「畜生、死んじまった・・・!」
「また棺桶が1つ増えたか・・・」
「こちら本部、まだ行動可能なものは通信を入れろ」
「・・・・・」ズッ
「こちらストーム2・1まだ動ける。くそ・・・まさかあそこまでの攻撃だとは・・・」
「レンジャー13、隊長がやられた。生きているのは俺だけだ・・・」
「こちらレンジャー7、我々も戦えます」
「スカウト4、大丈夫です!」
「私達ストーム8は全員重体。もう駄目です、退却します」
「俺達レンジャー9・10は戦えるぞ!」
ゆっくりの増殖源である帽子を破壊したものの、ドスまりさはそれだけでは攻略できなかった。
むしろ仲間の
ゆっくりが全滅した今、ドスまりさの攻撃は人類にとって一切の容赦のないものとなった。
まるで地球がなくなってもかまわないかという程の容赦のなさ。
およそ1~2分おきに放たれる光線、ドススパークによって戦況は一気にひっくり返ってしまった。
いや、数だけなら今はYDFのほうが勝っている、だが・・・
「あいつを倒さないと俺達に明日はないんだ!自由のために戦えーっ!」
「「「うおおおおおおおおお!」」」
「ドススパーーーク!」
また町の一部が焼け野原になった。
「撃て、撃てええええええええ!」
「死ねええええええ!」
「ランチャー配置に付きます!」
「「発射ああ!」」
だが、ドスまりさは攻撃に対し何の反応も示さない。
ティガれみりゃでも確実に葬り去るほどの攻撃を与えたのだが・・・
弾丸は、いや弾丸だけではない、ランチャーの弾頭も全てドスまりさの分厚い皮に埋もれてしまい餡にダメージを与えることはできなかった。
「ゆふふ、そんな攻撃とても
ゆっくりしてるドスには効かないよ。何発撃ったって無駄だからね、
ゆっくり理解してね!」
ドスまりさは今、かなり・・・かなり調子にのっているようだ。
コンバットハイによって痛覚が鈍くなり、痛みを感じないことにより、自分が強いと思い込む。
それによって実際に強くなり、またコンバットハイに・・・
最悪の悪循環だ。
今までなら、ベガルタの砲撃でドスを倒すことも不可能ではなかっただろう。
だが、そのベガルタも破壊されてしまい、第一その攻撃でも倒れないほど強くなってしまった。
ダァン
「・・・・・」
「ストーム1。やはり、俺たちの攻撃は・・・」
「・・・・・」コクリ
「・・・畜生!どうすれば・・・ベガルタが使えない今、ドスまりさを倒す方法は無いのか!?」
「くそ・・・。おいきめぇ丸、肝心のドスまりさを倒す方法は何だ!?」
「おぉ・・・それは・・・2つありますが・・・」
「ならば早く教えろ!現場がピンチなんだ、下手をすれば全滅だ!」
「まずは、じみちにこうげきすることです。あれだけきょだいならすこしでもからだにあながあけばそこからあんこがすべてでて、たおせるとおもいます」
「それは駄目だな・・・今、現場にある装備では奴の体に傷をつけることすらできない・・・」
「2つめは・・・どすすぱーくをぎゃくにりようしたこうげきです」
「それは一体どうやって?」
「おぉ・・・どすはどすすぱーくをうつのに2つのものをつかいます、それは『くうき』とくちのなかの『きのこ』です」
「・・・それで?」
「どすすぱーくをうつには、きのことくうきをよくまぜるひつようがあります。だからどすはきのこをかみつぶして、いきをおおきくすうのです」
「激しい攻撃をする為にはより多くの大気を吸収する必要があるということか」
「だから・・・。とてもむずかしいことですが、どすがきのこをかむそのときにくちのなかのきのこをうちぬけば・・・」
「ドススパークが暴発する・・・と?」
「おぉ・・・そうなればいくらどすでもかくじつに・・・」
「・・・・・」
「おぉ・・・」
「理論上では可能でも、技術と武器の性能が・・・。ストーム1ならあるいは、だが武器は・・・現場によるとライサンダーFでも駄目らしい・・・」
「おぉ・・・それではもう・・・」
「・・・・・」
ピーピーピーピーピーピーピー
2人が、いや私と彼女がうなだれていると司令室に内線が入った。
「こちら本部、どうしたんだ技術部?」
「司令!できました、とうとう完成しました!」
「出来たって一体何がだ!?」
「狙撃銃の最新型です!ライサンダー、ライサンダーZです!こいつさえあれば・・・あのドスまりさにダメージを与えられるかもしれません!」
「・・・・・」
「おぉ・・・」
「このライサンダーZは最高の、いえ究極の精度と弾速、究極の攻撃力を持つ究極の狙撃・・・」
「よくやった!!技術部!!今すぐそれをストーム1のところに持っていけ!」
「は・・・はい。ですが・・・移動車両はもうここには・・・」
「くそっ!そうだったか・・・」
せっかくのチャンス、この状況を打破できる唯一のチャンスだというのに・・・私は頭を抱えた。
「おぉ・・・しれいかんさんしれいかんさん。わたしが・・・すとーむわんのところにそれをとどけます」
「馬鹿なことを言うな、お前は
ゆっくりなんだぞ。今戦場に行ったら撃たれるのが関の山だ」
「おぉ、だいじょうぶです。わたしはほかの
ゆっくりよりあしがはやいんです。」
「お前は今、足を怪我しているだろう!」
「おぉ、だいじょうぶだいじょうぶ。それにわたしは、どすに『けり』をつけにいきます。」
私は・・・彼女を完全に信頼することにした。
「・・・そうか、わかった」
「本部!おい本部!聞こえないのか!?どうやればドスまりさを倒せる?」
ストーム2は走り回りながら無線を掛け続けるが、本部からは一向に応答がない。
彼らのまわりにはもう誰も残っていない。
全員、撤退したか死亡したかのどちらかだ。
今、この地で動いているのは彼ら2人、たった2人だけなのだ。
ダァン ダァン ダァン ダァン
「・・・・・」
ストーム1はひたすらに撃ちつづけている、それにほとんど意味がないと知りながら。
「おい・・・おい・・・聞こえるかストーム1・2・・・」
「本部!やっとつながった!一体どうすればあいつを倒せるんだ!」
「今、例の彼女に新しい狙撃銃を届けさせる!詳しい作戦は奴から聞け!」
「ストーム2・1了解!」
「それと!これから銃が届くまでドスまりさ以外の
ゆっくりが近づいてきても撃つんじゃないぞ!」
「どういうことだ?司令!一体どういうことなんだ?」
「しょうがない、本当のことを言うぞ!いいか、例の彼女は
ゆっくりなんだ!」
「!?・・・」
「ふざけるな!こんな状況で冗談もほどほどにしろよ司令!」
突然の情報に驚きを隠せない2人、いきなりそんなことを聞かされたら当然の反応だろう。
ストーム2は司令に罵詈雑言を浴びせる。
「冗談などではない!奴はこちらに寝返った
ゆっくりなんだ」
「馬鹿にするな!こんな状況でこちらに寝返るやつがどこの世界にいる!」
「おぉ、ここにここに」
突如、2人の後ろにきめぇ丸が現れた。
「!!・・・」
「うおっ!」
あっけにとられる2人、そんな2人を尻目にきめぇ丸は飾りに取り付けられた無線機に話しかけた。
「おぉ、こちらきめぇ丸。すとーむわん・つーにごうりゅうしました」
「こちら本部、ストーム1に例のものを渡せ」
「おぉ、りょうかいりょうかい。すとーむわんさん、これをつかってください」
そうして彼女はストーム1に、ライサンダーZを渡した。
彼はなぜかそれが手にぴったりと吸い付くような感覚を覚えた。
「・・・・・」
「いいですか、すとーむわんさん。わたしがさくせんをせつめいします、それをしんじてくれるならどすまりさをたおせるかもしれません」
「・・・・・」コクリ
きめぇ丸が作戦の説明をしている間、ストーム2は本部に通信を入れていた。
「本当にあいつを信じていいのか?」
「多分・・・な。ストーム2、お前は退避していろ、この任務はストーム1単独での任務だ」
「・・・そうか。ストーム2、了解!」
「あのうざったいビルさんは
ゆっくり壊すよ!あそこの建物にはまだ人間さんがいそうだね!ドススパーーク!!」
「ゆっふっふっふ!無様な人間さん達!
ゆっくりしないで早く出てきてね!」
「まりさは早く
ゆっくりしたいよ!美味しい森さんをむーしゃむーしゃしたいよ!湖さんをごーくごーくしたいよ!だから早く死んでね!」
「おお!どすまりさ!そこまでそこまで!」ヒュンヒュン
「ゆふう?誰?ドスのお仕事を邪魔する奴は死んでね!」
「おぉ、わたしですわたしです」ヒュンヒュン
「ゆゆ?きめぇ丸!どこ行ってたの?何やってたの?早くこっちに来てね!」
「おぉ、あいにくおことわりです、わたしはあなたをうらぎりました。」ヒュンヒュン
「何を言ってるのおおおおおおお!?ドスときめぇ丸は仲間でしょおおおおおおおおお!」
「わたしはなかまになったおぼえはありません。あなたがかってになかまにしたんです、なかまにならないと『ころす』なんていって」ヒュンヒュン
「どぼじでぞんなごとをいうのおおおおお!?こんな素敵な星をひとりじめしてる悪い人間さんから奪い返すって決めたでしょおおお!?」
「あなたたちが、みさかいなくごはんをたべるからわたしたちのほしはだめになっちゃったんです。おぉ、まぬけまぬけ」ヒュンヒュンヒュン
「ゆうううううううううう!だれがまぬけだあああああああああ!あやまれええええええええええええ!」
「そうやってどなりちらしてはずかしくないんですか? それでもどすなんですか? おぉ、ぶざまぶざま」ヒュンヒュンヒュンヒュン
「ゆびいいいいいいいいい!だまれええええええええええ!おまえなんかなかまじゃないいいい!ごろじでやるううううううう!」
「おぉ、どうぞどうぞ。おばかなどすさん」ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
「ゆぶううううううううう!じねええええええええええ!ドススパーー」
ドスまりさは完全にきめぇ丸の手玉にとられたようだ。
激昂したドスまりさはきめぇ丸に向かって大きく口を開け息を吸い込み、きのこを噛み潰し、
「おぉ、すとーむわんさん。ねらうのはさっきおしえたとおり、どすのくちのなかのきのこです」ヒュンヒュン
「・・・・・」
「どすはどすすぱーくをつかうとき、かならず『どすすぱーく』とさけんでからこうげきをします」ヒュンヒュン
「・・・・・」
「わたしがどすをちょうはつするので、どすはかならずわたしにむけてどすすぱーくをうつはずです」ヒュンヒュン
「・・・・・」
「あなたはわたしのかみのけにつかまってせなかにかくれていてください、そのときがきたら・・・おねがいします」ヒュンヒュン
「・・・・・」コクリ
ドスまりさがきのこを噛み潰そうとしたその時、隠れていたストーム1のライサンダーZがドスの口の中のきのこめがけて放たれた。
弾丸はきめぇ丸の顔の横を通り、ドスの口に入り、歯の間を抜け、舌の上のきのこに直撃した。
その距離975m、ライサンダーZの有効射程ちょうどの距離だった。
弾丸はきのこを真っ二つに裂き、その役目を果たして・・・ドスの口内に転がり落ちた。
そして・・・
「ゆぶあああああああ!ばでぃさの、ばでぃさのおぐちがあああああああああ!あづいいいいいいい!いだいいいいいいいい!」
「おぉ、ぶざまぶざま」ヒュンヒュン
「ごべんなざいいいいいいい!だれが、だれがだじゅげでえええええええ!おねがびじばずうううううううう!」
「・・・・・」
「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆぶうぇっ!!」
ドスまりさは・・・はじけ飛んだ。
「おぉ、あぶないあぶない。すとーむわん!つかまって、はやくはやく!」ヒュンヒュン
「・・・・・」ダッ
「ドスまりさ大破!墜落するぞ!・・・ストーム1が・・・やったのか・・・」
「総員退避せよ!! ドスまりさが落ちる!! できるだけ遠くに逃げるんだ!!」
《2018年》 YDFは
ゆっくりの撃退に成功
巨大なドスまりさはまばゆい光を放ち、四散した
静けさを取り戻したこの星に、高らかに響く声があった
それは・・・・・
「Y D F !」 ヒュンヒュン
【あとがき】
やっとこさ完結に持ち込むことができました。
ゲームの地球防衛軍をプレイ中に思いついたネタでよくもここまで書けるものだとは思いませんでした。
こんなSSですが、最後まで読んでいただけたら作者冥利に尽きます。
最終更新:2022年01月31日 02:38