ゆっくりいじめ系2758 ゆっくりの伝道師

  • 俺設定
  • いろいろな設定お借り
  • どちらかというと外の世界
  • しーしー表現あり

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ゆっくりの伝道師
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タッタッタッタッタッ

今自宅に向けて全力疾走している俺はいい年したお兄さん。
帰り道ふと時計を見たら毎週見ているアニメがもうすぐ始まっちゃうことに気付いてだいぶ焦ってるのさ!
一応予約録画は掛けてあるけれども、
やっぱりテレビで見つつスレに張り付いて実況するのが醍醐味だと思うんだよね。
今回は次回予告で「おりんりんランド崩壊か!?」とかあったから見逃す訳にはいかない。


あの角を曲がればカーナビが見捨てるほど近くに自宅が見える!
はぁはぁ


「「ゆっくりしていってね!!」」

目の前に最近現れたと聞くしゃべる飾り饅頭通称「ゆっくり」発見!
下手に構うといろいろ面倒そうだしなにより一刻を争う事態。
二匹いて飾りの種類が違うとかそこはどうでもいい。
おりんりんランドがお兄さんを待ってるんだよ、わかってねー。
もうダッシュでゆっくりの横を駆け抜けようとしたその時。

「「ゆっくりしていってね!!」」


クラッ
「お…」

一瞬めまいがしたがそんなことはなかったぜ!
そういえばこいつらのふてぶてしい顔や傲慢な言動を嫌い虐待している人もいるらしいが、
別にゆっくりに構わなくてもアニメは見れる。おりんりんランドには行ける。
無視だ!無視!

「「ゆっくりしていってね!!」」


クラクラッ
「おおおっと」

ドタン!

体から急に力が抜ける感覚がして、立つことができなくなり、
壁に寄りかかるようにして倒れた。

「「ゆっくりしていってね!!」」

「立てない!なぜだ!」

足に力が入らない。
チクショウッ!俺にはアニメがあるんだ!
こんな所で、こんな所で倒れるわけには!

「「ゆっくりしていってね!!!」」


瞬間、俺の視界がモヤモヤと歪んできた。
ところどころ舗装が剥けている道がなぜか花畑に見える。
視界をちょろちょろ飛んでいるのは・・・ちょうちょか?


 ゆ っ く り し て い っ て ね ! ! 


ゆっくりの言葉が体にゆっくりと染み込んでくる。
俺はアニメを見なければ、おりんりんランドを拝まなければ…。
今日のおりんりん…今日のランド…今日のおりんりん…。


  ゆ  っ  く  り  し  て  い  っ  て  ね  !  !  


………。
ああ、よく考えればアニメなんてそんなに見たくないかもしれない。
たぶん従業員ボイコットを気にゾンビ総動員なんだろうしな。
万が一に化けたと話題になったら後で録画したやつをゆっくり見ればいい。
いや、そんなすぐに見なくてもしばらく経ったあと高画質かつ特典いっぱいのディスクを買おう。
いっそのこと墓場まで記憶は持って行けないという理由で、そんなの見なくてもいいという発想。
それより…なんだ、こう、もっと、ゆっくり…したい。
まどろみにからだを任せて、ゆっくりとゆっくりと沈みたい。
そのままゆっくりできる世界へ旅立とう。
誰もがゆっくりできる世界へ!


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「どぼじでまたねぢゃうのお゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」
「まだまりざあまあまもらっでないのにい゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」

お兄さんが眠っている横でゆっくりれいむとゆっくりまりさは叫んだ。
せっかく自分たちがゆっくりということを教えにわざわざ山から下りてきているというのに。


最初に会った白くてしわしわな人間は「ゆっくりしていってね」と挨拶しても、
「ん?なんか言ったか?」「ああ、ゆっくりしてるよ」とまるで話が通じない。
挨拶ができなくともあまあまを持ってくることくらいできるだろうと脅してやったら、
「海女…わたしも若い頃は張り切ったものですね」「あの頃は一目ぼれじゃった」
もう無駄と判断して深追いはしなかった。


しわしわじゃない人間にしようと思い次に出会ったのは、髪の毛がなく群れでいじめられてそうな人間。
いかにも生きる希望を見失ってるという表情をしているこいつに、
ゆっくりを教えたらきっと感動してお礼もうんとはずむだろうと思った。
案の定「ゆっくりしていってね」と挨拶したら、
初めてゆっくりを知れた喜びか涙と鼻水で顔をびしょびしょにしていた。
全く、群れのおちびちゃんでもしーしーは我慢できるのに…
とにかくこれなら当初の予定通りお礼もたくさんもらえるだろう。

しかし思い通りにはいかなかった。
かわいそうな人間は「おまえたちだけなんだなあああ」とその汚い顔ですり寄ってきたのだ!
「ありがとう、本当にありがとうぅ」擦りつけられるたびにネトネトした気持ち悪いのがきれいな肌にこびりつく。

奔流は過ぎたが、ネトネトの感覚はまだ残っていて非常に不愉快だ。
とりあえず体をきれいにするため自分をぺーろぺーろした。
舌にネトネトがつくたびににがにががじわっと来てひどくゆっくりできない。
適当鬼きれいにしたところであまあまを要求しようとしたが、すでにその人間は目の前から消えていた。
結局その人間がゆっくりと引き換えにくれたのはあまあまではなくにがにがであった。



これら失敗を踏まえて今度は顔色がよく元気そうな人間を選んだのだが結果はご覧のざま。
今のところ恩を恩で返す人間は一人もいない。


ゆっくりは人間を見たらゆっくりということを教えなければならない。
そして人間はゆっくりを教えられたのだから、
その見返りに自分たちにあまあまをたくさん渡さなければならない。
これは群れのルールだ。バカな人間でもこれくらいは理解できると思っていた。


「まりさ…まただめだったね…」
「しょうがないよれいむ、にんげんさんはあんこのうなんだから!」


コツコツコツ

「ゆゆ?あしおとがきこえるよ!」
「こんどこそあまあまをもらおうね、れいむ!」


目を凝らして道の先を見ると金色の髪の毛をした人間が一人。
金色と言っても群れにいるありすとは比較のしようがないほどひどい色。
だがよぼよぼでも、髪なしでも、せかせかでもない。

「これならだいじょうぶそうだね!」
「じゃあいくよ、れいむ!」
「せーの!」「せーの!」


「「ゆっくりしていってね!!」」



完璧な挨拶だ。
これで人間は心の底から存分にゆっくりしてこう言うだろう。
「ゆっくりが教えてくれた初めてのゆっくり。その感覚は心を穏やかにしてくれて、
こんな素晴らしいゆっくりを教えられた私は、きっと特別な人間なのだと感じました。
そんな私がゆっくりにあげるのはもちろん極上のあまあま。
なぜなら、彼もまた、特別なゆっくりだからです。」

あまあまは目前だった。

「ヤベーゆっくりじゃん!キモカワイイー!!」
「「へ?」」

視線が合うやいなやれいむに向けて突撃してくる人間。

「おねーさんのスーパーすりすりタイム開始じゃね?」
「なにいってんの?ゆっくりできたらはやくあまあまをゆぶげぇ!」
「れいむー!」


れいむの視界が人間の顔でいっぱいになった瞬間ザリザリと皮を抉るほどの強烈なすりすり。
ザーリとひとつ擦れば傷ができ。
ザーリとふたつ擦れば傷口開き。
ザーリとみっつ擦れば中身が漏れ出る。

「ゆだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「これモチ肌ってヤツ?マジテンション上がるんですけど!」
「いたがってるよ!ゆっくりやめてね!!」

まりさの声はザリザリ魔に届かない。
ザーリザーリ
「ゆぎや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「もうやめないとじつりょくこうしでいくよ!!」

「んあ?」
まりさに気付いたのかザリザリ魔が振り向いた。

「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛いだいよお゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」
「れいむ、だいじょうぶ?ゆっくりしてね!」

ザリザリから解放されたれいむの左頬は子ゆっくりくらいの穴が空き、
そこから餡子が絶え間無くこぼれ落ちている。
どうしてれいむがこんな目にあわなくちゃいけないのだ。
ゆっくりさせてやっているのに一向にあまあまをくれない人間。
もう我慢できない。

「にんげんさん!もうゆるさないよ!!まりさのたいあたりでゆっくりしんでね!!」
「ハァ?饅頭のくせにケンカ売るんですか?」
「まりさはほんきだよ!!」
「てかさ、たいあたりとか!マジウケルんですけど!!」
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」

バカにできるのも今のうちだ。
れみりゃを追い払うほどのまりさの体当りを食らったら、
人間なんてきっと空まで飛んで行ってしまう。
そして空の上でゆっくり後悔するがいい。

「ゆーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」


「ゆっくりしねぇ!!」
「コーナーキックから・・・そのままゴールにシュート!!」
「ゆげばぁっ!!」

真っ向から体当りを仕掛けたまりさは、
ザリ魔のシュートによって天高く飛ばされる。

何故だ。何故
何故こんな人間ごときに自分の体当りが効かないのだ。
嘘だ、嘘だ。これは夢だ。
これは・・・きっと夢だ。
そして目が覚めれば・・・

「ゆべしぃ!!」

まりさの着弾点を中心に餡子の花が開いた。

「ちょ中身もれてるし!弱すぎじゃね?」
「ゆ゛・・・ゆ゛・・・ゆ゛・・・ゆ゛・・・」
「てかもう飽きたから帰るわ、あーすっきり!」


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「まりざ・・・まりざ・・・おぎで・・・」
「れ・・・れいぶ」

れいむに起こされたまりさ。
ずいぶんと餡子が出てしまいもう長くない。

「まりざ・・・もう・・・だめ・・・ゆっくり・・・できない」
「どうじでぞんなごどいうの?まだまりざどゆっぐりじだりないよ゛!」

口を開くたびに餡子が漏れるまりさ。

「ぜんぶ・・・にんげんざんのぜいだ・・・じぶんだぢばっがりゆっぐりじじゃって・・・。
まりさだちはぜんぜんゆっぐりでぎなぐで・・・」
「まりざ・・・」

「ぼう・・・げんがいだよ・・・」
「まりざ・・・ゆっぐりじぢゃだめだよ゛!ゆっぐりじぢゃだめだよ゛!」
「もっど・・・ゆっぐり・・・じだがっ・・・」


そう言い残すと、まりさは永遠にゆっくりしてしまった。

「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」


れいむは考えた。
なぜこんなことになってしまったのだろう。
自分たちはゆっくりさせる為に来たのに、
自分たちはとってもいいことをしに来ているのに、
自分たちは何も悪いことをしてないのに
何で自分たちがゆっくりできなくなってしまうのだろう。
まるで、人間にゆっくりが吸い取られているかの・・・

「!」

そうだ。人間は元々ゆっくりを知らないかわいそうな人間なのだから、
自分たちにあげるゆっくりがなかったのだ!
なんてことだ!
一度にたくさん人間にゆっくりをあげてしまったから、自分たちのゆっくりが尽きてしまった!
それで自分たちはゆっくりできなくなってしまったのだ!

「どぼじで・・・」

ようやく問題の答えが出たれいむの左頬にアリがたかってきた。
ピリピリとした傷みがゆっくりれいむを蝕んでいく。

「まりざ・・・」

ああ・・・目が霞んできた。
もうはっきり見えるのはもうすぐ死ぬという未来だけだ。

「れいぶもぞっぢにいぐからね゛!」



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人間が「ゆっくり」を忘れてしまったためにゆっくりが誕生した。

なのでもはや「ゆっくり」はゆっくりにしか作れない。
そしてその「ゆっくり」をゆっくりを知らない人間に与えるのがゆっくりの役目となった。


彼らはゆっくりするために生まれて来たのではない。
ゆっくりさせるために生まれて来たのだ。







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反省
  • 前半と後半の差



今まで書いた作品

  • 初めての制裁
  • 僕のうさばらし
  • ゆっくりは死んだ
  • 見せあいっこ

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最終更新:2009年06月12日 01:43
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