ゆっくりいじめ系621 ゆっくりと燕

 うーぱっくが目の敵にされる理由の一つに「(ゆっくりにしては)高いところを飛行するので駆除しにくい」というものがある。

飛行するタイプのゆっくりとしては他に捕食種のゆっくりゃやゆふらん、それにきめぇ丸などが挙げられる。
しかしこれらのゆっくりは飛行しても高度が知れてるので対処しやすかったり(れみりゃやふらんは野菜が嫌いなのか畑に近づきもしない上に
捕食種とあって農家に意外と人気があったりする)、そもそも人間に友好的であったりする為に嫌われはしても積極的に駆除されはしていない。

ところがうーぱっくの奴はゆっくりの畑荒らしに関与している上、
駆除されそうになると小賢しくも上空へ逃げるというのでは農家の人々に嫌われるのも無理はない。

幻想郷の一般人にとって手を出しづらいうーぱっくの駆除を殆ど加工所が行うようになったのは以上のような経緯があった。




 20年程前、幻想入りしてきた『それ』は加工所の東に人為的に作られた平地の上で鎮座していた。
本来ならば幾つかの数を確保し、チームとすべき『それ』であったが加工所の豊富な資金力・河童の狂気じみた技術力を持ってしても
なお扱いにくいモノだった為に現状では一つしか存在していなかった。

たった一つしかない『それ』の周りには人妖がせわしなく動き回り、『それ』に手を加え様子を見会話を交わしていた。

しばし時が経ち、『それ』の周囲の人妖が一人、また一人と離れていく。
『それ』を用いたうーぱっく駆除が実施されるのだ。

『それ』の周囲に残る人影が二つにまで減ったところで状況は次の段階へと進む。
一人が『それ』の先端部分に梯子を使って上り、彼へと黄色のジャケットを着たもう一人が近づいていく。
上ったほうがボタンを押すと『それ』は音を立てながら細かく振動を始めた。
地面に残ったほうの河童の男が『それ』に開いた二つの穴の前に人影が無いか確認し、上ったほうの人間に合図を行う。

それに返礼を行なった彼は次に『それ』から離れるよう河童の男に合図を出し、その意図が実行されたことを確認した後に幾つか操作を行なった。
『それ』は彼の操作に答えるように甲高い音を上げつつ振動を激しくする。

上に乗っている彼はさらに手を動かし、『それ』に付いている何枚かの板の動きを河童の男に確認させた。
問題ないことを確認した彼は透明な材質でできたドーム状の物体を閉じ、その中に入る。
さらに両手の親指で河童の男に指示を出す。

それを見た河童の男は『それ』を支える棒の横から目立つ色の直方体を取り出し、上の男に見せ続いて親指を立てる。

上の男は河童の手を確認し、操作を行なう。
『それ』は滑るようにゆっくりと動き始め、平原を渡って盛り土の壁で三方を囲まれたスペースへと移動した。

先ほどの河童の男とは別の赤いジャケットの人物が『それ』へと近づく。
さらに『それ』に装着された二種類の棒を確認し、そこから何か細い物を抜き出した。
赤いジャケットの男が掲げるその細い物体を確認した上の男は再び操作を行い『それ』を移動させる。

最終的に『それ』は細長い平地の一端へと到達した。








 『それ』上の男が電波通信によって発言する。

「離陸許可を求める。」
「離陸を許可。幸運を。」

男の要求に対して電波で管制の返事が寄越される。

それを聞いた彼はフルブレーキ。機体を地面へと固定する。
続いて左手でスロットルをミリタリーへ。
クリモフ RD-33K ターボファンが轟音とともに大量のガスを後方へと噴出を開始する。
ブレーキリリースとほぼ同時にアフターバーナーオン。

ファルクラムは爆音と炎を滑走路に撒き散らしながら高速で離陸。

「パティシエ・コントロール、こちらキヨス。離陸した。」
「キヨス、キヨス。こちらパティシエC。針路…ええと…西だ。西へ向かえ。」
「キヨス了解。」

管制の指示は不明瞭な物だった。
仕方ない。むしろ幻想入りした経験者を素人の集まりが四方八方からかき集めた現状でここまでやれている方が奇跡に近い。
そう思いながら彼は操縦桿を傾け、愛機を西へと向けた。




 彼は緑海の上を飛んでいた。
かつて幻想郷の外の世界に存在していた赤い日本を故郷とするMiG-29Jにとって
散策に近いレベルまで速度を落としていたがそれには幾つかの理由がある。
一つはターゲットのうーぱっくは音速で逃走などしないこと。
もう一つは超音速で上空を飛んだ挙句、衝撃波で森を吹き飛ばしたりなどすればまず確実に森の住人から報復を食らう恐れがあった事。
轟音を撒き散らしての飛行の許可ですらかなりの苦労があったというから当然だろう。

ともかく、彼が遊覧飛行気分で飛ぶこと暫し、会話上の存在であった目標が視認できる距離に近づいた。

「パティシエC、こちらキヨス。目標を視認した。」
「パティシエC了解。接近して確認せよ。」
「キヨス了解。接近する。」

管制塔の新たな指令に従い彼は白フチの赤い星─日本民主主義人民共和国の国籍標識が未だに残されている愛機の翼をめぐらせ目標へと進路を変えた。
機体が傾斜し、ゆっくりまりさに稲妻が突き刺さっている様子を図案化した垂直尾翼の部隊マークが陽の光を受けてきらめく。
彼はスロットルを慎重に絞り、最低限飛行できるレベルまで速度を落とした。




 うーぱっくに乗って意気揚々と「おうち」に向かっていたゆっくり達はこの段階でようやく接近する物体に気がついた。
沢山の食べ物が置いてある場所を独り占めする人間が設置した柵をうーぱっくと協力して乗り越えた事に酔いしれ、
自分たちがいかにゆっくりできるかを今の今まで仲間たちと語り合ってい為に、MiGが視界一杯に大きくなるほど接近するまで気づけなかったのだ。
初めて目にする物体にゆっくりたちは興味津々といった態度で注目し、好き勝手な想像をめぐらせた。

「あれってなんだろうね!」
「ゆっくりできるかな?」
「きっとうーぱっくのおともだちだよ!おそらをとんでるもん!」
「うー♪うー♪」
「それならゆっくりできるね!」
「でもちょっとうるさいね!」
「しずかにしてもらおうね!」
「「「ゆっくりしていってね!!」」」

ターボ・ファンが至近距離で轟音を撒き散らしている為に別のうーぱっくに乗る仲間とは会話できなかったが、
同じうーぱっくに乗っている仲間と会話をするゆっくり。
続いておなじみの挨拶を飛行物体へと放ったが、当然返ってくるのはタービンブレードが発生させる大気の振動だけだった。


「パティシエC、こちらキヨス。目標うーぱっくは標準サイズが4に大きめのが3だ。」
「パティシエC了解。キヨス、積載物を報告せよ。」
「キヨス了解した。 … 標準サイズは全て食料を搭載している模様。食料は根菜だ。」
「標準サイズは根菜が殆どだな。パティシエC了解。キヨス、続いて報告せよ。」
「大きめのうーぱっくには1つあたり通常ゆっくりが3体搭乗している。指示を請う。」
「パティシエC了解。キヨス、目標を着地させろ。」
「キヨス了解。警告を行う。」

雁行隊形で飛行中のうーぱっくに接近し、管制と幾つかやり取りを行った彼は警告を行う為に増設された外部スピーカに通じるマイクのスイッチを入れた。

『こちらは加工所だ。飛行中のゆっくりに告ぐ。君達がうーぱっくに乗せている野菜は畑から盗んだ物だ。直ちにこちらの指示に従い着陸せよ。
繰り返す。直ちにこちらの指示に従い着陸せよ。』

エンジンの轟音に負けない音量で機外へ発せられた声は当然ゆっくり達にも聞こえた。
だが、ゆっくりはどれ一つとしてその言葉に従う意思など生まれなかった。

「ゆー、なにいってるの!」
「なんでいうことをきかなきゃいけないの?」
「これはれいむたちがみつけたんだよ!」
「すこしぐらいならわけてあげられるよ!ひとりじめなんてしちゃだめだよ!」
「「ゆっくりがまんしてね!」」

MiGに向かって身を乗り出してぎゃあぎゃあと騒ぐゆっくりたち。
大量に食料を確保して気が大きくなっている為なので当然だろう。


「パティシエC。こちらキヨス。目標は警告に従わず。」
「パティシエC了解。警告射撃を実施せよ。」
「キヨス了解した。警告射撃を実施する。」

RD-33Kが僅かに唸り声を大きくし、ファルクラムはうーぱっくの集団の前に躍り出る。

「いっしょにくるのかな!?」
「おうちでいっしょにゆっくりしようね!」
「やっぱりうーぱっくのおともだちなんだ!」

意図を勘違いしたゆっくり達は歓迎の声を上げる。
しかし、次に発生した別の轟音によってその声はかき消された。

ファルクラムは30ミリ機関砲を連射。
火薬の炸裂音が連続するとともに砲弾が光を曳き音速で飛翔。
あまりにも突然の出来事であるためゆっくりは口を明けて目をむき出しそうなほど見開いて驚いたが、危害が無いことが分かると怒りの声を上げだした。

「もー!びっくりさせないでね!」
「なにいってるかわからないよ!」
「ゆっくりしずかにしゃべってね!」
「「ゆっくりしていってね!」」

警告射撃も意味を成さなかった。
当然であろう。警告射撃が成立するような生物ならそもそも畑荒らしなどしない。

「パティシエC。こちらキヨス。目標は依然として飛行中、こちらに従う意思は無いと思われる。」
「キヨス、パティシエC了解。目標の後方に移動、待機せよ。」
「キヨス了解した。目標後方に移動する。」

彼は操縦桿を右に倒し愛機を傾ける。続いて右手を引いて上昇。
ファルクラムは右へシャンデル、進路を反転させうーぱっくの後ろへと飛び去る。




 ターボ・ファンの轟音が消え去り、ゆっくり達にしばしの平穏が訪れる。

「ゆっくりいっちゃったね!」
「もっとゆっくりしていけばいいのに!」
「またゆっくりしたいね!」

視界からファルクラムはあっという間に消え去り、別れを惜しむ饅頭たち。
豊原郊外で生産された電子装備が放つ電磁波を照射されていることにはもちろん気づいていない。


「パティシエC、こちらキヨス。目標の後ろについた。」
「パティシエC了解。キヨス、攻撃せよ。」
「キヨス了解した。攻撃する。」

彼はレーダースコープに取り付けられたセレクタを操作し、スコープ上で三角形に並んだ光点のうち右から二番目をロックオン。
交点がロックオン・シンボルで囲まれた。操縦桿の発射ボタンを押す。
翼からセミ・アクティヴ・レーダー誘導ミサイルが分離。
ロケットモーターに点火し猛烈な加速で10キロメートル彼方の目標へと突進。。
ミサイルはマッハ3で飛翔。目標まで15秒。




 それが近づくことに最初に気づいたのは一番前を飛んでいるうーぱっくに乗ったゆっくりまりさだった。
捕食種やもっとおそろしい人妖が近づいてこないか常に辺りを見回して警戒していたのが功を奏した。
彼女は盛大に煙を上げながら近づく棒を見て仲間に注意を促す。

「みんな!なにかとんでくるよ!きをつけてね!」

ゆっくりの群れでそれなりに信用が置かれている個体が大声を上げるのに気づいた、
他のまりさやれいむが彼女のほうを向き、次いで警報が発された物体のほうを向く。

「まりさ!なんだろうねあれ!」
「ゆっくりできるといいね!」
「みんなであいさつすればきっとゆっくりしてくれるよ!」
「ゆっくりあいさつしようね!」
「「うー!?うー!?」」

後ろが見えないうーぱっくが不安そうな声を上げるが、搭乗中のゆっくりはそんなことに構わず勝手な未来を想像する。
R-27Rの改良型である八九式AAM<斬撃>はその間に飛翔。

まりさの目の前でミサイルはうーぱっくに接近、レーダー反射波で目標が近い事を感知した信管が作動、
破片を撒き散らし両隣を飛んでいたうーぱっくと一緒にズタズタに切り裂いた。

「ゆー?ゆっ!?ゆっ!!?」

餡子脳の理解の範疇を超えた事態にまりさの思考は追いつかない。
飛んできた破片が刺さっていることに気づき、痛みを感じた段階でようやく事態を把握した。

「ゆ゛ううぅぅーーーーっ!!!い゛た゛い゛よ゛ぉーー!!」
「おち゛ないて゛ね!おち゛ないて゛ね!ゆっく゛りし゛て゛いって゛よぉー!!」
「ゆっく゛りと゛は゛ないと゛し゛んし゛ゃうよおぉー!ゆっく゛り゛と゛んて゛ね゛ええぇー!!」

饅頭の耳障りな悲鳴が上がる。
かつて仲間だった段ボールと餡子の混合物が落下していき、水っぽい音を立てて地面に激突、
3回ほど何か赤黒い粒を撒き散らしながらバウンドして停止したところで悲鳴は一層拡大した。
右端を飛んでいたうーぱっくは体の半分を運んでいた食料ごと吹き飛ばされ、
もう半分を穴だらけにされながらも本能で飛行を維持しようとしていたが高度が下がって木に激突、うめいて絶命した。

右から三番目、まりさに近いうーぱっくはもっと悲惨だった。
爆発の衝撃によりきりもみで左から三番目のうーぱっくに突進、もつれ合い食料をバラ撒きながら進路を斜め下に変更。
当然ながら地面と熱い抱擁を交わし、砕け散った。

7体いたうーぱっくはあっというまに半分以下に減ってしまった。


「うー!うーっ!」
「うーうー!」

残ったうーぱっくはこのまま固まっていると一網打尽だと本能で感じ取りそれぞれが別の方向を目指した。
ゆっくりとしては天才的ともいえる判断だったが残念なことにファルクラムの前では何の効果も無かった。




「パティシエC、こちらキヨス。目標を4つ撃墜。残りは散開。」
「パティシエC了解。キヨス、残りも撃墜せよ。」

IRSTが中央のうーぱっくを探知。先ほどまで左から二番目だった個体だ。
レーザー測距装置を作動。ロックオン。
ミサイルのシーカーが目標を捕らえたことを知らせるトーンが聞こえる。直ちに発射。
白煙を曳きながら九〇式AAM<突撃>はまっしぐらに進む。

「またなにかきたよ!はやくにげてね!」
「こっち゛こ゛ないて゛えええぇえ!」

身を乗り出して後方を覗き込んでいたゆっくりの悲鳴のような通報で狙われていることを知ったうーぱっくは高度を下げながら右旋回。
重力の助けで加速して逃れようとする。
しかし、うーぱっく必死の機動は超音速で飛行するAMRAAMすら撃墜する<突撃>にとっては停止しているような物だった。

ゆっくりれいむが一体、うーぱっくの動きにより振り落とされた次の瞬間、R-73の改良型であるミサイルが起爆した。
息を吸い込んで膨らもうとしていたゆっくりれいむは超音速の壁に叩きつけられ、体中に開いた穴から空気を噴出しながら近くの木へと吹き飛ばされた。
れいむはたまたまこちらを向いていた木の枝に真正面から突進して突き刺さり、セルフ百舌の早贄ごっこをおこなって一生を終えた。




 全速力で逃走中のうーぱっくの中でまりさは再び恐ろしい光景を目にした。
バラバラに逃げればそう簡単には追いつかれないだろうと思っていたのに、実際はあっさり追いつかれていた。
まりさの視界で二度、爆発が起こり通常うーぱっくと大うーぱっくがグチャグチャの何だったか良く分からない物体になって落ちていった。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「まりさどうしたの?ゆっくりおしえてね!」
「ゆっくりちゃんとせつめいしてね!」

前を向いているために今の惨劇に気づいていないれいむとありすがまりさに説明を求める。
だが、今まで「ゆっくりプレイス」だと思っていたうーぱっくの中が最早そうではないことをこれでもかと見せ付けられたまりさは
ショックで叫び声をあげるだけの饅頭と化していた。

れいむとありすが後ろを覗き込もうとしてもみ合ってるうーぱっくの様子に構わず、ファルクラムは接近。
狙いをつけると同時に彼は機関砲発射トリガを引いた。
轟音を上げてGSh-301が30ミリ砲弾を吐き出す。

中に乗っていたゆっくりは1発目が貫通した時点で衝撃で圧死した。
30ミリ砲弾が着弾するたびにうーぱっくは千切れ、弾け飛ぶ。
端からはひどく混沌としたダンスを踊っているようにも見える。

最後のうーぱっくを撃破したと判断した彼がファルクラムを加工所へと向け、飛び去った後に残されていたのは空中を舞い降りる段ボールの破片のみだった。



どう見てもゆっくり虐待よりもMiGを書くのがメインになってます。本当に(ry

by sdkfz251

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最終更新:2008年09月14日 07:50
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