「ゆー♪ゆー♪ゆー♪」
「ゆゆっゆゆー♪」
買い食いなどをしながら道を歩いていると突然耳障りな小動物のうなり声が聞こえてきた。
何かと思って足元を見ると汚いシーツの上に
ゆっくりの一家が缶詰の空き缶を置いてなにやら不快な音を立てていた。
出産したての母親が気が立って威嚇行動でもとっているのかとおもい見ていると
母ゆっくりと思しき大きなゆっくりれいむと目が合いこういわれた。
「れいむと子どもたちのうたじょうずだったでしょ!
だからお金をいれてね!」
「いれちぇね!」
子ゆっくり達が言葉の最後の方をリピートする。
俺は歌とは一体なんだったのだろうかという終わらないメビウスの輪に閉じ込められた。
数瞬考えたがこんな不快なものじゃなかったはずと結論付けそのまま立ち去ろうとすると
母れいむがズボンのすそに噛み付いて言った。
「ちゃんとお金をいれていってね!ゆっくりきいてだでしょ!」
「ゅー!ききにげはゆるしゃないよ!」
「はやくおかねをいれちぇね!」
ゆっくりに囲まれ金まで要求されて俺の怒りはマキシマムインパクト。
しかしここは抑えて俺はゆっくり達に真の価値あるものについて語ることにした。
「お金…か
確かにお金は大事だよ、でもお前達にとって本当に大事なものってお金だけなのか…?」
「ゆ…?そ、そうじゃないけどおかねがあればいっぱいごはんがたべれてゆっくりできるよ!」
「できりゅよ!」
俺はぶんぶんと首を振って言った。
「そうじゃない…そうじゃないだろれいむ!お前にとってほんとうに大切なものはもっと身近にあるはずだ!
お前達のその素晴らしい歌にふさわしい代価はお金なんかじゃなくてソレなんだよ!
どうして気付かないんだ!?お前の一番大切なものに!」
れいむ達は酷く困惑して相談しだした。
「ゆー、れいむたちにいちばんだいじなもの…?なんだろう」
「ゆ、きれいなりぼん!」
「ごはん!」
「ゆっくちぷれいちゅ!」
「ゆー…ほんとうにだいじなものってそんなのじゃないきがする…
きになってゆっくりできないよ!おにいさんちゃんとおしえてね!」
母れいむは遂に頭を抱えて俺に答えを求めた。
「駄目だ、それは自分で気付かないといけない」
俺は首を振って断った。
れいむは再び頭を抱えてうんうんうなりながら考え続けた・
「おかあしゃんがんばっちぇね!」
「おかあしゃんならきっちょわかりゅよ!」
子れいむ達に応援されながら母れいむは必死に考えた。
その必死さは頭から湯気が出るのが見えるくらいだった。
「ゅ~~~~~……ゆ!わかったよおにいさん!
れいむがいちばんだいじなものはれいむのかわいいゆっくりした子どもたちだよ!」
まるで電球でもついたみたいにれいむはぱっと顔を明るくすると元気に答えた。
子ゆっくりたちは大喜びではねながら母の答えをたたえた。
「ゆ!れいむたちがいちばんだいじなんだね!ゆっくりりかいしたよ!」
「うれしい!ありがとうおかあしゃん!ずっといっちょにゆっくりちようね!」
子ども達に囲まれ嬉し涙を流すれいむの感動的な姿を眺めながら俺はうんうんと頷いた。
「わかってくれてうれしいよれいむ…」
「れいむにほんとうにだいじなものをゆっくりりかいさせてくれてありがとうおにいさん!」
「「「ありがとう!」」」
れいむ達は俺に向かってお礼を言うとぴょんと跳ねた。