ゆっくりいじめ系1434 大家族とゆっくりプレイス_01

※舞台設定はどっちかというと幻想郷よりも現代日本側です


「お前達、ゆっくりプレイスに来る気はないか?」

「「ゆゆっ? ゆっくりぷれいす?」

「そうだ。毎日美味しいご飯が食べられて、れみりゃや自然災害からも守れる大きな家、好きなだけすっきりしても良く、お風呂にだって入れる。
 そんな最高のゆっくりプレイスだ」

「ゆゆ~っ! とってもゆっくりできそうだね!」
「いくよ! まりさゆっくりしたいよ!」

「よし、連れて行こう。ただし、一度ゆっくりプレイスから出たら二度と戻れないからな」

「なにいってるの? ゆっくりぷれいすからでるわけないよ!」
「そうだよおにぃさん! まりさたちはゆっくりぷれいすで、ゆっくりするよ!」















とある所に、ゆっくりの大家族が居た。
ゆっくり達が住んでいる部屋は、十二畳という広さを持つフローリング張りの部屋。
南には芝生や花壇もある庭と繋がる大きな窓があり、陽気な日差しがポカポカと差し込んでいる。
壁際には毎日洗われて清潔な毛布やクッションによるふかふかの寝床。
ゆっくり用のボールやブランコ、滑り台といった玩具も各種取り揃えており、毎日あまあまの美味しいお菓子やご飯が食べられる。
望めば青年がお風呂にも入れてくれる。

そんな野生のゆっくり達が夢見て、夢叶わず手に入らない最高のゆっくりプレイスに、その家族は住んでいるのだ。
部屋の入り口は窓と一つの扉しかなく、自由に出入りすることは出来ないが家族は十二畳の部屋だけでも満足にゆっくりできたし、
青年に頼めば窓を開けて庭にも出ることが出来る。

「ゆっ、ゆっ! れいみゅ、そっちいっちゃよ!」
「ゆゆ~♪」

二匹の赤まりさと赤れいむがゆっくり用のボールを飛ばしあいながら遊んでいる。

「ゆ~♪ おそらをちょんでるみちゃい~♪ もっちょもっちょ~♪」
「ゆゆっ、じゃあゆっくりいくよ~!」

とある赤れいむは成体まりさにブランコを押してもらい遊んでいる。

「「「ゆゆっゆ~♪ ゆゆゆ~♪ ゆ~♪」」」

とある子ゆっくり達は声を揃えて楽しく合唱をしていた。

「とってもゆっくりしているねぇ、まりさぁ……」
「おちびちゃんたちたのしそうだねぇ、れいむぅ……」

そんな様子を二匹の成体ゆっくり、れいむとまりさが頬を寄せ合いながらゆっくりと眺めている。
この番のゆっくりは、このゆっくりプレイスの中での最年長。この大家族の産みの親だ。
そして今遊んでいる子ゆっくりや赤ゆっくりの殆どは、このゆっくりカップルの孫にあたるゆっくりだ。

子、赤ゆっくりの遊び相手を務めている成体ゆっくりがこの番の子供達。
更にその成体ゆっくり達も姉妹の間でにんっしんっ! して多くの子供達を産んでいたのだ。
つまり親子三代に渡る大家族。
野生では滅多に見ることの出来ない二世帯家族だ。
内訳は親ゆっくり二匹、子ゆっくり六匹、孫ゆっくり二十六匹、といったところである。

ゆっくり二匹は幸せそうな家族たちの姿を視界に収めつつ、ゆっくりと昼寝をすることにした。
そうして各々がゆっくりとした日中を過ごし、夜になった。

「さぁ皆。晩御飯だぞぉ」

ガチャリ、とこの部屋唯一の扉が開き、青年が現れた。
その手にはゆっくり達へのご飯が入ったビニール袋がある。
この青年こそこのゆっくりプレイスの提供者、つまりゆっくり大家族の飼い主である。

「ゆゆっ、おにぃしゃん!」
「ゆっくちまっちぇたよ!」
「ごはんごはん~♪」
ゆっくりちょうだいね!」

ワラワラと部屋中に散っていたゆっくりたちが青年の足元に群がっていく。
押し合いへし合い、されども皆家族を気遣って潰すような真似はしない。

「まぁ待て待て。全員分あるから」

青年はゆっくり達にそう言い聞かせながら、一緒に持ってきた先ほど洗ってきた餌皿を出していく。
一匹につき一皿。都合三十四枚の餌皿をそれぞれのゆっくりの前に並べ、今晩の餌であるゆっくり加工場製の缶詰餡子を取り出していく。
ゆっくり達は自分の更に盛られていく餡子に目を輝かせ、涎をたらしながらもすぐにはがっつかない。
この家族は家族全員分の餌が準備されるまで待ってから一緒に食べるという、野生でも飼いでもなかなかお目にかかれない習慣を持っているのだ。

「さっ、お前たちは赤ちゃんがいるから多めだなぁ」

青年がそう言いながら他のゆっくりよりも皿に多めの餡子を盛っているのは、とある孫ゆっくり二匹。
だがこの孫ゆっくり、孫れいむと孫まりさはなんとにんっしんっ! していたのだ。
ゆっくりの中でも最年長組であるこの二匹は、既に子供を作れるほどに大きくなっており、れいむが植物型、まりさが胎生型にんっしんっ! をしていた。

「おにぃさん、ゆっくりありがとう!」
「あかちゃんのためにもゆっくりたべるよ!」

そうして家族三十四匹全員分に餡子が行き渡った。
ゆっくり達は青年の「さんっ、はい」の掛け声に合わせて唱和する。

「「「「「ゆっくりいただきます!!!」」」」」

ガツガツとむしゃむしゃと、目の前の皿の餡子を食べていくゆっくり達。
部屋中から「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~♪」の声が響く一家団欒の図。
野生のゆっくりではなかなか食べることの出来ない美味しいあまあまの餡子に舌鼓を打ちつつ、今の幸せを噛み締めている。
青年はそんなゆっくり達の姿を見守りながら、そっと部屋を後にした。








食事が終わり、汚れた皿を青年が片付けた夜の団欒の時。
各々おしゃべりしたり早くも眠りについたり遊んだり、とゆっくりとした一時を過ごしている。
そんな中、子供を宿した孫ゆっくり二匹とその伴侶、二組四匹のゆっくりが部屋の片隅でひそひそと内緒話をしていた。

「ゆゆっ、れいむたちもうおとなだよね」
「そうだよれいむ」
「これでおかぁさんたちとゆっくりできるね」
「ゆゆ~♪ たのしみ~♪」

このゆっくり達は、大人──つまり子供が作れるようになる事をずっと望んでいた。
何故か。それはこのゆっくりプレイスでは、大人になると夜に特別なゆっくりタイムがあると思っているからだ。

それに気付いたのは何時だったか。
夜になって孫ゆっくりを寝かしつけると、親ゆっくりや子ゆっくり達は青年に連れられて別の部屋へと一時間だけ移る。
偶然気付いた孫れいむがその事について青年に聞くと

「子供を作れるほど大人になったら教えてやるよ」

と、教えてくれた。
それからというもの、一日一日と大人になるのを楽しみにしていた。
早くおかぁさんやおばぁちゃん達と一緒にゆっくりしたい。自分の子供達の顔が見たい、と。

そうして遂にこの四匹は成体ゆっくりと言えるほどまで大きくなり、こうして子供を作っている。
きっと今この身に宿っている子供達が生まれれば自分たちも夜のゆっくりタイムに連れて行ってくれる。
ゆっくり達にあったのはずるい、という気持ちだ。
自分たちに内緒で大人達だけで、と。

「さぁ皆。寝る時間だぞ~」

ガチャリと扉が開いて青年が現れる。
それを合図に孫ゆっくり達は疲れて、あるいは眠気によってふらつく足取りで毛布やクッションの寝床へと向かっていく。
やがてにんっしんっ! しているれいむとまりさを含む全てのゆっくりが寝床につくのを確認すると、青年は部屋の電気を消した。

遊びつかれていた孫ゆっくり達は即座に夢の世界へと旅立つが、成体孫ゆっくり四匹は寝たふりをしながら様子を窺っていた。
そして数十分後、親ゆっくりと子ゆっくり、つまり孫ゆっくりのおかぁさんとおばぁちゃんにあたるゆっくり達が青年に連れられて扉から出て行く。
親の姉妹、〝おば〟にあたるゆっくりも含む八匹の成体ゆっくりが部屋から出て行くのを見届けた直後、ついに成体孫ゆっくり四匹は睡魔に負けてしまった。
そのため、部屋に帰ってきた八匹のゆっくりの様子には気付くことが出来なかったのだ。







翌日。雲一つ無い晴天。
ゆっくりするためにあると言えるゆっくり日和だ。

「おにぃさん、きょうはてんきがいいからおにわでゆっくりするね!」
「あぁ、分かったよ」

親まりさが朝ご飯をあげに来た時にそう頼んだ。
青年はゆっくり達が朝ご飯を済ませると、お昼ごはんを部屋に用意してから庭へと続く大窓を全開にしていってくれた。
ゆっくり達は我先にと庭へと駆け出していく。
庭はチクチクしないゆっくり出来る芝と、綺麗で美味しいお花に溢れている。

庭は柵で囲まれているので野良ゆっくりが来ることはないし、日中はれみりゃも来ない。
ゆっくり出来ないものが来てもすぐに部屋の中に逃げることが出来る。
誰にも邪魔されないゆっくり達のためのゆっくりガーデンだ。

「ゆふぅ、ぽかぽかだねぇ……」
「あかちゃんもゆっくりできるねぇれいむぅ……」

ゆっくりが庭を駆け回ったり花壇の花を食べ、子ゆっくりが子守をしている中、にんっしんっ! した孫ゆっくり達は庭の一角で日向ぼっこをしていた。
頭から伸びている実を宿した蔓を揺らしながら、ぽかぽかと日光を全身に浴びるれいむ。
まりさはそんなれいむに寄り添いながら、目はおろか体中とろんとしている。
やがて二匹はどちらからともなく眠りにつく。天敵や外敵などいるはずない、とでも言いたげな程無防備な姿だ。
屋外で昼寝という、飼いゆっくりだからこそ許される最高の贅沢である。

日も暮れて夕方。
ぞろぞろと庭からお家、十二畳の部屋へと帰っていくゆっくり達。
昼寝をしていた四匹の成体孫ゆっくり達もおばぁちゃん、親ゆっくりに起こされて部屋へと戻っていく。

陽が山の向こうに沈んだ頃、青年が晩御飯をあげにやって来て、窓を閉じる。
今晩のご飯は豪華にも一匹に一切れのケーキだ。
ショートケーキやチョコレートケーキなど、ゆっくりが大好きなあまあまなケーキが数種類。

一家揃ってのいただきますの後、昨晩と同じく一家団欒の食事風景が始まる。
そんな最中であった。
成体孫ゆっくり達に異変が起こった。

「ゆゆっ!?」
「ゆっ、おなかがもぞもぞするよ!」

なんという奇遇か。植物型にんっしんっ! しているれいむと胎生型のまりさ、二匹が同時に産気づいたのだ。

「れいむ、あかちゃんうまれるの!?」
「ま、まりさっ、ゆっくりがんばってね!」

突然の朗報に一家全員、食事もそこそこに二匹のゆっくりへと注目する。
三十匹以上のゆっくりに見守られながら、ゆっくりの出産が始まる。
とはいっても、植物型出産はすぐに終わる。

もぞもぞと蔓になった実が身をよじらせると、ポトリと実が蔓から離れて地に落ちる。
フローリングの床に着地した赤ちゃんれいむがぶるぶると顔を震わせ、ゆっくりと目をあける。
そして、産声とも言える第一声をあげた。

「ゆっくちちていってね!!!」
「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」

それに応えるは三十匹以上のゆっくりによる唱和。
大勢の家族に祝福されながら、新たな命がここに誕生した。

「ゆっくちちていってね!!」
「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」

「ゆっくちちていってね!!!」
「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」

そして最初の赤れいむを皮切りに、続々と植物型赤ちゃんゆっくりが生まれていく。
その数八。赤ちゃんれいむ四匹赤ちゃんまりさ四匹が今、新たに家族に加わった。

「とってもゆっくりしたあかちゃんだね!」
「まりさたちににてとってもかわいいね!」

生まれた赤ゆっくり達の親であるれいむとまりさが互いに微笑みあう。
まりさはれいむの頭に生えた蔓を口で千切ってやると、かつて自分がそうしてもらったように赤ちゃん達の前に置いてやる。
これが植物型ゆっくりが生まれて最初に口にするご飯なのだ。

「おきゃぁしゃん、ありがちょう!」
「ゆっくちちゃべるよ!」

ゆっくり達が喜んで蔓に群がるころ、胎生型出産の方のまりさは必死に踏ん張っていた。

「ゆぐぐっ……」
「まりさっ、がんばってね! もうすこしだよ!」

ミチミチと、まりさの下顎に現れた産道からは、既に赤まりさが顔を覗かせている。
その顔は生まれることの喜び、外の世界への期待と待っているであろう輝かしい未来を望む笑顔に満ちていた。

「ゆぐぐぐぐぐぅ……」
「あかちゃんのかおがみえるよ! まりさもあかちゃんもゆっくりがんばってね!」

「ん゛ん゛ん゛ん゛───ッ、ゆっ!」

まりさが顔を苦痛から頬を赤くして緩んだ表情になった瞬間、すぽーんと赤まりさが産道から勢いよく生まれ出た。
赤まりさはぽよん、と床に一弾みしたのち、

「ゆっくちちていってね!!!」
「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」

誕生の祝福を受ける。
その後まりさからもう一匹、赤れいむが生まれ、これで赤ん坊は全て生まれた。
その数合計十。親ゆっくりからしてみれば、なんと驚きの曾孫である。
これで家族の合計は四十四匹。小さなゆっくりの群れに匹敵するほどの大家族だ。

「おぉ、遂に赤ちゃん生まれたのかぁ」

しばらくしてから部屋に来た青年に、成体孫ゆっくり達は出産の報告をする。
ご飯をくれるおにぃさんには是非とも自分達の可愛い赤ちゃんを見せてあげたかったのだ。

「おちびちゃん、このひとがれいむたちにごはんをくれるやさしいおにぃさんだよ!」
「ゆっ、ゆっ! おにぃしゃんゆっくちちていってね!」

十匹の赤ちゃんゆっくりの笑顔を受ける青年。
その顔には喜びの感情が浮かんでいた。
ただそれは、新たな家族が増えたというよりも、新たな楽しみが増えたという喜びに近かった。

「あのね、それでねおにぃさん……」
「まりさたちももうおとなだよ……」

おずおずと切り出したれいむとまりさの様子に感づいたのか、青年はれいむの頭をなでながら優しく囁いた。

「分かってるよ。それじゃあ今夜、皆も一緒に行こうか」

「「「「ゆっ!」」」」













夜は更けて、ついにその時が来た。
青年が部屋の電気を消し、孫ゆっくり達が皆寝床で夢の世界に旅立った頃、成体孫ゆっくり四匹は、親ゆっくりゆっくりと共に扉から部屋を出ていた。
生まれて初めてみる扉の向こうの世界。
これまで親に何度も「どあのむこうにいっちゃだめだよ!」と言われ続けていたため、また自分で開けることも出来ないため知らなかった。
そこは何の変哲もない廊下であったが、成体孫ゆっくり達は初めてみる庭と部屋以外の世界に心躍らせていた。

そのため気付くことが出来なかった。
一緒に廊下を往く成体ゆっくりの誰もが、ゆっくりとした表情を浮かべていないことに。

「さぁ、ここだよ」

十二匹の成体ゆっくりを先導していた青年が、とある扉の前で立ち止まった。
後ろを振り返り、全員いることを確かめるとゆっくりと扉を開けた。
ゆっくり達はもちろん、どのゆっくりも青年が促すことなくその部屋の中へと入っていく。
十二匹全員が入り終えたところで青年は扉を閉め、ゆっくりと鍵をかけた。

我先にと部屋の中に入った孫ゆっくり四匹は、一体どんなゆっくりが待っているのだろうとワクワクしていた。
しかし、部屋の中には何もなかった。
フローリングの床と白塗りの壁、自分達が住んでいた部屋と同じ十二畳の広さのその部屋には家具一つさえ無かった。

「ゆっ?」

植物型にんっしんっ! をしたれいむは首を傾げた。
きっとゆっくりできる特別なお菓子やおもちゃがあると思っていたのに、何も無いのだ。
一体どうしたことかと青年に尋ねようと振り返った瞬間。

「ゆっ!?」

口を無理矢理閉じさせられた。
ベタリと何かが口に張り付く。それがれいむの口を強引に閉じさせ、開くことを阻止する。
それはガムテープだった。青年が、れいむの口にガムテープを貼り付けたのだ。

「うっー! うっー!!」

口を開くことが出来ないため、うなることしか出来ないれいむ。
他の孫ゆっくり三匹はそんな青年の突然の行動を理解出来なかった。
どうして、なんで、と。

「ゆゆっ、おにぃさんどぼじでごんなごどずるの!?」
「れいむがゆっくりできないよ!」

伴侶のまりさと孫れいむがぷんぷん、と青年に抗議した。
した、がそれは何の意味も持つことは無かった。
青年はまりさとれいむが何も喋っていないかのように、二匹の口にもれいむと同じようにガムテープを貼り付けたのだ。

「「うっー! むっー!!!」」

その様子を見ていた孫まりさ、胎生型にんっしんっ! をしていたまりさは逃げ出した。
何故かは全く分からないが、ご飯をくれる優しいおにぃさんが突然ゆっくりできないことをし始めた。
もしかしたら自分もされるかもしれないという恐怖に駆られ、入ってきた扉へと駆け出した。
そして扉よ開けとばかりに体当たりするも

「ゆべっ!!」

固く閉ざされた扉に顔面からぶつかって跳ね返るだけだった。
顔面から扉に全力でぶつかる。
それはまりさにとって、出産以外で感じる初めての痛みだった。

「ゆぐぐっ、いぢゃいぃ……」

慣れない痛みに涙ぐんでいるところを、

「ゆぶっ!?」

青年がガムテープで口を閉じる。
こうして孫ゆっくり四匹の口をガムテープで閉じると、青年は他のゆっくり八匹にも同様の処置を施す。
中には若干抵抗したゆっくりもいたが、殆どのゆっくりは無駄だと思っているのか甘んじてその処置を受け入れた。
やがて十二匹全員の口をガムテープで封じた青年は、部屋の中央に進み出るとゆっくり達に向かって口を開いた。

「さて皆。今日は初参加の子もいるから説明するね。
 君たちはこれから一時間、お兄さんと遊んでもらいます。これはゆっくりするために必要なことなのです。
 何故ならば、この遊びこそが君たちにゆっくりプレイスを与えるための条件だからです」

ゆっくりと分かりやすいように説明する青年。
それを聞いて孫れいむは何事かと動揺した。

条件。確かにそう言った。
自分達がこれまで暮らしてきた部屋。あれこそまさしく真のゆっくりプレイス。
ゆっくりが自他共に認める最高クラスの幸せ空間。

それを『与える』ための『条件』?

「むっー! むっー!?」

れいむが唸った。
どういうことだ、と。お兄さんはれいむ達が可愛いから優しくしてくれるのではないのか、と。
れいむは親からそう聞いている。それは嘘なのか、と聞きたかった。
だが、その問いは言葉に乗ることはない。

「では説明は以上。今日もゆっくりしていっってね!」

青年が口にしたその一言。
ゆっくりの本能に訴えかけるその一言に、部屋にいる十二匹全員が反応した。
「ゆっくりしていってね!」と言いたいがガムテープによって封じられているため言葉にならない。
だが、全てのゆっくりがその言葉を言おうとして動きを止めた。
その一瞬の隙に、

「ふんっ!」

青年の蹴りが、炸裂した。
それは真っ直ぐに孫れいむの顔に突き刺さり、れいむの体を吹き飛ばした。
ボーンと飛んで床に叩きつけられたれいむは、栄養たっぷりのためもちもちと弾力のある皮で大きく弾む。
青年はその弾んだ孫れいむの体を、更に蹴りとばした。

壁に叩きつけられる。
孫れいむは突然の、あまりの激痛に叫び声をあげそうになったが、

「むぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」

ガムテープにふさがれ呻き声にしかならない。
目からは雫が零れ、頭は混乱している。
体中に響く痛みにこらえながらも、青年に何故こんなことをするのかと問いただそうと後ろを振り向くと、

「!?」

そこには自分の伴侶のまりさの髪を掴み、ビタンビタンと壁に叩きつけている青年の姿があった。
まりさの美しく長い髪を乱暴に掴み、フルスイングで壁に叩きつける。
その度に弾力のある皮がバチン、ビタン! と良い音を立ててまりさの体に痛みを苦しみを刻み込む。
青年は二十回まりさを壁に叩きつけると、そのままジャイアントスイングのように遠心力で放り投げて反対側の壁へとたたきつけた。

ずるずると壁をずり落ちたまりさは、伴侶であるれいむの傍らに落ちる。
れいむは、先のまりさへの一連の行動をただ見ていることしか出来なかった。
突然の奇行。突然の痛み。突然の暴行。
あまりにも今までの生涯とは違う目の前の光景に、餡子脳の処理が追いつかない。

部屋の中には暴行を振るうものと、振るわれるものしかいなかった。
青年はまりさを放り投げた後、一番近くにいた、孫れいむの〝おば〟にあたるれいむの髪を引っつかみ顔をこれでもかと殴りまくった。
殴る度に顔がひしゃげ、れいむの顔は涙と苦痛に歪んでいく。
他のゆっくり達は少しでも青年から離れたい一心で逃げ惑う。
全てのゆっくりに共通していたことは、皆泣いていたこと。

青年は殴りまくっていたれいむの顔を思いっきり殴って吹き飛ばすと、今度は部屋の隅でガタガタ震えていたまりさに向かってスライディングをお見舞いした。
壁と足に挟まれて体が変形するまりさ。
青年はそんなまりさを蹴り上げるとそのまままりさでリフティングを開始した。
ボム、ボムと何度も何度も蹴り続ける。
十七回蹴り上げたところで、両手を組んでまりさにオルテガハンマー。
思いっきり床に叩きつけられたまりさは、バチンと小気味良い音を奏でた。

青年はこれら一連の虐待行動において、一匹たりとも致命傷は与えていない。
全て手加減された攻撃なのだ。
痛みで餡子を吐き出さないようにガムテープもしている。
人間と違って痛みで気絶しないゆっくりには、青年からプレゼントされる痛みを受け取り拒否することは出来なかった。

涙を流して逃げるゆっくり達。
青年はそんなゆっくり達を追い回す。
殴る。蹴る。叩きつける。
ひしゃげる、吹き飛ぶ、変形する。
叩く。投げる。捻り上げる。
歪む。潰れる。軋みをあげる。

どんなに逃げても無駄でしかない。
この十二畳の部屋には逃げ場も隠れ場も無いのだから。
青年は部屋の隅で顔をうずめながらブルブル泣いて震えている孫まりさの髪をひっつかむと、それを引きずり出した。

顔を向かせたまりさの顔は、恐怖と涙で染まっている。
青年はそんなまりさの顔を膝で挟み込み、マウントポジションのように押さえつけると、体を封じられて身動きの出来ないまりさに、拳を振り下ろした。
ドムッ、ドムッ、ドムッ!

顔面へと突き刺さる一撃。
左右交互に振り下ろされる拳により、まりさの顔はひしゃげ、つぶれる。
マウントポジションから繰り出される顔面への連撃により、まりさの顔は涙でふやけ、それが拳にもついた。
五十発もの拳を一撃を耐え切ったまりさは、その後中空に放り投げられた後のアッパーによって吹き飛び床に落下すると、そのままピクピクと痙攣するだけとなった。

孫れいむは当初の位置から動いていない。
ただ呆然とむごたらしい情景を見続けていた。

今目の前にいるのは誰だ。
これまでれいむ達にご飯をくれていた優しいお兄さんではないのか。
今自分たちに、圧倒的暴力を振るっているあれは一体誰────。

青年と、目があった。
こないでっ、ゆっくりこないでね!

そう願った瞬間、青年は孫れいむとの距離を一秒で詰めてきた。
孫れいむが逃げようと体を反転させる間も無く、

「うっぅぅ!?」

後頭部をわしづかみにされ壁に叩きつけられた。
その後バチンバチンと何度も壁に叩きつけられる。
一度後ろに下がってバチン。腕を引いてバチン。
何度も何度も壁に向かって全力でキスをする。
顔面から伝われる激痛。壁につく涙。

青年は七十回も壁に叩きつけられて痙攣して泣きながら倒れるだけになったれいむを放置すると、逃げ惑うゆっくり達に再び暴虐の限りを尽くした。

まりさを踏みつけた。
れいむを殴った。
まりさを蹴り飛ばした。
れいむの髪を持って振り回した。
まりさの髪を持って床に何度もたたきつけた。
れいむの頭を壁に思いっきり擦りつけた。
まりさの頬を引きちぎりかねない勢いでつねり上げた。
飾りや帽子を奪って一箇所に集め、取り戻そうと群がってきたところをまとめて蹴り飛ばした。

それらの行動が、わずか十五分の間に行なわれた。
まだ四分の一。あと四十五分、この地獄は続く。





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最終更新:2021年01月14日 01:07
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