※うーぱっくがでます、ご注意
「赤ちゃんはどこから来るの?」
4歳になったばかりの娘と手をつないで散歩していると不意に聞かれた。
この質問は親が困る質問ベスト5に入る質問だろう。
こんなことを聞かれても俺には答えることができない、大人になったらわかるといっても
なんにでも興味津々な年頃だから納得のいく答えを得るまで聞き続けるだろう。
かといって本当のことを教えるわけにもいかないし、理解できるとも思えない。
だが娘は言葉を詰まらせている俺をじっと見上げ続けている。
俺はとっさに
「赤ちゃんはうーぱっくが運んでくるんだよ」
言ってからしまったと思った。
その後とっさに俺は娘に家まで競争だといって話をはぐらかした。
「むきゅ、それはいいことをきいたわ」
茂みの中からぱちゅりーが親子の会話を聞いていた。
ぱちゅりーは住処の森へと帰ってこの話を群れの
ゆっくりに伝えた。
この森は豊かとは言えず、番のゆっくりが秋の入りからごはんを集め始めないと
越冬することは不可能だった。なので春に子作りをしないとごはんも無く飢死か凍死してしまう。
そうすると子供が作れる機会が減り、冬に入るころには群れは全滅寸前にまで数を減らすのだ。
だが先ほどの話どおり、うーぱっくが赤ゆっくりを運んできてくれれば、
茎が生えていたり、お腹が膨らんでいる期間が無くなり、ごはんを番で集めることが可能になるし、
春を迎えるころにはもう一人前のゆっくりになっているからさらに数を増やせるのだ。
このことを群れに伝えると全ゆっくりが賛成した。
賛同を得たぱちゅりーはすぐにうーぱっくに赤ちゃんを運んでくるように頼んだ。
「うーぱっく、あかちゃんをたくさんはこんできてね!」
「うー?うー♪」
すると次の日にはうーぱっくはたくさんの赤ゆっくりを運んできた。
「うーうー♪」
「「「「「ゆっくちちいぇいっちぇにぇ!」」」」」
さすがに数が多かったため、ひとつの家族に2,3人の赤ゆっくりを分けることになった。
こうして秋には子ゆっくりを巣で留守番させている間に、番でご飯をたくさん集めることができた。
そして冬を迎えたのだが問題が起こった。
先にも言ったようにこの森は決して豊かではない。
秋の入りで番のゆっくりがごはんを集めてようやく越冬できる量しか集められないのだ。
それに加え赤ゆっくりは成長期で食欲旺盛。その結果は火を見るより明らかだった。
「「おきゃぁしゃん、おにゃかしゅいちゃよ」」
「ごめんね、あかちゃん。もうごはんはないんだよ」
「あんなにあつめたのになんでもうないのおおおおぉぉぉぉ」
「「ゆぇぇぇぇぇぇんゆっきゅちできにゃいよぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「あかちゃんがむしゃむしゃごはんたべちゃったからごはんはもうないよ!」
「あかちゃんのせいでまりさたちがゆっくりできないよ!ぷんぷん!」
「「「どうちちぇちょんにゃこちょいうにょぉぉぉぉぉぉ」」」
「うるさいよ!だまってまりさたちのごはんになってね!」
「ゆめちぇぇぇぇっびゅっ!」
「ごめんにゃちゃいぎゃば!」
「いいきょににゃりゅかりゃぁぁぁぁぁぁゆぶっ!」
「うめっめっちゃうめっまじぱねぇ!!」
まだ冬も半ばだというのに群れは越冬続行不可能な状況になった。
そして冒頭のぱちゅりーの番の巣の中は
「こんにゃとこりょじゃゆっくちできにゃいよ!」
「むきゅぅ、おりきょうにゃぱちゅりぃはしっちぇりゅわ!
ぱちゅりぃたちのほんちょうのおやはうーぱっきゅにゃにょよ!」
「だっちゃりゃまりしゃたちはほんちょうのおやにゆっくちさせちぇもりゃうよ!
むにょうにゃおやはきょきょでくだばっちぇにぇ!」
ぱちゅりーが必死に引き止めても赤ゆっくりたちは聞く耳持たずに、
本当の親の元へ向かうといって雪の降り積もる森へと跳ねていった。
「ぱちゅりーのせいだよ…」
「むきゅっ!?」
「ぱちゅりーがあんなこといわなければこんなふうにはならなかったんだよ!」
「だ、だってぱちゅりーはみんながこれでゆっくりできるとおもって…」
「まりさがゆっくりできないのも、あかちゃんたちをゆっくりさせてあげられなかったのも
ぱちゅりーのせいだよ!」
「むぎゅううううぅぅぅぅごべんなざいぃぃぃぃぃぃ」
「ゆるさないよ!ぱちゅりーなんてしねしねしねしねしねしねしね…………」
「ごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざい…………」
春を迎え、草木が芽吹き、あらゆる動物が巣から這い出て、魑魅魍魎すらも
春を謳歌しているこの森にはゆっくりの姿は無かった。
終
あとがき
君はうーぱっくに赤ちゃんを望むこともできるし、望まないこともできる。
うーぱっくがどこから赤ゆっくりを持ってきたかというと
『ゆっくりは絶滅することなく、何処からともなく沸いてくる』
という設定でわかるね?
ちなみにうーぱっくが運んできたのは『ゆっくりの赤ちゃん』ではなく、
『赤ゆっくり』であの大きさから成長することもなければ、
巣立つこともありません。
ここまで書いてうーぱっくKOEEEEEEEEになった。
『オマケ』でした。
最終更新:2009年02月05日 22:19