「
ゆっくりちていってね!!!」
森に住むあるゆっくり霊夢の巣。
そこでまた数匹の食べ物がこの世に製造された。
「おかあさんたちとゆっくりしようね!!」
「おねえさんたちともゆっくりしようね!!!」
お母さんゆっくりやお姉さんゆっくりが生まれたての赤ちゃんたちに語りかける。
とても微笑ましい光景だが、一家には一つ気がかりがあった。
「ゆ~、このままあかちゃんたちがおおきくなったら、このおうちじゃゆっくりできなくなるね!!」
それは家の敷地のこと。
今まではゆっくり出来ていたその空間だが、新たな住人が増えた今、将来の事を考えるとこのゆっくりハウスでは確かに狭い。
人並みに快適さを求めるゆっくりなので、狭くなる巣に住むという事は考えられず新しい巣をどうにか調達しようとアレコレ思案し始めた。
「ゆっくりあたらしいおうちをみつけようね!!!」
「皆でさがせばゆっくりすぐみつかるよ!!!」
ゆっくり達は気楽に考えていたが、現実はそんなに甘くない。
自分たちよりも大きな巣は既にゆっくり家族が住み着いていた。
お母さんがゆっくりアリスで、ゆっくりれみりゃとフランを食用にしている巣もあったのだが、そこも人数が多くて断念。
「ゆっくりまたあそびにきてね!! おきゃくさんはゆっくりかんげいするよ!!!」
その一家の巣から出た後、ゆっくり一家は森から出て西側へとやってきた。
山へと続くその道は、確かに食料になりそうなものは無い。
しかし、時々そこをお散歩コースにしている一家は、この土が自分たちでも掘れるほどゆっくりしていることを知っていた。
「もりはあきらめて、ここにゆっくりれいむたちのおうちをつくろうね!!」
ゆっくりしてはいられない。
もう直ぐ冬が来るのだ、このままだとゆっくり越冬できなくなる。
ゆっくりしたい気持ちは多々あったが、それでも自分たちがゆっくりできる場所を確保するため、一家は協力して家を作り上げていった。
「ゆ! おかあしゃんたちがんばってね!!」
「さむくならないうちにおうちをつくってね!!!」
生まれたばかりの赤ちゃん達は、この作業を手伝うことは出来ない。
それでも、何とか自分たちもお母さん達の役にたちたい、ゆっくり考えた結果が頑張って応援する事だった。
「ゆ!! がんばるよ!! あかちゃんたちも、ゆっくりおうえんしてくれてありがとうね!!」
「おねえさんたちががんばって、あかちゃんたちのおへやもつくってあげるよ!!」
自分の子供、妹たちに声援を貰って、俄然力が入るゆっくりたち。
一先ず、入り口から大広間まで掘り進めた所で、今日の作業を終わった。
「ゆっくりかえろうね!! はやくからないとたくさんのゆっくりのたいぐんにおそわれちゃうからね!!!」
「そしてゆっくりできなくなるまで、おしくらまんじゅうされるんだよ!!!」
「「「ゆ! こぁいこぁい!!! おかあさんたちはやきゅかえろうね!!!」」」
せかせかと急かす赤ちゃんゆっくりをほのぼのと見つめるお姉さん達。
泥だらけになった体を川で洗い流す。
さっきのゆっくりアリスの巣の近くの川だ。
「ゆ!! つめたいね!! はやくあがろうね!!」
「ゆ! でもきれいになったよ!!」
「おねえちゃんたち、きれーになってよかったね!!!」
日が暮れないうちに帰ろうか?
そんな事を話していた一家に、先ほどのアリスが話しかけてきた。
きちんと川でバスタイムを都会派のゆっくりだから、お夕飯にご招待したいと言うものだった。
勿論、お言葉に甘えさせてもらう。
「うっぎゃーーー!! ざぁぐやーーー!! どごーー!!!? ざぐや? だずげでおぉ~!!」「ゆっくりしねー!! ふりゃんにいじわるするのはゆっくりしね!!!」
「むっしゃむっしゃおいしいねー!!!」
悲鳴なんて何のその、一度掴まったそのれみりゃとフランは食料、これはゆっくりたちの中では常識だ。
「いっちょにゆくりちようね!!!」
「ゆっくりできるよ!!!」
「おかあしゃんはねとかいはなの!!!」
「だからね!! れいむたちもとかいはなんだよ!!」
「「ゆゆ!! すごいね!!」」
赤ちゃん達も、自分たちと同じゆっくりと遊ぶことが出来て大満足。
食事も勿論格別だった。
「ゆ!! なら!! なら!! おうちができるまでのあいだ、ありすのおうちにいそうろうするといいよ!!」
事情を聞いたアリスが張り切って提案してきた。
確かにここなら今作業している場所へは随分と近い。
「うん!! ゆっくりいそーろうさせてもらうよ!!!」
遠慮? それはゆっくりできるの?
こうして新たなゆっくりハウスを作り終えるまで、ゆっくりアリスの家に居候させてもらう事になった霊夢一家。
朝起きて、れみりゃを食ってお出かけ。
お昼に戻ってフランを食べてまたお出かけ。
夕方、川で体を洗ってれみりゃとフランを食べる。
それを十六回ほど繰り返すと、待ちに待ったゆっくりハウスが完成した。
入り口から中に入ると、最初に着くのは大広間。
数が増えたゆっくり一家でもまだまだ十分余裕がある。
そこから四方絵へ抜けると小さい部屋が十個程。
ゆっくりたちが各々に作った部屋だが、基本的に大勢でゆっくりするのが一番なので余り使うことは無いだろう。
だから、部屋数も随分少ない。
それでも、待ちに待った自分たちの新しいゆっくりハウスが完成した喜びは大きい。
ゆっくりアリスの一家に完成したことを伝え、その晩は朝まで最後の晩餐を楽しんだ。
朝まで続いたその晩餐、再生しっぱなしの二匹には随分酷な晩餐になっただろう。
でも、安心して欲しい。
今日の朝から雪が降り始めた、この雪が溶けない限り他のゆっくりをお家に呼ぶことは無い。
一方のゆっくり霊夢一家は、雪が酷くならないうちに急いで食べ物や宝物を運び込んでいた。
「ゆっくり、これで全部だね!!」
「ゆっくりおひっこしがおわったね!!」
「これでゆっくりとふゆがこせるね!!」
「おねえちゃんたちゆっくりしようね!!!」
「「「ゆっくりしようね!!!」」」
皆が大広間に集まり、ゆっくりとした新生活が始まった。
雪が降っているので、外には出られない一家だがそんな事は関係が無かった。
一家が皆ゆっくりと冬を越せる。
それはゆっくり達にとって最高に嬉しいものであった。
しかし、それがもろくも崩れ去ろうとは、この時は思いもしなかった。