※初投稿
色々本気にしちゃいけない
「さぁ始まりました新コーナー【ゆっくり歌っていってね!】のお時間です。司会の私と、そのアシスタントの二人でお送りしていきます」
「よろしくお願いします」
「さてこの新コーナー【ゆっくり歌っていってね!】は視聴者の皆様もお馴染みの腐れ饅頭『ゆっくり』が、我々人間が聞くに耐え得るまでの歌声を獲得するまでの様子を実際にご覧いただきながら調教していく番組です。
なんです? あの腐れ饅頭共に人間の歌を歌わせるなど、無理な話だ、ですって?
確かにゆっくり達の歌声は、そのままであれば聞くに耐えないものです。ですが、少しの技術と情熱さえあれば、それは決して不可能ではないなのです。
まだ信じられませんか? では、論より証拠、実際に調教していきましょう。アシスタントくん、準備を」
「かしこまりました」
「さて、準備が整ったようです。
ここに有るのは皆様お馴染み、腐れ外道なクソ害獣ことゆっくり。今回は一番ポピュラーなれいむ種を用意させていただきました」
「ゆっくりしていってね! かわいいれいむにあまあまさんもってきてね! ぐずはきらいだよ!」
「言葉遣いからもお分かりかと思いますが、こちらのれいむはアシスタントくんがレストランの裏手のゴミ箱で捕まえてきた野良れいむです。
ゆっくりを歌わせるのに、バッジや血統や性格は関係ありません。ただゆっくりであれば良いのです。
もちろん、衛生面が気になる方はペットショップや食料品店などで購入されたゆっくりでも構いません」
「なにしてるのおねえさん! れいむのいうことがきこえないの? ばかなの? しぬの?」
「ではまずこのゆっくりに五十音表を手渡し、読み上げさせた声を録音します」
「ゆ? なにこれ? れいむはあまあまさんをもってきてっていったんだよ? きいてたの? やくにたたないどれいだね!」
「こちらの言うことを素直に聞かない時は、死なない程度に痛めつけます。今回は三十路前にして恋人の一人もおらず体力だけは有り余ってるアシスタントくんにやっていただきましょう」
「この五十音表を読め」
「なにいってるの? どれいのぶんざいでれいむにめいれいしなぶぎゅるっ?!」
「読め」
「どぼぢでごんなごどずるぶぎゃっ!?」
「読め」
「おわびとしてあまあまさんぼげらっ!?」
「読め」
「どれいのぐぜにどぼぐぎゅるっ?!」
「読め」
「ぼうやだ! でいぶおうぢがえぷぎょお!?」
「読め」
「ぼうやだ! いだいのやだごっ!?」
「読め」
「ぼうでいぶにいだいごどじなぐっぎょぎょぎょぎょ?!」
「読め」
「よびまず! よびばずがらやべっ?!」
「読め」
「よぶ! よぶがらっ! いだいのやぶひゅう!!」
「読め」
「ぐす…あ、あぁ、いぃ、うぅ…」
「さすがはアシスタントくん。問答無用の拳のラッシュでゆっくりに五十音表を読ませることに成功しました。
録音が終わるまでは暇ですので、のんびりと揚げ饅頭でも齧っていましょう」
「……たぁ、ちぃ、つぅ、てぇ……れいむおなかすいたよ! どれいはぐずぐずしないであまあまさんもってきごぼぉっ?!」
「録音の途中で雑音が混じった場合も気にせず録音を続けましょう。あとでどうにでもなります。
ここで優先すべきは『ゆっくりの声の録音』ですので、声さえきちんと出せれば問題ありません。
言うことを聞かなければ、死なない程度に痛めつけましょう」
「わぁ、をぉ、んん……ぜんぶよめたよ! だからごほうびにあまあまさんをぶごべっ?!」
「五十音が終わったら次は濁音、半濁音の録音です」
「ぼうやだおうぢがえるぅぅぅぅ!!」
「録音が終わるまでは暇ですし、ここはしばらくアシスタントくんに任せましょうかね」
「だれががわいいでいぶをだずげでよぉぉぉぉぉ!!」
「おや、ようやく録音が終わったようですね」
「ゆっぐ……ゆっぐぢ……ぢだい……」
「この間15歳下の従兄弟とマジ喧嘩をし、父親にこっぴどく叱られた鬱憤を大人げなくもゆっくりの調教で晴らしたアシスタントくんの猛攻により、用意したゆっくりがボロ雑巾同然のゴミになってしまいましたが、このゆっくりはまだ使いますのでとって置いてください。
ただ、しばらく出番がありませんので、精神が死なない程度にボコっても構いません。と、言うわけでアシスタントくんやっちゃって」
「かしこまりました」
「ゆっぐぢ! ゆっぐぢぢでいっでよぉぉぉぉぉぉ!!」
「ではここからは私のターン。
まず、先ほど録音したゆっくりの音声データをPCに取り込み、波形編集ソフトに読み込ませます。ここでノイズや要らない雑音、打撲音などを切り取って除去してしまいましょう」
「ゆっぐぢ! ゆっぐぢ! ゆっぐぢじでいっでぼらっ!?」
「ある程度ノイズの除去や波形の編集が出来たら、次はこの修正した音声データを音声切り出しソフトに読み込ませます。そして一音一音丁寧に、子音や母音が途切れないように音を切り出していきます。
地道な作業ですが、頑張りましょう」
「おうぢがえるぅぅぅぅ! がえらぜえぇぇぇ! ぼうにんげんざんをいじべないがぼぎゅう?!」
「全ての音が切り出せたら、それら全てをひとつのファイルに書き出します。ファイル名はなんでも構いません。ここではまぁ、便宜上『ゆっくり』とでもしておきましょうか」
「おねーざんだずげでよぉぉぉぉぉ! がわいいでいぶがごまっでるのにぃぃぃぃぃぐっ?!」
「そしてその書き出したファイルを、某フリー音声切り貼りソフトに食わせます。
これで終わり? またまたご冗談を。ここからが一番のキモですよ」
「おにーざんぼうやべで! でいぶなんでぼずる! ずるがらぼういだいのやだぁぁぁぁぁぁ!!」
「某フリー音声切り貼りソフトを開き、先ほどの『ゆっくり』というファイルを選択してからエディタを起動。まずはここで周波数表を作らないとお話になりません。
お使いのPCのスペックにより異なりますが、全ての周波数表を作るまでにだいたい30分から1時間ほどかかります。
その間に、ゆっくり本体の加工を済ませてしまいましょう。アシスタントくん、お願い」
「かしこまりました」
「ぼうやべでぇぇぇぇぇ!!」
「ではまず、髪の毛と邪魔なお飾りを取っ払います」
「やべで! でいぶのぎれいなおりぼんざんがぁぁぁぁぁ!! でいぶのぎゅーでぃぐるべあーざん! もどっでぎでぇぇぇぇ!!」
「次に、口と目を潰します。どう潰していただいても構いませんが、今回はオーソドックスに焼いた鉄の棒で潰していきましょう。
他にもボンドを使ったり、小麦粉で塗り固めていただいても構いません」
「あつあつさんはゆっくりできないよ! ゆっくりどげべべべべべっ!?」
「目はもう泣いたりできないように焼き潰し、口は特に念入りに焼いていきます。もう二度と食事をしたり、声を出したりしないように。こうすることで後々の雑音を防ぐ効果と、加工がやりやすくなる効果があります」
「……! ……!?」
「さすがはこの間父親とガチ喧嘩をし、三十路前にして衆目に晒されながら父親の本気のスパンキングを受けた
アシスタントくん。仕事に余念がありませんね。
ではこの焼いた口の中に、ワイヤレスのスピーカーを突っ込み固定します。先ほど念入りに焼いたので、消化される心配もなく安心ですね」
「……!! ……!?」
「焼いた口の中にワイヤレススピーカーを固定して設置したら、その口を閉じ、その上から塗り固めるように水溶き小麦粉をハケで塗っていきます。
これは口だけでなく、ゆっくりの体全体に塗ってください」
「……! ……!!」
「さて、こうして出来上がった美味しそうなお饅頭に、『ゆっくりなりきりラバーマスク ~れいむ~』を貼り付けます。
そして周りの皮との境目が分からなくなるよう、ハケで念入りに水溶き小麦粉を塗っていきます」
「……!! ……!!」
「貼り付けたラバーマスクと皮の境目が分からなくなったら、次に『ゆっくりなりきりウィッグ ~れいむ~』をだいたい頭頂部に、違和感のないよう固定します。これは接着剤などできっちりと貼り付けましょう」
「……! ……!」
「はい、これで先ほどとは比べものにならないくらい綺麗な『れいむ』が出来上がりました。
……おや、ちょうど周波数表の製作も終わったようです。では詰めの作業に移りましょうか。
アシスタントくん、このゆっくりの微調整よろしく」
「かしこまりました」
「……!! ……!!」
「では、先ほどと同じように某フリー音声切り貼りソフトのエディタを開きます。そして、なにもないところをダブルクリック。
こうすると、ソフトがテキトーに音の調整をしてくれます。
時間の都合上説明は省きますが、詳しいことは番組テキストに載っていますのでそちらでのご確認をよろしくお願い致します。
……さて、これで準備が整いました。実際にソフトのピアノロール上に音符を置き、歌わせてみましょう。
まずはシンプルに、『ドレミファソラシド』から。
ピアノロール上に音符を置き、再生。すると……?」
『ど~れ~み~ふぁ~そ~ら~し~ど~♫』
「無事、あのゆっくりの中のワイヤレススピーカーから音が出ましたね。
どうです? あの音痴なゆっくりの声から、このようにちゃんとした音階を持った歌声を作り出すことに成功致しました。どうですか? アシスタントくん」
「素晴らしいですね。同じゆっくりとは思えません」
「そうでしょう。けれど、まだちゃんとした『歌』とは言えませんね?」
「そうですね。音階をなぞるだけでは『歌』とは言えません」
「ですので次回からはこのゆっくりを使い、実際に歌を歌わせながら調教の仕方を解説していきたいと思います。
アシスタントくん、今日はありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
「それでは皆様、今日はこの辺で失礼致します。
司会は私、DTMお姉さんと」
「そのアシスタント、ボーカルお兄さんがお送り致しました」
「「それでは皆様、また来週、お会い致しましょう」」
続く?
そんな訳で初投稿作品でした。
綺麗に歌うゆっくりって、こんな手順でつくってるんだと、思う。
最終更新:2012年07月24日 19:23