- 東方キャラ(永遠亭メンバー)がメインです
- 虐待描写は皆無なので注意
- 何をするだーーーーッ!でお馴染み某漫画のパロ多数
- 俺設定あり
永遠亭 ― 何人も寄せ付けない深い竹林の奥に佇む屋敷があった。
そこには妖怪兎や月の住人達が住んでいるという。
これはそんな永遠亭で起こったという世にも恐ろしい話である
ある日、永遠亭の主、蓬莱山輝夜に使えるマッドサイエンティスト・・・失敬、医者の八意永琳を一人の男が訪ねた。
黒いスーツに黒いサングラス、黒い中折れ帽といかにも怪しい風貌の男であった。
男は八意永琳にこう言った。
「珍しいゆっくりを見つけたので研究資料に使ってほしい」
珍しいというが見たところはそこら辺にいる普通のゆっくりまりさである。
そもそもこんな竹林の奥に人間が一人で来ることなどありえないのではないか、永琳は怪しんだが、
男の言う“珍しいゆっくり”に研究心をそそられた。
「珍しいとはどういうことかしら」永琳が尋ねようとすると男は既にいなかった。
永琳はますます怪しんだが、知的好奇心を抑えきれず、ひとまずそのゆっくりを地下研究所に運んだ。
地下実験施設に運ぶと弟子の鈴仙・優曇華院・イナバにその研究資料に簡易検査を行わせた。
出た結果は全て平均的なゆっくりの示す値のそれであった。永琳は化かされたかと思ったが、
収まりがつかないため、一応精密検査や解剖実験を行い、徹底的に調べ上げることにした。
鈴仙に研究対象を隔離施設に入れるよう言い、その場を離れた。
研究対象のゆっくりまりさはその隔離した檻の番号から仮に「999」という名前が与えられた。
だがこれが恐怖の序章であることなどこの時はまだ誰も知らなかった。
その晩、永琳はふと昼に隔離させた「999」のことを思い出し、それの精密検査と解剖実験を思い立った。
早速隔離された999番の檻を硝子越しに見下ろした。
この檻は檻というより純粋な意味での実験施設に近い形で3m四方の出入り不可能な閉鎖された空間であり、
それを数メートル上から硝子越しに見下ろすことができた。
だがどうだろう、永琳が見下ろすその空間には何もいないではないか。
不審に思い鈴仙と近くにいたてゐを呼びそれを咎めたが、鈴仙は自分は確かにここに入れておいたという。
納得できない永琳は檻に設置された監視カメラで調べることにした。
鈴仙が999を檻に入れ、檻を完全に隔離する。このときの反応は普通のゆっくりその物である。
その後、鈴仙が去ってしばらくの間もゆーゆー喚いていたり、壁に体当たりしたりして終いには寝はじめてしまった。
てゐが一度部屋に入った時も全く異常なかった。
早送りする内に三人は信じられない映像を目の当たりにした。
ちょうど月が出始めた時間の頃であろうか、今からそう何時間と経ってはいないだろう。
「ああああ、あれはッ!?」三人が同時に叫んだ。
「空気供給管にーッ!!」てゐが信じられないという叫びを上げた。
「ああ、あんなスキ間に!ほんの2cm×10cmの細いスキ間に自分の肉体を・・・・・・おりたたんで入っていったーッ!」鈴仙も同様に叫ぶ。
「な・・・なんてこと・・・・・関節をはずしたんじゃあないわッ!奴は、あ・・・餡子をゲル状にしてねじり、自分の体を変形させたのよッ!!」
永琳は冷静に分析をしながらも二人同様、驚きを隠せなかった。
そのとき他の実験用のゆっくり達がいる部屋で恐ろしい叫び声が上がった。
「「「ゆぎゃああああああああああああああ!!!」」」
間違いなくゆっくり達の叫び声である。三人はとにかく声のする部屋へ行ってみた。
部屋に入るとまたもや絶句した。部屋は無残に荒らされ、部屋にいたゆっくりの大部分は既に事切れており、
そうでないゆっくりの中に無傷の者は一匹とていなかった。
「ゆ゛う゛ぅ゛ぅ゛、お゛ね゛え゛ざん゛だずげで・・・・」
「わ゛から゛ない゛よ・・・ぢっ゛どもわ゛がらない゛よ゛・・・・」
とにかく比較的傷の浅いゆっくり達に散乱していた餡子を無理やり詰め込む応急処置を施し、何があったのか尋ねた。
「一体さっきここで何があったのかしら?」
「ゆ゛ぅ゛ぅ・・・べや゛にばりざがあ゛い゛っでぎで・・・ゆ゛べぇ゛!!」
言いきらぬ内に息絶えてしまった。見た目以上に傷が深かったのだろう。
その後何匹かに同じようなことを訪ねた末、ようやく一匹の見知らぬまりさが部屋に入ってきてゆっくりの入っている檻を壊し始め、
出てきたゆっくり達に襲い掛かり、やがて全てが狩られるとすぐに部屋を出て行ったという真相に辿り着いた。
「お師匠、間違いなく逃げ出した999ですよ・・・」鈴仙が言うと、
「そのようね・・・それにしてもあのゆっくりは一体・・・」と永琳は返した。
念のために他の部屋を回ってみると先ほどと同じような惨状が広がっていた。生きていたゆっくり達に何があったかを尋ね、
すぐにまた次の部屋で同じことを繰り返した。
だが永琳はある奇妙なことに気がついた。彼女はそれぞれの部屋で飼っていたゆっくり達の正確な数を覚えているわけではなかったが、
毎日研究のために入る部屋である、大体その部屋に何匹いるかなどということは把握できていた。
つまりどういうことか、部屋にいたゆっくりの死骸と傷ついたゆっくり達の数がその数に噛み合わなかったのだ。
またゆっくり達は最初の部屋では「まりさ」だけだと言ったが、後の部屋ではそれが「まりさたち」に変わっていた。
そして部屋が後になるに比例してゆっくりの生存率が極端に低下していることであった。
永琳は悪い予感がしてならなかった。
「まさか・・・」
ゆっくり達を襲った999に自ら進んで近づこうと考えるゆっくりなどまずいないだろう。
そのまりさ“たち”とは999の意のままに操られたゆっくりではないだろうか、
永琳は999達を外に逃がさないために、てゐに兎達と屋敷を取り囲み、一匹たりともゆっくりを逃がさないようにと言いつけた。
てゐが兎達を呼びに行きしばらくすると再び悲鳴が聞こえてきた。
だが今度はゆっくりのそれではなく、聞き覚えのある人物の悲鳴であった。
そう、永遠亭の主である蓬莱山輝夜の悲鳴であった。
二人が悲鳴の主の部屋に駆け付けると、その部屋には不死の姫君が倒れていた。
緊迫した状況とは思えないほどに間抜けな表情で気絶していたが、その周りには数匹のゆっくり達がいた。
二人掛かりで輝夜を助け起こし、やっと正気を取り戻したが、まだ状況をつかみ切れていないようだった。
無論、二人も同様である。この数匹のゆっくり達はなんなのか?
とにかく手近なところにあった物で数匹を叩き潰し、輝夜に何があったか尋ねた。
「姫、一体どうしたのですか?」「・・・・あく・・ま・・・・よ・・・」
「はい?」永琳と鈴仙は意表を突かれ思わずそう返してしまった。
「悪魔・・・ですか?」
「そうよ、そう悪魔よ!あんなの悪魔しかあり得ないわ!!」輝夜は一層語気を強めた。
「とにかく何があったのか詳しく話してください」鈴仙が言い、ようやく輝夜が落ち着いた。
「・・・・・・・・・・かくかくしかじか・・・・・・・・・こんなことがあったのよ・・・」
聞けばこう言うことであったそうだ。
輝夜が寝ていると一匹のゆっくりまりさ(恐らく999)が入ってきて輝夜をバカにし始めた。
虐待趣味があるわけではないが、眠りを妨げられた上に自らを罵倒した目の前の饅頭に怒りがこみ上げた。
だが『輝夜はゆっくりまりさのいる方へ足を踏み出したと思ったらいつの間にか一歩下がっていた』
という、そして輝夜が何が何だか分からず混乱している隙に数匹のゆっくり達が輝夜に襲い掛かり気を失った所に永琳達が来た・・・
とのことだった。
間違いない、そのゆっくりまりさは999であり、姫に襲い掛かったゆっくりは999に操られたゆっくりであろう。
だが三人が状況を整理している間に恐ろしいことが起こっていた。
先ほど潰された数匹のゆっくりが徐々に再生しているではないか。
流石の八意永琳もこれには仰天した。
「ひ・・・ひどいッ!化け物は化け物を生み出すのねッ!」
そしてついにこの事件の張本人であろう、999が現れた。
「あなたは一体何者なの・・・?」永琳は同様しながらも999に尋ねた。
「ゆ?ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!しらないおねえさんたちはとっとと・・・
『死ンデネッ!!!!』」
三人は不意打ちを喰らったが、流石は歴戦の兵達である。
とっさの判断で弾幕を再生していたゆっくり達にもまとめて撃ちこんだ。
輝夜と鈴仙はこれならもう再生できまいと安堵したが、永琳はそうは思わなかった。
そしてその期待に反してゆっくり達はみるみる再生を始めた。
「・・・ッ!」永琳が舌うちをした。そして僅かに震えていた。
「永琳が恐怖しているッ!!」輝夜が呟いた。
「YUKKUREEYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」
999が何やら恐ろしい咆哮を上げている。これから三人を狩ろうというのか。
三人はここでは敵わぬとみてひとまずその場を離れることにした。
999と周りの虚ろな表情のゆっくり達もそれを追いはじめる。
だがこの追いかけっこは長くは続かなかった。
地の利は屋敷の主たる永琳達にあるのは明白である。だが、すでに三人とも999のために冷静な判断を欠いてしまっていた。
逃げる内に廊下の突き当たりにまで追い詰められてしまった。正しく袋小路という状況である。
「ユッ!オネエサン達、ユックリマリサ達ニ食ベラレテ逝ッテネ!!!
オネエサン達ノ“生肝”ヲ食ベレバ永遠ニユックリデキルンダヨネ!!!」
まさか、と永琳と輝夜は思った。何故不老不死の自分達のことまで知っているのだろうか・・・
「だ・・・誰にそのことを聞いたのかしら?」輝夜は999に尋ねたが、
「コレカラ食ベラレルオネエサン達ニハユックリカンケイナイコトダヨ!!!」と返してきた。
999とゆっくり達はジリジリと間合いを詰めてくる。最早その距離は5mと離れていないだろう。
「お師匠・・・何とかならないんですか?」鈴仙が永琳に助けを求める。
無論、手段があれば既に講じているが、弾幕を撃ってもすぐに再生する、そして今彼らはスペルカード以外何も持ち合わせていない。
「た・・・助けてえーりん!!」主の輝夜も永琳に縋り付くが、どうしようもできない。
永琳は己の無力を嘆いた。
(「そこで問題よ!このこの落ち詰められた状況をどうやって打開するか?
3択 ― 一つだけ選びなさい
答え①天才の八意永琳は突如反撃のアイデアがひらめく
答え②てゐや兎達がきて助けてくれる
答え③打開できない。現実は非情である。
私がマルをつけたいのは答え②だけど期待は出来ないわ・・・
屋敷の外を固めさせたてゐや兎達があと数秒の間にここに都合よくあらわれて
アメリカンコミック・ヒーローのようにジャジャーンと登場して『待ってました!』と
間一髪助けてくれるってわけにはいかないわ、逆にてゐ達が来ても変わらないかもしれないわ・・・」)
ならば誰が助けに来てくれるのか?万が一にも八雲紫や神社の巫女など来る筈もない。
ましてやかつて撃ち合った他の面々も。
「ユックリ死ネェェェェェエエエエエ!!!!」こんなことを考えている内に999達は三人に飛び掛かった。
万事休す!三人がそう覚悟したときに廊下の東側の窓から朝日の光が差し込んできた。
夜明けが訪れたのである。
光がゆっくり達を照らすと、飛び掛かってきた筈の999や他のゆっくり達は急に苦しみだした。
一体どういうことだろうか、一切の手段が通用せず不死身とさえも思わせた999達が苦しんでいる。
やがて999を残してゆっくり達は全て灰となった。
「これは・・・」永琳は思わず漏らした。
「何世紀も未来へ!永遠(とわ)へ・・・・・ゆっくりするはずのこのまりさがッ!?
ユ゛ゥ゛ウ゛う゛・・・・どう゛じで・・・・?ゆ゛っ゛ぐい゛でぎだいよ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!!」
そう叫ぶと999も灰塵と帰した。
三人は気がつくと廊下の突き当たりで寝ていた。
「夢・・・だったんでしょうか、お師匠?」
「どうなってるの・・・?永琳?」
二人が聞いてきたが、自分でもどう答えたらいいのか分からない。
とにかくこれが悪い夢であったのか?永琳はとてもそうは思えない。
だがとにかく助かったということだけは三人とも分かった。
三人はしばらく立ち尽くすしかなかった。
エピローグ―
結果から言うとこの忌まわしい出来事は夢ではなかった。
999に荒らされた研究室にはゆっくりの死骸が転がったままであったこと、
またてゐも永琳に命令された通り外で警戒しており、部屋で見た惨状もハッキリ覚えていたという。
一体「999」とは何者だったのか・・・何故仲間を増やし襲いかかってきたのか・・・
何故太陽の光を浴びて消えたのか・・・何故自分たちはあんな所で寝ていたのか?
だがそれ以上にあの「999」を渡した黒い男は何者だったのだろうか?
そしてあの男の目的は一体何だったのか。それらは永琳を悩ませた。
だが今となってはそれを確かめる術は残されていない。
そのうち永琳はこのことについて考えるのをやめた。
Fin
どうも、永遠亭メンバーがメインで純粋な虐待もない作品でしたが、
ミステリアスなものを書いてみたいと思い、推敲や他の事含め三日かけてやっと書き終えました。
不要なまでにジョ○ョのパロディを詰め込みましたが、これはやりすぎたかなと。
素人作品なので感想、改善点等是非お願いします。
とにかく相変わらずの駄文にお付き合い頂きありがとうございました。
過去作品
男と一家
きめぇ丸の恩返し 丙・丁
物語で補足しきれなかった点等を一応解説
宇宙人の工作員の都市伝説のMIBをイメージしました。
永遠亭と因縁の深い某衛星の情報組織、とでも脳内補足してあげて下さいw
これは思いつき。
深い意味はないので気にしないでください・・・
ジョ○ョの奇妙な冒険 戦闘潮流を読んでくださいw
シュトロハイム少佐(後に大佐)とその部下達の有名すぎるやりとりです。
- 「YUKKUREEYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」
言わずもがな、同じくジョ○ョの悪役DIOの有名なセリフです。
元はUREEYYYでしたかな?
ちなみに何故何の変哲もなかったゆっくりが化け物になって
太陽の光を浴びて消えたか?という疑問があるかもと思ったので補足しますと、
満月(物語は満月の夜ということで)の力で覚醒するよう改造されており、
一度化け物になると戻らず、太陽の光を浴びると灰となって消える、
と脳内補足していただければ幸いです。
最終更新:2008年11月10日 05:14