※ドロワの中設定あり
※後半ネチョあり、要注意
「おねーさんのかみ、きれーだね」
「ん、そうか?」
いつも奇異な目で見られる銀髪を褒められて私は妙な気分になる。
銀髪なんか人間じゃ珍しい。ま、
ゆっくりの常識は人間のそれとは違うのか、
この髪が綺麗かどうかは知らないが、常識に囚われていない分、ゆっくりの方が完成が自由なのかもしれん。
ゆっくりアリスは手鏡の前で自分の髪やヘアバンドをチェックしてる。
「その子、アリスにしては落ち着いてますね」
エイムがゆっくりアリスを見て、不思議そうに言う。
「ああ、性欲減退剤を使ってる」
「あれってゆっくりアリスには効かないんじゃ」
「市販の奴か?あれは濃度が薄いからな。私が使ってるのはこの錠剤だよ」
そう言って千夜は錠剤をエイムに手渡す。
「食べるなよ。人間の食べ物じゃないから」
「わ、分かってますよ」
「その錠剤を砂糖水で薄めたものが市販されている性欲減退剤さ」
「じゃあ、材料なんですか?」
「それ1粒で市販の奴の瓶100本分、お得だろ?ブリーダーの奴らはこれを独自の濃度に調節して与えてるんだ」
「でも、錠剤で食べさせて大丈夫なんですか?」
ゆっくりアリスはさっきラムネと言われて。その錠剤を10個ほど食べていた。
「大丈夫なわけない。秒単位のレベルで寿命は減ってく。ゆっくりからすりゃ結構ごっそり減ってるかもな」
「え・・・」
「それに障害も出てくる。普通のゆっくりなら精神に異常をきたすレベルで性欲が減退する。男性恐怖症?ああいう感じになるな」
「つまり、このゆっくりアリスは」
「いや、こいつはまだだ。これで正常のゆっくりれいむより少し低い程度の性欲だ。ただ・・・」
「ただ?」
「出産の際に何らかの不具合が起こる可能性がある。奇形か極端に弱い個体が生まれる。いや、そもそも死産となる可能性も高い」
そう言って、私は性欲減退剤での事故報告結果の資料を海本に手渡す。
私は千夜先生が手渡した資料を受け取る。
「私が学会時代にお世話になった方から頂いてね」
「あ、あの、社外持ち出し禁止って」
「悪者同士助け合わないとね」
千夜先生は笑う。この人の笑みは怖い。絶対何か裏がある笑みだ。
それに、それに憎たらしいぐらい。
「君も薬には気をつけた方が良い。特に君のような仕事をしている人はね」
忍者は確かに・・・そういう薬について詳しくないといけないかもしれないけど、
なんだか、先生は不思議な人だ。まるで宇宙人みたいだ。
最初は普通の保険医かと思って見張ってたけど、ベッドで寝たり仕事中にお菓子食べたり不真面目な保険医だなと思っていてよく調べたら、
有名なゆっくりの研究施設の主任だった過去がでてきた。何かの都合で退職してるらしいけど。
今もこうやってゆっくりには関わりを持っている。
なんだか変な人に懐いてしまった。私はそう痛感していた。
「何を考えてるんだい?あ、薬の事だね。ここのはそんな副作用の強いものはチョイスしてないよ」
「いえ、あ、そのゆっくりアリスってペットとかに良さそうですよね。レイプとかしないし皆と仲良くなれそうで」
「ん?」
そう言って先生はメガネをかけ直す。
「ふむ」
そうぽんぽんとゆっくりアリスの頭を叩く。
「ゆ?なぁにおねーさん」
「こいつは薬物によって本能を制限している。今でこそ、普通だが、それはこの部屋にゆっくりがいないからだ」
また先生の小難しい講義が始まる。
「ゆっくりアリスはチンパンジーの群と同じでね。セックスは乱交型なんだ」
頭が割れそうだ。
「ゆっくりにオスもメスもないが、それっぽい働きをするもいる。ゆっくりまりさなんかは典型的なオスだね。あとはちぇんとか」
先生は実に楽しそうに
ゆっくりについて語る。
「ゆっくりれいむはメスだね。パチュリーも。ゆっくりアリスもどちらかというとメスである傾向が強い」
それで仕事を探せばいいのにと聞くと、昔はこれで稼いでたんだよと言ってた。
「ゆっくりまりさはハーレム型社会をよく形成してるね。それに対しゆっくりアリスは複雄複雌型の社会で、セックスは乱交型だ。うん、チンパンジーと同じ」
何かあってここに来たんだろうか、
「その乱交型の中にあって、性行為をしない。ゆっくりアリスは群の中でどんな仕打ちを受けるか想像は容易い」
私は先生の言ってる事の半分は理解した。つまり普通じゃない奴は嫌われる。
ゆっくりアリスは何も理解していないのか。先生がわしわしと頭を撫でるもんだからすっかり先生のことを気に入っているようだ。
「端的に言うと、このゆっくりアリスはゆっくりできない奴と群から認識され殺されるだろうね」
「ゆゆ!!!」
「勿論、減退剤が切れて性行為ができるようになったとしても、繁殖機能は相当なダメージを蓄積している。」
「アリス・・・ゆっくりできないの?」
「ま、これも簡単に言うとだね。このゆっくりアリスは子どもが生めない」
「ゆゆー!!!」
先生って学生時代、男泣かせだったんだろうなぁと私は思った。
そして、涙目になって呆然としているゆっくりアリスを見る。
「お、おねーさん。アリス、こども・・・」
「ん?生みたかったのか?性欲減退剤の副作用の実験体が何を言うんだい。お前はこのまま薬漬けで死ぬんだぞ。さっきもラムネ食べただろ?」
「ゆ?あのラムネ、たべたらゆっくりできなくなるの?」
「ゆっくりはできる。身体に大きな変化があるわけじゃないからな。ただゆっくりできる時間は減る」
「いやだ。ゆっぐりじだい!!」
「はは、ゆっくりはできるんだよ。気が早いな」
先生の笑顔はどこか怖い。
「ゆっぐりできるの?」
「ああ、できるさ」
「でもあのラムネたべだぐない」
「別にいいよ」
そう言うと、先生は引き出しから粉末の薬が入ったビニールの小さな袋を取り出す。
それを開け、今日のゆっくりアリスのご飯であるマッシュポテトに混ぜる。
「なにをいれたの?」
「ん?お芋が甘くなる粉さ。実験動物があまり手間をかけさせないで欲しいな。私はここの生徒と違ってわざと生かしておくなんて事はしないからさ」
優しい言葉の後すぐにきつい言葉が来る。
天然の虐待系ってこういうのを言うのかな?
今まで懐いていた人が本当は酷い人だったと知ってゆっくりアリスはしょんぼりする。
「まぁ、君が死ぬまで仲良くやろうじゃないか、私の指示通りにやっていれば結構長くゆっくりできる」
「ほんと?」
「ああ、その方が私にも有益だ。うん、素晴らしいね。ゆっくりやっていこう」
「やっぱりおねーさんはとかいはだね!!」
先生はやっぱり何時も通りあの笑顔だった。
<<ネチョ警報>>
先生は急にテレビをつけると、DVDをセットし、ゆっくりアリスに見せる。
「なんですか、それ?」
私が尋ねると、DVDの空ケースを指差した。
「えーっと、業界初ゆっくりのアダルトDVD、雰囲気作りにどうぞ」
「天才というのはいるものだ。私のような凡庸な人間には思いもつかない」
普通、誰も思いつかないと思う。
「私がまだ学会に所属していれば、それを考えた奴に推薦状の一枚でも書くんだが」
先生は本当に残念そうだ。もしかして天才って皮肉じゃなくて本心からなんだろうか、
「とりあえず、再生しよう」
DVDメニューからゆっくりアリスと相性のいいゆっくりまりさを選択する。
『ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ』
上下に揺れているゆっくりまりさが映る。
『ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ』
え、これだけ?
『ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ』
だんだんバカらしくなってくる。
ゆっくりアリスと言えば、画面のまりさに挨拶をしているだけだ。
『ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ』
先生はDVDを見ながら、なるほどと頷いている。
なに?この映像に何か納得する箇所ってあった?
「駄目だな」
ああ、あれはダメって意味のなるほどだったんだ。
「違うのを試そう」
「えー、まだ見るんですか」
「今度はこっちだ!」
また同じようにDVDケースを指差す。
「えーっと、何々、セーラー服姿の少女たちを自宅に連れ込んで、欲望の思うがまま、やりたいようにハメまくる」
本物だ・・・。
「じゃ、再生」
再生されたのは前戯という奴でしょうか。ゆっくりアリスは何も感じていないように見えるけど
しばらくすると、女の人同士が体をこすり合わせる場面が出る。
「ゆゆ?!ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ」
すると、ゆっくりアリスが激しく反応する。
「どうしたんだ?アリス、興奮したのか?」
「ち、ちがうわよ。と、とかいはのアリスはこうふんなんてしないわよ」
あ、つまり興奮したんだ。
「よし、エイム、実験だ」
私がその言葉の意味を理解したのは千夜先生に・・・その。
「柔らかいな」
「は、はい」
唇を奪われてからだった。
「あの、実験って」
「ああ、ゆっくりは基本的に女だ。だから」
「ひゃう!!」
先生は私の首筋を丁寧に舐める。
「だから、人間の女性同士の性行為には反応する」
そう言われ、ゆっくりアリスを見ようとする。
血走った目で私達を見てる。さっきのゆっくりまりさみたいに上下運動をしながら、
「ダメだ」
そう言って先生は私をベッドに押し倒す。
「今は私以外見るな」
「せんせい・・・」
「千夜」
「え?」
「名前で呼んで」
そう言ってせん・・・千夜はまた私にキスをした。
「あ、あの私、初めてで」
「え?」
「え?ってそりゃそうですよ」
「くノ一だからそういう技術とか凄いのかと思ってた」
先生が笑う。いつもと違って人懐っこそうな。たぶんこっちが本物だ。と思える笑顔だ。
「全然、そんなの知りませんよぉ」
「ふーん、ま、詳し過ぎるよりは良いわ」
タイを解き、上着のボタンを外される。
「・・・あの」
「あ!ああ、これですか、脱ぎます」
さすがに鎖帷子は無理よね。・・・って何で私自分から脱いでるんだろう。
いつも通りのニヤーッとした怖い笑みになる。
「頬が真っ赤だぞ。本当に可愛いな」
先生は私の髪をなでる。その手は首をなぞり、肩を触り、胸に。
「せ、せんせい」
ぷいと先生はそっぽ向く。
それまで馬乗りになっていたのに、隣のスペースにだらんと寝転ぶ。
「ち、千夜・・・さん」
「さんはいらない」
「千夜?」
「なに?」
「これって実験ですか?実験なら・・・もう」
「私は臆病だから、そう言わないと好きになった女一人抱けない」
たぶん、私は顔が真っ赤なんだろう。
だって頬の凄い熱が分かるんだもん。
千夜は心配そうに私を見つめる。いまにもゴメンと切り出されそうだ。
なんだか、それが怖くて、私は千夜にキスをした。
「千夜ったら、可愛い」
千夜はひどく赤面し、顔を慌てて隠す。
少しすると恥ずかしそうに私の顔を見てはまた顔を隠したり、
ズレたメガネをかけなおしたりする。
この人の一挙一動が何だか可愛くて、たぶん私も恋をしてしまうだろうと思った。
うわー、恥ずかしい。
私は何度もエイムの顔を見ては顔を隠している。
その度にクスクスと可愛らしい笑い声がする。
キスをしてしまったけど、タバコの臭いとかしてないかな、
今さら心配しても仕方のないことが頭の中をぐるぐると駆け巡る。
「千夜、もう終わり?」
嫌だと叫ぶ代わりに私はエイムに抱きついた。
私は学園に来て、すぐ尾行されているのに気がついた。
それが可愛い女の子だって知ったのはその少し後、
次に天井裏に隠れているのを知って、よく話すようになった。
彼女も天井裏ではなく、天井へ、そして私の隣へとだんだん場所を変えていた。
なんで、この子だったのかな?そう考えた時にはもうこの子の事しか考えなくなっていた。
たぶん、寂しかった・・・から?それとも、寂しそうだったから。
最初はくノ一っていう興味から、次はちょっと世間知らずなところが面白かったから
そして、友達が少ないって事を知ってから。私も似た境遇だったのもあるのかな。
私の中でこの子の事がだんだんと膨らんでいって・・・もう、そこからは恥ずかしくて考えたくなかった。
「千夜、どうしたの?」
「ん」
私は現実に引き戻される。恥ずかしい思考ではなく隣にエイムのいる現実に。
「あ、いや・・・さて、ゆっくりアリスはどうなったかな」
私は照れ隠しにゆっくりアリスの方を見ようとした。
しかし、それはエイムの顔で遮られ、唇で邪魔された。
「今は私以外見ないで」
~あとがき~
ついにやっちまったぜ・・・。
千夜×エイム?エイム×千夜?
それはともかく、ついにやっちまったぜ・・・。
by118
最終更新:2008年09月30日 23:46