最近冷え込むなと思っていたらとうとう雪が降った。
冬も雪も大好きだ。しかし室内が寒くてもいいかというとそれとこれとは話が別だ。
私が入り浸っている有希の家にはエアコンしかなく、駄々をこねたらこたつを出してくれた。
「なんか悪いわね」
なんて口ではそういいながら、こたつのオプションに付いてきたみかんを遠慮なく食べる。
有希のこういうスタンダードをきっちり守るところは大好きだ。さらに彼女は二人分のはんてんを
出してきた。それを見た瞬間に感じた有希に対する愛しさは言葉に表せない。
「問題ない」
はんてんを着た有希は相変わらず本を読みながらそう言った。
彼女は1年中飽きもせず本を読む。その姿は変化せず、ただ彼女の周りの風景が変わっていくだけだ。
刺激と変化を好む私だが、彼女の変わらないというところはなぜか私をひどく安心させた。
だが、ときどき退屈になる。
私は赤くてあったかいこたつの海を渡り、反対側の有希の隣にちょっとだけ顔を出して
「かまってー」
といってみた。
有希は私の前髪をぺらっとめくって数秒停止した後、読書に戻った。まったく行動の
意図が分からない。
「ちょっと、それでかまったことになるつもり?」
「形の良いおでこ」
あまりにもな返答が帰ってきて思わず噴出す。そんなことを確認していたのか。
「触ってもいいのよ?」
くつくつ笑いながら言ってみる。おでこに触っていい許可を出すなんてばかげていて面白いと思ったからだ。
そしたら有希は本当に触ってきた。生真面目な行動がますますおかしい。
彼女の顔を見上げると本人はいたって真剣な表情で私のおでこを撫でている。
「私のおでこはどんなあんばいですか」
「いい」
「ランクをつけるとしたら?」
「SS」
即答だ。だが、私はこの評価に有希の私情が挟まっていることを感じざるをえない。
なぜなら、私から見たら有希のおでこのほうがずっとずっと良い形をしてるからだ。
「まったく、有希は私のこと大好きなんだから」
「すき」
これも即答である。
おでこを撫でていた手は次第に頭のほうに伸びていった。おでこ以外許可した覚えは無いが、
まぁ今日は特別だ。優しく髪をすく手が気持ちいい。
だんだんと、まぶたが重くなってくる。あぁ、こたつで寝たら、風邪引いちゃう
意識がなくなる瞬間、おでこにやわらかい感触がした。
まったく有希はわたしのこと大好きなんだから
最終更新:2009年02月11日 10:53