私はこのカフェの店主 客からは店長と呼ばれている。
私は今『食材』を取りに行っている所である。
食材といっても広大な野菜畑があるわけでもなく、糞尿のにおいがする家畜小屋に数十頭の豚や鶏がいるわけでもない。
あるのは店の奥にある一部屋と、
ゆっくりのつがいが数組いるのみである。
扉を開き、店の奥に入るとゆっくりたちの寝息が聞こえてきた。
ゆっくりたちはどれも銅ゆっくりである。
この街の条例では銀バッチ以上のゆっくりの売買行為は厳しく制限されている。
特に食品として売買するのはどんな理由であれ銅バッチまでとされている。
特に、金ゆっくりを虐待した時などは自分の所有物であろうと罰金だけでは済まない場合がある。
その為、銀バッチ以上を注文したい客がいても、二束三文で購入した銅ゆっくり産を出さざるを得ないのである。
れいむ 「すーやすーや・・・ゆっくり生まれてきてねおちびちゃんたち・・・」
まりさ 「ゆっくりまもってあげるのぜ」
ゆっくりたちはつがいごとに仕切られた空間に入れられている。
周りに他のゆっくりが見えると色々と面倒な問題が生じるが、声だけならば徒党を組もうなどという考えは起きないらしい。
むしろ、今から起こる『収穫作業』の悲鳴で逃げようなどという気を削いでくれればそれでいい。
店長 「うんうん 愛されて生まれてくるゆっくりってのはまろやかさがいいんだよね」
そう言いながら中華なべの形をしている竹かごをかまえ、一組目のつがいに手をのばそうとする。
それはさっき寝言で会話をしていた器用なまりさとれいむである。
店長 「ひぃ ふぅ みぃ・・・今日は5匹か うん れいむ二匹にまりさ三匹か」
手をのばして一匹目の赤ゆっくりを引きちぎろうとした時、れいむは目をさました。
れいむ 「すーや す、ゆ?頭がいたいよ?ゆゆ? ぢょっとぉぉぉぉぉおおおおなにじでるの????
やべでね゛!!れいぶのあかちゃんいやがっでるでじょ゛ぉぉぉぉぉ」
まりさ 「ゆぅ・・・ゆゆ?店長!?やめるのぜ!!その汚い手を離すのぜ!!」
頭に赤ゆっくりがいて動けないれいむの大声を聞いて、まりさが起きた。
起きた瞬間、状況を判断したまりさは俺の手目掛けて突進してきた。
しかし一匹目をちぎり終わっていた俺の手に届くことなく、れいむに向かって体当たりをするかっこうになってしまった。
ブチィ!!
れいむ 「あ゛あ゛あ゛あ゛あがじゃんがぁ!?ゆぶぇっぷ!!
ま゛りさな゛にじでる゛の゛ぉ!さっさとあがちゃん取り戻してね!!」
まりさ 「ゆ゛?ゆゆ?れいむ!殴らないでね!?あかちゃんが揺れてあぶないよ!」
れいむ 「あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛がちゃん ゆ゛っぐしてね!」
さすがは銅ゆっくりたち もう目先のことしか見えないらしい。
赤ゆ 「ゆゆ?おしょらをとんじぇるみちゃ! いちぇ!」
茎から切り離されたせいか、赤ゆっくりは覚醒したみたいだ。
私はゆっくりを大切にかつ事務的に竹かごの中に投げ入れた。
竹かごの中にはふかふかの毛布と少しばかりの蜂蜜が入っている。
赤ゆ 「ゆ?おかぁしゃんは? ここどょこ?ゆっくちできないょ! ゅびぇぇぇん!」
蜂蜜との距離が少し遠いせいか、蜂蜜よりも親がいないという身の危険のほうが勝っているようだ
れいむ 「そうだ!あがじゃんが!!店長!ゆっくり赤ちゃんを返してね!
返したらあまあまいっぱいもってきてしんでね!」
まりさ 「さっさとおちびを返すのぜ!さっさとあまあまをもってくるのぜ!」
ここでイラっときて殴ることで上下関係を作ってしまうのは愚の骨頂である。
この夫婦にはできるだけ長く生殖活動を続けてもらわなければならない。
その為には生殖したら必ず奪われるという絶望をまだ植えつけてはならないのである。
ブチ!!
れいむ 「いだぁぁぁぁ!]
まりさ 「やめるのぜ!」
れいむ 「ゆびゅぁ! まりざなに゛じでる゛の゛ぉ゛ぉ゛!?」
まりさ 「ゆ!やめるのぜ!れいむ叩かないでね!!」
赤ゆ 「ゅ!?おしょらをとんじぇるみ! いちぇ!」
その後もゆっくりの抵抗を無視しながらもくもくと収穫作業を続けていく
赤ゆをひきちぎる
↓
れいむが泣き喚き、まりさが突進してきてれいむにぶつかる。
↓
けんかをする
↓
赤ゆの泣き声が竹かごから聞こえる
↓
赤ゆを返せ!あまあまもってこい!ゆっくりしんでね!
↓
新しい赤ゆをひきちぎる
の繰り返しで5匹目を引きちぎる時など、まりさとれいむは顔が涙でぐしゃぐしゃ、
体中アザだらけである。
れいむ 「最後のこの子だけでも守るよ!まりさ絶対守ってね!!」
まりさ 「ゆゆ!わかったよ!おい人間!やめるのぜ!」
最後の意地だろうか、れいむの前でまりさは体を膨らませて威嚇している。
前に立たれたんじゃ仕方ない。私はビンタをもって彼の健闘に報いてやった。
まりさ 「ぶゅぶぇ!」
二転三転した後、まりさは壁にぶつかって少し餡子を吐きぐったりした。
店長 「さ、ゆっくり収穫させてもらうよ」
れいむ 「まりざぁぁ!
ゆ!やややべでぇぇえぇ!ごっぢにごないでぇぇ!!!」
自分より運動能力の高いまりさ種が負けたことで戦意を喪失したれいむは隅のほうに後ずさりしようとする。
しかし、最初から端っこにいるため、距離が離れることは無い。
れいむ 「な゛ん゛でごんな゛ごとするのぉ゛ぉ゛」
ブチィ!
れいむ 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」
ブチィ!
れいむ 「い゛だぁ゛ぁ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ま゛りさぁぁぁぁどうにがじでぇぇ」
まりさ 「ゆ・・・ ゆ・・・」
最後の一匹を収穫し終え、ついでに赤ゆの食料となる茎も回収した。
れいむはまりさを必死に呼ぼうとするが、
まりさはまりさでぐったりして目が虚ろであった。
赤ゆを守れなかった喪失感、敗北感に打ちひしがれており、まともな返事をすることができなかった。
赤ゆ 「ゆ!おしょらを いちぇ!!
ゆ?おかあしゃんどこにいりゅの?れいむにすーりすーりしちぇね!」
かごの中には新鮮な赤ゆが5匹入っている。
どれもあの『きょうしつ』で育てれば銀バッチは確実に取れそうなほどわんぱくな赤ゆたちである。
しかし、この赤ゆたちがきょうしつに行くことはない。
今、新規に赤ゆのレンタルを望んでいる人がいないからである。
先に収穫され泣きつかれた赤ゆは、新しい姉妹が来るたびにまた泣き喚いていた。
5匹あつまって蜂蜜をちびちびと舐めてはいるが、母ゆっくりがいない為
「おかあしゃん・・・」「すーりすーりしちぇほしぃ」
と口々につぶやいては互いに身を寄せ合ってすすり泣いている。
店長 「さ、明日もがんばってゆっくり子ゆっくりをつくってくれよ」
れいむ 「あ゛がぢゃんをがえ゛ぜぇ゛ぇ゛ぇ゛ じね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」
まりさ 「あ、 あかちゃん・・・ ゆ・・・っぐ・・・」
今も泣き喚いて罵詈雑言を吐いている母だったれいむと
すすり泣いているまりさを尻目に次の収穫に向かった。
店長 「つぎはアリスとまりさのつがいの番だな」
私は次の、というか仕切り一枚隣のゆっくりの収穫をはじめた。
そこにいたのはさっきのつがいの悲鳴を震えながらずっと聞いていた二匹のゆっくりであった。
アリス 「や、やめて 『しゅうかく』なんてとかいはじゃないわ!」
まりさ 「ま、まりさの鉄拳を食らう前に帰るのぜ!」
アリスはアリス種とまりさ種の赤ゆを二匹ずつ実らせ
まりさのうしろでガタガタと震えていた。
まりさも怖いのを振り絞ってアリス種の前でぷくっと威嚇をしている。
なんともかわいいものである。
私はさっきの収穫がスムーズであったことや、これから取れる赤ゆっくりが上出来であったため、ほくほくとした思いであった。
そのため自然と顔に笑みがこぼれた。
それがゆっくりたちには悪魔の笑みに見えたことだろう。
アリスまりさ「「ビク!!」」
一層と身を寄せ合ってガタガタ震えだした。
これはもうだめかな・・・と私は少し残念な思いがした。
反抗しない、従順なゆっくりは飼いゆっくりにとってはプラスだが、食用としては適さないのである。
なんでも、恐怖を与えられているときは純度のよい、甘い餡子が出来るものだが、
炭酸の抜けたコーラのようなゆっくりから生まれる子ゆっくりは甘みが足りないのである。
その兆候がこのつがいには現れている。
私はこのゆっくりたちを近いうちに『交代』させることに決めた。
次はぱちゅりーとれいむのつがいでも試してみようかな。
店長 「それはそうと、せっかくできた子ゆっくりは収穫しないとね。
赤ゆに仕込みをすればいくぶんおいしくなるだろう。」
そう言って私は逃げることも抗うこともできないゆっくりたちに手を伸ばし始めた。
ゆっくりカフェ収穫編終了です
最終更新:2011年07月30日 02:16