産道と子宮は、皮肌で出来た筒と袋みたいなもので、普段は顎あたりの薄皮の下に隠れ
ているが、出産時は薄皮が剥がれて露出する器官である。
逆向きに体外へ突出させると男性器──ぺにぺにとなるこの器官を、
ゆっくりたちは
「まむまむ」と呼称することが多いようだ。
たぶん、産道と子宮を表現する良い言葉が無いからだと思うが、後背位と言うか、ゆっ
くりはネコに後ろからタチが密着する体位を好むため、名前に反して受け入れ器官として
はあまり使用されない。
個人的に、私はこのゆっくりたちが後背位を好み、排泄孔を生殖に用いるという習性が
大好きだ。
排泄物を出す器官で、愛する存在の子種を受け入れて子供を作るというのは、非常に倒
錯的だと思う。
だが、ゆっくりは排泄孔を使わず産道での性行為でも妊娠するし、極論を言うならば単
為生殖も可能というか、性的絶頂さえあれば単体でも赤子を宿すことが可能だ。
ゆっくりは、子供を作りたい、子孫を残したい、妊娠したいと強く想いながら性的絶頂
に達した際に、母胎が頭に茎を生やす方式を望めば植物型、胎児を宿すのを望めば動物型
で妊娠する。
現に、私と一緒に暮らすありすのうち二体は──私にカチューシャをくれたありすを、
私が妊娠させて出来た個体だ。
もっとも私が妊娠させたとは言っても、ありすはタチ側──私のアヌスをぺにぺにで犯
して射精し、私ではなく自らが妊娠したのだから、実質的には単為生殖だが。
二体のありすは、言うなれば昨年不帰の客となったありすの忘れ形見。
死の少し前、私と最後に性的行為に及んだ際、彼女が宿したのである。
そう、すでに事切れた母胎から生まれたと言うのは、その二体の事だ。
寿命が迫っていたありすは妊娠に耐えられず、命を縮めてしまったのである。
ゆっくりの寿命は、ゆっくりが「もう充分ゆっくりした」と思った時から、減って行く
らしい。
ありすは「もう充分ゆっくりした」と思ってしまったから、長寿に恵まれなかった。
ゆっくりし過ぎて充分すぎるほど満足したら、死が近付いてしまうと言うのは、なんと
も皮肉な生態であろう。
さらに悲運な要素として、ゆっくりさせて貰えず、ゆっくりする事を望めば望むほど寿
命は延びると言うか、自然死から遠ざかる。
意志と言うか思い込みの力、精神力で、ゆっくりという生命は維持されている節がある
のか、彼女たちの生命は「ゆっくりしたい」と言う欲望によって成り立っているようだ。
この寿命に関する件は、死が迫ったありすが私に教えてくれた。
それ以来、私はともに暮らす可愛い子たちを、お仕置きしたり、いじめたり、いたぶっ
たりする頻度を意図的に増やしている。
ゆっくりさせ過ぎたら死んでしまうのだから、ゆっくりさせながらも「まだまだ、もっ
とゆっくりしたい!」と思わせ続けねばならない。
甘やかし、好きなようにさせたら死んでしまうのだから、命を永らえさせるために私は
彼女たちを色々と理由を付けては虐める。
もっとも、別にそんな大義名分が無くても、私は自分が可愛がっていて好いている、愛
している子たちを虐めることに、全く躊躇いを感じないが。
好きだから虐めたいわけだし、彼女たちの泣き顔、苦しむ表情、悲鳴、懇願、どれも魅
力的だ。
私は、私の可愛い子たちの全てが好きだから、ただ可愛がるだけでは満足できない。
それに、一方的にいつでも私が彼女たちを虐げるのではなく、私もみんなに我が身を捧
げているのだから、ある意味でイーブンだろう。
厳密には、私は私が望む、許容できる範囲の行為しか許していないのだから、イーブン
だとは言えないかもしれないが、それは仕方がないだろう。
養う側と養われる側と言う立場の差がある以上、完全に対等な関係は作れない。
私の倒錯的嗜好に奉仕させることで、ついでにガス抜きをさせてやってるだけ、と思わ
れても否定はしないし、事実その通りである。
生殺与奪を完全に握って一方的に好き放題と言うのは、支配欲と加虐心は満たせるが、
それでは被虐心は満たせない。
私は加虐と被虐、どっちも好む歪んだ性的嗜好を持っているのだから、その歪みを最大
限に利用して、上手くやっていると言うことだ。
ぶっちゃけてしまえば、全ては私の自己満足。
人間への恐れと不信で偽り抑圧している自己を解放し、折り合いを付けて生きるために、
私は彼女たちを利用しているだけである。
ただ、まぁ……人が生きるってのは、そう言うものじゃないかと私は思う。
特に何も邪魔が入らないと、思考はどんどんあらぬ方向へと飛んで行く。
やくたいもない事を、考え続けている私が、なんとなく滑稽に思えた。
「まぁ、どうでも良いか……そんな事は……ふふっ」
ふと我に返った私は、独り言を言って笑う。
「真面目な私は、本性を隠すため装っているだけ……だったはずなのに、どうしていつも
色々と、私は馬鹿みたいに真面目に考えてるのかしらねぇ……やれやれ」
呟きながら、私はベッドの上に身を起こす。
「……うわ……すごい、有様ね……」
あんまんの餡子、粒あん、こしあん、カスタードクリーム、紫蘇餡など、ゆっくりたち
が射精した中身によって、ベッドの上は汚れていた。
もちろん、ベッドだけではなく私自身の身体も汚れている。
頭から爪先まで、ゆっくりたちの中身と私自身の汗などで、物凄く。
「んー……お腹が張る……って、どんだけ出されたのかしらねぇ、私ったら……あははっ」
口の中が甘ったるく胸焼けが少しする上に、お腹の中が嫌な音を立てていた。
ぐるぐるぎゅるると言った感じの音を。
腸内に注ぎ込まれすぎたため、強い便意を感じた私は、とりあえずそれを解消しにかか
る。
「……んっ、く……んんっ、はぁぁっ……」
微かな破裂音を響かせて、ベッドの上に私は直腸から結腸までを満たしていた物を排泄
した。
餡子とカスタードクリームが混ざった、物凄い色の粘液がシーツをさらに汚したが、そ
んなのは毎度の事である。
考えなくても、その中には、あまり人にいたくないような物も含まれているだろうが、
甘味品の甘い臭いに掻き消されて、嫌な悪臭は全くしなかった。
「あぁっ、ん……あははっ、すっごい……こんな、出してくれたんだ……ふふっ」
両手で数回掬い取れそうなほど、色々混ざった甘い流動物を排泄した私は、うっとりと
出した物を眺め、満ち足りた気分に浸る。
大好きな可愛い子たちが、これだけ感じてくれたと思うと、とても嬉しい。
「学園のみんなが、こんな私を知ったら……いったい、どんな顔するかしらねぇ……」
おそらく、まともに接してくる人は居なくなるだろう。
ただ単に淫乱と言うだけならばともかく、人間より遙かに下と定義づけている生き物と
情を交わすような者は、きっと軽蔑の対象となるに違いない。
「ま、どうでも良いか……この子たちさえいれば、私は寂しくなんかない」
室内をぐるりと私は見渡す。
それぞれ目前の相手とのプレイに集中しているためか、誰も私が目覚めた事に気付いて
は居ないようだ。
ゆっくりたちが懸命に快楽を貪り合う姿を、私は微笑ましく愛おしいと思いながら眺め
る。
「そう、寂しくない。人間はいらない。私には、必要ないのよ……ふふふっ」
本当にそうか? と問い詰められると、ちょっと自信はぐらつくが、怖い人間よりも、
怖くないゆっくりの方が、私は好きだ。
この子たちは私を裏切らないし、私もこの子たちを裏切らない。
人間だったら、こうは行かないだろうから──これで、いいんだ。
「さぁて、シャワー浴びて、ありすの様子見て来よう……」
だるい身体をベッドから降ろし、ゆっくりと私は廊下へ出ようと室内を歩き始める。
時計を見ると、もう時刻は22時近くになっていた。
「それから……宿題は明日で良いかな……今夜は……まだ、もうちょっと……あははっ」
明日は土曜日、明後日は日曜日なのだから、時間はまだまだたくさんある。
平日の間ずっと抑圧されていた欲求を、私はもっと解消したい。
そうしないと──色々と疲れる。
「ふふっ、来週は……回復したありすも交えて、もっと盛大にしたいわね……あはっ」
後ろ手に部屋のドアを閉め、薄暗い廊下で私は呟いた。
そう、元気になったありすとも、こうやって深く繋がって家族にならないといけない。
ここに居れば、私と一緒に居れば、理不尽に殺される運命だけは避けられる。
ごはんも食べられる、すっきりも出来る、寿命が減らない程度にゆっくりした日々を過
ごせるのだから、きっとあの子も喜んでくれるだろう。
そうじゃなければ──嫌だ。
「うん、大丈夫……きっと、あのありすも理解してくれるわ……ゆっくりは、私を裏切ら
ないから……人間なんかと違うから……大丈夫、きっと」
呟きながら、私はバスルームのドアを開ける。
基本的に私の入浴はシャワーのみで、バスタブにはあまり浸からない。
別の事にバスタブは使って居る事が多いため、だいたいいつもフタをしている。
「もし、裏切ったら……あはははっ」
あまり考えたくない事態を想定してしまった自分を勇気づけようと、私はバスタブのフ
タをずらして、中を見た。
「……ゆっ……ゆゅっ……ゆっ……」
まだ生きているのか、裏切り者たちは小さな声を上げている。
砂糖水に漬けられ、皮肌も中身も溶けて一体化してしまっているというのに、本当にし
ぶとい。
どこが口だか目だか判らない、濁った粘液となっているのに、まだ死ねずに声が出せる
なんて、本当にでたらめだ。
「ふふっ、まだ何体かは入りそうね……あははっ、ゆっくり死ぬ気分はどう? せっかく、
助けたあげたのに、ここから出たがったりするから、悪いのよ……あははははっ」
だいたい八体は漬け込んであると思うが、正確な数は記憶していない。
バスタブいっぱいに溜まるまで、こいつらにはここで溶け合いながら、己の愚行を反省
して貰っているのだ。
裏切りは──許せないから、ゆっくりらしくゆっくり苦しんで貰おうと言う、私の気持
ちである。
「あははははっ、たっぷり、ゆっくり苦しみなさい! 私は、もっと……もっと悲しかっ
たんだからっ! あんたたちの裏切りがっ!」
怒鳴りつけ、私は追い炊きスイッチを押す。
温度設定は50度である。
万一、私が転んだりしても、かなり熱いが火傷はしない温度。
「……ゆぐっ……ゆっ! ゆゅっ……ゆっ!」
「苦しい? 苦しくしてるんだから、当然よ! あははっ、そのうちバスタブいっぱいま
で溜まったら、楽にしてあげるわよっ!」
いっぱいになったら、私が入浴するのである。
どろっとした甘ったるい粘液風呂は、身体を程良く温めてくれるし、液中で私が動くと
痛みを感じるのか、小さく悲鳴を上げるのが楽しい。
心身共にリラックスして癒される、快適なバスタイムと言う事である。
「あははっ、それまでは苦しみなさい! 私を裏切った報いよ、あははははっ! あんた
たちは、ゆっくりじゃない、裏切るような奴は、ただの糖分よっ! あははははっ!」
ひとしきり罵倒し、嘲笑ってから、私は再びバスタブのフタを閉じた。
こいつらにとっては、地獄の釜のフタであろう──良い気味である。
フタを閉じてから、私は温度設定を75度に上げた。
落下したり飛び跳ねる危険が無くなったのだから、肌に触れたら火傷する温度にしても、
全く問題は無い。
「……ゅ! ……ゅっ!」
さすがに苦痛が大きいのか、フタを閉めていても小さな声が聞こえてくる。
「あははははっ……さて、シャワーシャワー♪」
ふんふんと鼻歌を歌いながら、私はシャワーを浴び始めた。
水音に掻き消されて、小さな悲鳴は──もう聞こえない。
■END■
あとがき
ご笑覧いただきありがとうございます。A.Hでございます。
なんか面白そうなページがあったので参戦してみました。
ネタ出しや雑談に参加してない者が、作品いきなり出すのはどうかとも思いましたが、
良く考えたら私はずっと他のゆっく系作品もそんな感じなので、気にせず行きましたw
良く判らないので、とりあえず弄りまくっても文句が出なさそうなキャラが、いくらで
も弄れそうな形で存在していたので、ちょい投影して色々と誇張したりアレンジして思い
切り俺キャラ化してみましたが……随分と、随分なキャラになっちまいましたねぇw
舞台も勝手に色々と……問題ありそうなら、パラレルってことで。
とりあえず、注意書きは過剰なほどつけましたので、なに書いてやがるんだって言われ
てもねぇってな感じです……私自身、何書いてるんだろうかと思います。
ってか、今まで書いたゆっくり系、この作品で700kb超えてしまいました……ってか、
一本で200kb軽く超えてると言うか400字詰め原稿用紙400枚分超えてるってのは、いった
いどう言う事なのやら。
前回もご感想いただき、ありがとうございます。
違うのが書き上がるはずが、何故かこれが先に仕上がってしまいました。ふしぎ。
ああ、そうそう……ぺにぺに、まむまむですけど、私はあった方が可愛いと言う考えで
す。ウザ可愛いお顔の、憎たら可愛いお口の下に、人間並みの男根が生えてるなんて、す
ごく性的で可愛いと思ってます。感覚が多少ずれてるかも知れませんが、可愛いのストラ
イクゾーンがちょっぴり広いのですよ、
むしろ、ゆっくりが実在したら、しゃぶり倒したいぐらいですね……いや、しゃぶるだ
けじゃなく、もっと色々と……うふふふふふふ。
最終更新:2008年10月27日 22:17