以下、注意書き。よく読んでおいてください。
※ハーフ、厨、死なない
ゆっくりがでます。俺設定、他人様の設定を含みます。とんでもなく読みづらいです。
※実在の人物、団体、地名とは全く関係ありません。無いったら無いです。不幸になる人間が出ます。
※まだはじめなので直接的な虐待はありません。むしろ虐待から趣旨がずれています。
※読んでて気分が悪くなったら読むのを中止してください。
以上です。どう見ても核地雷です。本当にありがとうございました。
読まないことお勧め、これ最強。
投棄場に保管していただければ幸いです。
魔法が廃れ、剣と科学がこの世界を支配していた。
この地には人と幾ばくの野生生物とゆっくりが密接に存在していた。人の祖はあるとき地上に降臨したと言われるが定かではない。
動物も同じだった。だがゆっくりだけは違った。
世界にまだ魔法が存在していた頃、一人の狂える魔法使いが『始まりのゆっくり』と呼ばれるものを生み出したのだという。
その魔法使いが何故生み出したのか、何を為そうとしたのかはわかっていないが、伝え聞くことが真実ならばゆっくりは生物ではないということになる。
誰にもそれが真実であるということを証明できないが、虚実であることもまた証明できない、よってゆっくりは魔法物体、略して魔物と呼ばれている。
ゆっくりは言語を用いて人と多く関わってきた。文化を持たないがそこそこ賢く、貧弱でありながら生きて来た実績がある。だが所詮は人とは違うもの、
価値観の違いからの衝突、食料を巡っての争い、その大半は人の勝利で終わるが人間にも多少の被害は出ている。人とゆっくりの溝は
決して浅くはない。ゆっくりは旧き友であり、仇敵でもあった。
だがそれは人同士でも同じこと。集落から始まり、国を興し、隣国と戦争が起きるのは必然であった。人の歴史は戦とゆっくりとの争いに
彩られていた。
その世界に存在する王国『ユートルダム』は土地は肥え、海にも大きく開けており、とても豊かな国であった。
だがそのせいで隣国からは格好の標的にされた。代表的なのは、雪と氷が国土を占める北の共和国『キューズ』、
かつて世界全土を征服していた旧魔法時代の王の末裔を名乗る帝王の支配する技術先進国でもある西の帝国『テンペスト』の二国である。
幸いなことに二国は犬猿の仲であり、同盟を組むことも共同戦線を張ることもなかった。そして王国にはその豊かな国土に支えられた
屈強な兵団を抱えていることから侵略国を悉く退けてきた。その度に多くの英雄の武勇譚が詩人に謳われ、国民に勇気を与えた。
国はいつまでも安泰であり、人々は心ゆくまで平和を謳歌し、それは永遠であると信じていた。
だが人々が信じたものは陶器が地面が落ちるように、粉々にそして簡単に砕け散った。
キューズとテンペストがありえないことに同盟を組んだのだ。こうして攻めている間に国を攻め取られるという後顧の憂いがなくなり、
ユートルダム侵攻に多くの戦力をつぎ込むことができた。こうして歴史に類を見ない、大地を血に染めた戦争が始まった。
結果を言えば王国は勝利した。だがそれに喜ぶものは誰もいなかった。敵の二国の足並みがそろわず、この調子で行けば王国が勝てるはずだった。
だが二国は負傷兵も駆り出し、文字通り総力戦を行った。双国ともに相手よりも劣ることを嫌い、意地で戦争をしていたと思われる。
王国は防衛線であったことも手伝って、これを退けた。辛勝とも言えぬ勝利だった。勝ち得たものは少なく、二国との講和を条件に
支払われた賠償金、わずかな物資、技術。残ったものは荒れ果てた領地と疲れきった国民、そして兵力を大幅に減らした見るも無残な兵団だけだった。
そこで持ち上がった問題が早急な復興が必要であることだった。二国よりも早くに国を立て直さなければ、また戦争が起きたら負けは確実、
なのだが防衛線で失った国民が多すぎて立て直すには長い時間が必要であった。
当時の国王は頭を抱えていた。国を立て直すには時間が要るがそれでは王国の滅亡は時間の問題、それを打開する策を求めて
毎日、臣下と会議を行っていたのだが芳しくなかった。
二国と親交を深め、戦争を起こさせないというものは当然却下された。贈り物をしてそれを戦争の道具にされれば滅亡を早めるだけであり、
そもそも二国は信用ならざる相手であったからだ。
二国の仲を瓦解させ、争わせるという「二虎共食の計」を用いるというもの。だがこれも却下された。材料がないことも挙げられるが、
失敗すればこちらに攻め入る絶好の口実を与えることになってしまう。
かくなる上はこちらから攻め、相手に決定的な被害を与えるものもでたが、これはもう策などではない。王国には遠征を行える余裕はない。
もう打つ手はないと諦めの雰囲気が会議室内を支配していた。
その時、歴史は動いた。
この窮地を救った救世主として構成にまで語り継がれ、今でも王国の者ならば誰もが知っている人もゆっくりも関係無くだ。
それは一匹のゆっくり、「ぱちゅりぃ」であった。
その日、王は夢を見た。真っ暗な世界に一筋の光がさし、光はどこまでも明るく世界を照らす夢。天啓であろうか、王はなんとなく
馬で遠乗りに出かけることにした。護衛を二人だけつけて、活気の無い城下町を抜け、地平線まで見える平原で馬を休めた。
そして小高い丘の上でぱちゅりぃと出会った。王はただのゆっくりに声をかける王に驚いている護衛を無視し、ぱちゅりぃと話をはじめた。
『ぱちゅりぃに一つ提案があるわ』
ぱちゅりぃは挨拶もそこそこに王にある提案をした。それはゆっくりが敵国同士の同盟を解消させてこの国の窮地を救う。そのかわり、ゆっくりを国に
迎え、安全を保障してもらいたい、といったものだった。普通だったら笑い飛ばして話はそこで終わりだろう。だが王は笑わず、黙って話を聞いていた。
話が終わり、そこではじめて王は口を開いた。
「国に入ってなんとする?貴様らはどうやって生活するつもりだ」と。
ぱちゅりぃは答えた。土を耕し、作物を作る人の手伝いをしていくつもりだ、と。確かに今は猫の手も借りたい状況にある。ゆっくりは非力であるが、
力を合わせればそれなりのことはできるのだという。
その後のことは事を成してから話し合おうと、一ヵ月後またここで会う約束をしてぱちゅりぃは去っていった。
王はそれほど期待はしていなかった。だがこれは負けても何も失わない賭けとも呼べない、あるべき状況に戻るだけの単純なもの。それにこの状況を
打開できる策もないのだ。藁に縋る思いで王は待つことにした。
それから一ヵ月後、王は何もしなかったわけではないが、何かができたわけでもなかった。国の危機は現実味を増し、ますます王城には諦めの空気が
漂っていた。だが先日、キューズ、テンペストに送り込んでいた密偵から報告があった。二国ともにゆっくりによって食料を荒らされ、軍備もままならぬ
とのこと。捕らえられたゆっくりはそれぞれキューズに、テンペストに命令されてやったと言っていた。疑うのが当たり前なのだろうが二国の仲は
薄氷の上に成り立つ同盟で繋がっていたに過ぎず、それはいとも簡単に崩れ去った。二国は国の安定に力を注ぐことに集中せざるをえなかった。
約束通り、王は小高い丘に現れた。百騎の騎士を従えて。ぱちゅりぃは既にそこにいた。こちらも数え切れない数の仲間を連れていた。ぱちゅりぃは
前に進み出て王に約束を果たすことを要求した。王は要求を呑むほかなかった。騎士に命じればこの程度のゆっくりなど造作もなく蹴散らすことができるだろう。
だが約束を違えることに意味があるのだ。この世界に神というものは存在しない。王こそが神であり、父であり、絶対なのだ。その王が虚言を用いることが
民に知られれば信頼を失い、国は傾き弱体化する。相手がゆっくりといえど約束を反故にはできなかった。王は開き直ることにして、こうなれば徹底的に
やってしまおうと考えた。
その日のうちに王は演説を行い、ゆっくりを国民として迎えることを国中に伝えた。これには重鎮を含む、多くの国民が反対した。だが王はこれを聞き入れず、
勅命であると従わせた。国を見限り、他国に渡る民もいたが王はこれを咎めなかった。人々は王は狂われたのだと囁いた。
やがてゆっくりの農耕が始まったが問題が多発した。労働が過酷だと不満を垂れるゆっくり、収穫しても税として徴収されることに憤るゆっくり、
だがそれらは全て、他の農民と同じ条件であり、従わぬのならどこへなりとも行けと追い出した。それでも大半のゆっくりはここに残ることを選択した。
自然で生きていた頃よりも死亡率が下がったことも事実なのだ。
ゆっくりを迎えたことにより、キューズ、テンペストからは憎い敵として認識されていた。かつての国力を上回る力を取り戻したユートルダムは二国に
これまでの礼も込めて戦争を仕掛けた。これらを難なく落とし、属国化させた王国はこの大陸一の強国になった。
このときにはゆっくりに対する人々の意識は変わっていた。やつらは便利な道具だ。うまく使えば生活が楽になる、と。
ゆっくりの数は国民の数と大差なかったがその大部分が奴隷以下の待遇を受けていた。そんな中で国を揺るがすほどの事件が起こった。
とある領主の息子が一匹のゆっくりと恋に落ちたのだ。しかもそのゆっくりはあのぱちゅりぃの子であった。
その出会いは偶然、あるいは必然であったのか。
領主の息子はその日、鹿狩りに出ていた。彼は馬の扱いに長けていたため、供の者たちを置き去りに一人はぐれてしまった。さらに運悪く雨が降ってきた。
どこか雨宿りできるところはないかと行き着いたのが洞窟であった。その洞窟は生来から体が弱かったため、働くことのできない子のためにあのぱちゅりぃが
用意したものであった。もちろん、中には子ぱちゅりぃが既にいた。それが出会いであった。
はじめは貴族の方と一緒の場所にいるのは恐れ多いからとぱちゅりぃは出て行くつもりだった。だが領主の息子はゆっくりが水にぬれると行動不能になり、
命に関わることを知っていたのでそれには及ばないと断った。
洞窟の入り口付近で外を眺めることで時間を潰していたがそれに飽いた彼は中に目を向けてぱちゅりぃが震えていることに気づいた。
ぱちゅりぃは寒くて震えているわけでも体調が悪いわけでもなかった。ただただ怖かったのだ。母から何度も言われたことが頭の中で何度も響いていた。
『人間は恐ろしく強い。その中でも貴族と呼ばれるものの怒りを買えばゆっくりなど簡単に殺されてしまう。だから近づくな』
逃げることを封じられ、広くもない洞窟で隠れることもできないぱちゅりぃは自分をどうにでもできる者の視線に怯えていた。
それを彼は雨のせいで下がった気温で寒くなり震えているのだと勘違いをした。ならば暖めてやろうと彼はぱちゅりぃを抱え込んで羽織っていたマントで
包み込んだ。いきなり掴みあげられたぱちゅりぃは恐怖で声も出せずにされるがままになっていた。誰だって死にたくはない。自分はここで死ぬんだと
信じたくはなかったぱちゅりぃはしばらく固まり、目を閉じていたが次の行動がいつまでたっても訪れないぱちゅりぃは恐る恐る目を開けると
顔を覗き込んでいる彼と目があった。
ゆっくりに興味があった彼はぱちゅりぃと会話をしてみた。親からゆくゆくは跡を継ぐのだと勤勉に励まされ、対等に話をできるものがいなかった彼にとって
興味の対象であった。最初こそ、恐怖を抱いていたぱちゅりぃであったがぱちゅりぃもまた孤独に苦しんでいた。こうして彼らは飽きることなく雨がやむまで
会話を楽しんだ。その後も彼は屋敷から抜け出してはぱちゅりぃに会いに行き、屋敷の中にいるだけでは知ることのできなかったことをぱちゅりぃから
教わったり、お礼に彼の馬に相乗りさせたりした。ぱちゅりぃもたびたび自分に会いにきて真剣に話を聞いてくれ、褒めてくれる。そして世界の広さを
教えてくれる彼に感謝していた。こうして彼らの中は急速に発展していった。
だがある日彼らのことは領主である父にばれてしまい、それは国王の耳にも届いた。王は彼らを王城に招き、その恋を諦めるように説得するつもりだった。
だが逆に彼らの強い愛情に心打たれ、婚姻を認めた。領主は王に考え直すように提言したが王はあの夫婦に子は望めぬのだからそこで途絶える。
そうしたら貴公のもう一人の子息に家を継がせれば良いではないかと言った。領主は王への忠誠に厚い人物だったので渋々ながら受け入れた。
そうなればぱちゅりぃは貴族の家に入ることになり、その母であるあのぱちゅりぃも貴族と同等の権利を持つことになった。今まではゆっくりのことに
ついてはぱちゅりぃに一任されていたがその権利はその家に帰属することになった。
改めて国に仕えることになったぱちゅりぃはゆっくりであることを理由に今まで何の褒賞も受けられなかったが国に救った実績を考えれば
英雄と讃えられてもおかしくはないのだ。こうしてぱちゅりぃは王の「ゆっくりといえどその忠誠は誠天晴れ」といくつかの褒美とともに
“偉大なるゆっくり”の称号を賜った。
その後平和な日々は続き、ゆっくりを国に迎え入れてから三十余年。ぱちゅりぃはこの世を去った。ゆっくりの寿命を考えれば長生きというには
長すぎる生涯であった。
領主も次の年に亡くなり、ぱちゅりぃと夫婦になった嫡男が跡を継いだ。
歳に加え、病を患った王は自分の死期が近いことを悟っていた。床に次代の王となる王子を呼び、ゆっくりと協力して国を栄えさせよ。ゆっくりは
人を新しい道へと導いてくれるだろう。と遺言を残して崩御された。ゆっくりを国に迎えた「狂王」、国を一つにまとめた「英雄王」、
さまざまなあだ名をつけられた王は齢八十にしてその生を終えた。
王が変わっても民の暮らしに変化はなかった。だが重大な、そしてあってはならないことが起こった。
あの領主の夫婦の間に産まれるはずのない、産まれてはならない男児が産まれたのだ。そして領主の弟が兄である領主一家を捕らえ、屋敷の塔に
幽閉したとの知らせが王に届いた。王はすぐに書状を記し、それを届けさせた。
届け先は領主の弟であった。彼は王からの書状が届いたことを不審に思った。てっきり、肉親、仕えるべき家へ背いた罰として騎士が派遣され、
自分を討ちに来ると思っていたし、その覚悟もあったからだ。彼はその書状に目を通した。内容は以下の通りだった。
“その方の所業は上の者へ背く行為であり、ひいては余へ刃を向けたことであると言える。だが人とゆっくりとの間に生まれた怪物が貴族として
家を継ぐことを防ぎ、そのような者がいることが民に知れ渡り、混乱に至る前に阻止した行為は余への忠誠として受け止めた。そのすばやい英断を
讃え、その見返りとしてその方をその地の領主を任ずる。”
そのうち自分が新しい領主になるだろうと考えていたが子が産まれたことでそれが無くなると怒りの感情を抱いただけで深くは考えてはいなかった男は
軽率なことをしたと後悔していたのだ。
反逆の徒から一転して領主へと変わった男はその内容を理解したとき、安心して力が抜けた。
領主へと任じられた新領主はまずはじめに治めている土地の民に自分が新しい領主であることを告知。次に“偉大なるゆっくり”の権力である、
国内の全てのゆっくりを農耕へと使用する権利を各地の農民に売り払った。この権利はゆっくりの国民として正当に扱われることを保障するものであったのだが
辛いだけで実入りの少ない仕事であった。このようなものは売ってしまおうと考えていた男はまたも深く考えてはいなかった。
それはすぐに王の耳へと届き、王はまた書状をしたためた。
“貴公のしたことは民の暮らしをより良くするための第一歩となるだろう。その功績を讃え、勲章を授与する。”
その書状をすぐに使いの者に届けさせた後、王は玉座の間に座り、笑った。
王はゆっくりが嫌いだった。理由は特になかったがあえて言うのならば総てであった。そのゆっくりを父王が国に迎え入れたときは
父は本当に狂っていると思った。だが先代の王の政策を取り消すこともできずに頭を悩ませていた。だがあの男のおかげで万事解決である。
ゆっくりを農耕の道具とすれば、さらに国は栄え、父の遺言にも従うことにもなる。
王は生きてきた中で最も大きな声で笑っていた。
人は豊かにゆっくりは苦しむ。
その政策は王が代わっても変わることなく続き、百年続いた。
そんな世界の中、長く伸ばした赤い髪を後ろでまとめ、農作業に精を出している青年がいた。
この青年を中心にこの物語は始まる。
~あとがき~
色々あってぶっ壊れました『オマケ』です。
ご覧の有様だよ!
最終更新:2009年05月11日 18:58