「まりさ!おいしそうなものがいっぱいあるよ!」
「どれもおいしそう!たべたいぜ!」
「
ゆっくりたべていこうね!」
一軒の家に侵入したゆっくりまりさとゆっくりれいむ。
二匹のゆっくりは家の食べ物を食らいつくした。
「むーしゃ♪むーしゃ♪」
「うっめ!めっちゃうっめ!ゆっくりできそうだぜ!」
「ここをれいむたちの家にしようね!」
二匹は勝手にこの家を自分たちの「ゆっくりポイント」に定めた。
しばらくして住人が帰ってきた。
彼が目の当たりにしたのは、自分の家を荒らしに荒らし
食料を食らいつくした二匹のゆっくりたち。
「僕の家で何をしてるのかな?」
男が問いかける。
「おにいさんのうちじゃないよ!ここはれいむたちのうちだよ!」
「じゃまだから、かってにはいってこないでね!!」
ゆっくりに関する知識のない人は、まずここが自分の家であることを説こうとするだろう。
しかし自己中心的で知能の低いゆっくりたちには理解されず、押し問答となる。
大半の人は説得を諦めて追い出すのだが、この男は違った。
学習能力もなく、自分本位の考え方しかできないゆっくりたちに
ここが誰の家で、自分たちが誰の食べ物を食らい尽くしたのかを教え込もうと思った。
「わたしたちのいうことをきくなら、いっしょにゆっくりしてもいいぜ!」
「そのはこのなかにごはんがあるよ!ゆっくりしてないでもってきてね!」
立場もわきまえず命令する二人。
「ここは僕の家だから、君たちには出て行ってもらうよ」
「ゆっ!ここはれいむがみつけたんだよ!だかられいむたちのうちだよ!」
「ひとのうちをとったらどろぼうだよ!どろぼうはでていってね!」
ほおを膨らまして抗議するれいむとまりさ。
「君たちがここを見つけたのは今日のことだろ?
ここには僕が、一年前から住んでいたんだよ」
「うそだよ!れいむがみつけたときにはだれもいなかったよ!
ゆっくりできないひとはでていってね!」
そう言うとゆっくりたちは男に向かって体当たりを始めた。
次第に面白くなってきたのだろう。二匹はいやな笑いを浮かべながら、男を馬鹿にして体当たりを繰り返した。
ゆっくりは自分たちの罪を自覚しない。人間の基準である善悪の判断を理解できないのだ。
「人間界には居住権というものがあるんだ。僕はここに住む権利を持ってる。君たちはここに住めないんだよ」
「さっきのおにく、おいしかったね!」
「もっかいたべにいこうぜ!!」
すでに男の声を無視し、再び冷蔵庫をあさりにいこうとする二匹。
もっとも男の声に耳を傾けていたところで、ゆっくりに難しい話は理解できない。
男はゆっくりれいむとまりさの髪をむんずと掴み、ベッドに放り投げた。
どすん。ベッドに叩きつけられる二匹。
「いたいよ!なにするの!」
「ゆっくりあやまってね!!」
男は返事をせず、二匹の髪をベッドの脇のポールに結びつけた。
二匹は振りほどこうとじたばたするが、ポールは地面に固定されていて動かない。
髪もがっちりと結ばれていて、到底ほどけそうにない。
「ゆっくりほどいてね!!」
「ほーどーいーてー!!」
ピョンピョン跳ねて抗議するも、男は聞く耳をもたない。
「ゆっくりできないよ!!ほどいてー!」
「ほどいたらでていってね!!」
次第に涙目になる二匹。
「君たちは勝手に人の家に入ってきたんだから、罰だよ」
「ちーがーうー!!ここはれいむたちのおうち!」
バシィ!ゆっくりれいむの頬にビンタが飛ぶ。
「ゆ゛ー!いだい゛ぃぃ!!」
「ここはお兄さんのおうち。理解するまで殴るよ」
バシィ!れいむとまりさに一発ずつ強烈なビンタがお見舞いされた。
「びえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛!」
わんわんと泣く二匹。
「ここは誰のお家?」
「れ、れいむたちの…」
バシ!バシィ!!
「お゛、お゛にいざんのお゛うぢぃ…」
泣きながら答えるれいむ。まりさも何度もうなづいている。
さて、二匹はここが「お兄さんのお家」だと認めたように見える。
だがその実、二匹はそのことを認めていない。
このゆっくりという生物、想像以上に知能が低いのだ。
今は痛みへの恐怖のおかげで「お兄さんのお家」と言ってはいるが、
少し時間が経てば痛みの経験を忘れ、自分たちの家だと言い張るだろう。
そのことを確かめるために、男は二匹の髪をほどき自由にし、少し様子を見た。
最初のうちは男を警戒し、小さくはねながら部屋をうろうろしていた二匹だったが
案の定、10分ぐらい経ったところでまりさが冷蔵庫の中の食料をあさり始めた。
れいむも本棚に体当たりし、崩れた本で遊び始めた。
「喝っっ!!!!」
突然、男の大声が響き渡る。
まりさもれいむもビクッとして振り向く。
「うるさいよ。おおごえださないでね!」
「ゆっくりできないならでていってね!」
「ここは誰の家だっけ?」
「ゆ!ここはれいむたちがみつけたうちだよ!」
ゆっくりに学習能力は皆無。再びここを自分たちの家だと思い始めている。
先ほどの痛みも既に忘れ、調子に乗り始めているのだ。
男は再び二匹の髪を掴み、先ほどと同様ポールにくくりつけた。
そして再びフルスイングのビンタを食らわす。バチン、バチン!!
「いだ゛い゛ぃぃぃ!」
「ここは誰の家?」
「れ、れいむたちの…」
バチン!
「誰の家?」
「お、おに゛い゛ざん゛の゛う゛ち゛ぃ゛…」
そこでまた髪を解く。今度はほどいてから30分ぐらい大人しくしていた。
しかしまた調子に乗り始め、そこらじゅうを飛び回る。
そしてまた髪をポールに結びつけビンタ。男はそんなことを何度も繰り返した。
何度か繰り返すと、二匹は家を出て行こうとした。
なぜ出て行こうとするのか理由を聞いたところ、「ここではゆっくりできないから」という返事が帰ってきた。
男は再び髪を掴み、ポールにくくりつけビンタを開始する。
二人が出て行かなければならない理由は「ゆっくりできないから」ではなく「ここは他人の家だから」。
自分たちの行為が悪い事であることを理解させ、反省させるまでこれを繰り返す必要がある。
七回ほどループしたころだろうか。髪をほどいた後、二匹はしおらしく家を出て行こうとした。
「なんで出て行こうとするんだい?」
「ここはおにいさんのおうちだから…」
ようやく霊夢の口から、「他人の家だから出て行かなければならない」という旨の発言が出てきた。
何度もビンタされ、叱咤されて覚えた事柄。いくら学習能力のないゆっくりでも、そう簡単に忘れはしまい。
…だが男は再び二匹の髪を掴んだ。
「はなし゛て゛ー!もうい゛や゛ー!」
「おう゛ち゛か゛え゛る゛ー!!」
二匹の贖罪はまだ済んでいない。
「君たちは人の食べ物を勝手に食べ、家を散らかした。
全部元通りに片付けないといけないんだよ」
「かたづけるのいや!」
「おうちかえるー!」
わがままを言う二匹に、今度は鉄拳が飛ぶ。
「びえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛!びえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛!」
「君たちは人の食べ物を勝手に食べたよね?」
「まりざだぢがみづげだだべぼのだぼん!」
言い終わると同時にゆっくりまりさの顔面に蹴りが入る。
「びえ゛え゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
平手や鉄拳以上の痛みがまりさの全身を駆け巡る。
「れいむはどうかな?人の食べ物を食べたよね?」
「た、たべたよ!れいむをゆるしてね!!」
目の前でまりさが蹴飛ばされて苦しむのを見て、れいむは素直に人の食べ物を食べたことを認めた。
だがこれも先ほどと同じ。恐怖によって一時的に言わされているに過ぎない。
悪い事だと理解しているわけではないのだ。
「それじゃあ二人とも。散らかしたものを片付けてくれるかな?」
「かたづけるよ!ゆっくりまっててね!」
れいむは慌てて部屋を片付けはじめた。やがてまりさも泣き止み、だまって片づけをはじめた。
それから20分もしたころ、れいむが片付けに飽きて再び部屋の物で遊び始めた。
「れいむ。何してるのかな?」
「れいむはあそんでるよ!いいからさっさとごはんをもってきてね!」
まったく学ばぬ生物。当然、思いっきり蹴りが入る。
「ゆ゛ー!!ゆ゛ー!!」
「君たちは他人の部屋を汚したから、片付けをしないといけないんだよね」
「ゆ゛、びぃ…」
肯定なんだか何なんだかわからない鳴き声をあげて、れいむは再び片付けに戻った。
これを何度も繰り返し、「人の部屋を汚してはならない」「汚したら片付けなければならない」ということを男は教え込んだ。
ようやく片付けが終わり、二匹のゆっくりはだらーっと床につっぷしていた。
「疲れただろう。ほら。これを食べて元気だしなよ」
男がお菓子を持ってくると、二匹はとたんに元気になり、皿に飛びついた。
「むーしゃむーしゃ♪しあわせー♪」
「おにいさん!これじゃたりないよ!」
「はやくもっともってきてね!!」
我が物顔でおかわりを要求するゆっくりたち。
食べ物を与えられたことで気が緩み、恐怖心を忘れてしまったようだ。
ここですかさず蹴りが入る。
「ゆ゛ー!!!」
「ものをもらったら『ありがとう』だろ」
「ゆ゛ー!ゆ゛ー!!おうぢがえ゛る!!」
パン!パン!言うことをきかないれいむに平手打ちが何度も入る。
「ぶえ゛え゛え゛ぇぇ!!」
泣き出すれいむ。それを見ているまりさも涙ぐむ。
「『ありがとう』は?」
「あっ、ありがどう゛…」
泣きながらお礼を言うれいむ。
「まりさも。『ありがとう』を言いなさい」
「ゆっ!あ、ありがとう!!」
「そう。それでいいんだよ。なにかをもらったらお礼を言う。わかったかい」
「わ、わかったからぶたないでね!!」
「わかったならいいんだ。…ところでここは誰の家だったかな」
「れいむがみつけたおうちだよ!おにいさんはゆっくりできないから、でていってね!!」
前に学習したことをすっかり忘れてしまっていたゆっくりだったが、
たった1回の平手で再び半泣きになりながら「お、おにい゛ざんの゛おうち゛ぃ゛…」と言い出した。
少しずつ、着々と人間界のルールを学びつつあるようだ。
「次は『ごめんなさい』を学ぼうか」
「そんなのいいよ!はやくおかしをもってきてね!!」
即座の鉄拳。まりさは吹っ飛ぶ。
「ゆ゛びぃ゛ぃ゛ー!!」
「悪い事をしたら『ごめんなさい』と言わなきゃいけないんだよ。さあ、言ってみよう」
「ゆ゛ひ゛ぃ゛!も゛う゛や゛た゛ぁ゛!!ゆ゛っ゛く゛り゛し゛ね゛!!」
度重なる暴力に耐えかねて反抗をはじめたまりさに、何度も蹴りが浴びせられる。
泣き喚いていたまりさだったが、言うことを聞かないと痛い目にあいつづけると知り、泣くのをやめた。
その頃には既にまりさは餡子反吐を吐き、涙とよだれを流しながら荒い呼吸でつっぷしていた。
「君たちは『お菓子を持ってきてね』だの『出ていってね』だの、他人の家でずうずうしい態度を取り続けたよね。
悪い事をしたんだから謝らなきゃいけないよね。さあ、謝ろうか」
「ごべんなざい…ゆるじでね…」
まりさが泣きながら謝る。
「ゆっ…ごめんなさい」
まりさの様子を見ていて恐怖心を植えつけられたのだろう。れいむも素直に続く。
「もう二度とずうずうしい態度を取ったりしてはいけないよ。わかった?」
「わかったよ!だからはやくおかしを…」
言いかけたれいむだったが、男が平手の構えを取るのを見て即座に口をつぐんだ。
それから一週間。れいむとまりさは男の家で雑用として飼われ続けた。
残飯処理。
「ゆ゛え゛っ!まずいよ!」「ゆっぐりでぎないよ!」
洗濯物の取り込み。
「つかれたよ!ゆっくりさせてね!!」「もうおうぢがえ゛る゛!」
このような文句を言うたびに鉄拳制裁が待っている。謝るまで何度も続けられる。
ご飯は一日三回(ほとんどが残飯)。食前食後にお礼を言わないと逆さ吊りにされて平手30発。
万が一「さっさとおかしをもってきてね!!」などと言おうものなら、口から餡子を吐き出すまで蹴り続けられる。
人間の子供なら、他人の辛さなどを教えられることで感謝の言葉や謝罪、やってはいけないことなどを学んでいく。
しかしゆっくりの場合、それらを言葉で理解することはできない。
長期的な痛みと恐怖により、掟を刷り込ませることしかできないのだ。
最初はゆっくりさせてもらえるのが当たり前だと思っていた二匹も、スパルタの成果であらかた人間界のルールを飲み込んだ。
「さあご飯だよ」
「「ありがとう!いただきます!」」
食事が出され、お礼の後にがっつく二匹。この日は珍しく残飯ではなくケーキだった。
「むーしゃ♪むーしゃ♪」
「うっめ!めっちゃうっめ!」
ベコッ!二匹は男の足に踏みつけられた。
「なにするの!ゆっくりあやまってね!!」
怒って飛び跳ねるまりさだったが、すぐに力関係を思い出しシュンとなる。
「ゆっ…ごめんなさい」
そして逆に自分が謝るのだ。
「君たちはものを食べるときの行儀がなってないようだね。
むーしゃむーしゃ?めっちゃうっめ?
そんな物の食べ方があるか!食事のときは何も喋らず、静かに食べろ!」
「ゆっ!ごめんなさい!」
「ごめんなさい!」
このときを堺に、二匹は食事中に妙な声を発することはなくなった。
二匹はもう完全に理解していた。
ここは他人の家。自分たちは勝手に入ってきて、他人の家を荒らしてしまった。
その償いのために雑用をこなさなければならない。悪い事をしたら謝るし、ごはんをもらったらお礼を言う…
そんな人間界のルールを。
「うっめ!めっちゃうっめ!ゆっくりできそうだぜ!」
「ここをれいむたちの家にしようね!」
「おにいさんのうちじゃないよ!ここはれいむたちのうちだよ!」
「じゃまだから、かってにはいってこないでね!!」
「ゆっ!ここはれいむがみつけたんだよ!だかられいむたちのうちだよ!」
「ひとのうちをとったらどろぼうだよ!どろぼうはでていってね!」
最初のころの傍若無人なゆっくり二匹の影はもうどこにもない。
「ありがとう!いただきます!」
「ゆ…ごめんなさい」
「ここは、おにいさんのおうち!」
「れいむ、あらいものをとりこむよ!!」
すっかりいい子になったゆっくりたちの姿が、そこにはあった。
「君たちも人間界のルールがわかってきたと思う。
二週間の雑用で、もう償いは十分済んだだろう。
君たちのお家に帰っていいよ」
「ありがとう!ゆっくりかえるね!!」
「ありがとう!さよなら!!」
二匹は男の家を後にした。
それからさらに一ヶ月が経ったころ…
「ここをまりさたちのおうちにしようぜ!!」
「おにいさんだれ?ゆっくりでていくか、ゆっくりしんでね!!」
あのときのゆっくり二匹組が、こともあろうに再び男の家に上がりこんで
食べ物を食い散らかし、部屋中のものを荒らしていた。二週間のしつけの成果は完全に吹っ飛んでいたのだ。
そして、おいしいお菓子をもらえたという都合のいい記憶だけが残り、またこの家へやって来たと考えられる。
ゆっくりしたいという本能が勝ったのだろうか。なんと学習能力のない、馬鹿な生き物なのだろう。
男は再び二匹の髪を掴むと、ポールにくくりつけた。泣き叫ぶ二匹。
どうやらこの家で過ごした恐怖の二週間を思い出したようだ。
「君たちは並大抵のことじゃ学習しないようだから…今度は容赦しないよ」
二匹のゆっくりの耳を裂くような悲鳴が、家中に響き渡った。
最終更新:2008年11月12日 05:35