書きたかった事
- ゲスまりさを書くよ
- ゲスな性格ってじつは…
- 虐待?がぬるめです
- ギャグ風味みたいなこともしたかった
注意
日も短くなってきた頃、宵の口に男とゆっくりまりさが向かい合っていた。
今、目の前にいるのは森で捕まえたゲスまりさだ。
まりさの体より大きめに作られた透明な箱を破ろうと何度も体当たりしているがゆっくり如きが壊せる代物ではない。
吐き出される汚い言葉と壁に押しつけられる顔の醜さが男のボルテージを上げていく。
その熱意が向く矛先は当然このまりさであり、男の性格を相まって熾烈なものになるのは必至の状況だ。
せいぜいこの一時的な平穏を謳歌するがいい。
どうせ半月もしないうちにお前はいなくなるからな。
いや、厳密には今のお前か。
この状況に置かれながらもなお口元を酷く歪めてせせら笑うまりさに対し、
男の笑みは部屋中を覆い尽くし、まりさも飲み込んでしまうような強者のそれであった。
時はこのゲスまりさが男に捕獲されるまで遡る。
男はここ二日あるゆっくりに目を付けてこっそり、とはいっても大きい荷物を担いでおりかなり堂々とした尾行し続けていた。
その対象になったのは一匹のゲスまりさだった。
男はゲスなまりさを探していたし、そのゲスっぷりも観察すれば今後のモチベーションも高まるだろうと思い、自ら森に出かけたのだ。
男が森に入ってすぐ、苦もせずそれを発見できた。
草陰から聞こえてきたゆっくり達の嬌声に導かれ男が覗いてみると、そこにいたのがゆっくりれいむとゆっくりまりさだった。
ここまではそれまでに見られた光景ではあったが、行為の後の行動からが男にとって重要であった。
「「んほおおおおおおお!! すっきりー!!」」
事が済んだ合図だ。このペアの場合頬を擦りつけてのすっきりだったためすぐににんっしんっの兆候が見て取れる。
「みてまりさ!! れいむたちのあかちゃんたちだよ!!」
頭から急激に生えてきた植物の蔓みたいなものに数個の実がなっている。
その蔓を生やしたれいむの方は子供の誕生に喜び、ぽろぽろと涙を流してる。
一方のまりさと言えばすでにどこか醒めた様子であった。
れいむには興味を無くしたようであたりをきょろきょろろ眺めては適当な相槌を打っていた。
このまりさはなかなか期待できそうだ。男はしばらく観察を続ける事にする。
「これからふたりでゆっくりあかちゃんをそだてましょうね」
「そいつらはれいむひとりでゆっくりそだてるんだぜ!!」
男が見込んだ通り、なかなかのゲスまりさであった。
まりさの台詞に空気が凍ったのを感じる。実際に凍り付いている様にれいむの表情が笑顔から戻らない。
「なにをいってるの? れいむとまりさのあかちゃんだよ? かわいくないの?」
笑顔のままだが汗が垂れてきてる辺りにゆっくりなりの必死さが見て取れる。
まさか、と思う気持ちがれいむに生まれてきているのだろうなと男は冷静に分析する。
しかし事実はそのまさかであった。
「まりさはすっきりできたからもういくぜ!! せいぜいがんばるんだぜ!!」
振り返りもせず駆けだしたまりさの背中を見てもまだれいむは固まっていた。
ようやく状況を理解できてれいむの目に別の涙が溢れてきた頃にはすでにまりさの姿は見えなくなっていた。
「どぼじでずっきりじだのおおおばがあああああ!! がえっでぎで、ばでぃざああああ!!」
どうせれいむも適当な愛の告白に乗っかってすっきりしたんだろうがと男は呆れる。
だが確かにこのままでは満足に移動する事もままならないし、それはすなわち死に繋がるのは分かりきっているようだ。
しばらく隠れて観察していた男は泣き崩れるれいむに挨拶をしながら姿を見せる。
「やあれいむ、ゆっくりしていってね」
「ゆっぐりじでいっでね!!」
あまりのショックに身を裂かれそうながらも律儀に挨拶を返すあたりゆっくりの鑑である。
男は一部始終を見ていたが改めてれいむから泣いている理由をきっちりと説明させた。
これによりれいむの心はもう一度傷つく事になるのだが、それがいいのだ。
話し終えてれいむが再び泣き崩れたところで、男は背負っていた荷物から薪を一本取り出す。
「これを見てみろれいむ」
「な゛んなのごれ……」
憔悴しきった顔でれいむは顔を上げ男が手に持っている物を見る。
たしかにゆっくりには男が手に持った薪がなんであるかなんてわかるまい。
当然そこら中にある木々の断片であるということも。
だが今はそれは関係ないのだ。
「ほらここのところに穴があるだろ。このへんをかじってみな?」
男が催促するとれいむは素直に応じて薪に歯を立てる。
このれいむは虐め甲斐があるなと思いながらも今回の対象ではないのでぐっとこらえることにする。
十分に乾燥させてあるし、すでにぼろぼろな薪な為ゆっくりでも容易くこの薪を削っていける。
泣きながらもゆっくり噛みついていたれいむは薪の中からあるものを発見した。
「いもむしさん!!」
そう昆虫の幼虫である。家の外に長い間放置していた薪にはよくこうやって幼虫が住み込んでいた。
これを放っておくと今度は家の柱自体にも住み込みかねないので燃やすか森に捨てるかを選択せねばならない。
そしてこの幼虫は普段ゆっくりが食べる青虫のような芋虫さんではなく、丸々と太って栄養価の高い芋虫さんなのだ。
ときどき男も焼いて食べるがなかなか悪くない。
「ほら食べてみろよ」
「ゆっくりたべるよ!!」
男が催促する前からすでにれいむは幼虫に舌を延ばしていたがそんな事は気にしない。
れいむは口に入れた幼虫を咀嚼するとそのどろりとした濃厚な味に感動した。
「むーしゃ、むーしゃ、しあわ……ぜっ!!」
その感動の瞬間を狙って男はれいむの頭から生えていた物を引き抜いて放り捨てた。
「ゆゆっ!! おにいさんれいむがごはんたべるのじゃましないでね」
「はいはい、ほらまだここにもいそうだぞ」
とびきりの幸せの前には何も気にならなくなるのだろうか。
もはや驚きもしないが子供の事など頭から綺麗さっぱりなくなっているようだ。
まああのまりさとの間にできた子供にそれほどの愛情がなかったのかもしれないが。
とりあえずこれでこのれいむはショックからは立ち直るだろう。
なぜか男はゲスまりさを探しながら被害にあったゆっくりの心のケアしていた。
これも男にとっては重要なことだ。
幸福あっての悲劇なのだ。
この幸せを取り戻したれいむがこのあと何者かによって悲劇にあうかと思うとそれだけで満足できる。
また人間への警戒感を薄れさせるという意味もあるかもしれない。
男はあとはまかせたとここには居ない誰かを想像しながら呟いた。
れいむが男が渡した薪に集中している隙にさきほどのゲスまりさを追跡しはじめることにした。
いくら目を離しても所詮ゆっくりである。
さほどの距離を移動していないのですぐに見つける事が出来るのだ。
男はまりさの後をさほど用心もすることなく歩く。
ゆっくりというものは目も耳も前方にしか機能していないのかわずか一メートル後ろを付いていってもまったく気付かれる様子はない。
しばらくするとゲスまりさは木の根本にあったゆっくりの巣に入っていくのが目に入った。
少しするとまた嬌声が聞こえ、罵倒の声が聞こえ、まりさが飛び出てきた。
その後を追うようににんっしんっしたゆっくりありすが出てきたが今度はさらにひどい状況だ。
「まぢなざいまでぃざあああ!! ごはんをがえじでええええ!!」
あいつすっきりしてさらに餌まで持っていきやがったのか。
なかなかのゲスっぷりに関心しながら男はありすに近づく。
やはり男はれいむ同様に薪をありすに渡し、ゲスまりさを追った。
その後も立て続けに不用心なゆっくりをすっきりさせては逃走し、腹が減ってはどこかの巣に押し入って強奪していくのを確認した。
ときには追ってきたゆっくりを潰しては中身を食べ、意味もなく飾りを奪ってはゆっくりできていない奴がいると叫んだりもした。
ゲスまりさでもかなりの上玉に男はこのまりさを虐めの対象にすることに選び、言葉巧みに丁重に家に招き入れた。
そして話の冒頭の状況になる。
「へへへ、ばかなじじいはころされたくなかったらさっさとまりさをここからだすんだぜ」
「……」
「さっさとごはんをもってくるんだぜ。まりさがゆっくりたべてやるんだぜ」
「……」
「まりさのことばがりかいできないの? ばかなの? しぬの?」
当然男はまりさの言葉に聞く耳を持たない。まりさに余裕があるうちはこちらからの接触は避けるためだ。
少しでも立場を優位だと思わせるとあとあと面倒になってくるためだ。
もちろんこのまりさ本人はずっと自分が優位であると思い続けるかもしれないが、もはやこれは男の気持ちの問題だ。
男はまりさを完全に無視して自分の晩飯の準備をする。
まりさの入れられている箱の上部は少し開放されているため、美味しそうな香りだけは堪能できるようにしている。
まりさに見えるように様々な野菜を切っていく。
どうやら肉には興味はないようでそれを見せても食べ物と分からず空腹を感じないらしい。
だが普段食べているような草に近い野菜ではそうもいかない。
「おいじじい、それをまりささまにさっさとよこせ!!」
「……」
男は右から左に受け流しながらさらに調理を続ける。
今日の献立は大根の味噌汁ときんぴらゴボウだ。
「いただきまーす」
「まりざにもぐわぜろ!!」
いつもは静かな食卓も今日は騒々しい。せっかくのご飯が冷めてしまう前に頂く事にする。
あと一人での夕食は実に寂しいがこれはまた別問題なのでゆくゆく解決する事にしよう。
「むーしゃ、むーしゃ、幸せー」
「ぐぎぎぎぎ」
わざわざ聞こえるようにゆっくり語で感想を漏らす。もちろん幸せそうな表情も忘れない。
まりさは歯ぎしりをしながら怒りに耐えているようだ。
自分より下等な生物なぞチャンスがあればいつでもぼこぼこにできるのだ、それまでの我慢だと。おお、えらいえらい。
男はそのゆっくりらしい自分が一番だという考え方が大好きだ。とても傲慢でとても幼稚だからだ。
それが自身達の命を縮める最大の原因だというのに。
男はご飯を食べ終えると食器を片づけて、トイレに向かった。
トイレからまりさに聞こえるようにわざわざ実況をしてやることにする。
「しーしーするよ!! とても気持ちいいね!!」
「ゆぐぐぐぐ」
「すっきりもするよ!! んほおおおおおお、すっきりー!!」
「じじいのぐぜにー」
まあすっきりは嘘だがとりあえず気持ちよかったりすっきりできていることをアピールしてみる。
男とゆっくりの立場の差を感じ取らせて敗北感にでも浸ってくれれば御の字だ。
悔しがるゆっくりを余所目に次は男は風呂の準備をする。
今日はまりさを観察するために森に入っていたため二日振りの入浴だ。
体中の汚れをきれいさっぱり洗い落としてそのまま寝床に直行してやろう。
風呂を入っている様子はまりさには見えないだろうからやはりその様子を逐一かつ一方的に報告することにした。
「あー気持ちいいなー。ゆっくりさっぱりさっぱりできるよ!!」
「ゆぎぎぎぎ……」
湯を浴びるたびにさっぱりとしつこく言ってやった。
これまで野生の環境で過ごしてきたまりさには風呂がなんであるかはわからないが、
とても気持ちよくて、ゆっくりできて、さっぱりできるものであることだけが理解できたろう。
またしても自分より下等な生物がゆっくりできていない自分を差し置いてゆっくりしているのだ。
こんなにも腹立たしい思いをしたのは生まれて一度もないのではなかろうか。
「はー、さっぱりしたよ!!」
風呂から出てきた男の顔からは汚れが落ちている様子が見えるのか、まりさは目を丸くしている。
なんとなく風呂というものが理解できたのだろう。
ゲスだからこそ頭はそこそこ良いのかも知れないな。それでも所詮ゆっくりレベルでの話でだが。
まりさもそろそろ自分の帽子や体も綺麗にしたいと思っていた頃だ。
本来なら他のゆっくりにぺーろぺーろしてもらうところだが、そんな相手がいないゲスまりさはどこか薄汚い。
一人で勝手に綺麗になりやがって、そしてなぜ自分はゆっくりその風呂というものに入れないのか。
まりさが男を睨みながら殺気立っているのが十分に分かった。
次の日、寝る直前には広々とした布団で眠る事ができて幸せだと散々叫んだ後眠りについていた。
一方のまりさは狭い箱の中での睡眠を余儀なくされたわけだからそのことでもまりさの怒りを買っているだろう。
早朝に目を覚ました男は昨日捕まえたまりさが未だ眠っている事を確認して朝食を用意する。
もちろん自分の分だけだが、昨日の晩飯のときみたいにうるさくされては本気で殺してしまいかねないのでその為の処置だ。
そう、今回は殺してしまわないところがミソなのだ。
自分との戦いになるのは目に見えていたが、やり遂げる意気込みはこのまりさの行動を思い出せば湧いて出てくる。
男はご飯を食べ終えると、呑気に眠りこけているゲスまりさを箱ごと蹴り上げて叩き起こす。
このとき箱が横になりまりさが出てしまえるようになったが、それで構わない。
「おい、ゆっくりしろよ」
「ゆっぐりじでいっでね……。まりさがねていたのにおこすじじいなんてころしてやる!!」
「おお、こわいこわい」
体を横に倒した状態でさっそく威嚇してくるがきちんと挨拶してくる可愛さに中和されてしまっている。
まりさが体を元に戻すと箱から出られることに気が付いてさっそく這いずりながらニタリと笑みを漏らす。
「ゆゆっ、じじいはやっぱりぐずだぜ。しっかりまりさをつかまえることもできないんだぜ」
「出せって言ってたのは誰だよ」
まあ覚えているわけもないかと男は肩をすくめる。
「ほら飯をやるよ」
そう言ってまりさの目の前に大量の水そして昨日の大根や人参の皮を放り投げる。
「昨日くれって言ってからやるんだよ。いらなかったらそのまま捨てるぞ」
まりさがゆっくり理解するのに時間が掛かるために食べ物であることを教えてすぐに食いつかせる。
「へへっ、じじいはまりさのいうことだけをきいてればいいんだぜ」
男に言われた事をまったく疑問に思わずに野菜の皮を口にする。
これが毒だったらお前どうするんだよというつっこみはこの際無しだ。
そしてすぐに飛びついたまりさには男が後手に鞭を持っている事に気が付かなかった。
男はあるタイミングでこの鞭を振るうのだ。
腹が減っていたのかまりさはしばらくがつがつ皮をかじっていた。
どことなく目が潤んでいるのはこれまで食べたもので一番美味しいものに出会えてからだろう。
そりゃそこらの草にくらべれば甘みも強い野菜の皮だ。ゆっくりには贅沢品と言える。
そしてついにその時がくる。
「むーしゃ、むーしゃ……」
「今だ!」
「い゛だい゛、じあわぜー!! なにずるんだぜじじい!!」
「いや、何もしてないよ?」
男は咄嗟に鞭を隠してしらばっくれる。
男の作戦はこうだった。しあわせーとまりさが言う直前に痛みを与える。
これをこれから食事の時に行う事にするのだ。
この行為にはご飯を食べるときにゆっくりさせないのもそうだが別の意味合いも含んでいる。
男が鞭で叩くのは一回だけにしておいた。
そうすれば勝手に突然襲ってくる謎の痛みに警戒しながらの食事になるため到底ゆっくりできまい。
餌と男と周囲を忙しなく見ながらの食事にまりさの言葉数自然と少なくなった。
まりさが餌を食い終わると男は慣れた手つきで再び透明の箱にまりさを収める。
そうしてこう言い放つのだ。
「その中でうんうんとかしーしーしたらゆっくりできなくなるよな?」
「ゆゆっ!? ゆっくりできないのはこまるぜ」
これであっさりとまりさが自由にうんうんしーしーを出来ない状態にできた。
そのうんうんしーしーが出来ないほうがゆっくりできないことにいつ気が付くだろうか。
家の裏手にある畑の農作業を終え、男は昼食のために一旦帰宅した。
朝男が出かけてからずっと箱の上部からの脱出を試みていたのか、まりさは汗まみれで舌をだらしなく出しへばっている。
「おうまりさ、ゆっくりできてないのか?」
「じじい……はやくここからだせ……」
「はいはい、すこし待ってろ」
諦めもせず跳び続けるのは偉いが少しは学ぶべきだと思う。
自分なら飛び越えられるだろうという変な自信がまだまりさの中にあるということか。
元気な事はとてもいいことだ。男は感心しながら朝作ってあったおにぎりを頬張る。
目ざとくもそのおにぎりを発見したまりさは当たり前のように要求してくる。
「まりさにそのたべものをよこすんだぜ!!」
「ならこっちに移動してからな」
そういって男はおにぎりをくわえたままでまりさを透明な箱から出してやり、また別の一回り小さいが窮屈ではない透明な箱に移す。
そして男はまりさを見下ろしながら一つだけ注意する点を告げようとする。
「まずは要望通りあそこから出してやったぞ、ありがたく思え。あと……」
「どうでもいいからはやくたべもの!!」
「あ〜あ」
まりさはせっかちなことに男の話を聞かずに箱から飛び出すように跳ねた。
もちろんこの箱も並のゆっくりの跳躍力では出られないし、なにより特別な仕掛けがある。
「ゆぎぃいい!! まりさのびきゃくがいたいぜ!!」
「話を最後まで聞かないからだよ、ばか」
まりさは着地した瞬間悲鳴を上げた。
この箱は実はまわりを囲む4面しかない。つまり天井面と床面はぽっかり空いている構造だ。
そしてこの空いているはずの床面には男があるものを敷いているのだ。
「お前が乗っているのは剣山というものだ。そこで飛ぶと刺さるから気をつけろよ」
「どうしてそんなことするんだぜ!?」
「どうしてって? 飯食うときに飛ぶと駄目だって教えるためだよ」
「ゆぐっ……」
まりさは実際に針のむしろの上に居る状態なのだ。
この箱にまりさを入れるときは顔を上に向けて入れる事に注意した。
これは箱にまりさがぴったり収まっているので直接口に餌を放りこまないと食事ができないことと、
剣山そのものを見せないことで痛みの正体を理解さないためだ。
剣山といえどもそれほど鋭い針ではないし、何より針の本数が多いので普通にしてればゆっくりの体重なら皮にすこし食い込むくらいで済む。
しかしその上で跳ねるとまずいのだ。これでまりさも行儀良く餌を食べざるを得ない。
さらにこの剣山は特別製で針の数を調整できるのだ。つまりまりさにかかる痛みも調節できるという代物だ。
「ほら、飯だぞ」
「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー……」
まりさのしあわせーはどうも腑に落ちないしあわせーになっている。
与えられたごはんは朝と同じように野生では味わえないような美味しいものだが、何故かしくしくと足が痛むのだ。
「いたいけどしあわせー、だよな?」
そう男がまりさに尋ねるがまりさは鋭い目でにらみ返してくるだけだった。
言い返してこないということはそういうことなんだろう。
ゆっくりに対して足への刺激はかなり効果があると言われているが確かなようだ。
食事の時のまりさへの痛み刺激はそれからずっと続けられた。
ときには鞭で叩きながら、ときには剣山の上で食事をさせる。
特定の痛みに慣れさせないために、まりさには鋭い痛みと鈍い痛みが交互に与えられる。
激しい痛みを伴うときは美味しい餌を、軽い痛みのときは普通の餌を与えた。
痛くない食事をまりさが要求したときには、生ゴミを与えた。
これにより痛くないときはご飯がまずいという事を体に染み込ませていく。
するといつからか次第にまりさの意識に変化が芽生える。
『痛いけど幸せ』がいつの間にか『痛ければ幸せ』に置き換わっていったのだ。
体に走る痛みの理由が分からなければ、痛みについて深く考える事はしないし、
それが誰のせいでもなくたまたまご飯を食べたとき痛かったと処理されすぐに気にしなくもなる。
となると幸せを感じるときは痛いものだと体が覚え、その逆も成り立つと勝手に思いこむのだ。
すなわち痛ければ幸せと。
こう思わせる事が男がまりさに対する虐待の一段階目である。
最終更新:2022年05月18日 22:07