ゆっくりいじめ系1651 まりさとコタツ

「う~、さぶいさぶい」
「はやくおうちでゆっくりしたいよ!」
「ゆっくり! ゆっくり!」

暗かった家に明かりが灯りました。
玄関を上がるのは一人の男と二匹のゆっくりです。
二匹のゆっくりはどちらもゆっくりまりさでした。
見た目のそっくりな二匹であったが髪を結ぶリボンだけは違っていました。
これは男が見分けが付くようにとしたことで、姉が黒まりさ、妹が白まりさです。

「まりさがわんぴー!」
「まりさがつーぴー!」
「おねえさん!」「いもうとよ!」
「「ゆっくりしていってね!!」」

と、リボンを変えた時は喜んでいた二匹はいまやすっかり姉妹となっていました。
一人と二匹は台所に買ってきた食べ物や消耗品を置いていきます。
寒くなったので一度に多くのものを買い、そのため台所の机の上は買ってきたものでいっぱいでした。

「おにいさん! こたつ! こたつ!」
「はやくこたつつけたいよ!」
「よーし」

二匹に催促されて男はコタツに続く扉の前に向かいます。
二匹は跳ねたり伸びたりと準備運動中も万全です。
目にはめらめらと炎が宿っていてやる気が見て取れました。

「行って来い!」
「「ゆー!!」」

扉を勢いよく開けると二匹はそれに負けない速度で飛び出していきました。

「ゆっ! ゆっ!」
「きょうはかつよ!」

ぴょんぴょんと跳ねて行くゆっくり達。
コタツは台所から少し離れた場所にあるのでゆっくりにはちょっとした距離がありました。
しかし、ただ跳ねてるだけでコタツにたどり付けれるようなことを男は許しませんでした。
各所に簡単なトラップを仕掛けています。





「ゆっ! このままならかてるね!」

黒まりさは白まりさより少し先に行っていました。
これなら余裕だろう。黒まりさは油断して周りを見るのをやめてしまいました。
そのため畳に敷かれた薄い紙に気づきませんでした。

「ゆっくr……ゆべべぅ!」
「ゆぷぷぷ! そこでゆっくりしていってね!」

黒まりさは畳に敷かれていた新聞紙を踏んでしまいました。
畳の上の新聞はよく滑る。黒まりさも力を込めた時につるっとすべり、顔を強か打ちました。
痛みで震えている間に白まりさが横を抜けていきます。
目の前にはちゃぶ台がありました。
横を回ると時間が掛かります。白まりさは上に乗って超えることにしました。

「これぐらいのたかさならまりさよゆうだよ!」

まりさは少し傾いたちゃぶ台に乗ります。
傾いているのは足を綺麗に止めていないからです。
この状態だと上から力が加わると倒れる可能性があって大変危険でした。

「ゆ? ゆゆっ! ゆぐるぐるぐるぐる~……ぶべっ!」

まりさが乗るとちゃぶ台の足がはずれ、ちゃぶ台は坂となりました。
その坂をぐるぐると転がった白まりさは戸にぶつかります。
転がった場所はコタツからすぐ近くでした。ラッキーです。
しかし、

「ゆゆっ! まりさのぼうし!?」
「まりさ、ここだよ!」
「ゆゆ~」

まりさは転がったちゃぶ台のところに戻ります。
そこには転がった時に外れた帽子がありました。
帽子を被りなおした白まりさは元通りです。

「これでゆっくりできるよ!」

白まりさは帽子の中に詰まっていた道具と入れなおしました。
そして、コタツへと競争してしていたことを思い出します。

「ゆ、ゆっくりしすぎたよ!」

白まりさはコタツへ急ぎます。

「ゆ~……ゆ゙っぐり゙いいいいいい!」
「ゆっふっふっふ」

白まりさがコタツに着いたとき、すでに黒まりさの帽子がコタツの上にありました。
それは黒まりさが勝負に勝ったことを表します。白まりさがいくら地団駄を踏んだところでどうにもなりません。

「まりさ、はやくでんげんをいれてね! ぬくぬくできないよ!」
「ゆぐぐぐぐ……ゆっくりいってくるよ!」

いそいそとコタツにもぐりこむ黒まりさを尻目に白まりさは電源の場所へと向かっていきました。
電気は最近河童によって供給されたので家の中に電源を入れるスペースはなく、ゆえに外に仮設小屋を建ててそこに置いていました。
「ゆっ! ……しゃぶいいいいいいいいい!」
「は、はやくでんげんつけるよ!」

白まりさはコタツのスイッチを押しに仮設小屋の中に入ります。
地面は土なので地面にそこが付くたびに痛みが体を襲います。

「すいっちさんはやくはいってね!」

コタツ用のスイッチはゆっくりに取ってはぎりぎり届き、人間にとってはちょうどいい位置にありました。
白まりさは冷たい地面に体を出来るだけつけて力を溜め勢いよく飛び上がります。

「ゆゆ~!!」

しかし、あと少しというところでスイッチに届きません。
苦し紛れに舌を伸ばしますが、落下しているので舌を冷たい空気にさらしただけでした。

「づめ゙だい゙よ゙おおおおおおおおおおおお!」

競争している理由はこの寒さからでした。
暖かければ二匹で協力してすぐにスイッチを押せたはずです。
自分は暖かい部屋にいたい。その様な考えからコタツ競争はいつの間にか始まっていました。
男は面白いということでそれを止めなかったので今に至ります。
何回か飛んだところでやっとスイッチに届きスイッチを入れた証のランプが点きました。

「ゆゆっ! これでやっとゆっくりできるよ!」

白まりさはコタツ部屋へと急いで引き返しました。
仮設部屋と家の所には男が置いた土取用のマットがあります。
白まりさはそこで土を払わずに部屋に入ろうとします。

「ここはゆっくりできないよ!」

白まりさは後で起こるだろう男の行動を予想するだけの余裕はありませんでした。

「ゆ~」

ガラッ

「ゆゆっ?」

白まりさがいざ飛ぼうと力を溜め始めた時です。
どこかで物音がしました。
襲われやすいゆっくりは物音に敏感です。すぐに音のした方へと向き直りました。
そして、

「ゆゆゆゆゆ! ご、ごめんなざい、じゃんどぶぎまずうううううう!」

扉を少し開けて今にも白まりさを捕まえようとしていた男を見つけ、まりさは急いで体から泥を払いました。

「はやくつちさんどいてね! どいてね! ……ゆっ、なんだかあったかくなってきたよ!」

すごい勢いで体を振ったまりさはマットと擦れた摩擦熱と自らの熱で体がぽかぽかとしていました。
これならコタツも必要ありません。

「ゆっくりできるよー!」

もちろん、一時的なものです。

「……しゃ、しゃぶいいいいいいいい!」

白まりさは急いで黒まりさの元に向かいました。





コタツの前に戻った白まりさは帽子をコタツの上において潜り込みました。
中はまだ電気が届いておらず暗いままでした。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」

中では黒まりさがゆっくりしていました。
白まりさが入ってきたのに気づくとお決まりの挨拶を交わし、わくわくと電気が届くのを待ちます。
やがて、コタツがほのかに赤くなり、なんだかぽかぽかしてきました。

「ゆ~、ぽかぽかー!」
「ゆっくりできるね!」

二匹はコタツの真ん中に陣取り上から来る暖かな光を受け止めます。
頬をすりよせ充分にお互いゆっくりしあいます。白まりさもスイッチのときの寒さなど忘れてしまいます。
コタツの中はいまや二人だけのゆっくりぷれいすでした。

「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!」
「そうだよ! おにいさんもこないy「よっこいしょっと」ゆぐぅえ!」
「ま、まりあああああああああああああああ! ……ゆべしっ!」

二匹はずいぶんゆっくりとしていました。
そのあいだ男は買って来たものを仕舞い晩御飯の準備を終えました。男もゆっくりするためにコタツにやってきたのでした。
男は二匹を気にせずコタツの中に潜り込みます。
男は先ほどまで外で買い物をし、なおかつ台所で作業をしていたのですから寒くなって当然でした。
早く体を温めようとコタツの真ん中に入ろうとします。その結果二匹は男の足で吹き飛ばされてしまいました。





「ゆぐぐぐぐ……ゆゆっ! まりさ!」

先に立ち直ったのは黒まりさです。
すぐに白まりさを探そうとした黒まりさはコタツが狭くなったことに気づきました。

「ゆゆ! おにーさんせまいよ!」

男の足はコタツを半分に分けていました。
コタツの中からでは反対側に行けません。
そうこうするうちに白まりさも復活しました。

「ゆぐぐぐ……とおれないいいいいいい!」
「ゆっくりどいてね! ゆっくりどいてね!」

二匹はコタツの中で再開しようとあれこれ試しますが男の足はびくともしません。
男にまりさたちの声が届くはずもなく、まりさたちは無駄に時間を費やしていきました。

「ゆゆ~、しょうがないよ! そとにでるよ!」
「ゆっくりりかいしたよ!」
「「ゆっくりまっててね!!」」

二匹は中で会うことを諦め、外をぐるっと回ることにしたようです。
黒まりさは外に出て、コタツを回ります。
ぽよんぽよんと低い軌道で跳ねたまりさは反対側に着きました。
白まりさもまたコタツを出て反対側に向かいました。
途中男とであった白まりさは男の機嫌を損ねないように一気に男の上を飛び越えました。

「ゆっくりー!」

何とか成功した白まりさは反対側にたどり着きました。
二匹はコタツの中に入ります。

「「ゆっくりしていってね!!」」

しかし、求めていた相方の姿は足の向こうです。

「ゆゆゆ?」
「ゆっくりできないよ! ゆっくりできないよ!」
「「ゆぐぐぐぐ……」」
「「ゆっくりまっててね!!」」

二匹はまたも外に出てコタツを回ることにしました。
黒まりさは途中で男を避けるように飛び越えます。

「ゆぴょーん!」

ちょっと着地に失敗した黒まりさは男に当たります。

「ゆゆっ! ……ゆっくりしていってね!」

男はまりさを少しにらみましたがすぐに読んでいた新聞に目を戻します。
ほっとした黒まりさはコタツに急ぎました。

「「ゆっくりしていってね!」」
「どおじでいないのおおおおおおおおおおおおお!!」
「まりさゆっぐりじででよおおおおおおお!」
「「まりさはそこでゆっくりしててね!!」」

二匹はまたまたコタツの外に出ました。
白まりさは途中で男を飛び越えようとしました。

「ゆっくりー! ……ゆべぇ!」
「うっとおしい」

そして男の腕によって地面に叩きつけられました。
顔を押し付けられ、白まりさは声を上げることすらできません。

「……!」

白まりさは何か言おうと体をバタつかせますが男の腕から逃れることは出来ません。
白まりさがそんなことをしてる間に黒まりさはコタツの中にもぐりこみます。

「ゆっくりしていってね!」

今度は大丈夫だろう。黒まりさはそう思ってました。
なので、黒まりさしかいないという状況には焦ってしまいます。

「ゆっ? ゆゆゆっ!?」

どこを見渡しても相方の姿が見えません。
何かあったのかと急いでコタツの外に出ます。
コタツの角を曲がれば相方がいなくなった原因はすぐに分かりました。
そこには男に乗られて息苦しそうにな顔の白まりさが必死に逃げ出そうともがいていました。

「おにーさん、ゆっくりやめてあげてね! それじゃゆっくりできないよ!」
「ゆぎゅぎゅぅ……」
「おにーさんはやくしてね! まりさをゆっくりさせてあげてね!」

黒まりさは姉妹となった相方の今にも死にそうな表情に我を忘れて男に抗議します。
しかし、なかなか新聞を読むのやめない男に黒まりさはとうとう実力行使に出ました。
男の読む新聞の上に黒まりさは割り込みます。

「ゆっくりやめてあげてね!」
「……」

男は無言でまりさを弾き飛ばしました。

「ゆぶべっっ!」

まりさは外と内を分ける窓にぶつかってずるずると滑り落ちます。
しかし、それぐらいではまりさは止まりませんでした。

「ゆっくりたすけてあg……ゆびゃあ!」

再び飛び掛ろうとしたまりさはまたも窓に叩きつけられます。
白まりさは視界の隅で黒まりさが吹き飛ばされているのを見ていました。
自分の為にぼろぼろになっているまりさを早く助けようと男の下で力の限り暴れます。
それが男の我慢の限界でした。
男はコタツを出て二匹を摘み上げます。

「「いたいよ! ゆっくりやめてね! ゆっくりやめてね!」」
「静かに出来ない奴は外に出てもらう」

男は一言言うと窓を開け二匹を外に放り投げました。

「ゆべっ! ……しゃ、しゃぶういいいいいいい!」
「ゆっぐりでぎないいいいいいいいい!」

二匹は落ちた場所でのた打ち回りますが助ける人などいません。
男は二匹が生きているのを確認すると窓を閉めました。

「ゆっ! まってね! まだまりさたちがいるよ!」
「なかにいれてね! なかにいれてね!」

二匹はぴょんぴょんと寒い地面に耐えて窓に向かいます。
もう閉まっているのは分かっていましたが、二匹は窓に飛び掛りました。

「「ゆびょ!!」」

窓は二匹の衝撃に耐えました。
ずるずる、ずるずると地面に落ちたまりさ達は寒さと顔を打った痛みで震えています。
男はそんな二匹を横目に新聞を読み続けました。ビデオに撮っているので後で何度でも見れます。

「おにーさん! ごめんなさい! まりさがわるがったですううううううううう!」
「ゆっくりじだいよおおおおおおおおお!」

二匹は男に謝罪と言う叫び声を上げました。土下座ももちろん忘れません。
冷たい地面におでこをつけ、必死に謝る二匹を男は涼しい顔で受け流します。
新聞はまだ3分の1残っており、読み終わるまでまりさ達を無視するのでしょう。
忘れていないよと言う意思表示か、手ではどちらかの帽子をくるくる回しています。

「ゆ゙ううううううううう! まりさのぼうじいいいいいいい!」
「はやくがえじでね! ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙よ゙!」

二匹は帽子目掛けて飛び、窓に防がれます。
外は寒く、このままでは二匹とも凍死してしまうことでしょう。

「おにいざああああああん! ごめんなざいいいいいいいいいいいい!」
「まりざだぢがわるがっだでじゅうううううううううう!」
「もうじまぜんんんんんんんんんん!」
「ゆっぐりじだいいいいいいいいいいいいい!」

二匹は男に向かって窓の前で叫び続けます。
そんな声を上げる口もがたがたと震え始めました。

「ゆっぐりじでぢゃしんじゃうよ!!」
「もっとうごくよ!」

二匹はお互いに体を擦り合わせて熱を得ようとします。この寒さではすっきりなどできません。
体を擦っては男に謝り、擦っては謝りと二匹は必死に助けてもらおうとしました。
男は二匹を無視して新聞の隅々まで見ていました。

「「ゆ゙わ゙ああああああああああああああん!」」

コタツのある部屋は外から見るととても暖かそうです。
男の入っているコタツには先ほどまで二匹が入っていました。
その暖かさも今の寒さからは思い出すことが出来ませんでした。
男が新聞を読み終わるまであと少し。二匹には永遠に近い時間でした。
二匹の叫び声が外に届くのを木枯らしが防いでいました。






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最終更新:2008年12月09日 18:02
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