ゆっくりいじめ系1422 温泉

 俺は村の温泉を訪れている。
……別に混浴だからとかそんなんじゃないよ?ただ単純に寒いからだよ?
 おお、しばれるしばれる。


 この温泉は沸いてからしばらくたつ。
 俺のような、特に興味のないものはこうして寒い季節になるまで来ることはないのだろうが、
 既に村には温泉の熱心な愛好者が何人もいる。
 その人たちの要望を聞き入れて、この温泉はさまざまな試みをしているのだという。
 たとえば混浴。ほかには、水車の力で湯を高いところへ引き上げ、
 滝のように落として循環させている”打たせ湯”。
 何でもそうだが、好きな人間というのは色々なものを考え付くものだ。


 代金を支払い、中に入る。敷地に入ると、真っ白い湯気が俺を出迎えた。
「誰もいない、か……」
 何を期待していたわけでもないが、なんとはなしに寂しさを覚える。
 まあいい。とりあえず湯を楽しもう。




 銭湯のゆっくり




 湯の中をじゃばじゃばと進むと、湯気の中に白い人影が見えた。何だ、いるじゃないか。
 どうやら子供のようだが……
「ゲェーッ!れみりゃ!!」
 だぶついた衣服は脱ぎ、ババくさい帽子だけを頭にのせた胴付きのゆっくり――
 ゆっくりれみりゃだった。出オチかよ。

 俺とれみりゃの視線が交錯する。
「あう、おにいさん、いいゆだったど~!」
「あ、ああ、そうかい」
 おや…れみりゃにしてはまともな会話ができるような……?俺は面食らう。
「いまおぜうさまはぽかぽかできぶんがいいから、おにーさんにとくべつにのこりゆをつかわせてやるどぅ!!
 はいっていいど~!!えっへん!」
 やっぱ殺す。そっとれみりゃの首に手をかける。
「ぎゅ、ぎゅお……?」
「っと、いかんいかん」
 まだ出自も定かでないれみりゃだ。もし他人のものだったなら、確実にひと悶着起きてしまう。

 俺はたずねてみることにした。
「れみりゃは、誰かといっしょに来たのかい?」
「おぜうさまは、もりのおぜうさまなかまといっしょにきたど~!!
 あんまりおぜうさまがいっぱいいて、かりすま☆にのぼせちゃったらこまるから、こうしてさきにでてきたどぅ~」

……?よくわからないが、どうやら人飼いのれみりゃではないらしい。
「まあいいや」
 俺はれみりゃにでこぴんを食らわす。
「いだっ!
 おぜうさまのこーきなおかおになんてことするんだど~!!
 ぜったいにぶっ!!!」
「おっ、今”ぶっ”って言った?豚っぽくてよいね。それそれ」
「ゆぶっ!ゆるざなびっ!」
 顔をへこまされながらもこちらへ手を伸ばしてくるれみりゃだが、悲しいかな腕の長さが違いすぎて届かない。
「この下膨れをたぷたぷしてみたりして」
「あうううう!やっめるんだっど~☆くしゅぐったいどぅぅぅ!!」
「何がくしゅぐったいだ。つまらんからやめてやる。
 それより、”森のおぜうさま仲間”とやらの所へ案内してくれるかな?そこには仲間がたくさんいるんだろう?」
 れみりゃの帽子を左右に引き伸ばしながら問いかける。
「やめるんだっどぅ~!!おぜうさまのだいじなおぼうしだっどぅーー!!」
「教えたらやめてやるよ」
「やだどぅ!すぐにはなすんだどぅぅぅぅ!!!
 はなじたとしてもいじわるなおにーざんになんかぜったいおしえないどぅ!!!
 じゃくやぁぁぁ!!じゃくやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 れみりゃはあたりに響く大声で泣き喚く。
「(しくじった……っ!?)」
 俺は我に返った。やりすぎた。
 今は人がいないとはいえ、ずっと無人だとは限らなかったのだ。もっと慎重にするべきだった。
 しかも、れみりゃの声に答えるように、湯煙の向こうから人影が現れてしまった。やばい。
「近づいて来るし……逃げるか」

 と、そこで俺は気づく。人影はすらっとした人間のものだ。
「しゃくやぁ~♪」
 さくや、だと。
(まさか、美人と名高い紅魔館のメイドさん……?)
 俺は立ち止まる。
 やはり温泉にきて良かった!咲夜さんの艶姿が直に拝めるなら、虐待の罰を命で贖うとも我が人生に一遍の――
「ここにいましたか、れみりゃ」
 凛と響き渡った声は、


 野太かった。



「どぼちでおどごなのおおおおお!!!???しゃくや、しゃくやぁぁぁぁぁ!!!???」
 俺は泣いた。
「ど、どうしましたお客様」
 ちなみに”凛と”は本来、男性器が隆起するさまを形容した表現らしい。


「さくや!あいついじわるするの!こらしめてやるどぅ~!!」
 背が高く、鍛えられた肉体の”さくや係”の肩に担がれて大得意のれみりゃ。くそっなんて時代だ。
「失礼いたしましたお客様、このれみりゃは当温泉の所有でございまして」
「い!いえいえ、こちらこそ」
 現場を見られていないとはいえ、虐待していた負い目があってしどろもどろになる。
「れーぎをしらないおにーさんは、ぽーい☆だっどぅ~☆
 ぽーいされたくなかったらぁ、じべたをあたまにこすりつけてあやまるどぅ☆
 それからぷっでぃーんもってくるどぅ♪」
「ぐぐぐぐぐ……!!」
 俺はさくや係がれみりゃを連れて行くまで、その罵声に耐えるしかなかった。
「なんでおにーざんがごんなめにあうのぉぉぉぉぉ!!!!!」

 ちくしょう!温泉なんて、二度と来ねえよ!!!!!


 * * * *


「それにしても、どうやって逃げ出したんだこいつ」
 れみりゃを肩に捕まえて歩くさくや係。
「あう~♪おぜうさまはあつあつだったからぁ~、ぱたぱたーしてまどからでたどぅ~☆
 あんなちいさなまどはえれがんとじゃないどぅ、かいちくしなきゃだめだどぅ!」
 成程、比較的小柄なこのれみりゃはおそらく通気孔を潜り抜けたのだ。
 これを鍋風呂に戻したあとで、通気孔に網をかけるよう手配しよう。
「あう~?このみちはあつあつにもどるみちだどぅ?
 おぜうさまはあつあついやだどぅ!ぎっしりもあつあつもえれがんとじゃないどぅ~!!」
 さくや係はれみりゃの言うことなど歯牙にもかけず、通路を歩いていった。




 時をさかのぼること半刻――鍋風呂区画。
 ぎっしりあつあつに耐えかねた個体が逃走したあと、ぎゅうぎゅう詰めのれみりゃ達は、
 じりじりと上昇しつづける水温をまだ我慢していた。
”こんなにたくさんのおぜうさまが集まるぱーてぃー☆”で、えれがんとでない振る舞いをしたくない。
 そんな思いが、れみりゃに忍耐を強いていたのだ。
 ただ、いつも優しいさくやが来たら、それとなく注意してやろうとは思っていた。

 しかし、やってきたさくやは今までとは様子が違った。
「今日は仕上げの日か。これで二週間分?」
「いや、第一週分だけ」
「そっち火入れて」
「おう」
”あつあつ””せませま”と訴えるれみりゃの抗議に耳を貸さず、てきぱきと作業を進めていく。
「さうなはもういいどぅ!おそとでゆっくりつかまえてあそぶどぅ♪」
「一匹逃げた」
「おうさ」
 鍋風呂を出ようとしてもすぐに捕まえられ、元に戻される。
「どおじてじゃまするんだっどぅぅぅぅ!!しゃくやじゃま!しゃくやいらない!
 しゃくやぽーい☆だっどぅぅぅぅ!!!!」
「火入りまーす」
 今までは比較的ぬるかった鍋風呂が強火で焚かれ、すぐにれみりゃの我慢の限界を超える。
「よし、蓋だ」
「少しずつ運べー」
「いっせーの……」
「「せっ!!」」
 がこん!!
「なんだどぅぅぅぅぅ!!??くらいどぅぅぅぅぅ!!??」
「あつあつだどー!?むしむしするどー!!!」
「さくやぁぁぁ!!??じぶんかってはゆるさないんだどー!!」
「ぐるぢぃぃどぅぅぅ!!!!」
 れみりゃ達にはわからなかった。
 ずっと自分の言うことを聞いていたさくやが、どうして自分達のかり☆すまを忘れたのか。
 おぜうさまである自分たちが、どうしてこんな不快な場所に押し込められなければならないのか。
 これから自分たちがどうなるのか。


 逃走したれみりゃを連れて、さくや係の一人が帰ってくる。
 既に、れみりゃの詰まった巨大鍋風呂は、かなりの高温に達していた。
「びゃおっ!まえよりずっとあついどぅ!!さくやのくせにこんなこともできないのかどぅ!!
 とっととぽかぽか~☆にもどして、ぎっしりのれみりゃもはんぶんくらいにするんだどぅ、わかったかどぅ?」
 さくや係は構わず蓋をずらし、れみりゃに中を見せる。そこにはまさに、”ぎっしり、あつあつ”の光景が広がる。
「ぎゃぶぅぅぅ!!!」
「みゃんみゃあぁぁぁ!!!!!」
「あぢゅい!あぢゅのいやぁぁぁぁ!!!」
 肩の上の個体が息を呑んだ。
「どうしてだっどぅ……?おぜうさまはこーまかんのあるじだっどぅ……?
 いちばんえれがんとなのはおぜうさまだけど、みんなをこんなふうにしなくたっていいどぅ!!はやくたすけるどぅ!!」
「駄目だね」
 れみりゃは混乱した。
 今までは何くれとなく世話をやいてくれたさくやの反抗。
「さくやのくぜにどうじてそんなこというのぉぉぉ!!!!!」
 男は鍋と自分の肩を見比べた。その目は冷たく澄んでいた。

 男の目に不穏なものを感じたれみりゃは、生まれて初めて命の危険を感じた。
「さくや、やめるんだどぅ~……
 そうだどぅ!おぜうさまののうさつ☆だんすをみせてやるんだどぅ~♪それできげんをなおすどぅ☆
 さくやにきづかってあげるなんて、おぜうさまはかんだいなんだどぅ~」
 だんすを始めるれみりゃ。男は腕組みしたままそれを眺めていた。
「うっうー☆うあうあ☆」
「れみ☆りあ☆うー☆」
 男の手がゆっくりと伸びてくる、れみりゃはさくやがまだ機嫌が悪いのだと思い、腕、腰の動きを早める。
「れみりゃ☆うー!
 れみりゃ、うー!!
 どうじてこっちくるんだどぅぅぅl!!??おどりこさんにてをふれちゃいけないんだどぅ!!!
 れみりゃうー!!
 れみ、りゃ……」
 れみりゃは捕らえられ、鍋へと運ばれる。湯気がれみりゃの顔を打つ。
「あぶっ!!あぢゅいどお~!!!!
 しゃくや!しゃくや!あづい!しゃくやぁぁぁぁ!!!
 うばああああああ!!!!!!!!
 じゃくやあああああああああ!!!!」
 さくや係は鍋の真ん中のほうへその個体を投げ込むと、ずらした蓋をもとどおりに閉めた。


 * * * *


 ちくしょう!ちくしょう!今日はなんて日だ!
 すっきりーしようと温泉に行けばれみりゃごときには威張られるし、咲夜さんだと思ったら筋肉だし、
 帰ってきたらきたで妹に、
「なんでれみすい買って来てくれなかったの!?私あれ大好きなのに!馬鹿なの!?死ぬの!?」
 とか怒られる始末。
 なんだよれみすいって、訳わかんねえ……
「俺が何をしたってんだ、ちくしょぉぉぉぉぉ!!!!」  


 * * * * 


《れみりゃ水餃子風》は、この温泉の人気の献立の一つだ。
 業者が取ってきたれみりゃを長期間出汁風呂につからせ、段階に分けて加熱していき、熱死させる最終段階を経て
 はじめて完成品として供することができる、製造工程の難儀な献立でもあるが。

《水餃子》はお土産としても有名だが、やはりできたてを食べられる食堂での注文数が圧倒的に多い。
「はふはふ……美味ぇっ!!
 やっぱここに来たらこれを食べなきゃなあ、おい。
 お兄さん!水餃子もう一個追加ね!」
「かしこまりました」
「なあお兄さん、これってどうやって作ってるんだい?
 ……って、そんな野暮なこと聞いちゃいけねえな、悪い悪い」
 背の高い男はただにっこりと微笑んで、その場を辞した。







 おしまい。

 書いた人:ゆっくり用品店”ゆ虐の友”従業員



 □ ■ □ ■ 

 過去の作品:
 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2
 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待
 無尽庭園 ゆっくりできない夜 
 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる ぽんぽんいたいよ!ゆっくりできないよ!
 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり
 ゆっくりゆうぎ ゆっくりだんじょん
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 れみ☆りゃ☆ぎゅー☆ 紙芝居屋とゆっくり


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最終更新:2008年11月08日 12:54
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