液体
ゆっくりとお姉さん1~3の続きです。
ずいぶんと間が開いてすいませんでした。
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5…4…3…2…1…
カウントは1で止まっている。どうやら完全にUNIGMAが停止したらしい。
これでもうミサイル発射の心配はないのだ。
その時どこからともなく液体まりさの声が響き渡る。
「ゆぐぅぅ…まさかまりさがまけるなんてね…こうなったらおねーさんのからだをいただくよ!」
「どこ?どこにいるの!?」
お姉さんは液体まりさの姿を探すが見当たらない。その時…
「いやあああぁぁぁ!」
研究所の通気口、ドアの隙間、コンピューターの隙間…ありとあらゆる隙間から大量の黒い液体が溢れてきた。
研究所内のありとあらゆるゆっくりを吸収したためかものすごい量である。
その液体…液体まりさはお姉さんを取り込もうとじわじわと距離を詰めてくる。
「あ、あああ…」
お姉さんは恐怖のためか腰が抜けて動けない。
黒い液体が盛り上がり顔のような形を作る。その表情は勝利を確信してかにやけている。
「こんどはおねーさんにとりついてせかいせいふくしてあげるよ!」
液体がお姉さんの体に触れようとしたその時…お姉さんの背後、液体まりさと反対側の扉からお兄さんが突入してきた。
お兄さんは銃をかまえると液体まりさにむけて発砲する。
「むだだよ…そんなものまりさにはきかないよ」
だが銃から発射された弾…小型の注射器のような形状のそれが液体まりさの体に触れると触れた部分から白く変色していく。
「ゆぐああああ…いだいいい…ど、どぼじでなのおおお…」
お兄さんは不敵に笑いながら答える。
「どうだゆっくり?対液体ゆっくり用の破壊ウィルスは。遅くなってすまんお姉さん。
時限爆弾を設置していく途中、薬品庫でこの破壊ウィルスを発見したんだ。
これなら実体のない液体ゆっくりにもダメージを与えることができるのさ」
「ゆぐああああぁぁ…ぎえるうぅぅ・・・ぎえでじまううぅぅ…ばでぃざのいじぎがあああぁぁぁ…
ゆっく…り…していってね……」
その時、爆発音と共に地響きが起きた。時限爆弾が起動しはじめたらしい。
「ここは危ない、はやく脱出するぞ!」
「う、うん…」
部屋を出る直前、お姉さんは後ろを振り返った。
液体まりさはすでに全身が真っ白に変色していたが、わずかにぷるぷると痙攣していた。
何か言いたそうに、助けを求めるように口が動いていたがお姉さんはすぐに前を向くと出口へ向けて走り出した。
無事に脱出し丘の上から研究所を見つめる二人。
しかし彼女の心に残るのは虚しさだけだった。
なぜ人間とゆっくりが争わなければならないのか…なぜゆっくり同士が戦わないといけないのか…
赤々と燃える炎を見つめながら、行き場のない悲しみと怒りによってお姉さんの体は震えていた。
お兄さんは無言でお姉さんの体に自分の上着を掛けてやる。
お姉さんには彼のやさしさで心も温まった気がした。
しかしまだ二人は知らない。いつか思い出されるであろう彼の記憶が二人の離別をもたらすことを、
愛護者としての使命と虐待者の本能とが二人の戦いを運命づけている事を今は知らずに…
そして二人はこの先何を見るのだろうか…
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液体ゆっくりとお姉さんは以上で終了です。
この二人のその後についてはまた後日作ってUPする予定です。
by とんかつ
最終更新:2008年12月29日 17:27