ゆっくりいじめ系2347 電脳世界

【注意】
自分設定を垂れ流しています。
古本屋のSSです
リハビリがてら、黒歴史ノートからネタを持ってきたため
【虐待SS】とはいえない代物です。

それでもよければ読んでいただければ幸いです。






yukkuri-reimuさんがログアウトしました

yukkuri-marisaさんがログアウトしました

捨て台詞さえ残さずに、侵略者達は掻き消えるように姿を消した。

必死の抵抗は、全て無駄に終わり
俺の所有するイメージ化された洋風の個室の形を取った俺の占有スペースは
むき出しのワイヤーフレームを晒して、無残な姿を晒している。

「……」

騒がしかった室内に静寂が戻り
俺は地面に膝を付いて、荒らされ放題の部屋を片付け
無事なデータをかき集め始めた

この世界で俺たちは、余りに平等で無力だ。

涙の形のデーターが、電子の世界にぽつぽつと痕(ログ)を遺した。




『電脳世界』




ここは【サーバー:幻想郷】
かつては現実に存在していたが、環境の汚染や人心の荒廃
別の世界からの侵略に晒され
電脳の海に住処を移した最後の理想郷

あらゆる存在が許容され
全ての電脳媒体に遍く同時並行的に存在する事で
時の流れや死すら克服した、無限の可能性を秘めた世界

望めば閻魔の元へ召されて
自然な形で転生をすることも出来る

神も霊も人も妖怪も
元々の幻想郷に存在していた全てが、等しく存在できる
そんな世界――だった

Yukkuriと呼ばれる存在が、この世界に現れるようになるまでは。

以前の幻想郷(世界:幻想郷)に突如姿を現した
少女の頭を模した、謎の存在が「ゆっくり」である。
この世界(サーバー)で生まれた俺などには、想像もできない話だが
幻想郷が電脳世界に移る数百年前には既に存在したらしい

そう、饅頭
データ化された当時の文献を紐解く限り
生物ですらなかったのだという。

霊力・魔力・妖力などに代表される一切の特殊な要素を持たずに
独自の倫理・価値観で活動する
正体不明の動く饅頭

今の幻想郷(サーバー:幻想郷)への移住が開始された時
このゆっくり達は無機物としても有機物としてもデータに変換する際にエラーが表示され

幻想郷をの全てを管理していた神にも等しい大妖怪や
その祖に連なる博霊の巫女は、全てをありのまま移動する事に拘ったが
世界:幻想郷の住人から、サーバー幻想郷の住人へ
世界を渡った神や悪魔でさえも経験どころか想像もしなかった〝うねり"に翻弄される中
数兆を超える数のエラーの塊を電子化するリスクを冒すことは出来ず

無機物も有機物も殆んど全てが電脳世界に移された世界:幻想郷に
已む無く置き去りにされる形になったのだという。

そして数年の後、新たなる激動を乗り越えた幻想郷に
置き去りにされたはずの「ゆっくり」達が

〝侵略者"と言う形で再び姿を現す事になる。


  *   *   *


通常俺達の言うデータは二種類ある。

まず電子情報の羅列である【無形データ】
自由にあらゆる物を作ることが出来て、通常データと言えばこちらを指すことが多い。
(データを作る、とか組むとか言うのが一般的な使い方になる)

もう一つがそれらをイメージ化した【有形データ】または【イメージ】である。
俺達人間の様な意識を持っている存在は主にこちらの形であることが多く
簡単言えば、判りやすく物質化しているデータと言える。
勿論人間が無形データになることも出来るし、イメージ化しない無形データであっても
イメージ化したデータを使うのと、おなじ効果を得る事ができる。

無形データのポットでも、有形データのポットでも
おなじポットである以上、出来る事はおなじ
汲める水、沸かせるお湯の量に差は無いと説明すればいいだろうか?

通常、電脳空間は全て無形データで構成されており
俺達意識を持っている存在が、それらを認識しやすいように
個人の裁量や、利便性の問題から
データをイメージ化して所有しているのが一般的だ。

そうして人間やそれ以外の意識を持つ存在が生活する
個人所有のイメージ化された空間がリンクして
全体としての幻想郷を構築している。

Yukkuriは、そのどちらでもない、ただのYukkuriである。

データの総量でいえば平均的な人間一人と比べても
その10分の一以下のデータ量しかもたない存在でありながら
どんな頑強なプロテクトも、多重並行的に存在するデータも
イメージ化されているものであれば、全て踏みつけ、壊し、噛み砕き
壊されないように無形データのままにしておいても
Yukkuriに触れたデータは単なるエラーと化し、容易に再生することができない。

ゆっくりは突然現れ、ログアウトと呼ばれる不明な退去手段で掻き消える。

力を持たない一般人では、エラーの塊であるゆっくりに触れる事さえできない。
霊力や魔法を持つ人
妖怪、神や悪魔など力を持つものが力を使って滅ぼしても
ゆっくりは無限に現れる。


壊されるものもデータだ、壊されたなら新しく創ればいい。
最初は誰もがそう考えた

壊され、蝕まれ、無かった事にされる
それが繰り返されすぎた

やがて意識にエラーをきたし、幻想郷で最初の【死者】が出た。

Yukkuriは幻想郷の恐怖の象徴となった。


  *   *   *


俺は疲れていた、何度も何度も占有スペースを破壊され
苦心して構築したプロテクトも障子を破くように簡単に破壊される。

何より、堪えたのは。

「ぅっ…く……っ」

俺の掌で、赤く点滅するエラーデータがある。

幼いデータだった。

人工生命と呼ばれるソレは
電脳世界に移った幻想郷の住人が、試みに創った愛玩物である。
猫や犬を始めとする比較的高度な意識を模して組まれたプログラムを有する
電脳のペット…否、家族が
二目と見られぬ無残なエラーの塊となって
俺の手の中で消えていこうとしている。

ソレがどんなデータだったのかを、俺は必死に思い出す。

両親が転生を選び、一人立ちした俺が
人恋しさに創りだしてから
帰ってきた俺を迎えてくれた、ちっぽけな存在。

じゃれて擦り寄って、拗ねて怒って
思うままに俺に甘えてくる存在。

俺の記憶(ログ)に存在する、あらゆるデータとも
いま掌で弱くなるシグナルは一致しない。

やがて、反応は弱くなりそして消えた。

「……」

最後は声も出なかった
ただの人工データが消えただけ
おなじ物を創ればいい?

ログを、コピーしてペーストすれば

全くおなじ物が

出来る

「巫山戯けるなぁ!!!」

掌に残ったデータの屑を握り締めて
振り下ろした拳がモルタル材のデータを砕いた。


  *   *   *


Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri
Yukkuri/Yukkuri/Yukkuri



Yukkurisiteittene!!

悪夢に冒された眠りに一定以上のストレスを感知して
待機状態は速やかに解除された。

あの喜悦をの表情が
壊して噛み砕く事に嗜虐の喜びを得ている浅ましい表情が
脳裏にこびりついて離れない。

「」

紡ぐ恨み言が無いことに気づいて

アレを天災と諦める事が出来なくて

リンクをたどる
ログをたどる

縁をたどる
記憶をたどる

気が付くと、無形データの中に浮かんでいた。

作業の途中で眠ってしまったらしい
操作も無く放置されたままだったから

占有スペースも待機状態に入ったのだろう
データのイメージ化を行おうとして、ようやく違和感に気づいた。

「なんだ、これは」

ここには、何も無い。
自分の操作に反応する情報が、データが一切存在しない。

足場も感覚も無い、浮いているような泳いでいるような感覚は
無形データの中に居る感覚と何ら変わり無いというのに

身体も何かおかしい
遅いというか重いような、普段よりも鮮明な感覚に戸惑いながら
現状を把握しようと必死になって、周囲を探った。


「……ゅっ」





Yukkuriの声が、聞こえた気がした

「何処だっ、何処に居る!?」

どれだけ操作してもどうにも動かなかった体が
頭の中が憎しみで一杯になった瞬間、飛ぶ様に凄まじい距離を進んだ。

そして、見つける。

その場所は、俺の記憶にある場所で
文献に添付されていた単なる画像データだったが
忘れるはずの無いところだった。

電脳の幻想郷において既に喪われた場所
【博霊神社】が、ほかに何も存在しない空間に
漂流するように浮かんでいた。

【世界:幻想郷】
電子に返還され、何一つ残っていない世界の抜け殻
そこにこの神社が浮かんでいるのは、結局の所この神社の役割が
以前から何一つ変わっていない事を意味している。

【外との境界】

この役割が有る以上、この建物を移す事は憚られたらしく
事実上最後の建造物としてこの世界に取り残される事になったのだという。

俺が聞いた声は、此処から聞こえた。

進み始めた時の勢いを喪って
蛇行するようにフラフラとしながらひび割れて崩れそうな境内に降り立った。
既に鳥居は喪われ、記録写真にあったような
美しい緑も見ることは出来ない。

かわりに

無数のYukkuriが

横たわっていた。

「なんだ…どうなってる…」

意味がわからない、見渡す限りそこら中に
身動き一つしないYukkuriが打ち捨てられたように転がっている。

広さが、おかしい

神社が見えるのに、どれだけ歩いてもたどり着けない

歩けば歩くだけ境内が続いていて

そこら中にYukkuriが転がっている。

(気でも触れたのか?)

自分の正気を疑いながらも、目に付く唯一の建造物である神社に
縋る様に歩いていく。

身動き一つしないYukkuriが余りにも不気味だ

そのくせ焦点も合っていないような瞳で俺を見ている

「う、ぅ…」

怖い、わけがわからない、俺はどうなったんだ

たまらず駆け出し

「うわあああああああああ!!!」

悲鳴が上がり

足元がずるり、と何かをふんずけて


「ひゃっ!?」

俺はすっころんで、境内に転がった。

そして、自分が踏みつけたモノが潰れているのを見て

「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああああああ!!!」

完全に錯乱した。


眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼
/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼
/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼
/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼/眼


/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている
/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている
/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている
/眼ている/眼ている/眼ている/眼ている

責める様に

俺が

踏み殺したから

「・・・・・・・・・・」



  *   *   *


気が付くと、賽銭箱に寄りかかって
ボロボロと涙を流していた

体が重い、ベトベトした黒やいモノが
そこら中にこびりついている。


神社の中に見える光を目指して
そのかすかな光が無ければ、此処まで来れなかった。

誰でもいい、人にあいたい
人でなくても良い、妖怪でも神でも悪魔でも良い

自分がくるっていないと誰かに証明して欲しい。

実態の体が重くわずらわしい

咽喉の奥が汚らしい音を上げる

それでも縋って、扉を開けた。


鏡が、ある

淡く光って

めまぐるしく何かを写す、巨大な丸い金属の鏡が

その前で、リボンと帽子のゆっくりが
本当に嬉しそうに、喚いて叫んで嗤っていた!


「ゆぎぇ!ゆげげげげ!!」

「たのしいね!たのしいね!!」

「ゆっくりできるよ!ゆっくりたのしいよ!!」

「「ゆげげ、ゆぎぇぐえ!!」」

小さな饅頭だった

バスケットボール程度の大きさしかない

取るに足らない存在だった

鏡の中では人間の大人ほどの大きさの写し身が
彼等とよく似た醜悪な笑みを浮かべて
何か綺麗なものを踏みつけて、貪り食って身悶えしていた。
食いちぎられた残りカスを抱きかかえて号泣しながら泣く少女

「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」

「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」

ソレがまた痛快らしく

年季の入った床をギシギシと鳴らしながら
身をよじって飛び跳ねている。

「ゆっくりして゛ブギュ!!!??」

反射的にリボンの饅頭を踏み潰していた。

不細工極まりない断末魔
飛び散る内容物

かまわず踏みつける。

鏡の中の写し身が、規模だけを変えて同じ様に中身をぶちまけて掻き消えた。

その様子を、外に居た同種たちと同じ様に
曇った硝子の眼で見つめる帽子付きを

「っ!!」

拳を落として潰す。

嫌な感覚がベッタリとこぶしに残り、同じ様に鏡の中の帽子つきも消える。

頭のどこかが、この意味を理解しそうになっている。
詰まる所あれだ、この鏡は端末なのだ

この鏡を介して、この薄汚い饅頭は幻想郷に介入しているらしい
俺が通ってきた境内に転がっていた饅頭どもは、差し詰め順番待ちといった所か?

幾ら居た?

記録では移民時に放置されたゆっくりの数は兆を超える

幾ら潰した?

せいぜいが数十か

ならどうする?

「知れた事」

鏡を手に取り、床にたたきつけた。

閃光、爆発、喪失感

本日何度目になるかわからない、意識の遠のく感覚を味わいながら

瞬間、この世界全ての
兆を超える饅頭たちが
絶叫した

『と゛ほ゛し゛て゛そ゛ん゛な゛こ゛と゛す゛る゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!』

知るか、死ね。


  *   *   *


意識を取り戻した俺は、占有スペースで目を覚ました。

頭の悪い夢かと思ったが
情報化した俺の記録にも、しっかりと残っていたし

俺のシグナルが幻想郷から一瞬とはいえ完全に消滅していた事も
後日確認された。

あの出来事の後、いくつかの変化があった。
幻想郷にYukkuriが現れなくなった事

「ゆっくりしていってね!!」

サーバー:幻想郷全域でバグが発生した事

「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだぜ!ばかなにんげんはでていくんだぜ!!」

饅頭が意思を持ち、傍若無人に振舞いだすと言う

何の害も無い

無意味で

矮小で

醜悪で

悪趣味なバグが。

俺の占有スペースのプロテクトは、以前の事もあり個人の所有としては
破格の強度を誇っている。

ソレをすりぬけて、人を馬鹿にしたような
顔でふんぞり返り、僅かに待機させておいたイメージ化された家具を荒らして居た。

「……」

情報を制御:≪構成/透明な箱≫
ほんの僅かな思考で、無形データが形を成して結実する。

「ゆべっ!?」

「なにこれぇぇだぜぇぇぇ!!」

無視してさらに制御情報を追加する。
≪内容物情報保存≫
≪内部空間/加熱・1億度≫
≪内容物情報読み込み≫
≪内部空間/斥力発生≫
≪内容情報読み込み≫
≪内部空間分断≫

情報は無限で、僅かな操作を受け入れて判りやすく地獄を再現する。

この饅頭たちはログアウトなどの退去手段を持たない。
データ量は平均的な人間の1万分の一以下であり

無機物でも有機物でも

有形データでも無形データでも無い

単なるバグでしかない。

体重をかけて踏みつけるどころか

握っただけで潰れて死ぬ。

ロードされるたびにセーブされた所からやり直しの死を与えられて

理解不能の意識の断絶に怯えながら

声をそろえて叫びを挙げる。

「「どぼぢでごんなごどずるのお゛ぉぉぉぉ?!」」

yukkuri-reimuさんが死亡しました

yukkuri-marisaさんが死亡しました


【後書き】
久しぶりのゆっくりSS
昔書いた物の世界観を流用しつつ
全く関係ない一本。

なんだこれ


by古本屋

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最終更新:2009年03月19日 18:31
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