短いけど書いてみた。
「ゆっくり相撲」
最近里の子供達の間ではやっている遊びがある。
「ゆっくっゆぎゅれいむゆっくりおちていってね!」
「ゆぶっゅべっゆっぶっまりさこそゆっくりおちていってね!」
里の寺子屋、裏返したタライの上で二匹のゆっくりが互いを押し合っている。
といっても別に発情しているわけではない。
虫の代わりにゆっくりを使った「ゆっくり相撲」をしているのだ。
周りを里の子供達が取り囲み「つぶせっ」だの「おしだせ!」だのと囃し立てている。
ゆっくり相撲とは、種類の違うゆっくりを捕まえて来て取っ組み合いをさせる遊びだ。
「ゆっくりできる場所を教えてあげる」「美味しい食べ物をあげる」等といえば殆どのゆっくりは疑いもせずついて来る。
その後タライに乗せ「押し合いをして、勝った方には特別なご馳走をあげる」と言えば、割と簡単に押し合いを始める。
時々、言う事を聞かずご馳走だけを強請って五月蝿いゆっくり達もいるが、全員で蹴り飛ばしながら脅せば大概言う事を聞くのである。
今日捕まえてきた二匹はどうやら親友同士らしく
連れてくる途中「ゆっくりたのしみだねー」「どんなところでゆっくりできるんだろうねー」と声を掛け合っていた。
だが、子供達はゆっくりさせる気もなければご馳走をあげる気もない。
負けた方のゆっくりを勝ったゆっくりに特別なご馳走として無理やり食べさせるのである。
この間は姉妹同士のゆっくりを争わせた。
勝ってご馳走が食べれるとはしゃぐ姉、ずるいずるいと騒ぐ妹。
ご馳走をあげると言い、互いを向き合わせ、目の前で妹を踏み潰してやった。
目の前で潰され、息絶えた妹ゆっくりを見て半狂乱になる姉ゆっくりを見て大笑いをしながら、潰れた妹を無理やり食わせる。
「い”も”う”と”を”か”え”し”て”ぇ”ぇ”ぇ”」「ゆ”っ”く”り”で”き”な”い”ぃ”ぃ”」だのと喚き散していたくせに、口の中に捻じ込むととたんに「うっめ、メッチャうめ!」「しあわせー」と喜ぶゆっくりを指差して腹を抱えて笑った。
あの後、日が暮れるまで残った姉を皆で蹴り回して、適当な木の枝に刺して帰った。
次の日に鞠代わりに蹴り飛ばして遊ぼうと木を見たら木の根元に少量の餡子とリボンが落ちていた。ゆっくりれみりゃにでも食べられたのだろうと皆で残念がった。
「ゆゅっゆっおちちゃうよっゆっくりおちちゃうよっ」
「ゆっくりおちてね!ゆっくりおちてね!」
もうすぐ勝負がつく。ご馳走にありつくゆっくりも決まりそうだ。
最終更新:2022年03月24日 23:47