「ヒャッハー!」
「ゆぇーじごくじごく」
虐待お兄さんに追われてる私は
ゆっくりれいむ。ごく普通のゆっくり。強いて違う事を上げるとすればゲスって
事かナー。名前はれいむ。
そんなこんなで私は虐待お兄さんの手が出せない人間の家にやってきたのだ。
虐待お兄さんが去っていった後でふと背後を見ると人間がいたのだ。
「ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ! ゆっくりしないでごはんをもってきてね!」
この家はれいむが見つけた時点でれいむの物になっていたのだ。この人間はその事を知らずホイホイとれいむの
前に現れてしまったのだ。
人間はそのまま家の奥へと姿を消した。れいむの威光にひれ伏したのだ。
れいむはご飯が出てくるのをゆっくり待った。
そして十分が経った時である。
パリーン、と甲高い音を立てて窓ガラスが割れ、そこから何者かが入り込んできた。れいむは思わず驚愕する。
窓が割れたからとか、そいつが窓から入ってきたからではない。いや、それも多少はあるかもしれないが、
れいむが最も驚愕したのは違う部分だった。
「アンゲロ、アンゲロ!」
そう、奇声を発しながら窓から入ってきたそいつは、頭にパンストを被りハイソックスを身に着けている以外、
何一つ衣類を着用していなかったのだ。
その男(股間にぷーらぷーらしているものちーんぽ! なのでわかった)は、固まるれいむの前で唐突に
逆立ち、両足を開いて頭を軸にその場でぐるぐると回りだした。もちろん(何がもちろんなのかは不明)
股間の棒は隆々とそそりたっている。
「びっくりするほどユートピア! びっくりするほどユートピア!」
叫び、回転する勢いのまま開脚前転でれいむに近寄り、れいむを細々とした……しかし、適度に鍛えられ
確かな力を感じさせる腕で掴み、その口を己の剛直で掻き回した。
「幸せだから! 幸せだから!」
「ゆぶぇ?! ぎぼぢばるいぃぃぃぃぃ!!」
固く太い縮れ毛が肌をなぞり不潔感を醸し出す汗の臭いが体にこびり付く。何よりも口内を駆け回る剛直の
妙なしょっぱさが、たまらなくたまらない。
嫌悪感をひたすら我慢していると、唐突に体が自由になった。口中を支配する嫌悪感に、遠慮なくその場で
嘔吐する。ひとしきり吐いてからちらっと男に目を向けると、手に持った何かで股間の棒を擦っていた。
その、男の手にもっている物が何なのか理解すると同時に、れいむは目の前が真っ白になるような錯覚を覚えた。
「ムッシュムッシュ!」
「でいぶのおりぼんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そう、男は先程れいむの口中を陵辱している間にれいむの大事なリボンを奪い取っていたのだ。
「かえしてね! れいむのおりぼんかえしてね!」
れいむは慌てて男の足元に縋りつき、泣いて請う。
「ウッ」
男は達した。
れいむの紅いりぼんに浮かぶ白のコントラスト。その時、れいむはそのりぼんが物理的、衛生的にではなく、
精神的な意味で決定的に汚されてしまったのを理解した。
哀しみに打ちひしがれたれいむはその場にへたりこんだ。命より大事なりぼんが穢された。これ以上に
ゆっくりできない事など、存在しない。れいむは今、まさに地獄の底にいるようだった。
男はそんなれいむにそっと手を差し伸べると、穢れたりぼんをれいむの髪にしっかりとくくりつけた。
「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?! ぎぼぢわるいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
頭を覆う生暖かい感触と、鼻(正確には、全身に多数存在する嗅覚器官)をつく異臭。必死の逃れようと飛び
跳ねるが、それはどこまでもれいむに付いて回り、生理的な嫌悪感に思わず中身を吐き出しかける。
男はその様子をしっかりと見届けると、「俺に充電しろ! 俺に充電しろ!」と叫び、ゾンビの真似をしながら
部屋の奥へと消えていった。
れいむは思った。このままここにいればきっと死ぬより酷い目にあう。早く逃げ出さないと。
その時、男の消えた方向からぎしりと小さな足音が響いた。
れいむは決断した。
「おそらをとぶ!」
れいむは窓から身を投げ出し、鳥のように空を舞った。
唐突だが、この家はマンションの4階だった。
「……あれ、いない」
全裸パンストハイソックスの男は、手にいちごショートケーキの乗った皿を持って部屋にいるはずのれいむを
探していた。先程まで床の上を元気に走り回っていたのに、今はその影すらも見つけられない。
手に持ったショートケーキを机に置き、男は被っていたパンストを頭から外し、残念そうに大きく溜息をついた。
その男は、れいむが「ごはんをもってこい」といったこの家の先住民だった。
「せっかく言われた通り、出来る限り『ゆっくりしないで』ごはんを持ってきたのに……」
男は気付かない。そのゆっくりしてなさがれいむの命を奪った事に。
おしまい
あとがき
ゆっくりしないでご飯をもってくるのとゆっくりできない動作でご飯を持ってくるのは違うと思うけど、気にしないでください
最終更新:2011年07月29日 02:38