別冊 ゆっくり駆除の手引き 実例集1

 この実例集では「ゆっくり駆除の手引き」に記載された方法で、実際にどのようにゆっくりを駆除するかを紹介します。
 ゆっくり駆除を実施するときのイメージの参考にしていただけると幸いです。
 また、駆除の方法は今回あげた例が全てでは有りませんので、各自で色々と応用してゆっくり駆除をしてください。


1.毒餌 ゆっくり団子

 初春の草原をぽよんぽよんと跳ねながら、ゆっくりの家族が人里に向かっていた。
 バスケットボールほどの親まりさと親れいむの後ろをソフトボール程度の子ゆっくりが跳ねている。
 子ゆっくりはまりさ種とれいむ種の二匹ずつで、親ゆっくりとあわせて合計6匹のゆっくり家族だった。

「ゆっ! ゆっ! ゆっくりぷれいすまでもう少しなんだぜ!」

 と跳ねながら、親まりさが後に続く子供達に言った。

「ゆっ、おとーさん、ゆっくりぷれいすってどんなところ?」
「おいしいおおやさいが、いっぱいあるんだぜ!」
「ゆーん、たのしみだね!」

 楽しそうに会話をしながら跳ねて行くと、草むらが途切れて前方に柵が見えてきた。

「ゆゆっ、おとーさん、これじゃさきにすすめないよ?」

 子まりさの一人が柵の下でぴょんぴょんと跳ねる。
 それに続いて他の子供達も柵を飛び越えようと跳ね始めた。

「ゆーん、かべさんじゃまだからどいてね!!」
「れいむおこるよ! はやくどいてね!」
「ゆゆーっ! とびこえるよ! ぴょーん!!」

 と飛び上がった子れいむの一匹が、柵にぶつかって墜落した。

「ゆべっ!! いぢゃぃよーー!! どぼぢでとびごえられないのぉーーーーー!!!」
「ゆゆっ、おちびちゃんだいじょうぶ!? す~り、す~り」

 あわてて駆け寄った親れいむが、泣き声を上げてる子れいむにすりすりをして慰める。

「あわてないんだぜ、かべさんにあながあいてるところがあるんだぜ。そこからはいれるからそっちにいくぜ!」

 親まりさの先導で柵に沿ってしばらく跳ねていくと、柵の下に穴が開いているところに到着した。

「ここから入れるぜ!」

 この穴は、親まりさが少し前に他のゆっくりたちとえさ探しに出かけたときに掘った穴だった。
 その時に人里の畑に侵入して、野菜の味を覚えたのである。

「ゆっくりついてくるんだぜ!」

 そう言って穴に潜ろうと近づいた親まりさは、穴の淵に何か丸いものが落ちているのに気が付いた。

「ゆゆっ?」
「まりさ、どうしたの?」

 穴の前で立ち止まった親まりさに親れいむが声をかける。

「れいむ、なにかおちてるんだぜ?」
「ゆぅ……なんだろうね?」
「でも、なんかおいしそうなんだぜ!」

 穴の横には大きさが三センチほどの玉が10個ほど転がっていた。玉自身は白いのだが、周りに黒っぽい何かがまぶしてあった。

「ゆ、ちょっとなめてみるよ!」

 親れいむが玉のひとつに舌を這わせる。

「ぺ~ろぺ~ろ! しあわせ~♪」
「ゆっ、まりさもなめるぜ! ぺ~ろぺ~ろ! しあわせ~♪」

 穴の横に置いてあったのは、人里の人間が仕掛けたゆっくり団子だった。
 畑が荒らされていることに気が付いた畑の持ち主は、近くの柵の下に穴が開いていることを見つけてその内側だけ埋めて踏み固めた。そして、外側の穴はそのままにしてゆっくり団子を仕掛けたのである。
 このゆっくり団子にはゆっくりの餡子がまぶしてあるのだが、自らの体から餡子が出たときはそれが自分の中の物だと認識できるのに、このように餡子だけが置いてあるとゆっくりの中身だと気が付かないのは甚だ不思議である。

「ゆゆっ、おかーさんずるいよ!」
「おとーさん、まりさにもちょーだい!」

 親たちの様子を見た子ゆっくりたちが騒ぎ出す。

「おちびたち、これはあまあまなんだぜ!」
「いっぱいあるから、みんなでたべようね!」

  そういって親れいむが子供達の前に一個ずつ団子を置く。親が二個、子どもが一個ずつ食べるようだ。
 ゲス種や、ふつうのゆっくりだと目先のことが優先されるために、餡子をなめた時点で「うっめ、これまじぱね! む~しゃ、む~うげぇええええええ!!!」となるのだが、このゆっくりは家族で分けて食べることができるぐらいはまともなようだ。

「ゆーん、おいしそうだよ!」
「それじゃたべようね!!」

 そういって皆でいっせいに団子を頬張るのだが、

「む~しゃ、む~しゃ、しぁげうぇええええええええ!!!!」
「む~しゃ、む~げべぇええええええええ!!」
「ゆげぇええ!! からいんだぜ! これはあまあまじゃないんぜ!!」

 と団子に仕込まれたからしの所為で、いっせいに餡子を吐き出し始めた。

「ゆ゛っ……、ゆ゛っ……」

 子ゆっくりはすでに致死量の餡子を吐き出して瀕死の状態である。

「どぼじでがらいのぉおおおお!! おぢびぢゃんあんごはいぢゃだめでじょおおおおおお!!」
「がらいんだぜええ!! でいぶがちゃんとあじみしなかっだからだぜ!!」
「どぼじでそういうこというのぉおおおおお!!!」

 親ゆっくりは即死するほどのダメージは受けなかったようだが、それでもかなりの量の餡子を吐き出して衰弱している。

「どぐをぐわせたでいぶはじねぇええええええ!!」
「ばりざだってあ゛まあ゛まっでいっだでじょぉおお!!!」

 既に小さく痙攣するだけの物体となった子どもたちの横で、親まりさと親れいむは責任の擦り付け合いをはじめた。

「そんなこどいうばりざはぢねぇええええ――ぶばっ!!」

 と、親まりさに噛み付こうとした親れいむが、なにかに叩き潰されて餡子をぶちまけた。

「なんででいぶがあんごだしでるのぉおお!!! ――のぶぅ!!」

 続けて親まりさも叩き潰されて餡子を撒き散らす。
 親ゆっくりを叩き潰したのは、ゆっくり団子を仕掛けた人間だった。
 畑仕事中にゆっくりの声が聞こえたので確認に来たら、団子をしかけたところでゆっくりが罵り合っていたのである。
 二匹のゆっくりの傍らに、一回り小さいかたまりが四つほど転がっているのを見てゆっくり団子の成果に満足すると、生き残った親ゆっくり二匹を叩き潰したのだ。


 このように、ゆっくり団子は成体のゆっくりの場合は致死量に足りない場合も有るが、たいていは餡子を吐き出して動けない程度の損傷を与えることが可能である。
 また、からしの辛さに大声で泣き叫ぶので、近くにいるときなどはゆっくりが掛かったことに気が付きやすいのも利点である。


2.罠 槍の罠(ゆっくりした地面)

 ゆっくりの家族が秋の草原を跳ねていた。
 これから訪れる冬に備えて、冬篭りの為の食料を確保するために家族総出で狩に出かけたのである。
 一匹の親まりさの後に続いて、テニスボールよりやや大きい程度の子ゆっくりが二匹跳ねている。幼ゆっくり以上、子ゆっくり未満といったところだろうか。
 親まりさのつがいのれいむは、少し前に人間が落としていったお団子を食べたら餡子を吐いて死んでしまった。
 残された二人の子供をしっかりと育てようと、親まりさは必死だった。
 親まりさの後についてくる子供たちは、狩りにつれてくるにはまだ若かった。
 しかし、れいむが死んでしまったため、親まりさだけでは冬の蓄えを十分に集められそうに無いので仕方なく連れて来たのだ。
 若いうちから狩りを覚えてくれれば、もし自分に何かがあっても子供たちだけで生きていけるだろうとの親心もあった。

 今ゆっくりたちが向かっている先は、去年親まりさが自分の親に連れていってもらった美味しいおいもさんが埋まっているゆっくりプレイスだ。
 成体のゆっくりにとってはそれほど遠出にはならない距離でも、子ゆっくりに取っては一旅行である。
 朝早くにおうちを出たまりさたちは、途中で何度か休憩しながらゆっくりと跳ね進み、お日様が頭の上に来たころに目的の場所にたどり着いた。 


「ゆっ、おちびちゃんたち、やっとついたよ!!」

 と、立ち止まった親まりさの先には、今まで跳ねてきた草原とは違い、草が生えてなく土がむき出しの地面が広がっていた。
 周囲より少し高くなった柔らかそうな土の少し先には、さつま芋の葉が青々と茂っている。

「ゆぅ、ゆっくりちゅかれたよ」

 とまだ赤ちゃん言葉が抜けていない子れいむがへたり込む。

「おかあさん、ここがゆっくりぷれいすなの?」

 と子れいむより少し大きい子まりさが親まりさに聞いた。

「ゆっ、そうだよ。このゆっくりぷれいすはおかあさんのおかあさんにおしえてもらったんだよ」
「ゆっ、それならとってもゆっくりできるね!!」
「ゆぅ~、はやきゅゆっくちしたいよ!!」

 子ゆっくりたちは早くゆっくりしたくでうずうずとしている。

「それじゃ、ゆっくりするまえにおべんきょうだよ!!」
「ゆっ、おべんきょう?」
「なんにゃの?」

 親まりさは、自分たちが今まで跳ねてきた草原と、先に広がる柔らかそうな土の地面を交互に見て子ゆっくりたちに言った。

「よくみてね、ここまでとおってきたじめんさんとこっちのじめんさんはちがうよね?」
「ゆっ、こっちのじめんさんはやわらかそうだよ!!」
「にがにがのくささんがはえてにゃいよ!!」
「そうだね。こっちのくささんがはえていないゆっくりしたじめんさんは、おやさいがはえてくるじめんさんなんだよ」
「ゆゆ、ちゅごい!!」
「ゆぅ~、すごいゆっくりしたじめんさんだね!!」

 きゃっきゃと跳ねる子供たちに、親まりさは真剣な表情をして言った。

「でもね、きをつけなくちゃいけないことがあるんだよ」 
「ゆぅ、なんなの?」
「れいむわきゃらないよ?」
「おやさいさんのはえるゆっくりぷれいすにはね、にんげんさんがいることがあるんだよ」
「ゆぅ? にんげんさん?」
「ゆっくちできるの?」

 子ゆっくりたちはまだ人間を見たことが無いので、人間の怖さを知らなかった。

「にんげんさんはゆっくりできないんだよ」
「ゆ~っ、ゆっくちしゃせてね!!」
「ゆゆっ、ゆっくりできないにんげんさんはどっかいってね!!」
「だからね、ゆっくりぷれいすをみつけたら、まずにんげんさんがいるかどうかちゃんとかくにんしないとだめだよ!」
「ゆっ、ゆっくりりかいしたよ!」
「りかいしちゃよ!」

 親まりさは、素直に言うことを聞く子供たちに満足そうに微笑みかけた。

「それじゃ、いまにんげんさんはいるかな?」

 親まりさが訊くと、子ゆっくりたちは遠くまで見ようと跳ねながら辺りを見回した。

「ゆん! だれもいにゃいにぇ!!」
「ゆっ! にんげんさんはいないよ!!」
「ゆっ、にんげんさんはいないね! それじゃおやさいをとりにいこうね!」

 自分でも人間がいないことを確認した親まりさは、子ゆっくりたちに言った。

「ゆゆっ、まりさがいちばんのりだよ!」
「ゆ~ん、おねぇしゃんまっちぇーー!!」

  子まりさが飛び出すと、それに続いて子れいむもゆっくりした地面の上に飛び乗った。

「ゆゆっ!?」
「ゆ~っ!?」

 柔らかく耕された地面はふかふかしており、まるでクッションのように子ゆっくりたちをうけとめた。

「ゆ~ん!! つちしゃんとってもゆっくちしてるよ!!」
「ゆふぅ!! ふわふわだね!!」

子ゆっくりたちはきゃらきゃらとわらいながら転がって遊び始めた。

「ゆ~ん!! おきゃーしゃんもゆっくちしよう!!」
「おかあさん、このつちさんとってもゆっくりしてるよ!!」

「ゆっくりするのはおやさいをとったあとにしようね!! はやくしないとにんげんさんがきちゃうよ!!」

「ゆっ! ゆっくりりかいしたよ。おいしいおやさいさんをとろうね!!」
「ゆぅ……れいむはもうちょっとあしょびたいよ……」

「まりさのおちびちゃんはちゃんということきけるよね? それじゃおやさいとりにいこうね」

 親まりさは子ゆっくりたちを諭すと、ゆっくりした地面の端に飛び乗った。

「ゆっ、れいむきょうそうだよ!」
「ゆゆっ、おねぇしゃんにはまけないよ!!」

 さつま芋に向けて跳ねていく子ゆっくりを追って、親まりさもぴょんと飛び跳ねた。

「--―ゆ゛!? ゆべぇえええええええ!!」

 親まりさが、地面に着地するとあんよになにか変な感じがした。
 一瞬後、それが何かを悟ると親まりさは悲鳴を上げた。

「ゆ゛ぅううううう!! ばりざのあんよがいだぃいいいいい!!!」

 親まりさのからだは、やわららかくてゆっくりした地面に半分ほど埋まっていた。
 体重が軽い子ゆっくりたちは地面にそれほど沈み込まなかったのだが、跳ねて勢いのついた親まりさの体重を柔らかい地面は受け止め切れなかったようだ。
 その親まりさのあんよが、土の中に埋まっていた何かとがったものを踏み抜いてしまったのだ。

「ゆゆっ!! おかぁさんどうしたの!!」
「ゆっ!! おきゃーしゃんどうしてないてるのぉおおお!!」

 突然の悲鳴に驚いた子ゆっくりたちが戻ってきて、心配そうに親まりさ周りを跳ね回っている。

「ゆ゛ぅううう、まりさのあじがうごかなぃいいいいいい!! ――ゆげぇ!!」

 親まりさは必死に体を揺らしているが、土にめり込んだ体はまったく動こうとしてくれなかった。
 無理に力を入れたために、あんよがさらに激痛を発して白目をむきそうになっている。 

「ゆぅーっ!! おかあさんゆっくりしてね!!」
「おきゃーしゃん、ゆっくち、ゆっくちしようにぇ!!」

 子ゆっくりたちが泣きながら親まりさにす~りす~りするが、親まりさにはそれを感じる余裕すらもう無いようだった。

「あっがっがが!! あっがっがががが!!」
「ゆぇ~ん、ゆぇ~ん。れいむのおかぁしゃんがぁああ!!」
「ゆぅうううう!! まりさはどうすればいいのぉおおお!!」

 ゆっくりした地面の上に、ゆっくりできなくなったゆっくりたちの声が響き渡っていた。
 やがてその声も、昼の休憩を終えた農家の人が作業に戻ってくると聞こえなくなった。


 さて、このゆっくりの家族が言うところの、”ゆっくりした地面”とは、もちろん人里の畑のことである。
 この畑ではゆっくりの被害を減らすために、畑の周りに槍の罠を仕込んだダミーの畑を作成していたのである。

 この罠がどのような罠かというと、まず畑の外周、またはゆっくりがやってくる方向に幅一メートルから二メートル程度の畝を作る。
 この畝は掘り下げる深さはさほどいらないが、できるだけ地面がやわらかくなるようにふんわりと土を盛っていく必要がある。
 そして、この畝の中に先端を尖らせた木の棒や竹などを埋め込む。
 この上をゆっくりが跳ねると、その自重で柔らかく盛った土が沈み込んで、仕掛けてある槍がゆっくりの底面に突き刺さるのである。

 罠の構造上、土を柔らかく保つためのメンテナンスが必要であり、幼ゆっくり程度の体重だと土が沈み込む量が少なくて槍まで届かないという欠点がある。
 しかし、通常ゆっくりは幼ゆっくりを遠くへの狩りには連れて行かないため、後者に関してはそれほど問題視する必要は無いと思われる。

 今回の例に挙げたのゆっくり家族では、子ゆっくりがまだ幼ゆっくりより少し大きい程度だったので罠が作動しなかった。
 しかし、親ゆっくりを失った幼ゆっくりが生き延びる可能性は非常に小さいため、特に気にする必要は無いだろう。

 最後に注意点を挙げると、この罠は人間が踏んでも怪我をする恐れがあるので、罠を仕掛けた場所は人が立ち入らないように印などをつけておくことを強く推奨する。

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最終更新:2022年05月21日 23:18