れいむは悩んでいた。
まりさとの節度も計画性もない情事により13匹にも増えた子供達。
木の根にある今の住居では、成体が精々3~5匹がスペース的に限度。
スッキリー!のし過ぎで、ほとんど身動きが取れないほどスペースがなくなってしまった。
れいむは考えた。
夫であるまりさに移住の事を話すと、まりさは人間に飼われているゆっくりから聞かされた話を思い出した。
森を出て、人間の町に行くとそこにはデパートと呼ばれる建物があるそうだ。
曰く頑丈。曰く広大。曰く食べ物いっぱい。曰く遊具豊富。
その事を聞いたれいむと子ゆっくり達は
「さすがまりさね!さっそくいじゅうするよ!」
「デパートしゅごい!おもちゃ!おもちゃ!」
「ゆっくりおかしたべようね!みんなでたべようね!」
ノリノリになった一家は狭い住居を捨て、新天地を目指す事を決意する。
しかし、知性が低いゆっくり達は、デパートの印象が強すぎて森を出るという事の恐ろしさを忘れているのである。
人間の怖さ、強さ、賢さ。仮にも野生のゆっくりである。人間の恐ろしさをうっすらとはいえ認知していたはずだ。
だが盛り上がってしまったゆっくり達にはもう関係無い。
夢と希望だけを抱きながら人の住む街へと歩み出した。
「何だこれ!?」
「ゆっくりか?」
「なんで野良のゆっくりが街に!?」
街ではめったにみない野良ゆっくり達、それも15匹という大所帯を見て珍しがる人々。
「おにいさん、デパートってしらない?」
「ゆっくちおちえちぇね!」
「ゆっくちおちえちぇね!」
訪ねられたお兄さんは困惑する。こんなのがデパートに行っていいのか。
何せ野良ゆっくりである。いや、飼い慣らされたゆっくりだとしても、ゆっくりはゆっくりだ。そう変わらないが。
こんな大勢でデパートに行ったら大混乱になるんじゃないのか・・・
そう思うと教えられなかった。
「もう!おしえてくれないなんてこのおにーさんはゆっくりできないひとだね!」
「ゆっくちできないおにーさんはゆっくちちんでね!」
「ゆっくちちね!ゆっくちちね!」
好き勝手に暴言罵倒をし去るゆっくり達。唖然として残されたお兄さん。
しかしゆっくり達のあまりにも無礼で高圧的な態度に段々イライラしてきたお兄さんは言った。
「デパートは駅に行けばあるよ。でも遠すぎて君たちの足じゃ何日たっても辿り付けないだろう。
だから俺が車でおくってってあげるよ」
デパートの位置も距離も知らずに森を出てきたゆっくり達には、正に渡りに船。
「おにいさんゆっくりさっさとおくってね!」
「やっちゃー!これでデパートでゆっくちできるね!」
何の疑惑も持たずはしゃぎ出すゆっくり達を車に乗せ、駅ビルまでおくる。
駐車場でゆっくり達を解放すると、
「なんなのここ?なにもないよ?おにいさんうそつきなの?」
「違うよ、ここは地下の駐車場。この上には色んなものがいっぱいあるんだよ」
エレベーターに移動して地上の食品売り場に案内しようとしたお兄さん。
しかしここで予期せぬハプニング。
床とエレベーターの箱との間の5cm程の隙間に、赤ゆっくりが一匹挟まってしまったのである。
「ゆ゛ぅぅぅぅ!」
「まってて!いまたすけるからね!」
挟まった赤ゆっくりは涙と涎と鼻水を垂れ流しながら懸命に落ちまいと踏ん張っている。
親れいむが赤れいむのリボンを歯でつかみとると、そこから引っ張ろうとする。
気がついたら俺は何故か【閉】のボタンを押していた。
無常にも迫り来る扉。
その扉に押される親れいむ。摩擦が痛いのだろう。
「ゆ゛っぐ!」
と言い放ち口にくわえていた赤れいむを溝に落としてしまう。
地下に位置するエレベーターの高さがどれだけのものかは知らないが、何せ赤ゆっくりである。落ちたら即死か。
仮に即死を免れても自力で登ることは不可能だろう。
死ぬまで永久に暗く狭いスペースの中で泣き叫び続け、いずれ餓死する事を思えば、即死の方が遥かにマシか。
「ゆ゛ぎゅぅうう!!」
気がつくと親れいむが扉に挟まれていた。
口から血、じゃない、餡子を少し吐き出しながら”だずげで”と懇願する。
やれやれ、しかたないなと思い【開】のボタンを押そうとしたが、
障害物を認識したとびらは再度ひらかれ、計らずとも親れいむは圧迫地獄から解放された。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!ま゛り゛ざどの゛あ゛いの゛げっじょうがあ゛ぁぁぁぁ!!」
「あたちたちのいもうちょがぁぁぁ!」
一匹減って14匹になってしまった。しまったな。まだ虐待は最後にとっておこうと思ってたのに。
狭いエレベーターの箱の中、わんわん泣き叫びまくるゆっくり達。
正直イラっときた俺はここでもう2、3匹引きちぎってやろうかと思ったが、次の瞬間扉は開かれた。
1F-食品売り場。
「なんでごんな゛びどいぉ・・・ゆっ!?」
広大なフロアを所狭しと並ぶ食品の数々。
それを目の当たりにした瞬間、ゆっくり達の眼の色が変わった。
しゅごい!しゅごい!とはしゃぐちび達。
「きょうからここがあたしたちのゆっくりプレイスだよ!」
「にんげんはでていけー!」
「にんげんはでていけー!」
何だ何だと騒々しくなる食品フロア。何だ?あれは?ゆっくり?野良か?
そんな中、お兄さんは楽しんでいた。
(ははは、予想通り楽しい展開になりそうだ。ほんの数秒前まで子供が死んだことで悲しんでたと思ったら・・・
どこまでも利己的な生物だ。こいつらの知性で、一体何匹生きてここから出られるかな?)
「さっさとでていかないとこのまりさがせいさいをくだすよ!」
「おとーしゃんちゅよい!にんげんははやくでていかないといたいめにあうよ!」
もうこの食品フロアを我が物にしたつもりでいるようだ。
哀れな目で見られ、無視されていくゆっくり達だが、とうの本人達は恐れをなして逃げてる風に見えてるようだ。
「おとーしゃんのしょうりぃ!これでゆっくりできるね!」
「のこりのにんげんもとっととゆっくりでていってね!」
「あれ?あたしたちのあいのけっしょうがたりなくない?」
気がつくと子れいむと子まりさが果物コーナーに辿り付いていた。
「ゆっゆっ!ウメェ!ッパネェ!」
「むっちゃむっちゃ!マジパネェ!!メチャウメェ!!」
商品である果物を貪る子ゆっくり。涎を撒き散らしながら次々と商品を食いかけの汚物に変えてゆく。
「こら!君達!」
従業員が駆けつけ2匹の子ゆっくりを果物から引き離す。
それを見た親れいむは叫んだ。
「そのこをはなしなさい!はなさないとうちのまりさがいたいめにあわすよ!」
「おかーしゃんのいうとおりだよ!ゆっくりできないにんげんはゆっくりちね!」
「そうだよ!だからゆっくりおろしてね!」
言うやいなや、他の子ゆっくり達も野菜、おかし、飲料と次々に食い荒らしていく。
「むっちゃむっちゃ♪しあわちぇ~♪」
「ゆっくちあじわってね!きょうからここがあたちたちのおうちなんだから!」
4匹の子ゆっくりがエスカレーターに興味をしめしていた。
「うごいてるよ!のってみようよ!」
「しゅごい~!けしきがしたにゆっくりながれていくよ!」
「おしょらをとんでるみたい~♪」
「ちあわせ~♪」
ズブッ
鈍い音がした。
流れる景色を堪能するために後ろ向きに乗っていた子ゆっくり達。
そのまま2階に到着し、吸い込まれるエスカレーターの隙間に4匹とも挟まれたのだ。
「!!!い゛だあ゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!」
「な゛に゛ずるの゛お゛お゛ぉぉぉぉぉ!!」
「ごれじゃゆ゛っぐりできないよお゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「しぇっかくおしょらどんでだの゛に゛い゛い゛ぃぃ!!」
ズブズブと徐々に吸い込まれていく饅頭の皮。
とうとう餡子が破れた皮から飛び出し、口からは涎が流れる。
顔の、いや全身の4分の1が吸い取られていた。
だずげでぇと叫ぶ4匹の声に気付いた親れいむは親まりさに激怒した。
「あなだじぶんのごでじょお゛お゛お!なんでじっがりみでないの゛お゛!」
「これいむ゛とこまりざにぎをどられでだれいむ゛がいえるごどな゛の゛ぉぉぉ!?」
「なんでずっでえ゛!!じゃああのこ゛だぢをみずでろっでいうの゛お゛ぉぉぉ!?」
「ぞんなごどいっでないでじょう゛ぅ!ゆ゛っく゛り゛でぎないれいむはばかなの゛ぉぉ!?」
何故か夫婦喧嘩が始まった。
2匹の子れいむと子まりさは鷲掴みにされたまま従業員に持っていかれ、バックヤードでそのまま握り潰された。
「ぎゅっぎゅぅぅう゛!ごれじゃゆっぐりでぎなっあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「おかっおとぅ・・・しゃんっだっだずげっ・・・ぶべっ!!!!」
相変らずデパートの食品売り場の真っ只中で喧嘩してる親れいむと親まりさ。
たった今まで助けようとしていた2匹の子が、既に殺されている事に気付かず、怒りに身を任せて罵倒しあっている。
一方、エスカレーターに引き込まれそうになっている4匹の子ゆっくり達は、全身の5割を削られていた。
「た゛す゛け゛て゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
「い゛たいよ!いた゛いよ゛!おかあ゛しゃあ゛あん!おと゛おしゃああん゛ん゛!」
親2匹は怒りで頭が一杯でそれどころじゃない。
気がついたのは同じく食べ物を貪っていた他の子ゆっくりと赤ゆっくりが3匹ずつ。
6匹が力を合わせれば何とかなるかもしれない!
「まってて!いまたすけにいくよ!」
「ゆっくりまっててね!」
エスカレーターという未知の物体に身をあずける6匹。
すると3匹の赤ゆっくりが目を輝かせてはしゃぎ出す。
「しゅごぉい♪おしょらをとんでるみちゃーい☆」
「しゅごいゆっくちできるよ!」
景色が動くという感動にもう目的を忘れる赤ゆっくり。
餡子脳の少なさゆえ記憶力も乏しいようだ。
「そんなこといってるばあいじゃないよ!」
「ゆっくりはあとでしてね!」
「いまはいもうとたちをゆっくりたすけるんだよ!」
赤ゆっくり達を諭す子ゆっくり達。
しかし、間にあわなかった。
そうこうしているうちに、エスカレーターは上まで到着していたのだ。
「ゆ゛ぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
「な゛ん゛な゛の゛ごれ゛え゛え゛え゛え゛!!!」
「こ゛ん゛な゛の゛ぜんぜんゆ゛っく゛り゛じゃな゛い゛よ゛お゛お゛お゛!!!」
エスカレーターの溝に吸い込まれ付着したゆっくり、計11匹。
大根おろしがおろされるようにミジミジと全身が削られていく。
最初の4匹は・・・既に4分の3が削られて、もうほとんど餡子も残っていない。
口の部分も削られ声を発することも出来ず、ただただ天井を見つめるだけの状態だ。
それでも餡子がある限り意識は保ちつづけ、痛覚も味わいつづけるのだ。
拷問と言う名のエスカレーターゆっくりおろし。
ゆっくり達を連れてきたお兄さんは一部始終を見て笑い転げていた。
親れいむと親まりさは噛みつき合い、即ち、ゆっくり種族でいうところの殺し合いにまで発展していた。
どこをどうすればデパートに連れてきただけで一家全滅の危機に陥ると言うのか。
まったくゆっくりって種は救い難いな。お兄さんは思った。
「ごみくずまりさはしね!」
れいむの噛みつき。しかしかわされた。
だがれいむの噛みつきはまりさの帽子に的中し、そのまま帽子を剥ぎ取った。
「な゛んでそ゛んなこ゛とする゛のおお゛お゛お!?ま゛り゛さ゛のぼうしい゛い゛い゛!!」
「きちがいまりさのぼうしなんてあるだけむだだよ!」
剥ぎ取った帽子をぽい捨てし、再びまりさに飛びつく。
噛みつきをするには、相手を正面に見据えて飛びつかなくてはならない。
まりさは体を少し傾けて飛ぶ事で、れいむの歯から死角になるように飛びつけた。
それが見事なカウンターとして決まり、あちこちの傷から餡子がぶびゅびゅっと飛び散る。
「こどもたちをみごろしにしたれいむはしね!しね!しね!」
「ゆ゛ぎゅっゆぎ!ゆ゛っげ!ゆ゛っげ!ゆ゛っぐぇ!!」
そのままれいむの上をとり、何度も跳ね上がっては踏みつけて、れいむの餡子を捻り出す。
歯や目玉、餡子といった内容物は全て吐き出され、親れいむは活動を停止した。
「はぁ・・・はぁ・・・れいむ・・・なんでこんなことに・・・」
つぶれた饅頭に囁くように問い掛ける。
「あのぼうし、ありすがかわいいっていってくれたのに・・・いってくれたのに・・・」
ふるふる震えだす親まりさ。
「こ゛れじゃあも゛うありすとゆっぐりでき゛な゛いよお゛お゛お!!どうし゛て゛く゛れるの゛お゛お゛お゛!!!」
呆れた奴だ。
この親まりさはありす種と浮気していたのだ。益々をもって卑しい生命体だ。
そこへお兄さん、極上の笑みで残された親まりさに歩み寄る。
「どうだい?デパートって楽しいだろう」
「ぜんぜんだのじぐないしゆ゛っく゛り゛でぎないよお゛お゛お!!」
デパートの従業員がエスカレーターではさまっていた子ゆっくりをこの場に持ってくる。
2匹しかいない。他は死んだようだ。
その2匹にしても、人間が饅頭をがぶっと噛むが如く、その身は半分しか残されていなかった。
あれでは跳ねる事も、喋る事もできないだろう。
ただ涎をたらしながら、痛みを永久に感じ続けるだけの生き地獄人生となったわけだ。
「飼い主様でいらっしゃいますか?」
「まさか、違いますよ。でも野良みたいですね。自分が森のほうに還しときますよ」
そっと2匹の子ゆっくりを受け取る。落としたりでもしたら餡子が飛び散って死んでしまう。
それではつまらない。こいつらには生涯、生き地獄を味わってもらうのだ。
2匹を親まりさに見せつけてみたがどうやら関心は帽子の事、ただ一点のみらしい。
親れいむとの子よりも自分の帽子の方が大切なのだ。いよいよをもって救い難い。
帽子やリボンをなくしたゆっくり達が、野良でどういう扱いを受けるか俺は知っている。
傷だらけのまりさと2匹の子ゆっくりを車にのせ、森へと向かう。
途中、傷から出る餡子の音が、ぶびゅっ、ぶびゅっ、と五月蝿かった。
イラついたお兄さんは親まりさをタワシで風呂のカビを落とすように、アスファルトにあてて力いっぱい上下した。
「ひ゛どいよ゛おおお゛お゛もうやめて゛えええゆ゛る゛し゛て゛え゛え゛え゛え゛えええ!!!!」
耳から後ろの後頭部を全て削ぎ落とし、帽子も燃やしておいた。
激痛で叫ぶ親まりさを餡子が落ちて死なないようにサランラップで巻いた。
ゆっくり達が多く生息する森へ、サランラップ巻にされた3匹のゆっくり達を還す。
誰からも助けられる事も無く、ある時は虐められ、ある時は雨に降られ、
同族から化け物扱いされて、最後まで残った親まりさも殺された。
親まりさを殺ったのはありす種だったが、まさか、ね。
まぁ、なんていうか、正直猛反省。
デパートなんかに連れて行ったら大惨事になる事くらい解ってたのに、やっちゃったなぁ。
でもゆっくり達を人の住む世界に放り込むのって楽しいなぁ。
奴らかってに自滅して死んでいくんだもん。一度見たら病みつきになっちゃうぜ・・・
「おかーしゃん!きょうはいいてんきだね!」
「ゆっくりおさんぽ、しあわちぇ~♪」
「うふふ、こどもたちのえがおだけでおかあさんはしあわせだよ!」
そこに散歩中と思われるれいむ種の5匹家族が・・・
今度はどこに連れて行こうかな。
- 男がゴミ、この後駐車場の監視カメラとかからコイツがゴミ饅頭共連れてきたってバレて損害賠償請求されて人生詰むってくらいしないと気が済まん -- (名無しさん) 2025-04-27 10:21:03
- デパート側の損害とか一切考慮してない男がゴミクズ過ぎる。
まあゆ虐やってる奴なんてそんなもんと言われればそれまでかもしれんが、この作者もゆっくり並みの知能しかないんだろうな。
-- (名無しさん) 2024-12-11 02:15:46
- ゆっくり家族は低知能だからしゃーないけど男はデパートの迷惑になるの理解してわざと連れてきたとかやばくね -- (名無しさん) 2023-06-12 15:28:40
- デパートに迷惑がかかってるなあ -- (名無しさん) 2023-03-27 10:43:02
- 最高
-- (ガラクタ) 2022-08-15 00:56:42
- エスカレータに巻き込まれたの11匹じゃなくて10匹じゃないのん -- (名無しさん) 2021-07-07 03:21:41
- ゆっくりできたよ!つぎはきめぇ丸がでてきてほしいよ! -- (名もなき金バッチれいむ) 2021-01-13 16:02:10
- ゆっくりが殺し合いをしたりエスカレーターでミンチになるような光景を見てゲラゲラ笑う男を飼い主扱いする従業員っておかしくね?
面白い作品だったけど -- (名無しさん) 2020-08-18 20:25:44
- 半分ぐらいエスカレーターで死んでんじゃねーか -- (名無しさん) 2020-08-11 21:17:21
最終更新:2025年05月07日 19:29