぁ゙ゔば゙ア゙バぶぅ゙る゙ガ゙ぎゃ゙ギャ゙が゙ゲ゙が゙グ゙イ゙ギ゙」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・ヴ・・・ゆ゙・・・」「・・・ヴ・・・っ゙ブグり゙ず゙ぁ゙え゙であ゙ヅい゙よ゙ぼオ゙お゙ぉ゙ぉ゙」
「ヴゆ゙ゆ゙ぐゆ゙・・・・・・・・ぷー? あつくなくなってるーー!!」
と、すっかり黒ずんだゆっくりの燃えカスから脱皮よろしくあたらしいゆっくりが這い出してきたり、
餡子を押し出すプレス機で潰してみた時は
「や゙め゙で! ゆ゙っ゙ぐり゙ざぜでえ゙ぇ゙ぇ゙」「ゆ゙ぶ!い゙だい゙グぎゅ゙ヴり゙ゅ゙ぶル゙あ゙・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆ゙ぐ゙・・・」「・・・ヴ・・・っ゙グぎゅ゙ヴり゙ゅ゙ぶル゙い゙だ゙あ゙ぃ゙い゙」
「いだ゙・・・ゆ゙・・・ぐ・・・・・・・・もう・・・! いたいのはやめてね・・・!!」
と、平らな薄皮を押し退けみるみる膨れ上がるゆっくりだったりと、
こんな具合でしなないれいむは物凄く苦しむが絶対に死ぬことは無く、30分もあれば蘇生するのだった、

また、仮死状態に陥る経緯(以降は死に方と表記する)によって精製される餡子の風味が違ってくるのだ、
水責めで死んだら水っぽく、焼け死んだらふかふかの、圧死なら歯応えのある餡子になっていた、
幻想郷では、恐怖や苦痛を与えたゆっくりの餡子は旨くなると言われている、
だが、死ぬ以上の苦痛を与えられた上で混じりけ無しの純度100%の餡子は、このしなないれいむからしか採れない、
にとりはこれは商売になると思った、まず加工場の責任者にこの餡を食べさせよう、
これだけ美味い餡子が出来るなら、不死のゆっくりの研究にも少なからず予算を捻出してくれるだろう。

ほどなく究極の餡子プロジェクトチームが結成された、どの死に方が旨い餡子を生み出すかを徹底的に研究するのだ、
にとりはしなないゆっくりに対する探究心を満たしたいという思いと、
あわよくば不死の薬を実用できる物にしてやろうという野望を胸に、しなないゆっくりの研究に傾倒していった。





~そして時は流れ数ヵ月後

幻想郷において、加工所から超限定数のプレミアム漉し餡が販売されるようになっていた。
その味は、洋食派のアリスも顔を真っ赤にさせて興奮する程に美味であり、
その値段は、博麗神社の巫女の顔を真っ青にさせるのに十分の物であった。

しなないれいむが最も旨い餡子を精製させる死に方は、膨大な時間を要する手作業であった。
まずしなないれいむを1センチ四方程度分摘まみ、引きちぎる、これを、完全に均等になるまで続けるのだ、
声が出せるうちは「ゆ゙っ゙!!」 「ゆ゙っ゙!!」と声を出し、
時に「おぢさんやめてね!!」「はやくやめてね!!」と抗議する、
そのうち「い゙だい゙い゙ぃ゙」「や゙め゙でえ゙ぇ゙」と懇願し出し、そして喋ることもかなわなくなる、
これを加工所の職員が数人がかりでやる、所有時間は30分程度だ、
次にコアの含まれる部分が蘇生を開始したら、他の破片は片付けられる、
その蘇生の際に、口をひらける程度まで回復すると「い゙だい゙い゙ぃ゙」 「ゆ゙っ゙!!」 「ゆ゙っ゙!!」とわめき出す、
そしてしなないれいむが「ゆっくりなおったよ!!」などと言うまで加工所の職員にじっと見守られる、
この間も所有時間は30分程度、
そして蘇生したばかりのしなないれいむからおもむろに極上の餡子を採集する、これには10分と掛からない、
そして蘇生が終了し、しなないれいむを休憩させるまでで1セット、計3時間の採集作業、
これを一日4セット、拘束時間12時間の苦行である。
残りの12時間はしなないれいむがゆっくりできる時間だ、寝ててもいいし他のゆっくりと遊んでてもいい。

それともう一つ、にとりは不死の薬は妖怪や人間には使えない物であるという事が分かっていた、
妖怪や人間が薬を服用して死んだ場合、まず発狂するであろうからだ、
普通の妖怪や人間は、限界を超える痛みや苦痛を受けた際には意識をシャットダウンして神経がショックの直撃を避ける、
だが、あの薬はそのリミッターを効かなくするのだ、通常の妖怪や人間ならば二、三度死ねば精神崩壊は免れないだろう、
これはしなないれいむをれみりゃの体内で3日程放置した後救助するという実験の際に、しなないれいむの
「あづかっ゙たあ゙ぁ!!ピリ゙ピリ゙いだかっ゙だあぁ゙ぁ!!」という感想?で確信した事だ、
それにしても何故このゆっくりは気が触れないのか、にとりにはどうしても納得できなかった、
「まったく、ゆっくりって奴は本当に都合良くできてんな・・・。」にとりは苦笑するしかなかった。

不死身のゆっくりの研究室には既に加工所も大きな予算を割くようになっていた、
餡子の生産が追いつかないので、不死の薬を増産しようという話なのだ、
加工所に絶賛殺到中の「ええい、究極のつぶ餡はまだかーーーッ!」という問い合わせも後押しとなっている、
にとりは研究室に、しなないまりさをしなないれいむと共に住まわせるという事は既に決めていた、
そしてそれは程なく現実のものとなるだろう、
そのにとりの願いは、哀れなしなないれいむに対する同情なのか、研究者としての興味と探究心なのか・・・・・。
しかしそんな事はどうでもいいと思った、今やしなないれいむは、言わば食べられるれいむの頂点のような存在なのだから。


                                               -完-

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最終更新:2008年09月14日 11:27
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