ゆっくりを求めて
神社が近くにある丘の上。
空を見上げれば雲ひとつない晴天、くっきりスカートの中が見える。
樹は青々とした葉をつけ花々が美しく咲き誇っている。
厳しい冬が終わり、丘は春の陽気に包まれていた。
二海峡市旧坪町のはずれにあるピクニックにもってこいの場所である。
「「ゆっくりしていってね!」」
ゆっくりとした風景に誘われて出てきたゆっくり達がゆっくりと挨拶をしている。
バスケットボールサイズのゆっくりれいむとゆっくりまりさである。
ゆっくりはゆっくりするべくゆっくりと日向ぼっこを楽しんでいる。
「ゆっくり!!」
「「ゆっくり! ゆっくり!」」
その近くではソフトボールほどのゆっくりが楽しそうに遊んでいた。
転がるゆっくりをゆっくりと追いかけていく遊びである。
誰も邪魔されずにゆっくりがゆっくりとゆっくりするためにゆっくりできる時間がここにある。
そんな平和(ゆっくり)な光景を一つの叫び声がすべてを台無しにした。
「ヒャッハー!! 我慢できねぇ!! 虐待だ!!?」
「ゆーーーーー!!!」
「やめてね、いたがってるよ!」
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」
気合い一閃、近くにいたバスケットボール大のゆっくりまりさをつよく蹴り飛ばした。
ゆっくりは岩にぶつかり大きく変形する。
ぶつかった衝撃に耐え切れず皮は破れ中身があふれていく。
傷は大きくほうって置けば確実に致命傷である。
あまりのことに呆然としていたゆっくりのうち
ソフトボールサイズのゆっくりれいむのもみあげを掴んで持ち上げた。
持ち上げられたゆっくりは何もできずに叫ぶばかりである。
衝撃的な状況で呆けていたゆっくりれいむだが、叫ぶ子ゆっくりに気がつきやめるように言ってくる。
その声は必死ではあるがどこか小ばかにした印象を抱かせた。
奇声をあげたのは一人の男である。
春だというのに黒のロングコートにブーツさらにサングラスまでしている。
まことに怪しいいでたちである。
「ハッ! あんなたまんねー状況を見せられて我慢できるかっての。饅頭は須らく潰されるべし!」
男はそう言い捨てると腰の後に刺していたチャッカマンを取り出し底面を焙りだした。
改造されたチャッカマンの火力は凄まじく瑞々しい底面はすぐに煙を上げ焦げだした。
あたりに香ばしい匂いが立ち込め、それとともに子ゆっくりの動きが鈍くなっていく。
「あついよ! やめてね! はなしてね!」
「「「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」」」
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」
ゆっくりれいむは焦げていく体に危機感を抱きやめるように呼びかける。
しかし、その表情はどこか人を小ばかにした顔でありどこか余裕が伺える。
残されたゆっくり達はは目の前の凶行にどうすることもできず叫んでいる。
必死なのだろうが甲高い声が気に障り逆効果である。
炙っている炎が手にもあたるが防火処理の施された手袋をしているので問題はない。
男は気にせず火力を上げて底面だけでなく、髪や飾り、口、目を燃やし焦がしていく。
蹴られたゆっくりはただただ痙攣しているだけである。
「ヒャッハー! いい声で鳴け! 俺の渇きを癒してくれ!」
「ゆ゛」
雄たけびを上げつつ、つかんだゆっくりれいむを丹念に焼き上げてる。
むらなく焦がし尚且つ生かしているゆっくりを無造作にほうり捨てる。
先ほどと同じサイズのゆっくりまりさを捕まえ袖に仕込んでいた針を取り出す。
取り出した針で線を描くように外皮を傷つける。
ほっぺたにあたる部分から少しずつ削っていき、ある一点に狙いをさだめる。
弾力に富んだ外皮は一瞬抵抗をするも、たやすき突き抜けて針は内部へと食い込む。
様々な角度から異なる長さの針を次々と突き刺しその反応を見ていく。
「いたいよ! ささないでね! はなしてね!」
「「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」」
「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」
ゆっくりは針を刺すたびに叫び訴えかけてくる。
その顔はにやけ顔でありかなりふてぶてしいものであった。
下にいるゆっくり達は放り捨てられた子ゆっくりと持ち上げられた子ゆっくりを交互に目を向けながら叫ぶだけである。
なお、最初に蹴られたゆっくりは一瞬のうちに視界から消えたのでも認識できていないようだ。
途中、手元が狂い針先が指に突き刺さろうとするが特殊繊維で作られた手袋はびくともしない。
「ヒャッハー。何を言っても無駄だ。饅頭どもは此処で潰れるのだ」
「ゆ゛」
数十本と刺し針山となったゆっくりまりさをみる。
これ以上指す場所がないと判断してそこらへんに転がしておく。
次の獲物である子ゆっくりれいむを持ち上げた。
ブーツに仕込んでいた錐を抜き出し構える。
ゆっくりの目に獲物の先端を突き付けジワジワと近づける。
「いたいのはいやだよ! やめてね! はなしてね!」
そんなことを訴えるが、意味のない鳴き声である。
無視して目に錐を突き立てる。
かすかな抵抗ともに何かはじけるような感触と共に目に錐が突き刺さる。
そのまま錐を動かしえぐり目を取り出す。
「いたいよ! くらいよ! はなしてね!」
「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」
「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」」
子ゆっくりれいむは叫びを上げるがただそれだけである。
地面にいるゆっくりれいむは壊れたレコーダーのように同じ声を繰り返すだけである。
両目をえぐったあとも他の場所を執拗に突き刺していく。
まるで何かに取り憑かれたかのように刺していく。何度も、何度も……。
「……ひゃっはー。あとはてめぇだけだ」
無事なところはなく、ずたぼろになった子ゆっくりれいむを地面に捨て置く。
最後に残ったゆっくりれいむに詰め寄る。
「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」
「「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」」」
目の前にあるのは瀕死のゆっくり×4にバスケットボール大のゆっくりれいむが1。
瀕死のゆっくりは細かく震えて「ゆ゛」としか言わなくなっている。
放っておけば「もっと……ゆっくりしたかった……」という台詞と共に静かになるだろう。
「…………飽きた」
突然、男が動きを止め気だるくため息をついた。
「なんつーか、バリエーションが乏しいんだよな。もっと、なんていうか……こう、
『れいみゅのしゅてきなあんよがー』とか
『まりしゃのもちもちのびはだがー』とか
『れいみゅのちゅぶらなおめめしゃんがー』とか
そんな叫び声はないのか?」
「…………ゆ?」
あまりに理不尽な問いにゆっくりレイムは呆然とするだけである。
「俺の住んでるところだともっと色々な声が聞けるんだけどなぁ」
生物とみなさず、饅頭としてあつかってるゆっくりに語りかけるなど、この男はかなりキている。
ちなみにこの男、住所は双葉市虹浦町である。
「最近、ここらへんのゆっくり虐待に飽きたから旅にでる!」
とわざわざ遠く離れた旧坪町にきたのだ。
「んー、どうればいいと思う?」
「ゆ、ゆっくりしようよー」
しゃがみ込み顔を近づけゆっくりれいむにそう問いを投げかける。
……末期ですね本当にありがとうございます。
「よっいしょっと」
「ゆゆゆ?」
背負っていたギターケースを下ろし、ふたを開ける。
そこにあったのはたくさんのアマアマ……ではなく巨大な鎚が入っていた。
「あー、あれだ。これ以上やっても似たような反応だし潰すわ」
「!? ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!!!」
男は鎚を手に取り面白くなさそうに言い捨てる。
その発言にゆっくりはもっとゆっくりするよう全力で訴える。
当然である。あんな鈍器で叩かれたら人間も昇天する。
「うーん、どうしようかなぁ……そうだ!
『げすはゆっくりしないでしね!』とか
『でいぶはつがいがしんでがわいぞうなんだよ!』とか
『あまあまちょうだいね! たくさんでいいよ!』とか
俺を楽しませるような台詞を言ったら見逃してやるよ」
男は鎚を肩に担ぎ悩むしぐさをしていると、何か思いついたように声を上げた。
その提案はどう考えても死亡フラグの塊である。
たとえ言えたとしてもその瞬間つぶされているだろう。
そのような無茶な発言にゆっくりれいむは答えた。
「ゆっくりしていってね!(キリ」
ゆっくりれいむはなにか確信したかのように叫んだ。
これがすべてだ。これ以上のことはない。これですべて終わる。
その顔は「やったよ! ゆっくりしてくれたよ!」と達成感にあふれる顔だった。
「……そぉい」
あまりにむかつく顔だったので全力で槌を振り下ろした。
すさまじい轟音と共にゆっくりは粉々になった。
鎚を上げるとバラバラになった餡子は周りに飛び散り花を咲かせているのが見える。
「きたねぇ花だ」
そう言い捨て瀕死だったゆっくりに目を向ける。
「「「「………………」」」」
へんじがない、ただのしかばねのようだ
どうやら目を放している間に永遠にゆっくりしてしまったようだ。
「……本当につまらん」
ゆっくりまりさの被っていた帽子を取ると、それで道具についた汚れを拭き始めた。
「あ〜〜、いつもだったらここで
『まりさのおぼうしをかえしてね!』とか
『せいさいされたくなかったらさっさとかえすのぜ!』とか
『ゆんやー! もうおうちかえる!!』とか
『そんなことよりおうどんたべたいよ!!!!』とか
気持ちいい台詞が聞けるのになぁ」
道具を拭き、しまい終わると持っていたゴミをまるめてほうり捨てた。
ゴミ―――ゆっくりまりさの帽子は転がり餡子の花の近くで止まった。
「ちょっとまちなさい」
落ち着いたすずやかな声で制止がかかる。
「なんだ?」
振り返ってみると、そこには巫女服を着た女性が立っていた。
「それをやったのはあんた?」
指を刺したところにはずたぼろになった饅頭が4個あった。
大きくへこみ皮が破れ中身が出ている饅頭が一つ。
表面が真っ黒となり見た目は炭にしか見えない饅頭が一つ。
見た目は一筋の線が見えるだけだが壮絶な苦悶の表情を浮かべ転がっている饅頭が一つ。
(注:針がかなり細いため刺した穴自体は大きくないのだ)
目もなく皮がずたぼろになっている饅頭が一つ。
「……あぁ、そうだ。ついでにあんたの足元にあるのを含めて5つかな?」
その格好になかば見とれながら返事をする。
つややかな髪はやわらかく風に流れ、その流れを戒めるように赤いリボンで結ばれてる。
意志の強そうな目は涙をため怒っているも泣いている様にもとれる。
鼻筋も通っており、その下でかわいらしい唇が何かをつぶやいている。
どこかで見たような感じもしないでもないが、とても美しい顔立ちといえるものだ。
視線を下に移すと細い体のラインが見えた。
肩が出るデザインの巫女服であり、赤と白で彩られた綺麗なものである。
胸は小さすぎず大きすぎずほどよい大きさだ。
腋がまぶしい。
さらに下に視線を移すと綺麗な脚線がみえる。
その足元に先ほど放り投げたゴミ(帽子)がみえた。
「そ、そうか。ゴミを捨てちゃダメだな。急いで片付けるよ」
こちらを見た眼差しがきつく感じたのは、
先ほど投げたゴミについて怒りのせいなのだろう。
「……し……っくりが……」
ここで、何か巫女が言っているのに男は気がついた。
耳をすませるとだんだんはっきりと聞こえた。
「わたしの饅頭(ゆっくり)が……」
この台詞に男は顔をしかめた。
飼いゆっくりだとは思っていなかったのだろう。
確認のために視線をゆっくりに向けるがその飾りにバッチはない。
しかし、たとえ飼いゆっくりは外に出さないのが常識であり、
その常識を無視したゆっくりは例外なく死んでいくのだ。
ゆっくりは存在自体が害であり、目に入れば潰す存在であるというのが常識だ。
男はその常識にのっとり潰したに過ぎない。
だが、美人が泣いているのならば別である。
ここはひとつ謝っておくのがよいという判断だ。
男はひとりうなずき巫女に声をかけようとする。
「なぁ。すま…………」
しかし、謝罪の言葉は最後まで言い切ることができなかった。
なぜなら、大量の針と札が投げつけられたからだ。
男は紙一重で横に飛んで攻撃をかわした。
「ちょ、え? なにこれ?」
「饅頭(ゆっくり)の恨みを思い知りなさい……」
静かに告げるその言葉には確かな殺意がこもっていた。
巫女はおやつに取っていた饅頭(ゆっくり)がつぶされ食べれなくなった事に怒っているのだ。
巫女は宙に浮き、札(スペルカード)を取り出すと死の宣告をつげた。
「霊符『夢想封印』」
「まてまてまてまて \ピチューン/ 」
to be continued?
あとがきポイなにか
ゆ虐どころかSS自体はじめて書きました。
表現とかいろいろ難しいです。
結構前からチェックしてるけど昔と変わってきましたねぇ。
ゆっくりの設定はやや古めのものをモチーフにしてるつもりです。
だから素敵な巫女が出てきたりします。
(まぁ、次があっても出番ないけど)
故にバッチ設定など存在せず、ゆっくりが害獣として認識されてないのである。
作品に出る男の武装は
- 袖に仕込んだ大量の針
- ブーツに仕込んでいる錐
- 腰の後につけているチャッカマン(改造済み)
- 懐に入れてる煙球や薬品類
- ギターケースに入れてる鎚、その他
- 研究肌の虐待鬼井山謹製の手袋
です。
まだ増えるかも。
ふたばでは全然評価されなかったのでこちらに投下します
何か至らぬ点があれば苦言をよろしくお願いいたします。
最終更新:2011年07月28日 03:42