※ゲスっぽい人間が出てくるよ
協定とジャガイモ
ある
ゆっくりの群れ。
この群れは近くの里と協定を結んでいた。
協定の内容は人にも村にもわかりやすく、無理なものではなかった。
- にんげんさんはゆっくりをみつけてもゆっくりする。
- にんげんさんがゆっくりをいじめたり、ずっとゆっくりさせたばあいはおやさいさんをゆっくりにあげる
- ゆっくりはにんげんさんのむれにはいらない
- にんげんさんのむれにはいったゆっくりはにんげんさんにずっとゆっくりさせられてもよい
「はやくそんちょーさんをよんできてね!」
しかし協定は3日で破られてしまった。
村の青年が森を歩いている時にゆっくりを踏み潰してしまったのだ。
そして村にはドスと子ゆっくりの母親まりさ、そして群れの若ゆっくり衆が集まっていた
「すまんな、村長さんは外出中でいないけど、代わりに俺が対応するよ」
「おにーさんはだれなの!?」
「あー…そうだな、ドスの隣にいるぱちゅりーみたいなもんだ」
彼は青年団のリーダーで、村の若者を中心にそれなりに発言力がある。
特にゆっくり関係の事件に携わることが多く、村長から今回の対応も頼まれた。
「おにーさん!おにーさんのむれのおにーさんがまりさのおちびちゃんをずっとゆっくりさせたんだよ!」
「そうだぜ!まりさのかわいいおちびちゃんをどうしてくれるんだぜ!?」
「なるほどな、協定は……あーどうなってたっけ?」
「おやさいさんをわたしてね!」
「あー…そんな協定だったな」
彼は後ろの若い衆から袋を受け取ると、中からジャガイモを一つ取り出し、ドスに向かって投げた。
「ほらよっ」
「ゆべっ」
眼球に命中する。
失明するほどではないが、生物の弱点ゆえそれなりに痛みは発生する。
「いだいっ!!」
「ゆゆゆっ!?ドスになにするんだぜ!」
「お野菜さんとやらをあげたんだ、さっさと帰れ」
痛む目を堪えながらドスは足(?)元のジャガイモを見つめる。
そこにはジャガイモが一つだけ転がっていた。
「なにいってるの!こんなのじゃぜんぜんたりないよ!」
「そうだぜ、まりさのおちびちゃんがこんなおいもさんいっこのわけないんだぜ!」
「そうだな、俺もまりさのおちびちゃんはもっと沢山のお野菜さんの価値があると思うよ(棒読み)」
「ゆ!だったら「でもな」」
そう行って青年は協定書を取り出し、ドスとまりさに見せ付ける。
「野菜をいくつ渡す。とは書いてないよな?」
「「ゆっゆーん!?」」
ドスとまりさは驚きのあまり口が開いたままで硬直してしまった。
「なんなの、れいむたちはじゃがいもさんいっこのかちなの!?」
「どすはほんきでそうおもってるの?ばかなの?しぬの?」
「とかいはのありすとじゃがいもさんいっこなんてありえないわ!」
「わからないよー!!」
取り巻き達も潰された子ゆっくりを餌に、多くのおやさいさんが貰えると思っていたために騒ぎ出した。
騒ぎが大きくなるにつれ、村の若い衆は顔をしかめていく。
「っるせぇな…」
「リーダー、そろそろいいんじゃないか?」
「そうだな、取り合えずドスともう少し話をするから勝手に始めててくれ」
そうこなくっちゃ。そう言って村の若い衆は…
パァンッ!!
ゆっくり達を踏み潰しだした。
「ゆっ!?なにやって(パァンッ!)」
「れいむのばりざがつぶれたぁぁぁぁぁぁ!!」
「れいむ、ほらよ」
まりさを潰した青年はれいむにジャガイモを1つ渡す。
「ひゃっはー!めんどくせぇからジャガイモシュートだぁぁぁぁ!」
「ゆっくりやめブベッ!!」
別の青年はジャガイモを投げる。
貫通したまりさはもちろん即死だ。
「やめてね、おちびちゃんをはなしてね!」
「はい、これおちびちゃんの分のジャガイモさんね、お母さんはゆっくり受け取ってそこで見ていてね」
「おきゃぁしゃぁぁぁぁぁあああああん!!(ブチッ!)」
「おちびちゃん!?」
「おちびちゃんの分もゆっくりジャガイモを味わってね♪」
親にジャガイモを数個渡し、その数だけ子ゆっくりを潰しだした。
「な、なにやってるのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「何って…まぁなんだ、協定通りゆっくりと一緒にゆっくりしているな」
「ぜんぜんゆっくりしてないでしょぉぉ!!」
「してるよ、これがみんなのゆっくりなんだよ」
「どぼじでぞんなごどずるのぉぉぉぉ!ずっとゆっくりさせたらきょうていいはんだよぉぉぉぉ!!」
「うん、だから対価…じゃなかった、野菜を支払って…でもない、賠償してるだろ?」
青年の発言は間違っていない。
協定には【ずっとゆっくりさせたばあいはおやさいさんをゆっくりにあげる】と書かれているだけで【ゆっくりを意図的に潰してはいけない】とは書いていない。
あくまで弁償を約束するだけだ。
「こ、こんなきょうていはずるいよ!」
「そうだな、俺もずるいと思うが…何しろ最初に結んだ協定だしな、改定するか?」
「あたりまえだよ!」
『ゆぎゃぁぁぁぁぁ!』
また別のゆっくりの叫び声が聞こえる。
「はやくやめさせてね!」
「んな事を言っても、止めさせる理由がないよな、ちゃんと野菜を渡して弁償してるし、協定書に書いてあるし」
「じゃあはやくへんこうするよ!」
「はいはい、ゆっくり改定しような」
「ゆっくりしないでねッ!!」
青年はゆっくりと協定書の改定書と改定内容について説明しだした。
それはもうゆっくりと。
「じゃあ…なんだ、ゆっくり一匹につきジャガイモ5個でどうだ」
「そんなのダメにきまってるでしょぉぉぉぉぉ!!」
「なかなか商売上手だな、じゃあ7個、これが限度だな」
「かずじゃないのぉぉぉおおおおお!!」
「じゃあどうしたいんだよ」
「みんなをずっとゆっくりさせないおやくそくだよぉぉぉぉ!!」
「わかった、じゃあもし事故や何かで潰してしまったらどうしよう?」
「ゆぅ!?」
「道を歩いていてゆっくりが飛び出して踏んでしまう事もあるだろ、そんな時はどうすんの?」
「ゆゆゆ!?そ、それはおやさいさんを…」
「6個な」
「ちがうでしょぉぉぉぉぉ!!」
そしてかなりの時間、協定会議と言う名の交渉が続き…
「個数がダメならどうするんだよ!」
「ゆゆゆっ!だからずっとゆっくりさせないでね!」
「それはわかったって、虐待お兄さんとかには無闇にゆっくりを捕獲させない、ただ事故はどうするんだよ?」
「ゆー…」
このドスは賢くはないが馬鹿でもない、つまり中途半端だ。
そんな中途半端な餡子脳で必死に、ゆっくりを野菜で賠償する(売買扱いされている事には気づいていない)方式ではなく、ゆっくりの保全を求めていた。
しかし青年の言う通り、事故に対する対応方法がわからないのだ。
「じこさんはゆっくりできないからやめてね!」
「防ぎようがないから事故って言うんだよ」
「じ、じゃあじこさんのばあいはあきらめるよ…でもおにーさんたちがわざとずっとゆっくりできなくさせるのはやめてね!」
「…んーわかった」
「わざとふんで『じこだったよ、てへっ』ってのもなしだよ!!」
「…チッ」
流石にちょっとは学習したようだ。
もはや協定と読んでいいのかどうかわからないが、新しい協定はこうだ。
- にんげんさんはゆっくりをいじめない
- にんげんさんはゆっくりをわざとずっとゆっくりさせない
- 事故の場合はゆっくりがゆっくり諦める
- ゆっくりはにんげんさんのむれにはいらない
- にんげんさんのむれにはいったゆっくりはにんげんさんにずっとゆっくりさせられてもよい
- 事故でもにんげんさんのむれにはいったらずっとゆっくりさせられてもよい
- 違反したにんげんさんにはリーダーお兄さんが処罰を与える
「これでいいんだな?」
「ゆぅ…りょうかいしたよ」
「じゃあ調印だな……っとほら、拇印を押したぞ」
「わかったよ、まりさもゆっくりぜついんをおすよ…」
舌印、手足のないゆっくりができる拇印のようなものだ。
これで協定の改定も無事に完了した。
「よし、この協定の効果はたった今より発動される」
「うん、ゆっくりしていってね!」
「はいはい、ゆっくりゆっくり」
「じゃあみんな、ゆっくりおうちにかえるよ!……ゆっ?」
ドスは辺りを見回すが、そこにゆっくりは1匹たりともいなかった。
残っているのは地面に広がる餡子の染みと、それをついばむ小鳥の群れだけ。
「なんでみんないないのぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「そりゃまぁあんだけ時間かけて調印してりゃ、虐待お兄さん4人にはありあまる時間だわな」
「ゆっ…ゆぐっ、ひどいよぉぉぉぉぉ!!」
「ああ、これは酷いな…だが今度の協定ではこんな悲しい事件も起こらないだろう…お前もドスらしく次はしっかり群れを維持しろよ」
「ゆ…ゆっくりわかったよ…」
絶望の中、ドスはゆっくりと帰っていった。
『一応、改定前の規約に則り、全滅したゆっくりの分のジャガイモだ』とリヤカー一杯のジャガイモを受け取った。
リヤカーは選別だそうな。
帰り道の崖で落石が起こり、直撃でドスは破砕した。
不自然な落石で、リヤカーとジャガイモは無傷だったそうな。
その日の晩に一部のお兄さんはこう言った。
「事故だったよ、てへっ☆」
改定後の協定通り、リーダーお兄さんは該当のお兄さんに処罰を与えた。
処罰の内容は…
『残ったリヤカーとジャガイモをお兄さん全員で村まで運搬する』
改定後の協定書には、処罰の内容は言及されていなかった…
あとがき
驚くほどスラスラと出来上がってしまいました。
核ぱちゅりーの続編はゆっくりしすぎているのに。
文章力が低いのは当然として、書いててドスっぽくないなと気づきました…後半普通のまりさじゃないか。
ドスってどんなに理不尽でも「協定」には従う気がしませんか?
「理不尽」が理解できればこうはならなかったのにね。
そう考えると冒頭の注意書きは間違いで、お兄さん達はゲスではなかったのかも知れません、だって約束は守ってるしね。
書いた作品
ゆっくり信仰していってね!
ゆっくり新技術を導入していってね!
ゆっくり体調管理をしていってね!
虐待理由
最終更新:2009年02月25日 23:01