昨今の幻想郷では、
ゆっくりが餡子の材料、ペット、ストレス解消など様々な利用方法をされている。
そして大工の場でもゆっくりが使われていた。
家を建てる際に草木を撤去し、凸凹とした土地を平らに均す必要がある。
その時にゆっくりを使うわけだ。
まず平らにしたい土地を柵で囲っい、れみりゃ除けに網をかけてその中にゆっくりを何匹か放り込む。
逃げられないようにするためと、無必要な部分まで整地されないようにするためである。
ちなみに中にいれるのはゆっくり霊夢、それも母ゆっくりだけだ。
まりさ種を入れると何かと理由をつけてさぼったり、それが原因でゆっくり同士喧嘩しだすのでNG。
ありす種を入れると他種のゆっくりが犯されて殺されるのでNG。
ちぇん種は仕事に対して集中できないうえ目を離すと遊びだすのでNG。
みょん種などは話が通じるか分かり辛いのでNG。
そんなわけで割と素直で真面目なれいむ種が使用されるわけである。
今日もまた新たなれいむ家族が箱に詰められて現場へと連れてこられた。
箱の中からはゆっくり家族達の声が聞こえる。
「ゆっくり出してね!」
「おかーしゃん、ゆっくりできないよ!」「くらいよ!」「せまいよ!」「こわいよー!」
「うるさいなぁ。ほら着いたぞ」
大工の一人が箱を開けて中を確認する。
母ゆっくり一匹。子ゆっくり二匹に赤ちゃんゆっくり二匹。
その中から母ゆっくりだけを取り出して柵の中へと置いた。
「ゆ! ひろいよ!」
柵の中は今まで閉じ込められていた箱に比べればずっと広い。
母ゆっくりは清々しい表情をする。
「わたちたちもゆっくりだちてね!」「だしてだして!!」
子供たちの声を聞いて子供たちを思い出したのか、母ゆっくりは大工へ向かって抗議する。
「れいむのこどもたちもゆっくり出してあげてね!!」
「だめだ。お前が仕事を終わるまでこいつらは預かっておく」
「ゆ"!? なんでそんなこというの!? ゆっくりだしてね!!」
「聞けよ。仕事が終わったら放してやるって言ってんだろ」
「おじさん、なにいってるの? なかなの?? はやくこどもをだしてね!!!」
「あー、めんどうな奴らだな」
こんなやり取りを今までに何度もしてきたので大工はうんざりだという顔をする。
「仕事の説明はあそこにいる他のやつらに聞け。仕事が全部終わったら子供に会わせてやる」
同じ柵の中、向こう側で寝ているゆっくりの群れを指で示してそれだけ言うと大工は背を向けて去って行った。
「ゆっくりまってね!! こどもたちをかえしてね!!」
しかし大工は聞かず、そのまま自分の小屋へと帰った。
今晩の食事はちょうど手に入った4つの饅頭だ。
そうして残された母ゆっくりはしばらくの間、すでにいない大工や子供たちに話しかけたり、
柵に向かって体当たりしていたがどれも適わなかった。
その音に目を覚ました他の母ゆっくり達四匹が集まってきた。
「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」
「ゆ? ゆっくりしていってね!」
他の母ゆっくり達の挨拶に母ゆっくりも挨拶を返す。
「れいむもこどもたちをもってかれたの?」
「ゆ! そうだよ! ゆっくりしないでたすけなきゃ!!」
母ゆっくりは再び柵に向かって体当たりしようとする。
「ゆっくりもんだいないよ!」
「しごとがんばればかえしてもらえるよ!!」
と、他の母ゆっくり達は言う。
「それが本当かどうかわからないよ!!」
「だいじょうぶだよ! さいしょにいたゆっくりはこどもたちかえしてもらってたよ!!」
「ゅ! しあわせそうにおそとへいってたよ!!」
それは他のゆっくりに、がんばれば子供を返してもらえると示すための大工によるヤラセのようなものだ。
ちなみにその子供を返してもらったゆっくりは他の現場へと連れていかれたが、残るゆっくり達は知る由もない。
ただ、仕事を頑張れば子供と一緒にゆっくり出来ると信じていた。
「じゃあだいじょうぶだね! しごとってなにをするの!?」
他の母ゆっくり達の言葉に安心した母ゆっくりはようやく仕事する気になったようだ。
「ゆっくりせつめいするね!!」
「しごとはここのじめんをぺったんこにするだけだよ!! たべものはここにあるくさだよ!!」
「でもくさをいっぱいたべないでね! これいがいはないからね!!」
「ゆっくりわかったよ! みんなでゆっくりがんばろうね!!」
さすがは母ゆっくり、今の説明で理解できたようだ。
母ゆっくりの群れなので食事の量の管理も問題ないだろう。
それから母ゆっくり5匹のお仕事が始まった。
昼間は小石を柵の隅へと退かしたり、口や大きな体を使って地面を平らにしていく。
また、食事と整地も兼ねて草を食べていく。
疲れたらそれぞれ自由に休んでいた。
暗くなるとゆっくりタイムだ。
といってもこの辺りは明かりになる物もないのでみんなで擦り寄って眠るだけだが。
子供たちのことが心配ではあったが、仕事が終わればまた家族でゆっくり出来る。
それに共にがんばった他のゆっくり達の家族とも一緒に遊ぼう。
最初ここに連れてこられた時は不安でしょうがなかったが、甘い未来を想像するとゆっくり出来た。
それから一週間経ったころ、大工は様子を見にきた。
最初は凸凹で草木もたくさん生えていたこの土地はしっかり整地されていた。
草一本生えず平らになっていた。
「いい感じだな。よくやったなお前たち」
「ゆっくりがんばったよ!!」
「ゆうしゅうでごめんねー」
「ゆー♪ゆー♪」
自分たちのがんばった仕事を褒められてゆっくり達は嬉しそうだ。
仕事の最後の方は食べるものも少なくなって辛かったが、労いの言葉にゆっくり達の言葉は満たされた。
「がんばったのだからご褒美をあげないとな」
「ゆ! おぼえてるよ!! はやくこどもにあわせてね!!」
「あとおなかへったからごはんもってきてね!!」
「こどもたちはゆっくりしてる? ゆっくりあいたいよ!!」
「ごほうびごほうび!! こどもとたべものちょーだいね!!!」
「こどもたちといっぱいたべたいよ!!」
ご褒美と聞くと5匹の母ゆっくり達は口を揃えて望みを言う。
「じゃあ、そこまで連れていくからこの箱に入れ」
大工はそう言うと、持ってきた5つの木箱をゆっくり達のいる地面へ置く。
「はこ? はこはいやだよ!」
「せまいからゆっくりできないよ!!」
「お前たち疲れてるじゃないか。だから箱に入れて運んでやるんだよ」
「じゃあもっと広いはこにしてよね!!」
「まっててあげるからゆっくりよういしてね!!!」
「嫌だよ阿呆饅頭。とにかく箱に入らないなら食事無しで子供にも会わせないからな」
図々しいゆっくり達もさすがに食事と子供を盾にされると贅沢言わなくなり、自分から箱へと収まった。
「ゆっくりはこんでいってね!!!」
リヤカーにゆっくりの入った木箱を5つ積むと、大工はリヤカーを引いていく。
何も見えずにただ揺らされるゆっくり達は不平不満を垂らす。
「ゆっくりできないよ! いつつくの!?」
「おそとがみたいよ!」
「ゆれがはげしいよ! ゆっくりはこんでね!!」
しかし大工にとってそれは雑音にすぎない。
無視してリヤカーを引いていく。
そして数時間後、ゆっくり達入った木箱の蓋が外されて地面へと降ろされる。
「ゆっくりできるよ!」
「ひろいよ! くさがいっぱいあるよ!!」
「ゆ? こどもたちは? どこにいるの!?」
「ゆっくりしないで会わせてね!!」
「今度はここで仕事だ。前と同じだからがんばれよ」
「ゆ”! どういうこと!! やくそくがちがうよ!!」
「ゆっくり達のしごとはもうおわったんだよ!!」
「仕事はあそこだけなんて言ってないだろう?」
「い、いやだよ!! もうしごとしないよ!!」
「そうだよ!! はやくしょくじとこどもをもってきてね!!」
「そしたらしごとすることかんがえてもいいよ!!」
「食事ならそこにいっぱい生えてるじゃないか」
大工の指差した先には確かに草木が茂っていた。前の土地よりも多いかも知れない。
「あまいのがいいよ!」
「おかしもってきてね!」
「あとこどももね!!」
「こどもは仕事が全部終わったらって約束だろ? じゃあ後はがんばれよ」
ゆっくりとの無駄な問答に付き合ってられないと大工は去って行った。
「ゆ"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! まっでえぇぇぇぇぇ!!!」
「せめて! ひとめだけでもみせてね!!」
「ゆっくりまたないとおしごとしないからね!!!」
最後のゆっくりの言葉に反応して大工は振り返る。
「一か月後に仕事ができなかったら子供は食べるからな? しっかり仕事しとけよ?」
今度こそ大工は去っていった。
後に残されたのは柵に囲まれた広大な土地と5匹のゆっくり達だけだった。
今度の仕事場は大豪邸でも建てるのか前に比べてずっと広い。
5匹のゆっくり達は誰も何も言わず呆然と佇んでいた。
一ヶ月後に見事に仕事をやり遂げた5匹のゆっくり達はご褒美をもらえた。
苦しむことの無いよう鉈で一刀両断。これがご褒美だ。
きっと子供たちに会えるはずだ。仕事を始めた日には死んでいた子供に。
きっとあの世でね。
終
by ゆっくりしたい人
主にゆっくりれいむ家族を虐めたいだけ。虐待というか人質とって強制労働というべきか。
ある種グッドエンドっぽいけどあの世で子供に会えるか決めるのはえーき様。
最終更新:2008年09月14日 06:22