「れいむのあかちゃんがうばれるよぉおお!!!!」
「ゆゆ!れいむがんばってね!
ゆっくりしたあかちゃんをうんでね!」
森に行く途中の農道に、出産体勢のゆっくりが2匹いた。
れいむ種とまりさ種。れいむ種のほうは胎生妊娠をしているのか、すごく膨れていた。
用事はゆっくり潰しだったので手間が省けて良いことだ。
「れいむがゆっくりできるこをえらんだからね!!ゆっくりきたいしててね!」
「ゆ!ゆっくりまつよ!」
れいむがブルブルと震え、顎のあたりがミッチミチと開き始める。
何度見ても不気味な光景だが、俺は少し気になった。
「おいまりさ。ゆっくりできる子を選んだって、どういうことだ?」
「ゆ?」
ようやく俺の姿に気がついたようで、まりさが振り返る。
「まりさたちは、うまれるあかちゃんをえらべるんだよ!ゆっくりりかいしてね!」
どうやらこいつら、生まれる子供の種を選べるらしい。
なんとも便利な設定をしているものだ。
人間だったら、男女産み分けできるとかそんな感じか。
「ほほー。じゃあれいむはゆっくりした赤ちゃんを、体の中に作ったんだな」
「ゆ゙ゆ!!!ぞうだよぉお゙おっ!!!いばがらうばれる゙がら、ゆっぐり゙みででねええ゙ええ゙えっ!!!!」
れいむが絶叫とともに回答してくれた。
「おう。ゆっくり見せてもらうぜい」
そして生まれた自慢の「ゆっくりした赤ちゃん」を即座に潰してやろう。
俺はまりさと同じように、期待に満ちた目でれいむを見守った。
期待のベクトルは真逆なのだが。
「ゆっぼぉぉおっ!!!!うばっ!!!うばれるぅぅっ!!!!」
スポーン!と、弾けるような音とともに1匹の赤ゆっくりが飛び出した。
それは見事に地面に着地すると、閉じていた目を開きながら第一声を放つ。
「ゆっくちちちぇいっちぇにぇっ!!!!」
れいむ種の赤ゆっくりだった。
その言葉に、親のれいむとまりさが涙をこぼしながら返事をする。
「ゆぁああっ!!ゆっくりしてるよぉぉっ!!すごくゆっくりしたあかちゃんだよぉおっ!!!」
「ゆぅぅうっ!!!すごくっ!!すごくゆっくりしてるよぉおお!!!」
さらに、れいむは言う。
「ゆうぅうっ!!!いまからおチビちゃんのいもうとをうんであげるよぉお!!!あと10にんもいるよぉおお!!」
なんと、この親れいむの体内にはまだ10匹もの赤ゆがいるという。
数は少ない胎生妊娠で11匹も産むとか、信じられない個体だ。
ワンドアの冷蔵庫並に大きいれいむだったので、まあ納得できないこともないが。
驚く俺など気にも留めず、れいむの出産は続いた。
「ゆうっぅうっ!!!うばれるぅうぅっ!!!」
スポーン!
2匹目。れいむ種の赤ゆっくりだった。
「ゆっくちちちぇいってにぇ!!!」
親まりさは満面の笑みでその赤れいむに返事をした。
「ゆぎょええ!!!うばれるぅうぅっ!!!」
スポーン!
3匹目。れいむ種の赤ゆっくりだった。
「ゆっくちちちぇいってね!!!」
親まりさは微笑んで赤れいむに返事をした。
「ゆっぴょっらぁぅうっ!!!うばれるぅうぅっ!!!」
スポーン!
4匹目。れいむ種の赤ゆっくりだった。
「ゆっくてぃちちぇいってにぇ!!!」
親まりさはそこそこ笑って赤れいむに返事をした。
「ゆぎょっぺえええええ!!!うばれるぅうぅっ!!!」
スポーン!
5匹目。れいむ種の赤ゆっくりだった。
「ゆっきゅぴちちぇいっちぇにょぇ!!!」
親まりさは引きつった笑みで赤れいむに返事をした。
スポーン!
スポーン!
スポーン!
スポーン!
スポーン!
結局、11匹の赤ゆっくり全てがれいむ種だった。
親れいむは出産を終え、最高の笑顔でふうふうしている。
逆に、親まりさは今にも爆発しそうな顔でプルプルしていた。
「ゆっふぅ・・・!みんなれいむにそっくりで、すごくゆっくりしてるねっ!!」
「・・・」
親まりさは応えない。
「ゆ・・・?まりさ?」
ゆっくりと、親まりさが親れいむの方を向いた。
「れいむ・・・どうしてみんなれいむとおなじすがたのおチビちゃんなの・・・?」
返事によってはタダじゃおかねえ、的なニュアンスを感じる言葉だった。
しかし、親れいむはそんなことまるで感じていないように答える。
「ゆゆ。れいむはすごくゆっくりしてるよ!だからみんなれいむとおなじれいむになってもらったんだよっ!!」
ピクンと一度震えると、親まりさは親れいむに体当たりをした。
「どぼじでぞんなごとずるのぉおおっ!!?まりざはまりざのおチビちゃんがほしがっだんだよぉおっ?!?!」
出産で疲れた親れいむは、反撃することができない。
親まりさの攻撃が続く。
「どぼじでっ!!どぼじでっ!?!みんなれいむじゃゆっぐりできないでじょおぉお!!!!」
「ゆびょっ!!ゆぶ!!!ゆぎゅうぅぅぅ!!!!」
親れいむの上で何度もジャンプする親まりさ。
閉じ切っていない産道から、餡子が流れ出る。
「だっべっ!!だっでれいむがいぢばんゆっぐりっ!!!ゆっぐりじでるんだよぉおっ!!!??」
なんとかひねり出した言葉は、親まりさをあおるだけであった。
「うるさいよ!!!れいむなんてぜんぜんゆっくりできないのにっ!!!」
「ゆ゙っ!!?」
これには困惑していた赤れいむもビックリする。
「かりもへたっぴなのにっ!!!まりさがいなかったられいむはぜんぜんゆっくりできないくぜにいいいっ!!!」
「どぼっ・・・!どぼじでっぞんなごどおぉっ・・・!!」
親まりさの攻撃は止まらない。
産道からあふれる餡子は、もう親れいむの半分ほどにもなるだろうか。
「れいむたちは、ぜんぜんゆっぐりできないっ!!!いちばんだめな"しゅぞく"だよっ!!!」
「びっ・・・!ゆ゙っ・・・!ゆぼ・・・!!」
親れいむは死んだ。
餡子が無くなってからも、親まりさはペラペラになった皮をれいむ種の悪口を発しながら踏み続けた。
しばらくすると、親まりさは森に向かって跳ねて行った。
残されたのは、れいむ種のダメさをさんざん聞かされた赤れいむ11匹。
どれも涙を流し、頼る存在もなく震えていた。
「れいみゅだぢは・・・・ゆっぐぢできないゆっぐぢなのぉお・・・」
「おぎゃあじゃん・・・・」
「どぼぴぺ・・・」
産み分けは良くないなあ。
俺はそんなことを思いながら帰路についた。
おわり。
最終更新:2009年04月07日 03:37