「うりゃ!!」
チルノはマウントを取り、
ゆっくりれいむを殴りつけ、
それを助けようと駆けてきた、ゆっくりまりさ達を霙で打ち抜く。
ゆっくりれいむが死ぬと、その死体を凍らせ、ゆっくりパチュリーに投げつける。
氷塊となったゆっくりれいむはゆっくりパチュリーとその後ろにいた子どものゆっくり達を押し潰し、壁に当たって砕けた。
その様子を見送る事もせず、チルノは別のゆっくりまりさを氷柱で串刺しにする。
ゆっくり達に取り囲まれ、チルノは体制を構えなおす。
後ろから体当たりしたのを避け、相手が今度は背面を晒すと躊躇せず、霙を放つ。
油断している相手を蹴りで浮かし、ボレーキックの要領で別のゆっくりに当てる。
その際、巨大な氷柱にそのゆっくりの後を追わせ、着弾と同時にゆっくり二匹をその氷柱が貫く。
力は常に放出し、部屋全体の温度を下げる。それだけでゆっくりの動きは緩慢になり、こちらは行動がしやすい。
噛み付こうと口を開けて飛びついてきたゆっくりアリス、その口に拳を打ち込んでやる。
打ち込んだ後は冷気を放出し、ゆっくりアリスの氷塊は後ろにいたその子ども達を潰す。
逃げようとするゆっくりパチュリーを飛んで追いかけ、氷漬けにする。
チルノは本気でゆっくりと容赦なく戦っていた。
油断せず、躊躇せず、遠慮せず、チルノは真剣だった。
ゆっくり相手にやりすぎだ。熱くなりすぎだと人は笑うかもしれない。
チルノの考える最強、強者はこういうものだった。
2千匹いたゆっくり達がものの1時間で全滅させられる。
室内の温度は-9度、本来27度に設定していたというのに、チルノの冷気がここまで気温を下げていた。
もちろん-9度なんて気温、ゆっくりが従来通り活動できる気温ではない。
子どものゆっくりパチュリーならこの気温だけで死に至るだろう。
チルノは強さを見せ付けて、その場にへたり込んだ。
「ああ、疲れた!!」
鈴仙が防寒具を着こんでチルノに水や食料を届ける。
「あんがと、ふー、生き返る」
- 9度の部屋でチルノは氷のたくさん入った麦茶を飲み干す。
「あれが強者の戦い方?優雅さに欠けるわね」
「それは勝者の戦い方よ。虎は兎を狩るのにも全力を出すというわ」
「・・・そうね。私たちはさながらコロッセウムで猛獣と剣闘士の戦いを見守る権力者ね」
紫と永琳、レミリア、フラン、幽々子、輝夜、神奈子、諏訪子はスキマを通じてチルノの戦いを観戦していた。
「あんな余裕の無い戦い私はゴメンだわ」
「そうね、私も」
そこへチルノを連れた鈴仙が戻ってくる。
「これはこれは剣闘士様。勇猛でしたね」
「ええ、最強の名に相応しい」
少し嫌味を含んだ言い方に鈴仙は眉をひそめたが、
チルノは全く気にせず「でしょ」と笑った。
「ええ、私たちはゆっくり相手にあそこまでできませんもの」
「本当に。ゆっくり相手では中々本気が出せないからね」
鈴仙はいよいよ気分が悪くなって、チルノに謝るように言おうと思う。
しかし、鈴仙はの言葉よりチルノの言葉の方が早かった。
「ゆっくり相手に本気出したいの?簡単だよ」
そう言うとチルノは部屋を飛び出した。
「もう、皆様、あんな言い方をしてはチルノが可哀想でしょ!!」
鈴仙は自分より格上の相手を叱る。
神奈子と諏訪子はちょっと早苗に似てるかもと苦笑いする。
レミリアとフランは咲夜はこんな事しないわと言い。うちの妖夢もよと幽々子は続ける。
紫は本当に残念そうにうちはもっとキツイ言い方をするわと嘆く。
そこへチルノが戻ってくる。
「はい、このゆっくりまりさならみんな本気出せるよ」
8人は笑った。こんなゆっくりまりさが私達を本気にできるわけがない。
「おい、ばばあ、ここをまりさのおうちにするからでていってね。ばばあ、きいてる?」
その日を境に幻想郷からゆっくりというものは消滅した。
未だにその日の事は謎が多い。異変が発生したのが永遠亭である事から最初は何かの薬物実験かと思われたが、
ただ主犯とされるチルノ本人が「本気を出した」と証言している事から、妖精が起こした最初で最後の異変として幻想郷縁起に記載されている。
天狗が同時刻に永遠亭にいた幽霊や妖怪、神様や蓬莱人、兎にインタビューしたが、全員堅く口を閉ざしていた。
ただ、天狗の話では兎は何かに怯えているようだったらしい。怯えるほどの力がチルノにあったのだろうか、
最終更新:2008年09月27日 13:48