れいむは日当たりのいい散歩道をぴょこんたぴょこんたと跳ね進んでいた。
と、ふと視線を横にやるとなんと見知らぬまりさが崖から落ちかけてすんでのところを枝に引っかかっていた。
れいむは、大丈夫だろうかと崖下を覗き込みまりさに声をかけた。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆ゛っぐぢでぎぶばげだいでじょおおお!!!
ばやぐだぢげべえええええええええええ!!!」
れいむは硬直した。
同じ
ゆっくりのはずなのに全く言葉がわからない。
れいむは困惑しながらもごもごとまりさに言った。
「あいきゃんとすぴーくいんぐりー」
「な゛に゛いっでぶどおおおお!?は゛やぐだずげろ゛おおお!!!」
れいむは怒りを露にするまりさに反省してしゅんとなった。
確かにれいむも「わたしはにほんごがはなせません」といわれては話せてるじゃんと首を傾げてしまう。
れいむは少し悩み、そして言葉ではなくジェスチャーで意志を伝えようと考えた。
「れろれろれろ」
「ぶざげでぶのがあああああああああ!!ぢね゛!お゛ばえなんがぢべ!!」
上に上がりたいのかと舌を使って尋ねてみたが、何故か怒らせてしまったようだ。
れいむはうつむきどうしたものかと考えて、ぴこぺーんと頭に電球を浮かべた。
そして崖から少し離れて何かを探しはじめる。
「ま゛、ま゛っでね゛!いがないで!ごべんなざい!ごべんな゛じゃい!!
い゛がないでえええええ!!ぅ゛お゛んねぐぁぁああああいいいいい!!」
れいむはやっとのことで目的のブツを見つけて崖の淵に戻った。
「あ、あ゛り゛がどぅぅううううう!!」
「しゅっしゅっしゅっ」
「…………」
れいむは一生懸命拾った木の枝を口に咥えて上下に振り下ろしている。
「ぞんな゛に゛ばでぃざをおどぢだいがあああああああああああああああ!!」
釣りをするイメージをジェスチャーで示したかったのだが
どうにもまりさの表情を見る限り意には沿わなかったようだ。
ふむ、とれいむは考え込んだ。
ひょっとしてこうして覗かれることがまりさにとって不本意なのではないか。
そう気付いてさっきから額に出しっぱなしの電球がピカピカと光った。
「まりさ、ゆっくりしていってね!」
そういって非礼を詫びるとれいむはぺこりとお辞儀をした。
額に飛び出た電球が落ちていってまりさの帽子の上にうまいこと乗っかった。
「ば、ばづんだぜ!ばっで!ばっでぇええええぇえぇえええ!!!」
まりさの声が聞こえる。
悪いことをしたと思いながられいむは離れていった。
「ばっでね!ごべんなざい!ぼうわ゛る゛ぐぢいびばぜん!おねがいでず!
ぼどっでぎべねえええ!!!
ゆ゛る゛ぢで!ゆ゛る゛ぢで!ごべんね゛!
ぼうびどびごどびいばぜんがだぼどっでぎでえ!!」
まりさの声が少し柔らかでなものへと変わった。
れいむはやはり覗きこんでいたことを怒られていたのを確信しほっと胸を撫で下ろす。
何かが裂けるような音がしてから、ついにまりさの声は聞こえなくなった。
そしてれいむは散歩道へと戻っていった。
最終更新:2011年07月27日 23:56