最後の言葉
まりさがドスまりさの元に運び込まれたときにはもう遅かった。
両目が潰れ、体のあちこちに出来た傷から餡子が止めどなくこぼれ落ちていた。
れみりゃが襲ってきたところを撃退したのだ。
幸い、れみりゃは小さな、狩りに慣れていない個体だったので、辛うじて撃退できたのだったが、代償は大きかった。
「まりざあああ、じなないでよおおお、あがじゃんといっじょにずっと
ゆっくりしようってやくぞくじだでじょおおお!」
にんっしんしたつがいのれいむが、泣き喚いていた。
「むきゅ、ざんねんだけどもう……どす」とぱちゅりーが言った。
「せめてさいごだけはゆっくりしてね」
そう言うと、ドスまりさはゆっくりオーラを発散した。
震えていたまりさの動きが落ち着いた。
「ゆ……れい、む……」
「むきゅ! まりさがなにかしゃべってるわ!」
その場にいた皆が、まりさの最後の言葉に耳を傾ける。
「れい……む、しんぐるまざあにして、ごめん、ね……まりさは、もう……」
「だいじょうぶだよ! まりさとのあかちゃん、れいむひとりでもゆっくりしたこにそだてるよ!」
そのけなげな姿に、その場にいたゆっくり達が同情してもらい泣きをする。
ドスも、この哀れな親れいむを、なんとかゆっくりさせてやりたいと思った。
そして、まりさは一言呟いて、息を引き取る。
「おなかのあかちゃんといっしょに、もっとゆっくりしたかった……」
場が一気に静まりかえった。
ドスまりさもぱちゅりーも、頭の茎を震わせている親れいむの顔を見れなかった。
翌日。
「にゃーん、ありさんのぎょうれつをはっけんしたよ、えさをはこんでるんだね、わかるよー」
ちぇんが、蟻の列の発生源へと向かう。蟻の見つけた餌を横取りするためだ。
それは、ある木の根本の洞から続いていた。ちぇんはそこに入り込んだ。
「な、なにこれ!?」
そこにあったのは、頭から茎を生やしたれいむと、腹のふくれたれいむの死骸だった。
よほど激しく争い合ったのだろう、死骸はどれも、原型をほとんど留めていなかった。
「わからないよおおおおお!」
最終更新:2009年03月19日 18:46