ゆっくりいじめ系2532 やかんほいくじょ

大富豪お題で、火祭氏に挿絵を描いて頂きました。
挿絵URLhttp://www.uploader.jp/dl/yga/yga_uljp00063.zip.html









どこだか分からない無機質な部屋。
二畳ほどの比較的立方体に近い部屋で、壁は黒いアクリル製、床はコンクリート製なのだが、なぜか少し暖かい。
そして部屋の中央には、成体のゆっくりがちょうど底部だけはまるくらいの窪みがあった。

ここに生まれたばかりの子れいむと子まりさがいた。





子れいむと子まりさは同じ茎から生れ落ち、地面に付くと同時に

「「ゆっきゅりしていってね!」」

と大きな声で自分達のお母さんに挨拶した。
はずだった。

「ゅ・・・おかあしゃん?」
「どこにいりゅの? おかあしゃん・・・」

部屋を見渡しても(障害物が無いのですぐ見渡せる)、どこにもお母さんの姿は無い。
ふと後ろを見ると、子れいむと子まりさの生れ落ちた茎だけが横たわっていた。

「ゆゆっ、おなかすいちゃよ!」
「ゆっ、まりしゃもたべりゅよ!」

と、まず自分の生理現象を優先し、2匹そろって茎を食べ始めた。

「むーちゃ、むーちゃ、しあわしぇー!」
「むっちゃ、むっちゃ、ちあわちぇー!」

生まれたばかりとあって双方舌足らずだが、舌足らずの度合いにも若干の違いがある。
そんなことはともかく、2匹は無事茎を食べ終えた。
そしてお母さんにちゃんと食べられたことを褒めてもらおうと顔を上げ、

「おかあしゃ・・・! ゆぅ・・・」
「まりしゃきれいにたべ・・・ゆゆ?」

そのお母さんがいないことを思い出した。

「ゆぅ・・・おかあしゃん・・・」
「ゆっ! おくちがべたべたしゅるよ!」

ゆっくりは、生まれてすぐ上手にご飯が食べられるわけではもちろんない。
この2匹はちゃんと食べられたが、中には親がちゃんと噛み砕いてやらないと食べられない場合もある。
そしてこの2匹は、食べ終えた後の口周りの掃除が上手くできなかった。

「おかあしゃあああん! おかおがべちゃべちゃすりゅううう!」
「ぺーろぺーろしちぇえええ! ゆーん! ゆえーん!」

いくら泣いても当然返事は無い。
まりさは仕方なく、

「ゆぐっ・・・ゆっく・・・ごーち、ごーち・・・」

と、泣きながら壁に自分の顔を擦り付けて不完全ではあるが顔の掃除をした。
しかしれいむは、

「ゆああああん! おかあしゃあああん! はやくきちぇよおおおお!!」

未だじたばたと転がりながら泣き喚き続けている。

「ゆっ、れいみゅ、ふたりでおかあしゃんさがそうね!」
「やじゃああああ! おかあしゃんきてくれなきゃやじゃああああ!!」
「ゆぅ・・・」

れいむの様子を見ているうちにまりさも悲しさがぶり返し、

「ゆっゆっ・・・ゆああああん!」
「ゆえーん! ゆえーーん!!」

と2匹そろってまた泣き出してしまった。
しかし、いくら泣いても喚いても一向にお母さんもお父さんも現れない。

「ゆっく・・・ゆぷー・・・」
「ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・ゆぴー・・・」

結局、泣き疲れた2匹は自分達の流した涙の水溜りの中で寄り添い合って眠った。





「ゆぅ・・・ゆふぁ~。」
「ゆっくちちていっちぇね!」

寝起きでいつもより舌足らずな挨拶をし、2匹は目を覚ました
と、れいむが急に顔をしかめた。

「ゆゆっ!? おくちがきもちわりゅいよ!」

それもそのはず、結局口周りを掃除せず眠りに付いたれいむの顔にはまだ昨日の汚れが残っていた。

「ゆぅ・・・ゆっく・・・おかあしゃん・・・」

昨日の悲しみがまたぶり返してきたが、辺りを見回してもお母さんはいない。
今度ばかりはれいむも、

「ゆぐっ・・・ゆっく・・・ごーち、ごーち・・・」

涙ぐみながらも壁に顔を擦り付けてパリパリになった汚れを自分で落とした。
れいむが汚れを落とし終わったその時、2匹は辺りに何か甘い匂いが漂っているのに気づいた。

「ゆゆ? あまあましゃんのにおいだよ!」
「ゆっ! ゆっくちできりゅね!」

と辺りを見回すと、部屋の中央のくぼみに何かがあるのが見えた。
2匹はお母さんの手がかりになるかと、部屋の中央に全速力でぽよんぽよんと跳ねていった。
小さな赤ゆっくりの体で部屋の中央まで行くのは大変だったが、お母さんに会えるなら全然つらくなかった。
しかしそこにあったのは、

「ゆゆ?」
「あまあましゃんだよ!」

少し水っぽい餡子やクリームなど、赤ゆっくりでも食べられる甘味がいっぱい(この2匹の基準で)だった。

「ゆぅ・・・おかあしゃんじゃないよ・・・」
「でもおなかしゅいたよ! あまあましゃんたべりゅよ!」

落胆しつつも、2匹は目の前のご馳走を平らげ始める。

「むーしゃ、むーしゃ、しあわしぇー・・・」
「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー・・・」

ご馳走は天にも昇るくらいおいしかったが、お母さんがいないという寂しさから2匹の声には最初ほどの元気は無かった。
そして、今回は半分液体なので最初の茎のときよりさらに顔が汚れたが、もちろんお母さんは来てくれない。

「ゆぐっ・・・ごーし、ごーし・・・」
「ゆうぅ・・・ごーち、ごーち・・・」

何でお母さんがぺーろぺーろしてくれないの?
普通ならご飯の後のすーりすーりもしてくれるはずなのに、何で来てくれないの?
そんな不満と寂しさ、そこから生まれる悲しみに涙ぐみながら、2匹は床を相手に自分だけの力で体の汚れを拭った。

この日は2匹で手分けして、お母さんがどこかに隠れていないか探し回った。
元より探すような物陰など無いのだが、どこかにいると思い込まなければおかしくなってしまいそうだったのだ。
そして何の成果も得られないまま跳ね疲れた2匹は、また部屋の隅で寄り添い合って泣きながら眠った。





次に2匹が目を覚ましたとき、部屋の中央のくぼみに何か大きなものが鎮座していた。
丸くて大きくきらきらしていて、その上には大きな黒い帽子が・・・

「お、お、おかあしゃあああん!!」
「おかあしゃあああん! ゆっくちちちぇいちぇにぇええええ!!」

あまりの感動に涙をこぼし呂律が回らない叫び声をあげると、2匹は全速力で"おかあさん"の下へ跳ねていった。
しかし、近づくにつれてだんだんおかしな部分も見えてくる。

このお母さんはおめめやおくちが無いけどどうしたんだろう?
何でれいむたちみたいに肌色じゃなくて、金色に光ってるんだろう?

でも、そんな些細な疑問はお母さんに会えた嬉しさの前に一瞬で吹き飛んだ。
そして2匹は"おかあさん"の下にたどり着き、元気な声で叫んだ。

「「お、おかあしゃん!ゆっくちちていってね!!」」

しかし"おかあさん"からの返事は無い。

「ゆぅ? おかあしゃん! なんでなんにもいってくれにゃいの?」
「おかあしゃあん! いままでどこにかくりぇてたのおお!?」

しゃくりあげながら2匹はさらに"おかあさん"に話しかけるが、"おかあさん"は何のリアクションもしない。
ただシュンシュンとよく分からない音を立てて座っているだけだ。

もしかしたらお母さんは自分達に気が付いてないのかもしれない。

そう思った2匹はさらに"おかあさん"に近づき、"おかあさん"の周りにほんわかとした暖かさが漂っていることに気づいた。

「ゆぅ~。 おかあしゃん、あっちゃかいよ!」
「やっぱりおかあしゃんはゆっくちできりゅよ!」

何はともあれお母さんがいるんだという安心感にゆんゆんと喜びあう2匹。
今までの孤独感が全てどうでもいいと思えるほどの至福の瞬間だった。

「ゆっ! おかあしゃんとしゅーりしゅーりしゅるよ!」
「ゆゆっ! まりしゃもしゅーりしゅーりしたいよ!」

早速"おかあさん"とのコミュニケーションをとろうと、"おかあさん"の下へと駆け寄る2匹。
そして最初に"おかあさん"にたどり着いたれいむが、 

「ゆっゆっ! おかあしゃん! しゅーりしゅー」

ジュッ!

「ゆぎ!? いじゃあああああああああああ!?」
「ゆゆ!? れいみゅ、どうしちゃの!?」

まりさにはいったい何が起こったか全く理解できなかった。
れいむがお母さんにすーりすーりしたと思ったら、いきなり叫んで跳び上がったのだ。
見れば、れいむの左のほっぺが真っ赤に腫れ上がっている。

「れーみゅのほっぺがああああ!! いちゃいよおおおおおお!!」
「ゆっ! おかあしゃん! れいみゅにいじわるしないでね!!」

お母さんがれいむに何かしたんだ。

そう思ったまりさは、抗議の意味を込めて"おかあさん"に軽く体当たりし、

「ゆ゛!? あじゅいいいいいいい!!」

れいむと同じように跳び上がった。
"おかあさん"の"おはだ"が2匹の想像もできないくらいの熱を持っていたのだ。

「ほっぺいちゃいよおおおおおおお!!」
「おかあしゃあああん! どおちてこんなことしゅるのおおおお!?」

真っ赤に頬を腫らしたれいむと、接触が一瞬だったため顔が少し赤くなった程度のまりさは口々に抗議の声を上げるが、"おかあさん"はやっぱり何も言わない。
ただあのシュンシュンという音を立てて座っているだけだ。

「ゆ゛っゆ゛っ・・・おかあしゃん・・・どおちて・・・」
「おかあしゃんのいじわりゅううう・・・」

お母さんがいなかったときとは別の、そしてより深い悲しみに襲われた2匹は意気消沈し、ただゆんゆんと泣くしかなかった。
そして、やっぱりお母さんが恋しかった2匹はせめて"おかあさん"の暖かさを感じようと、なるべく"おかあさん"に近寄ってお互いの頬をすり合わせて慰めあいながら眠った。





目の前にお母さんがいるのに何もしてもらえない。
ぺーろぺーろもしてくれないしお話も聞かせてくれない、お歌も歌ってくれない。
そして唯一自分達からできるすーりすーりもできない。

「おかあしゃん・・・れいみゅのごはんおかあしゃんにもあげりゅよ!」
「まりしゃのもたべていいよ! おかあしゃんげんきになっちぇね!」

2匹は"おかあさん"が返事をしてくれない理由をいろいろと考え解決しようと努力もしたのだが、お母さんはやっぱり何の反応もしない。
2匹が"おかあさん"にあげた大事なご飯やお水もぜんぜん食べてくれなかった。

この現状は逆にお母さんがいなかったときの何倍ものストレスとなり、2匹はだんだんと憔悴していった。






ある日ついに、

「ゆっゆっ! れーみゅもうがまんできにゃいよ! おかあしゃんとしゅーりしゅーりしゅるよ!」
「ゆ? だめだよれーみゅ! あちゅいあちゅいだよ!」
「やだもん! れーみゅおかあしゃんとしゅーりしゅーりしゅるんだもん!」

れいむは必死の表情でまりさに言い返すと、"おかあさん"に駆け寄っていく。
"おかあさん"の下へ辿り着くと少し躊躇した様子を見せたが、もう寂しさの限界だったれいむは意を決して

「おかあしゃん! れーみゅとしゅーりしゅーりちようね!」

半泣きの表情で"おかあさん"に右の頬を擦り付けた。

ジュッ・・・

「ゆぎゅううう・・・」

頬を"おかあさん"に押し付けたまま数秒間耐えたれいむだったが、やはりやけどの激痛に耐え切れなくなり離れようとした。
しかし、

「あぢゅいいいいいいい!! もうやじゃあああああ!! ゆ゛ぎ!?」

高熱の"おかあさん"に押し付けていた皮の一部は既に溶け、"おかあさん"に引っ付いてしまっていた。

「ゆ゛あああああああ!! い゛や゛あ゛あああああああ!! はなじでえええええええ!!」

れいむの叫びを聞きつけてまりさが駆け寄ってくる。

「ゆっ! おかあしゃん! れいみゅをはなちてね!」

れいむの尋常ではない悲鳴に、まりさは動揺しつつもれいむの左頬を咥えて思い切り引っ張り始めた。

「ゆっぎゃあああああ!! いじゃいいいいいいい!! いじゃいいいいいいいいいい!!」

れいむを助けようと必死なまりさにはれいむの悲鳴は耳に入らない。
そして、

ミリ・・・ミチミチ・・・ベリィッ!

「ゆっ! れいみゅ! はなれちゃ・・・ゆわああああああああ!?」

何とか引き剥がせたのだが、れいむの"おかあさん"にくっついていた方の皮が中身が見えるくらい深く破れてしまった。

「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆえっ・・・」

恐怖に顔を歪めているまりさとは対照的に、れいむは感覚が飽和してしまったのかただ呆然とした顔で"おかあさん"を見つめている。
さらに、何を思ったのか餡子を少しずつ溢しながらもお母さんの方へ向かっていったのだ。

「ゆっ!? れいみゅ!?」
「お・・・かあしゃ・・・れーみゅ・・・いいこ・・・」

そして、"おかあさん"の目の前に来た時ふらりとバランスを崩し、前につんのめり、

ジュッ・・・

あろうことか顔面を"おかあさん"にジャストミートさせてしまったのだ。

「~~~~~~~~~~~~!!!!」

声にならない声を上げ、ぶるんぶるんと身体を震わせてもがくれいむだが、張り付いてしまった顔は全く取れない。
更に最悪なことに、勢いよく身体を震わせるたびに餡子がぼたぼたと零れ落ちてしまっていた。

「ゆ゛っゆ゛っ、れいみゅううううう!!」

まりさがさっきのように駆け寄るが、

「ゆぴゃあっ!」

激しく動くれいむに弾き飛ばされてしまい、引き剥がすことができない。

「~~~~~!!! ~~~~~!! ~~~~~!」

まりさが右往左往している間にも顔を焼かれ餡子をこぼし続けていたれいむの動きがだんだん小さくなっていき、

「・・・・・・・・・・・」

やがてしおれた花のように萎んで"おかあさん"にへばり付き、動かなくなった。

「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆわああああああああん!! れいみゅうううううううう!!」

まりさは声の限りにれいむを呼ぶが、れいむは二度とまりさの呼びかけに反応することはなかった。
そして"おかあさん"は、その後のまりさのどんな罵倒にも動じずやはりただ座り続けているだけだった。





翌日

まりさは寒さを感じ目を覚ました。
それもそのはず、昨日意識を失うまで滝のように流し続けた涙がまだ乾ききっておらず、まりさの顔を未だ濡らし続けていたのだ。
そして今は、今までその涙を拭い合っていたれいむがいない。
まりさの感じた寒さは、決して身体だけの寒さではなかった。

ふと視線を上げると、まだ"おかあさん"にれいむがへばりついていた。
昨日よりさらに薄くなってしまい、汚い膜のようにべっとりしていて、そのべっとりでれいむのリボンが落ちずにくっついている。

「ゆ゛っ・・・ゆぐっ・・・ゆげええぇっ!」

まりさはその光景を見て泣きそうになり、その前に盛大に餡子を吐いてしまった。

「ゆ゛っ・・・ゆっくち・・・ちちゃいよぉ・・・」

まりさはもう大声を出す元気もなく、ただ口の中でぼそぼそとつぶやいた。





それからまりさは、もう"おかあさん"をお母さんと呼ぶこともなくなり、"おかあさん"から距離を置いて生活するようになった。
れいむの残骸が見えるとつらくなるので、れいむが見えない位置まで"おかあさん"の周りを回ってそのピカピカした"おはだ"をぼんやりと眺めながら過ごした。

それからしばらく、目を覚ましたときや食事の最中にれいむに呼びかけていたが、

「ゆっ! れいみゅ! これ・・・ゆぅ・・・・・・・・・ゆっぐ・・・ゆぇっ・・・」

その度にれいむがいないことに気付き、しゃくりあげながら静かに泣いていた。

また、時折とても恋しげに"おかあさん"の方を眺めていたが、やはり近づくことはしなかった。





数日して、まりさはあまりご飯を食べなくなった。
どんなに豪華な甘味が用意してあっても、

「むーしゃ・・・むーしゃ・・・」

と一口二口ついばんだかと思うとすぐにご飯の山から遠ざかってしまうのだ。

れいむの一件、そしてお母さんがすぐ傍にいるのに触れられない、お母さんがゆっくりできないという思いから来るストレス。
この精神的重圧は、まだ赤ん坊であるまりさにはとても耐え切れないものだったのだ。

だんだんやせ細り、干からびていく身体でまりさは

「どうしゅれば・・・ゆっくちできりゅかにゃ・・・」

ほとんど聞き取れないような発音でぶつぶつとつぶやき続けていた。

れいむと同じようにお母さんと一つになれば、あるいはゆっくりできるのだろうか?
しかし、れいむの壮絶な最期を思い出すだけで震えが止まらなくなり、どうしてもそれを実行に移すことができなかった。





ある日、まりさは何を思ったか"おあかさん"と、そこに未だ残っているれいむの残滓の下へ寄っていった。
身体を引きずるその音はもうずりずりではなく、カサカサという悲しい音に変わってしまっていた。
そして、以前なら見るだけで吐いてしまったれいむを見上げにっこりと笑うと

「ゆわぁ・・・おかあしゃんも・・・れいみゅも・・・あっちゃかいねぇ・・・」

掠れた声で、しかしとても幸せそうにつぶやいた。
その眼球は既に機能しなくなっていたが、まりさの瞳にはちゃんとれいむとお母さんの姿が映し出されていた。

「おかあしゃん・・・れいみゅ・・・こんどこしょ・・・いっしょにゆっくちできるにぇ・・・」

まりさは不明瞭な発音でそれだけつぶやくと、涙を一粒こぼし、笑顔で瞼を閉じた。



そしてその瞼は、二度と開かれることはなかった。










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最終更新:2009年04月22日 04:13
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