短く、ぬる虐めな小ネタです
数週間前に初雪が降り、地面が薄く雪で覆われるようになったため、れいむはおうちの入り口を薄い石でふさぎ、木や小石で補強した。
ご飯は少し少ないかもしれないけど、すこしづつ食べていけばきっと大丈夫。
今回の
冬篭りは家族は居ない、一人だけでさびしいけど、春が来るまで
ゆっくりのんびりしよう・・・
そう思っていた。
事実、最初の何日かは本当にのんびり、ゆっくりした生活を送っていた・・・
何もやる事が無く、のんびりとしているれいむ、だが、おうちの入り口のほうから物音がしたのを聞くと入り口に向かう
「ゆ?なんだろう?」
偶然物音がしただけかもしれないと思ったが、妙な胸騒ぎを感じ、石に頬を当て、物音の正体を探る。
カリカリ・・・む!・・・ペシペシ・・・
れいむがはっきり認識できたとはいえないほどの、小さな音。だがその音を聞いたれいむは確信した。
だれかゆっくりがいしさんをたたいてる!
そう判断したれいむは急いで周りの小石や小枝を取り除き、石を取り除いた。
その瞬間、冷たい風と少量の雪の粉がおうちの中に入り込んでくる。あぁ、あけなきゃよかった・・・そんなれいむの考えは一瞬で吹っ飛んだ。
「れいむ・・・ゆっくりして・・・いってね・・・だぜ・・・」
そこに居たのは帽子の上に白いものをうっすらとかぶり、震えながら寒さをこらえている、友ゆっくりのまりさだった。
「まりさ!?どうしたの?ゆっくり!ゆっくりしてね!?!?」
この吹雪の中、何故わざわざここまで?
疑問は沢山湧いたが、まりさを中に入れる。
まりさはお家に入った後、帽子を脱いで上に降り積もっていた雪を落としてかられいむに向かって言った。
「ふぅ、ひどいめにあったんだぜ、れいむ、ここはゆっくりできるのかだぜ?」
まさか自分を心配してこの吹雪の中ここまできてくれたのだろうか?
そのまりさの気遣いに頬を少し赤くし、そして吹雪の中出歩くという無茶をした事に少し腹を立てながらも元気に答える。
「ちょっとごはんがすくないけど、とてもゆっくりできるよ!!」
「そう、それはよかったんだぜ」
痛い
後頭部に痛みを感じ、頬に激痛が走ったと思ったられいむは横になっていた。
「ゆ?」
ワンテンポ置いて、まりさが自分の後頭部を掴み、地面に叩きつけたのだと気づいた。
「じゃあ、れいむはそとにでるんだぜ」
「や、やめてねまりさ!!いまそとにでたらゆっくりできないよ!!」
まりさはれいむの抗議を無視し、後頭部を掴みながられいむを引きずっていく。
「ゆっくりしてね!!まりさ!!ゆっくりやめてね!!ゆっくりしていってね!!」
「まりさがゆっくりするためにれいむにはそとにでてもらうんだぜ」
れいむ種とまりさ種という時点で基礎体力に差があった上に、れいむはれいむ種の中では中の下、まりさはまりさ種の中では中の上の体力を持っていた。
ゆえに、れいむは必死に抵抗したがまりさに対しては無力だった。
「それじゃあゆっくりしていくんだぜ!!」
おうちの入り口まで引きずられ、最後に体当たりでおうちの外に放り出された。
「ゆべし!!」
顔面から雪の積もる地面に激突する。
「じゃあそこでゆっくりしていってね!!だぜ」
れいむが激痛をこらえ起き上がり、おうちの入り口に向かって駆け出したとき、すでに入り口はまりさの手によって封鎖されていた。
まりさは俗に言うゲスだったのだ、それも、無能な。
去年、周りの忠告を無視して、雪が降り始めてから準備すれば言いや、と遊びほうけていたらいつの間にか手遅れになっていた。
そのため、まりさはおうちに篭っている知り合いのゆっくりのところに行き助けを求めたのだ、ありとキリギリスである。
だがこのキリギリスはアリが自分に同情し、ご飯を分け与えようとした不意を付き、ありを惨殺しありの家を奪い冬篭りを成功した。
それに気をよくしたまりさは今年もキリギリスだったのだ。
「まりさ!おねがい!!ここをあけてね!!ゆっくりできないよ!!」
石で封鎖され、内側から木や小石で補強された石に泣きながらすがりつくれいむ、しかしなんのはんのうはない。
吹雪はさらに強くなってきている、すでにれいむは4分の1ほど雪に埋まっていた。
「ばりざ!!ざむいよ!!このばまじゃじんぢゃぶよ!!ばりざ!!までぃさぁぁぁ・・・」
もはやれいむは雪見大福になっていた。
「まり・・・さ・・・ま・・・り・・・」
体が、口が動かなくなってきた。
(さっきまでゆっくりできないとおもっていたのに、なんだか今はとってもゆっくりできそうなきがするよ?)
髪まで隠れ、そこにあったのがゆっくりなのか、石なのかの確認も出来なくなった。
(ゆっくり・・・して・・・いってね・・・)
れいむの思考は凍結した。
数ヵ月後
れいむは、起きた。
「ゆっくりしていってね!!」
いつもと変わらない、朝起きて、いつものおはようの挨拶。
だがその時点で、れいむはいつもとおかしい事に気がついた。自分の体の半分が、白いものの中に埋もれている事に気がついたのだ。
れいむは運よく、皮も中身も冷凍される事で冬の間、死なずに住んだのだ。
脳である餡子組織が凍結の際破壊されなかったのは幸運といってもいいだろう。
「まりさ・・・なんでなの・・・」
最初はすっきりー!な目覚めを楽しんでいたれいむだが、回りの雪を見て自分が何故こんなところに居たのかを思い出す。
なぜ、あんなになかよくしていたまりさが自分にこんな仕打ちをしたんだろう?
きっと、何かの誤解か、間違いに違いない!!そう決め付けたれいむは、すぐに近くにあるはずの自分のおうちに行く事にした。
まりさに話を聞こう、きっとまりさは話してくれる、どうしてこんな事をしたのかを、そして、ふたりでなかなおりして、また一緒にゆっくりしよう!!
「ゆ?れいむ、ぬれてるの?」
そのときれいむは自分の体がぬれている事に気がついた、濡れていちゃゆっくり出来ない、水気は払おう。
「ゆっ、ぶるぶるぶる「ブチーン!!」ぶ・・・」
水気を払おうと体を振っていたれいむが上下に分割され、上半分だけが回転しながら吹っ飛んでいった。
れいむは知らなかったが、凍っていたれいむが解凍され、餡子脳が機能を回復させるまでの間、数日もの間れいむは雪解け水にどっぷり浸かっていた事になる。
動かなかったし、流水にさらされていたというわけでもないから皮が溶けるということは無かった。
だが、水分を過剰に含んだ皮は確実に弱くなっており、れいむが体を振るった際限界を越えてしまったのだ。
ところどころ溶け残った雪が残る中、半分から下しかない顔が、口元だけ笑っていた。
れいむの家の中では、補強用の木や小石を口に入れたまま干からびた饅頭が転がっていた。
最終更新:2011年07月29日 18:16